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3 天闇
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真剣もどこにも無くなっていた。
「先生!花子!」
刃は夢中で叫んだ。道場の中に刃の声がこだました。
急に道場の明かりがパッと消えた。
そしてまたパッと点いた。
そこには天井から胴を吊るされた花子がいた。その真下に刃の真剣が落ちていた。その真横に天闇先生が立っていた。
「先生?花子は無事ですか?なぜ早くロープを解かないのです?」
「久しぶりだな刃。」
天闇先生は刃で問いかけには答えず、先程よりも低い、嗄れた声で言った。
「あなたは一体何者でしょう?全くもって気味が悪い。」
「父親に向かってなんだね、その口の利き方は?」
「あなたが父親ですって?」
「そうとも。母親を殺し、娘を殺した。この妖刀、天闇の力でな。私の本当の名は天草幸介」
刃は目の前で起こっていることが信じられなかった。
「刃、お前は知るまい。私達が呪われた世代だという事を。」
「呪われた世代?」
「かつて天草家七代目当主となった侍はお前の持つ真剣、刃を鞘から抜くことが出来なかった。そして次の8代目頭首は刃を抜くことができたが、力を使うことは出来なかった。その代わり、七代目頭首は刃に使われている鉄の一部分が含まれたこの天闇を使うことが出来た。そして、14代目と15代目、21代目と22代目もそうだった。」
「何が言いたい?」
「天闇には闇の力が込められており、また、人を殺すほどに力を増していく。この天闇はずっと私達の家の蔵に保管されていた。」
「お前が姉と祖母を?」
「そう。私が天闇の力で本来の28代目頭首としてな。」
「だからなんだ?花子は関係ないだろう?花子を放せ!」
「この娘は内に光を宿している。だから私には邪魔でしかない。純子もそうだった。その名の通り、穢れのない光だけの人間だ。そばにいると、鬱陶しいのだ。だからこの娘は天闇の炎で焼き尽くす。」
「そんなこと、させるものか!」
「どうする気だ?」
確かにどうしたら良いだろうか。そんなことを考える間もなく、刃は無我夢中で花子の真下にある刃を取りに走った。刃は刃を掴むことはできた。しかし、その瞬間に、天闇は自分の真剣を振っていた。次の瞬間刃は業火に包まれていた。
刃は声にならない叫び声をあげた。死ぬかと思った。熱くて怖かったからだ。目の前にいるのは気を失った花子と、人間であり人間でない天闇先生がいる。
気を失いかけたところで、疑問に思っていたことが頭をよぎった。真剣の名前と、自分の名前が同じことだ。
俺の名前は刃。由来は確か、爺ちゃんが未来を切り開く刃となれるように刃と付けてくれた。果たして、本当にそうなのだろうか。もし、そうじゃなかったとしたら。俺の名前の本当の意味とはなんだろうか。
気づくと、刃の体は炎に包まれていなかった。代わりに道場が燃え始めており、天闇は消えていた。そして、左手には刃を握っていた。鞘が消えていた。刀身は作られてから一度も錆びたことがないと言われていた。しかし、刃は刃の手の中でしっかり錆びていた。これでは斬れるものも斬れない。目の前に黒い円い影があるのを見つけた。
そうだ。花子を助けなくては。火が迫っている。しかし、術がわからなかった。花子を助けるために、まずロープを切りたい。しかし、刃物は無い。唯一持っている刃は錆びている。切れないか試してみるしかない。さもなくば、純子のように花子を失ってしまうのだ。
そんなことにはなってほしくない。刃はロープに刃を振った。勿論、切れない。切れろ!心の中で叫ぶと、刀身が白く光り出して、ロープはあっという間に切れ、花子は右腕の中にいた。
休む間もなく、今度は燃えていく道場から逃げ出さなくてはいけなかった。しかし、もう遅いかもしれなかった。周りはとっくに炎に囲まれていた。炎は切れるだろうかと迷っている暇はない。
刃は業火に向かって刃を振った。
切れろ!
驚くことに炎は切れた。立ち止まっている暇はない。花子を抱え、炎が再び道を塞ぐ前に、道場を出た。幸い、出入口には炎はまだ回っていなかった。
外に出ると、天闇先生がいた。
「先生!花子!」
刃は夢中で叫んだ。道場の中に刃の声がこだました。
急に道場の明かりがパッと消えた。
そしてまたパッと点いた。
そこには天井から胴を吊るされた花子がいた。その真下に刃の真剣が落ちていた。その真横に天闇先生が立っていた。
「先生?花子は無事ですか?なぜ早くロープを解かないのです?」
「久しぶりだな刃。」
天闇先生は刃で問いかけには答えず、先程よりも低い、嗄れた声で言った。
「あなたは一体何者でしょう?全くもって気味が悪い。」
「父親に向かってなんだね、その口の利き方は?」
「あなたが父親ですって?」
「そうとも。母親を殺し、娘を殺した。この妖刀、天闇の力でな。私の本当の名は天草幸介」
刃は目の前で起こっていることが信じられなかった。
「刃、お前は知るまい。私達が呪われた世代だという事を。」
「呪われた世代?」
「かつて天草家七代目当主となった侍はお前の持つ真剣、刃を鞘から抜くことが出来なかった。そして次の8代目頭首は刃を抜くことができたが、力を使うことは出来なかった。その代わり、七代目頭首は刃に使われている鉄の一部分が含まれたこの天闇を使うことが出来た。そして、14代目と15代目、21代目と22代目もそうだった。」
「何が言いたい?」
「天闇には闇の力が込められており、また、人を殺すほどに力を増していく。この天闇はずっと私達の家の蔵に保管されていた。」
「お前が姉と祖母を?」
「そう。私が天闇の力で本来の28代目頭首としてな。」
「だからなんだ?花子は関係ないだろう?花子を放せ!」
「この娘は内に光を宿している。だから私には邪魔でしかない。純子もそうだった。その名の通り、穢れのない光だけの人間だ。そばにいると、鬱陶しいのだ。だからこの娘は天闇の炎で焼き尽くす。」
「そんなこと、させるものか!」
「どうする気だ?」
確かにどうしたら良いだろうか。そんなことを考える間もなく、刃は無我夢中で花子の真下にある刃を取りに走った。刃は刃を掴むことはできた。しかし、その瞬間に、天闇は自分の真剣を振っていた。次の瞬間刃は業火に包まれていた。
刃は声にならない叫び声をあげた。死ぬかと思った。熱くて怖かったからだ。目の前にいるのは気を失った花子と、人間であり人間でない天闇先生がいる。
気を失いかけたところで、疑問に思っていたことが頭をよぎった。真剣の名前と、自分の名前が同じことだ。
俺の名前は刃。由来は確か、爺ちゃんが未来を切り開く刃となれるように刃と付けてくれた。果たして、本当にそうなのだろうか。もし、そうじゃなかったとしたら。俺の名前の本当の意味とはなんだろうか。
気づくと、刃の体は炎に包まれていなかった。代わりに道場が燃え始めており、天闇は消えていた。そして、左手には刃を握っていた。鞘が消えていた。刀身は作られてから一度も錆びたことがないと言われていた。しかし、刃は刃の手の中でしっかり錆びていた。これでは斬れるものも斬れない。目の前に黒い円い影があるのを見つけた。
そうだ。花子を助けなくては。火が迫っている。しかし、術がわからなかった。花子を助けるために、まずロープを切りたい。しかし、刃物は無い。唯一持っている刃は錆びている。切れないか試してみるしかない。さもなくば、純子のように花子を失ってしまうのだ。
そんなことにはなってほしくない。刃はロープに刃を振った。勿論、切れない。切れろ!心の中で叫ぶと、刀身が白く光り出して、ロープはあっという間に切れ、花子は右腕の中にいた。
休む間もなく、今度は燃えていく道場から逃げ出さなくてはいけなかった。しかし、もう遅いかもしれなかった。周りはとっくに炎に囲まれていた。炎は切れるだろうかと迷っている暇はない。
刃は業火に向かって刃を振った。
切れろ!
驚くことに炎は切れた。立ち止まっている暇はない。花子を抱え、炎が再び道を塞ぐ前に、道場を出た。幸い、出入口には炎はまだ回っていなかった。
外に出ると、天闇先生がいた。
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