現代サムライ

千歌

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2 記憶

    教頭先生が連れてきた新任の先生は天闇あまやみと言って、刃にはどこか見覚えがあった。前に一度どこかで会ったことがあるような、ないような。しかし、思い当たる記憶はない。そして、刃は流されるままに、剣道部の活動に参加していた。
 遡ること、二時間前。新任の先生は少し変わっていた。と言うより、斬新な考えを持った人だった。急に、「今から総当り戦を行い、勝者が部長となり、指導を行う。」と言い、刃はもちろん逃げられず、総当り戦に参加し、本気を出すまでもなく、全員に勝ってしまった。そのため、先輩後輩関係なく指導をしていた。
それから、先輩後輩関係なく、互いにさん付けで呼び、全員が互いに敬語を使うようになった。
 例えば、先程刃に勝負を持ちかけてきた先輩に対しても刃は真っ直ぐに思ったことをいって指導していた。
 花子は花子で着物を着てマネージャーの仕事をしていた。ただ着物を着ていたいそれだけの理由でこの部に貢献すると言ってくれた彼女は分からないことを素直にきいて仕事をしていた。その健気な姿は多くの部員の心を奪った。
 今日の練習が終わったので皆帰る支度を始めた。天闇先生は不気味なほどずっと微笑んでいた。
 伝達の時間になったが、いつまで経っても花子がドリンクのボトルを戻しに行ったきり帰って来なかった。
 仕方が無いので、先に伝達をして部員は刃を残して解散した。
 部員を見送った後、天闇先生と刃が花子を探すことになった。
 刃は部室を隈無く探し、それでも花子が どこにもいないのを確認してから道場の中を探しているはずの天闇先生の所へ戻った。
 花子が先に帰ってしまったという可能性は極めて低い。鞄が道場の隅に置きっぱなしだからだ。そして彼女は寮には泊まっていない。荷物を置いて家に帰るはずがないのだ。学校にいるはずなのだが、道場から部室までの道中にはいなかった。
 刃が道場に戻ると、天闇先生の姿はなかった。そして花子の荷物の隣に置いた自分の荷物の中から、自分の真剣がなくなっていた。
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