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第一話 突き付けられた現実と…… 後編
爆弾発言
しおりを挟むそうですね~、やっぱり優しい皇子様っていうのは、やっぱり物語だけなんだって心の底から実感しました。
だって、目の前の本物の皇太子様は、かなりな俺様で冷血な人なんですからね。
私は忘れはしないですよ、初めて言われたあの言葉っっ!!
『君が……ルーズベルトの言っていたペットとは?』
そう、人が初めて訳わかんないトコに来て、それで以って行き成り見たコトもないドラゴンさん達とかに囲まれて、めっちゃ途方に暮れていた時にね、あのペット発言っ、アレはないでしょう?
そりゃあ館に置いてくれて礼儀作法とか色々教えてくれたのは、勿論感謝していますよ。
でもあの館はここにいる公爵のお家……でしょう?
それにそこからほぼ1ヶ月の間、カルロスさんとエイミー達に私を押し付けてめっちゃ放置プレイだったし、おまけに逃げ出し掛けたら直ぐに捕まるし、そして今も捕まってるし……もう一体何なのっっ!!
私はただ元の世界へ帰りたいだけなのです。
私を心配する家族のいる世界へ帰りたい。
ただそれだけが望みなのに、如何して叶わないんだろう。
そ、それにですね、そもそもなんで私がお城へ来なければならなかったのか?
理由その1、異世界人が珍しいから?
理由その2、ホントにペットにでもしようって魂胆ありなんですかぁっっ!?
う~ん今のところそれ以上考えられないし、考えたくもないっっ。
私は皇太子様を一瞥__いちべつするとは言ってもほんの……そうサラッとだよ、うん瞬きするくらいの一瞬だけれど、たったそれだけで彼には私が今、何を考えているのかめっちゃわかっていた様子だった。
それもそれで腹立たしいのだけれどね!!
「よくもそれだけ感情が表情に出るモノだ」
これは褒められたコトなのっ、それとも馬鹿にされたコト?
いや、絶対後者だよね、流れ的に……。
「一般庶民なので申し訳ありません、それよりも皇太子様ならおわかりの筈でしょう? 元の世界への帰り方を……」
そうそうこの国の皇太子なんだもん、そのくらい知っているわよねっっ!!
私は大変失礼かなとは思ったけれど、皇太子様をじっと睨みつける。
けれども私の睨みなんて何の効果もなさ気だ。
「それより何故部屋から出た?」
「えーっと帰る方法を探す為……ですか」
勿論即答で返す。
「殿下、取り敢えず何時までもここにいる訳にもいかないでしょう、皆もまだ愛美様を探しているのでしょうし……」
コミュニケーション不足の私達の間に潤滑油みたいな役割の公爵が、柔和な笑みを浮かべてこの場を上手く収め、私達は別室へと移動した。
そうして3人で今お茶をしています。
「本当は今日君に両親へ会わせる予定だったのだが、兎が思ったより奥へ逃げてしまったからな、明日にでもまた改めて引き合わせよう」
兎……また人をペット扱いにしてるわね。
だけどさ。
「皇太子様、私は別に皇帝陛下や皇妃様へお会いしなくてもいいですよ、一般庶民にはハードルが高いってこの前言いませんでしたっけ」
「皇太子ではない、エディーだと何度言わせたらわかるんだ?」
はぁ?
なんで一般人の私が皇太子を愛称で、然もそれって公爵の名前でしょうっっ!!
「聖女様、誤解がない様に言っておきますがエディーとは彼の、エディアルドの愛称なのですよ。因みに僕はチャーリーです」
公爵はにっこりと補足説明をされました。
そしてまるで自分のコトも愛称で呼べと暗に言っている様な、公爵は確かに物腰が柔らかく、どっちかと言うとこちらの方が物語に出てくる優しい王子様って感じなんだけれど、でも何だかな~微妙に反論はさせないぞって感じが見られるのは気の所為?
それと同じ姿でも近くで見れば全く印象が違うのだとわかる。
勿論冷酷な本物の皇太子様は、公爵と見比べるまでもなく堂々としていて身に纏うオーラってもんが半端ない。
そしてこっちに向けてくる視線がなにやら強烈に痛いんですけれど……。
「愛美、何時までもチャーリーを見るでない」
「そっ、そんな誤解される様な言い方を止めて下さいっ、皇太子様!!」
な、何を行き成り言いだすんだこの男性はっっ!!
「皇太子ではないと何度言えばわかる、エディーだ!!」
ムスッと如何にも機嫌が悪そうに言い返すこの俺様皇太子に、私は正直辟易していますよ。
「だからハードルをあげ……はぁ、もうわかりました、エディー様っっ!!」
ホント疲れるわっっ!!
「只のエディーだ、愛美」
これでも引き下がらないのですか。
本当にもう後で不敬罪とかで捕まえないでよねっっ!!
「じゃあエディー、これでいいですか?」
「あぁそれでいい」
なんなんだろうねこの俺様は、こんななんじゃあもし婚約者がいれば大変ではないでしょうかって……?
「あの、エディーには婚約者がいらっしゃるのですよね?」
そうだよね、確か本人から聞いたよ。
「ん、あぁ生まれる前からいる」
流石王族だわ、生まれる前からってお腹の中で顔も何も知らない間から決められているのも、如何かと思うけれど……。
「やっぱりそこは綺麗なお姫様なのですか?」
私はやや悔い気味に質問する。
ふふふ、出来れば私の妄想を余り崩さないで欲しいのだけれど、エディーが皇太子ってだけで変に納得とそして理想が崩れたのは言うまでもない。
だからお姫様へと私は期待をかけたのだっっ!!
せっかくこんな世界に来たのだもん、メルヘンな世界ならばせめてお姫様もメルヘンでいて欲しいじゃない。
だけどこの後信じられない言葉を聞いてしまったのだ。
あのエディーの皮肉とも取れる弧を描いた様な悪魔の笑みをにんまりと浮かべて……。
「そうだな、顔は思う程悪くない。性格は未だ掴めていない所もあるが、一番問題なのは逃亡癖が多少……あるな」
はい、逃亡癖のあるお姫様???
さて一体どんなお姫様なのかさっぱり分からないし、おまけに横にいる公爵は両肩を思いっきり揺らして、いや爆笑寸前……と言った所だ。
だから私は素直に思ってしまった。
「それはエディーのコトがお好きでないからなのですか?」
「ぶふぁっっ!! こ、これは失礼……くくっ、僕はもうこの辺で退散するよ殿下。とてもじゃないけどクスクス……あぁ我慢が出来そうにもないから……」
「あぁ……」
そう言ってかなり、そう何か込み上げてくる笑いを我慢しながら、公爵は急いで退散しました。
然も最初は飲み掛けていた紅茶まで噴き出していたし、それとも私はまた何かやらかしたのでしょうか?
おまけにエディーは何故なのかわからないけれど憮然とした態度だしっと、私はある事に気がついてしまったのですよ。
「えっ、エディーっ、公爵が帰ってしまったら困りますっ、私も連れて帰って貰わないとっっ!!」
そう私は公爵のエクスティーダ家に居候している身なのであるからして、その何と申しますか連れて帰って……いや是非とも連れて帰って貰いたいっっ!!
それにドラゴンさんがいなければ何処へも行けないのだから……。
しかしそんな慌てる私を余所にエディーは淡々と答えた。
「愛美は帰る必要がない、たった今よりこの城にいればいい」
いやいやいやいや……そんな滅相なっっ!!
「何を言っているんですっ、私がここにいる理由はないですよっ、それにお姫様にも失礼でしょうっっ!!」
あのですね、自分の婚約者の周りに女がいるって言うのは、どんな世界でも共通して嫌がるもんだと思うのだれけど……。
「―――――心配はいはいらない」
うわ~めっちゃ冷たいなぁ……って、そのっ、私は別に問題にならないくらい如何でもいい存在なんだろうか?
そっ、それはそれで―――――こっちが凹むわっっ!!!
「何を考えている?」
「別に何も、一々エディーに考えているコトを教えなくともいいでしょう?」
あからさまに不機嫌を装って答えると、彼はまた意地悪そうな笑み浮かべついでに私の頬を指で突いてくる。
「それは困るな」
「私は困りません」
大体変に構われる方が困るというモノだ。
「如何すれば機嫌が直る?」
「別に、放っていえ、元の世界へ帰る方法を教えてくれれば……」
「―――――それは無理だな」
「如何してですかっっ!! 何か知って……っっ!!」
ゔっ、ぎゃぁああぁああ――――――っっ!!!!!
なっ、なっ、な、何をっっ!!!
エディーってば行き成り人の頬へキスしてきたよっっ!!!
「あ、こっ、婚約者には悪いと思わないんですかっっ!!!」
お姫様にもだけれど、私にもめっちゃ失礼でしょうっっ!!!
なのに、なのに……。
「別に、これくれくらいはいいだろう?」
いや、有り得ないですってばっっ!!
私がめっちゃ睨み返していると、彼はとんでもないコトを言ってきた。
「自分の婚約者へ愛情を示すコトくらい大した問題ではないだろう、愛美」
はい???
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