人形探偵

ミステリー兎

文字の大きさ
3 / 6
1章

見つかったモノ

しおりを挟む
 雫と公太はすぐに目的の花壇に着いた。公太の言った通り花壇は周りに土が飛び散っていて植えられていたマリーゴールドと思われる花が端に倒れていた。

「ここがその花壇です」
「公太、悪いがスコップと軍手を持ってきてくれないか?」

 公太は教室から持ってくると言い走っていった。

「菊。仕事だ」
「人形化か~?」
「いやあの子の名前が分からないから人形化はできないし、今回はそこまで重大な場面じゃないよ。通訳してくれ」

 雫は幽霊と人間の区別はできるもののその幽霊と直接会話をすることはできない。今そばにいる少女の幽霊から話を聞くために公太を一時遠ざけたのである。

「安心しろ、ボクたちは君に危害を加える気はない。君の名はなんだ?」

「…………」

咲良世奈さくらせな。だってよ雫~。名前とこの花壇が大事ってこと以外あんま覚えてないらしいよ」

「この花壇を荒らしている犯人は誰だ?」

「…………」

「ぇ~!! コイツが荒らしてたんだって~雫!!」

「菊、コイツじゃない。世奈さんだろ。理由は?」

「あっ!! 雫、公太のやつが戻ってきたよ!」

 菊がそう言うとそばにいた咲良世奈と名乗ったその少女の幽霊はどこかへ行ってしまった。

「スコップと軍手持ってきましたよ~。元に戻すんですよね? 手伝いますよ」
「いや、ここをさらに掘るんだ公太」
「ええ?」
(雫~掘っちゃうの~ここ? ホントに? 何で? 世奈ってやつが怒っちゃうぞ?)
「…………。何かここに埋まってるのかもしれない……」

 雫は端に倒れていた花たちを一時花壇の外に出してスコップで土を掘り起こしていった。

「なんもないね~」
「死体でもあると思ったか公太?」
「そうじゃないよ……」
(しーずーくー!)
「間違えた公太。タイムカプセルや宝の地図でもあるとおもったか?」
「うん! 悪いやつがきっとそれを狙ってるんだよ」
(はぁ……)
「ん? 何かあるよ! ほらそこ」
「……鍵?」
「え! もしかして宝箱の!?」
「いや、これは自転車の鍵だきっと。誰かがこの鍵をこの辺りで落としたと思ってこの花壇が結果的に荒らされたんだ」
「そうだったんだ……」
「この鍵はボクが後で学校の先生に渡しておくよ。花見町は山に囲まれているから日の沈みが早い。今日はもう帰ろう」
「わかった。なんかあっけなかったけどモヤモヤが晴れたよ、ありがとう!」

 公太は走って校門を抜けて家に向かった。また雫と菊の二人きりになったがさっきの姿を消した世良はもう現れることはなかった。

「良かったな~雫。ただの落し物で。私たちも帰えろーぜー」
「バカタレ。この鍵の持ち手のとこに黒いマジックで書いてある『4771』。四桁のパスワードのメモだ。おそらくこれは二重ロックされた箱の鍵だ。そしてこの持ち主は咲良世良だ」
「ほんとかな~? 雫はいつも考えすぎなんだよ」
「どこかで聞いたことがあるんだ、咲良世奈という名前を。何故か聞いたことがある名前の幽霊……その幽霊が探していたと思われる二重ロックされた何かを開ける重要な鍵……。探偵が動くには十分すぎる謎だと思わないか?」
「雫が何でも気になっちゃう根っからの探偵ってことは知ってるさ~」
「帰ったら咲良世奈について調べて、彼女の家に行ってみよう」
「公太には言わなくて良かったのか~?」
「本当に宝箱だったら呼ぶさ。ボクはそうは思わずに帰したんだけどね……」

 たまたま見つけたその鍵がこれから大きな事件の扉を開けようとしていた――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...