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第一章 転生先は物語と酷似している世界の中二人の転生者は……。
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「……まっ、……リー姉様っっ」
う~ん、ちょっと煩い……かも。
お願いだから耳元で大きな声で、然もぎゃんぎゃんと叫ばないで。
ちゃんと聞こえていますから……ね。
「ドリー姉様っ、どうして目を開けてくれないのっっ」
「お嬢様、アナスタシア様、どうかもう少し静かになさって下さいませ。これではお姉様のお身体の回復にも差し障りが……」
「でもだって、ドリゼラお姉様ってばあれからもう一週間も眠られているのよっっ。心配しない方が変でしょ?」
「はあ左様に御座いますが、しかし先生からも絶対に安静をと言われていますので……あ、それはそうとアナスタシア様のお好きなチョコレートケーキが先程お店より届いておりましたよ」
「えっ、も、もしかしてあのお店のっっ!!」
「はい左様に御座います」
「あぁでもお姉様の事も心配だけれど……ちょ、チョコレートケーキが私を呼んで……いる?」
「さあさあお嬢様、ドリゼラ様をもう少し安静にして差し上げて下さいませ。その間アナスタシア様はお部屋でお茶にしましょう」
「そ、そうね。一週間もお姉様はお眠りになっていらっしゃるのですもの。少しお茶を飲んでいる時間くらい……だ、大丈夫よね?」
「左様に御座いましょうね。様子を拝見させて頂いていますが、未だお目醒めになられる気配は見られませんからね」
「そう、だったらチョコレートケーキの方へ行くわねっっ。それにお姉様がお目醒めになられたら、毎日甘いケーキが思い存分食べられないもの。あぁお茶は甘めのミルクたっぷりなミルクティーにしてね」
「はい、承りまして御座います」
キイィィ……バタン。
扉が静かに閉まる音を聞いたのを確認した私は重い瞼を持ち上げ、ゆっくりと意識を覚醒させる。
目の前には白い天井?
いいえ違うわ。
屋根、あー所謂寝台の天蓋と言うものかな。
周りをゆっくり見渡せば、ちょうど寝台の支柱らしきものが四本あって天蓋と繋がっている。
全体的に白を基調とした寝台だけれど、豪華にも金色で至る所に刺繍が施されていたりする。
そして思う事は――――一つ。
ここは絶対に日本じゃあないっっ!!
あぁそれもちゃんとわかっている。
何故わかっているかと言えば、私梶原天音の意識下にはドリゼラ・トレメインの記憶が存在しているから……。
あーいやいやそれは少し違うわね。
これはそう、よくあるじゃない小説や漫画の世界で言う異世界転生ってやつ?
何と言いますかドリゼラの前世が梶原天音と言う日本人だったのよ。
でもまさかこんな簡単に異世界転生しちゃうなんて想像もしなかったわよね。
おまけに所謂お貴族様……って奴ですか?
一応ドリゼラは16歳だからして、貴族令嬢として必要な礼儀作法等々は織り込み済み。
なんてラッキーなんだろうと思った私。
だって前世では踊りと言えば炭坑節か東京音頭だったけれども、令嬢である私はちゃーんとワルツを軽やかに踊る事なんて造作もないわよ。
ただエスコートをしてくれる男性がいないだけでね。
後さっき耳元でぎゃんぎゃん喚いていたのが一つ年下の妹アナスタシア・トレメイン。
毎日茶色の髪を綺麗にコテを当ててくるんくるんの縦ロールにし、紫のリボンで可愛らしく結い上げている。
私にしてみれば物凄く面倒臭いなぁ……と思うんだけれどね。
黒髪の私とは違う茶色の瞳に白い肌をしたお洒落さんなのに、彼女は食べる事が何よりも大好きなのが災いしてか、貴族令嬢に似つかわしくない少しふっくらとした体型をしている。
それに今もよっ、一応今世では血の繋がった実の姉が昏睡状態だと言うのにも拘らず、あろう事かこの私と街でも有名なカフェのチョコレートケーキを天秤に掛けたよね。
うん、絶対に掛けていたと言うか、もう清々しい程に私と言う存在はチョコレートケーキに負けたわね。
いやいや問題はチョコレートケーキをじゃあないっっ!!
そう一番の問題は今おかれている現状よ!!
この一週間何も呑気に寝ていたんじゃあないわっっ。
小説や漫画に出てくる転生時に必ず出てくるらしい神様や女神様ってものは、残念ながら実の私の前には存在しなかった。
その他チート能力何てモノもあるのかどうかさえ分からない。
ただね、眠っている間に時間を掛けて梶原天音は、ドリゼラの記憶を掌握したの。
本当だったらその逆かもしれなかったかもしれない。
でも現実に外見はドリゼラで、中身は天音なのだ。
天音である私が主導権を握った以上、私は降りかかった現実を何としても打破するわよっっ。
『シンデレラ』の思惑通りにバッドエンドな人生を送る訳にはいかないわっっ。
アラサー独身の日本女性を舐めないでね!!
イジメなんて絶対にしないっっ。
そして勿論王子様のお妃さまを目指すルートなんかもいらないわっっ。
私に必要なのは堅実で明るい未来!!
そう、安心安全!!
平凡な未来を手に入れるべし――――よ!!
だけど前世の記憶を取り戻す切っ掛けがあれじゃあちょっと立ち直れないと言うか、屋敷中の人間と顔を合わせるのに勇気がいるわね。
う~ん、ちょっと煩い……かも。
お願いだから耳元で大きな声で、然もぎゃんぎゃんと叫ばないで。
ちゃんと聞こえていますから……ね。
「ドリー姉様っ、どうして目を開けてくれないのっっ」
「お嬢様、アナスタシア様、どうかもう少し静かになさって下さいませ。これではお姉様のお身体の回復にも差し障りが……」
「でもだって、ドリゼラお姉様ってばあれからもう一週間も眠られているのよっっ。心配しない方が変でしょ?」
「はあ左様に御座いますが、しかし先生からも絶対に安静をと言われていますので……あ、それはそうとアナスタシア様のお好きなチョコレートケーキが先程お店より届いておりましたよ」
「えっ、も、もしかしてあのお店のっっ!!」
「はい左様に御座います」
「あぁでもお姉様の事も心配だけれど……ちょ、チョコレートケーキが私を呼んで……いる?」
「さあさあお嬢様、ドリゼラ様をもう少し安静にして差し上げて下さいませ。その間アナスタシア様はお部屋でお茶にしましょう」
「そ、そうね。一週間もお姉様はお眠りになっていらっしゃるのですもの。少しお茶を飲んでいる時間くらい……だ、大丈夫よね?」
「左様に御座いましょうね。様子を拝見させて頂いていますが、未だお目醒めになられる気配は見られませんからね」
「そう、だったらチョコレートケーキの方へ行くわねっっ。それにお姉様がお目醒めになられたら、毎日甘いケーキが思い存分食べられないもの。あぁお茶は甘めのミルクたっぷりなミルクティーにしてね」
「はい、承りまして御座います」
キイィィ……バタン。
扉が静かに閉まる音を聞いたのを確認した私は重い瞼を持ち上げ、ゆっくりと意識を覚醒させる。
目の前には白い天井?
いいえ違うわ。
屋根、あー所謂寝台の天蓋と言うものかな。
周りをゆっくり見渡せば、ちょうど寝台の支柱らしきものが四本あって天蓋と繋がっている。
全体的に白を基調とした寝台だけれど、豪華にも金色で至る所に刺繍が施されていたりする。
そして思う事は――――一つ。
ここは絶対に日本じゃあないっっ!!
あぁそれもちゃんとわかっている。
何故わかっているかと言えば、私梶原天音の意識下にはドリゼラ・トレメインの記憶が存在しているから……。
あーいやいやそれは少し違うわね。
これはそう、よくあるじゃない小説や漫画の世界で言う異世界転生ってやつ?
何と言いますかドリゼラの前世が梶原天音と言う日本人だったのよ。
でもまさかこんな簡単に異世界転生しちゃうなんて想像もしなかったわよね。
おまけに所謂お貴族様……って奴ですか?
一応ドリゼラは16歳だからして、貴族令嬢として必要な礼儀作法等々は織り込み済み。
なんてラッキーなんだろうと思った私。
だって前世では踊りと言えば炭坑節か東京音頭だったけれども、令嬢である私はちゃーんとワルツを軽やかに踊る事なんて造作もないわよ。
ただエスコートをしてくれる男性がいないだけでね。
後さっき耳元でぎゃんぎゃん喚いていたのが一つ年下の妹アナスタシア・トレメイン。
毎日茶色の髪を綺麗にコテを当ててくるんくるんの縦ロールにし、紫のリボンで可愛らしく結い上げている。
私にしてみれば物凄く面倒臭いなぁ……と思うんだけれどね。
黒髪の私とは違う茶色の瞳に白い肌をしたお洒落さんなのに、彼女は食べる事が何よりも大好きなのが災いしてか、貴族令嬢に似つかわしくない少しふっくらとした体型をしている。
それに今もよっ、一応今世では血の繋がった実の姉が昏睡状態だと言うのにも拘らず、あろう事かこの私と街でも有名なカフェのチョコレートケーキを天秤に掛けたよね。
うん、絶対に掛けていたと言うか、もう清々しい程に私と言う存在はチョコレートケーキに負けたわね。
いやいや問題はチョコレートケーキをじゃあないっっ!!
そう一番の問題は今おかれている現状よ!!
この一週間何も呑気に寝ていたんじゃあないわっっ。
小説や漫画に出てくる転生時に必ず出てくるらしい神様や女神様ってものは、残念ながら実の私の前には存在しなかった。
その他チート能力何てモノもあるのかどうかさえ分からない。
ただね、眠っている間に時間を掛けて梶原天音は、ドリゼラの記憶を掌握したの。
本当だったらその逆かもしれなかったかもしれない。
でも現実に外見はドリゼラで、中身は天音なのだ。
天音である私が主導権を握った以上、私は降りかかった現実を何としても打破するわよっっ。
『シンデレラ』の思惑通りにバッドエンドな人生を送る訳にはいかないわっっ。
アラサー独身の日本女性を舐めないでね!!
イジメなんて絶対にしないっっ。
そして勿論王子様のお妃さまを目指すルートなんかもいらないわっっ。
私に必要なのは堅実で明るい未来!!
そう、安心安全!!
平凡な未来を手に入れるべし――――よ!!
だけど前世の記憶を取り戻す切っ掛けがあれじゃあちょっと立ち直れないと言うか、屋敷中の人間と顔を合わせるのに勇気がいるわね。
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