3 / 42
第一章 十年ぶりの母の帰宅と驚愕の真実
2
しおりを挟む
カラーン、カラーン、カラーン。
朝を告げる教会の鐘が、白み始めたリンデンの街に鳴り響く。
教会の前の広場で羽を休めていた鳩たちが、いっせいに空へと飛びたった。
薄紫の空の下、鐘の音と共に人々は寝床から起きだし、新しい一日を開始する。
それは街の外れの住宅街にある家で、父と二人きりで暮らすエミリアにとっても同様だった。
空気を震わすようにして鳴り響いた鐘の音に、寝台の上で丸くなって眠っていたエミリアは、もっそりと体を起こした。
(うん……もう朝?)
両腕を伸ばして大きく伸びをする。
枕元近くの張り出し窓からは、早くも朝陽が射しこみ始めていた。
窓の向こうからはピイピイと、うるさいほどの小鳥の声。
「いっけない!」
慌てて寝台から滑り下りたエミリアは、まずは机の上に飾ってあった小さな絵に、いつものように朝の挨拶をした。
「おはよう。お父さん、お母さん」
しゃれた額に収まったその絵には、若い男女が描かれている。
父の絵の師匠が描いてくれたものだというが、いったい何年ぐらい前に描かれたのだろうか。
よそ行きの上着を着て生真面目な顔をし、直立不動の姿勢で立っている父は、エミリアが毎日顔を会わせている父と比べると、まだずいぶんと若い。
しかし、父の前に置かれた肘かけ椅子にたおやかに腰かけている母は、エミリアの記憶に残る母の姿そのままだった。
流れるような金髪に、透き通った白い肌。
宝石のような翠の瞳は零れ落ちるほどに大きく、薔薇色の小さな唇は、まるで微笑のお手本のように美しいカーブを描く。
(お母さん……)
子供の頃ならともかく十七歳にもなった今では、エミリアにも少し、母が変わった人物であるということがわかってきた。
(少なくともお父さんと会ったばかりの頃と、私が七歳の頃と、見た目が変わらなかったってことよね?)
何度考えても、首を捻らずにはいられない。
(それって、けっこうすごいよね……もし今もお母さんがこの家にいたら、どうだったんだろう? ひょっとして、まだこの絵と同じ外見だったりして……)
想像してみたことは、ずいぶんと久しぶりだった。
エミリアは母とまったく似ていない。
髪は栗色の巻き毛。
瞳は薄い茶色。
健康的な肌の色も、痩せて背ばかりが高いひょろっとした体つきも、何もかもが父親似だ。
絵に描いたような美少女の外見を持つ母とは、似ても似つかない。
それでも綺麗な母が自慢で、小さな頃は友だちにも鼻高々に紹介していたが、あまりに何度も、「へえ。あんまり似てないんだね……」と気の毒そうに言われることに、年を重ねるにつれ複雑な心境を覚えるようになった。
その思いは積もり積もって、今では少し憂鬱な思い出になっている。
ましてや今現在、母はこの家にいないのだから、迂闊に絵を見せて、「本当のお母さんなの?」などと疑われても、証明する手段もない。
「もちろん私の本当のお母さんよ!」と力説することもなんだか虚しくて、最近では友だちに、母の絵をわざわざ見せることはしなくなった。
だからエミリアの母がどんな人物だったのかを知っているのは、本当に小さな頃からの友人たちだけだ。
その『小さな頃からの友人たち』の中でもとりわけ傍にいて、とりわけエミリアの家の事情に詳しい人物の顔が、ふと脳裏に浮かぶ。
「そういえば昨日、明日は何かを食べたいって言ってなかったっけ……?」
柔らかな夜着を脱いで、壁にかけてあった洗いざらしの普段着へと袖を通しながら、エミリアは首を捻った。
「何か言ってたわよね……お肉じゃなくって、茸でもなくって……うーん?」
思い出せそうで思い出せないというのは、もどかしいものである。
それも朝の忙しい時間帯にその堂々巡りにはまってしまったのだから、少し腹が立ってくるのも無理はない。
(……だいたいどうして……私がこんなことで悩まなくちゃいけないんだろう?)
服の上に着けたエプロンのリボンを、腰の後ろでぎゅっと引き結んでいると、そもそもの元凶に対してふつふつと怒りが沸いてきた。
(今日のお弁当のおかず何にしようかなんて、自分が食べるぶんならまだいいわ……お父さんのぶんだってもちろん喜んで作る。だけど何が悲しくて、お隣さんってだけでついでに作ってあげてるぶんで、悩まないといけないの?)
しかも相手は、このリンデンに住む女の子ならば、知らない者はいないと言われるほどの、超人気者なのである。
――師匠に連れられて、最近は城にも出入りするようになった、庭師見習いのアウレディオ。
「俺って一人暮らしだから、お弁当を作ってくれる人もいないんだよな……」などと少し憂いを帯びた顔で俯けば、きっと次の日には街の女の子たちからも、王宮で働く侍女たちからも、ものすごい数の弁当が集まるに違いない人物。
遠くからでも目を引く淡い金色の髪。
よく晴れた日の空のような蒼い瞳。
整った綺麗な顔に、すらりとした肢体。
どこか人を寄せつけない神秘的な雰囲気。
それなのに、その問題の人物――アウレディオは、
「あの……もしよかったら……私がお弁当作ってきましょうか?」と親切に申し出てくれる女の子たちに対して、いつも無表情に、「俺はエミリアの弁当しか食べない」と答えてしまうのだ。
そのあまりにつれない口調、さっさと去って行ってしまう冷たい背中に、少女たちはみな一瞬呆然と立ち尽くす。
そして決まって次の瞬間、行き場のない怒りの矛先をエミリアへと向ける。
アウレディオの余計な一言のせいで、エミリアはこれまでに少なくとも八人の友だちを失くした。
顔も知らないような相手からの嫌がらせも、あとを絶たない。
おかげで『しっかり者』という誉め言葉の上に『図太い』という表現まで付くようになってしまったのだが、エミリアが被っている最大の迷惑は、そんななまやさしいものではなかった。
(何が悲しいって……ディオとは本当にただの幼馴染なのに、ほとんどの人はそうは見てくれないのよ……!)
泣き伏したいくらいの悲嘆の思いを、エミリアはぎゅっとこぶしを握りしめることで我慢する。
その件については、本人に直接抗議したこともあるのだが、アウレディオは、「別にどうだっていいだろ」とまるで取りあってもくれなかった。
「そりゃ、将来結婚する相手だって大勢の中から選り取りみどりのディオには、ぜんっぜんたいしたことじゃないんでしょうけど……私は困るの! 誤解されたくない人がいるの!」
叫ぶエミリアをまったく無視して、あの時もアウレディオは、さっさと背を向けて歩き去っていった。
(本当に困るんだから……!)
悔しさに唇を噛みしめながら、エミリアは俯いた。
いつも遠くから見ているだけのある人物の姿を心に思い浮かべると、トクンと胸が鳴る。
緑を基調とした近衛騎士の制服が、精悍な横顔によく似あう。
普段は温厚だが、いざという時には誰よりも剣の腕も立つのだという。
真面目で有能で、国王陛下からの信頼も厚い、こげ茶色の髪の近衛騎士――ランドルフ。
考えるだけでドキドキと動悸が激しくなってくる。
エミリアは机の引出しの中から、小さな額をそっと取り出した。
中に入っているのは、まだ途中までしか色が塗られていない描きかけの絵の一部分。
肩の位置で切り取られた両隣の騎士たちには申し訳ないが、ランドルフだけは額の中央で、灰青色の瞳を理知的に煌かせ、きりりと勇ましく前方を見据えている。
「おはようございます、ランドルフ様……」
額絵を見つめるだけで声が震える自分を励まして、エミリアは今朝も、絵の中のランドルフに礼儀正しく頭を下げた。
「私とアウレディオはただの幼馴染なんです。本当に、なんの関係もないんですよ……!」
しっかりと付け加えることも忘れなかった。
近衛騎士に囲まれた国王陛下の肖像画を描く、という大仕事が父に舞いこみ、半年をかけて取り組んでいた間は、身の回りの世話をするエミリアも、ずいぶんと気を遣ったものだった。
なにしろ国王陛下の肖像画である。
父も芸術家の端くれ。
後世に残るものとして最高の作品を仕上げなければと、いつになくピリピリしていた。
出来上がった絵の評判は上々。
そのおかげで、父にもようやく画家として暮らしていけるだけのお金と仕事が集まり始めた。
父の出世作――それは、失敗した下絵の中からランドルフの部分を切り取ることができたエミリアにとっても、実に実りのある仕事だった。
手に入れた絵に向かって、朝に夕に語りかける日々。
実際のランドルフとは会話をしたことなどなく、彼はエミリアの存在すら知らないわけだが、エミリアはいたって真剣だった。
たとえ相手が絵であっても、根も葉もない幼馴染との噂は、しっかりと訂正しておかなければならない。
「本当に本当に、無関係なんです!」
そこだけは、声を大にして何度も叫んでおく。
エミリアのこんな姿を、当のアウレディオが見たとしたら、「くだらない……」と冷たく言い放たれることはまちがいなかった。
朝を告げる教会の鐘が、白み始めたリンデンの街に鳴り響く。
教会の前の広場で羽を休めていた鳩たちが、いっせいに空へと飛びたった。
薄紫の空の下、鐘の音と共に人々は寝床から起きだし、新しい一日を開始する。
それは街の外れの住宅街にある家で、父と二人きりで暮らすエミリアにとっても同様だった。
空気を震わすようにして鳴り響いた鐘の音に、寝台の上で丸くなって眠っていたエミリアは、もっそりと体を起こした。
(うん……もう朝?)
両腕を伸ばして大きく伸びをする。
枕元近くの張り出し窓からは、早くも朝陽が射しこみ始めていた。
窓の向こうからはピイピイと、うるさいほどの小鳥の声。
「いっけない!」
慌てて寝台から滑り下りたエミリアは、まずは机の上に飾ってあった小さな絵に、いつものように朝の挨拶をした。
「おはよう。お父さん、お母さん」
しゃれた額に収まったその絵には、若い男女が描かれている。
父の絵の師匠が描いてくれたものだというが、いったい何年ぐらい前に描かれたのだろうか。
よそ行きの上着を着て生真面目な顔をし、直立不動の姿勢で立っている父は、エミリアが毎日顔を会わせている父と比べると、まだずいぶんと若い。
しかし、父の前に置かれた肘かけ椅子にたおやかに腰かけている母は、エミリアの記憶に残る母の姿そのままだった。
流れるような金髪に、透き通った白い肌。
宝石のような翠の瞳は零れ落ちるほどに大きく、薔薇色の小さな唇は、まるで微笑のお手本のように美しいカーブを描く。
(お母さん……)
子供の頃ならともかく十七歳にもなった今では、エミリアにも少し、母が変わった人物であるということがわかってきた。
(少なくともお父さんと会ったばかりの頃と、私が七歳の頃と、見た目が変わらなかったってことよね?)
何度考えても、首を捻らずにはいられない。
(それって、けっこうすごいよね……もし今もお母さんがこの家にいたら、どうだったんだろう? ひょっとして、まだこの絵と同じ外見だったりして……)
想像してみたことは、ずいぶんと久しぶりだった。
エミリアは母とまったく似ていない。
髪は栗色の巻き毛。
瞳は薄い茶色。
健康的な肌の色も、痩せて背ばかりが高いひょろっとした体つきも、何もかもが父親似だ。
絵に描いたような美少女の外見を持つ母とは、似ても似つかない。
それでも綺麗な母が自慢で、小さな頃は友だちにも鼻高々に紹介していたが、あまりに何度も、「へえ。あんまり似てないんだね……」と気の毒そうに言われることに、年を重ねるにつれ複雑な心境を覚えるようになった。
その思いは積もり積もって、今では少し憂鬱な思い出になっている。
ましてや今現在、母はこの家にいないのだから、迂闊に絵を見せて、「本当のお母さんなの?」などと疑われても、証明する手段もない。
「もちろん私の本当のお母さんよ!」と力説することもなんだか虚しくて、最近では友だちに、母の絵をわざわざ見せることはしなくなった。
だからエミリアの母がどんな人物だったのかを知っているのは、本当に小さな頃からの友人たちだけだ。
その『小さな頃からの友人たち』の中でもとりわけ傍にいて、とりわけエミリアの家の事情に詳しい人物の顔が、ふと脳裏に浮かぶ。
「そういえば昨日、明日は何かを食べたいって言ってなかったっけ……?」
柔らかな夜着を脱いで、壁にかけてあった洗いざらしの普段着へと袖を通しながら、エミリアは首を捻った。
「何か言ってたわよね……お肉じゃなくって、茸でもなくって……うーん?」
思い出せそうで思い出せないというのは、もどかしいものである。
それも朝の忙しい時間帯にその堂々巡りにはまってしまったのだから、少し腹が立ってくるのも無理はない。
(……だいたいどうして……私がこんなことで悩まなくちゃいけないんだろう?)
服の上に着けたエプロンのリボンを、腰の後ろでぎゅっと引き結んでいると、そもそもの元凶に対してふつふつと怒りが沸いてきた。
(今日のお弁当のおかず何にしようかなんて、自分が食べるぶんならまだいいわ……お父さんのぶんだってもちろん喜んで作る。だけど何が悲しくて、お隣さんってだけでついでに作ってあげてるぶんで、悩まないといけないの?)
しかも相手は、このリンデンに住む女の子ならば、知らない者はいないと言われるほどの、超人気者なのである。
――師匠に連れられて、最近は城にも出入りするようになった、庭師見習いのアウレディオ。
「俺って一人暮らしだから、お弁当を作ってくれる人もいないんだよな……」などと少し憂いを帯びた顔で俯けば、きっと次の日には街の女の子たちからも、王宮で働く侍女たちからも、ものすごい数の弁当が集まるに違いない人物。
遠くからでも目を引く淡い金色の髪。
よく晴れた日の空のような蒼い瞳。
整った綺麗な顔に、すらりとした肢体。
どこか人を寄せつけない神秘的な雰囲気。
それなのに、その問題の人物――アウレディオは、
「あの……もしよかったら……私がお弁当作ってきましょうか?」と親切に申し出てくれる女の子たちに対して、いつも無表情に、「俺はエミリアの弁当しか食べない」と答えてしまうのだ。
そのあまりにつれない口調、さっさと去って行ってしまう冷たい背中に、少女たちはみな一瞬呆然と立ち尽くす。
そして決まって次の瞬間、行き場のない怒りの矛先をエミリアへと向ける。
アウレディオの余計な一言のせいで、エミリアはこれまでに少なくとも八人の友だちを失くした。
顔も知らないような相手からの嫌がらせも、あとを絶たない。
おかげで『しっかり者』という誉め言葉の上に『図太い』という表現まで付くようになってしまったのだが、エミリアが被っている最大の迷惑は、そんななまやさしいものではなかった。
(何が悲しいって……ディオとは本当にただの幼馴染なのに、ほとんどの人はそうは見てくれないのよ……!)
泣き伏したいくらいの悲嘆の思いを、エミリアはぎゅっとこぶしを握りしめることで我慢する。
その件については、本人に直接抗議したこともあるのだが、アウレディオは、「別にどうだっていいだろ」とまるで取りあってもくれなかった。
「そりゃ、将来結婚する相手だって大勢の中から選り取りみどりのディオには、ぜんっぜんたいしたことじゃないんでしょうけど……私は困るの! 誤解されたくない人がいるの!」
叫ぶエミリアをまったく無視して、あの時もアウレディオは、さっさと背を向けて歩き去っていった。
(本当に困るんだから……!)
悔しさに唇を噛みしめながら、エミリアは俯いた。
いつも遠くから見ているだけのある人物の姿を心に思い浮かべると、トクンと胸が鳴る。
緑を基調とした近衛騎士の制服が、精悍な横顔によく似あう。
普段は温厚だが、いざという時には誰よりも剣の腕も立つのだという。
真面目で有能で、国王陛下からの信頼も厚い、こげ茶色の髪の近衛騎士――ランドルフ。
考えるだけでドキドキと動悸が激しくなってくる。
エミリアは机の引出しの中から、小さな額をそっと取り出した。
中に入っているのは、まだ途中までしか色が塗られていない描きかけの絵の一部分。
肩の位置で切り取られた両隣の騎士たちには申し訳ないが、ランドルフだけは額の中央で、灰青色の瞳を理知的に煌かせ、きりりと勇ましく前方を見据えている。
「おはようございます、ランドルフ様……」
額絵を見つめるだけで声が震える自分を励まして、エミリアは今朝も、絵の中のランドルフに礼儀正しく頭を下げた。
「私とアウレディオはただの幼馴染なんです。本当に、なんの関係もないんですよ……!」
しっかりと付け加えることも忘れなかった。
近衛騎士に囲まれた国王陛下の肖像画を描く、という大仕事が父に舞いこみ、半年をかけて取り組んでいた間は、身の回りの世話をするエミリアも、ずいぶんと気を遣ったものだった。
なにしろ国王陛下の肖像画である。
父も芸術家の端くれ。
後世に残るものとして最高の作品を仕上げなければと、いつになくピリピリしていた。
出来上がった絵の評判は上々。
そのおかげで、父にもようやく画家として暮らしていけるだけのお金と仕事が集まり始めた。
父の出世作――それは、失敗した下絵の中からランドルフの部分を切り取ることができたエミリアにとっても、実に実りのある仕事だった。
手に入れた絵に向かって、朝に夕に語りかける日々。
実際のランドルフとは会話をしたことなどなく、彼はエミリアの存在すら知らないわけだが、エミリアはいたって真剣だった。
たとえ相手が絵であっても、根も葉もない幼馴染との噂は、しっかりと訂正しておかなければならない。
「本当に本当に、無関係なんです!」
そこだけは、声を大にして何度も叫んでおく。
エミリアのこんな姿を、当のアウレディオが見たとしたら、「くだらない……」と冷たく言い放たれることはまちがいなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる