現代サムライ

千歌

文字の大きさ
2 / 4

2 記憶

しおりを挟む
    教頭先生が連れてきた新任の先生は天闇あまやみと言って、刃にはどこか見覚えがあった。前に一度どこかで会ったことがあるような、ないような。しかし、思い当たる記憶はない。そして、刃は流されるままに、剣道部の活動に参加していた。
 遡ること、二時間前。新任の先生は少し変わっていた。と言うより、斬新な考えを持った人だった。急に、「今から総当り戦を行い、勝者が部長となり、指導を行う。」と言い、刃はもちろん逃げられず、総当り戦に参加し、本気を出すまでもなく、全員に勝ってしまった。そのため、先輩後輩関係なく指導をしていた。
それから、先輩後輩関係なく、互いにさん付けで呼び、全員が互いに敬語を使うようになった。
 例えば、先程刃に勝負を持ちかけてきた先輩に対しても刃は真っ直ぐに思ったことをいって指導していた。
 花子は花子で着物を着てマネージャーの仕事をしていた。ただ着物を着ていたいそれだけの理由でこの部に貢献すると言ってくれた彼女は分からないことを素直にきいて仕事をしていた。その健気な姿は多くの部員の心を奪った。
 今日の練習が終わったので皆帰る支度を始めた。天闇先生は不気味なほどずっと微笑んでいた。
 伝達の時間になったが、いつまで経っても花子がドリンクのボトルを戻しに行ったきり帰って来なかった。
 仕方が無いので、先に伝達をして部員は刃を残して解散した。
 部員を見送った後、天闇先生と刃が花子を探すことになった。
 刃は部室を隈無く探し、それでも花子が どこにもいないのを確認してから道場の中を探しているはずの天闇先生の所へ戻った。
 花子が先に帰ってしまったという可能性は極めて低い。鞄が道場の隅に置きっぱなしだからだ。そして彼女は寮には泊まっていない。荷物を置いて家に帰るはずがないのだ。学校にいるはずなのだが、道場から部室までの道中にはいなかった。
 刃が道場に戻ると、天闇先生の姿はなかった。そして花子の荷物の隣に置いた自分の荷物の中から、自分の真剣がなくなっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

処理中です...