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第二章 こうして物語はこうしてゆっくりとでも確実に動いていく?
10 ゾンビが部屋へとやってきました? 天音Side
しおりを挟む「お嬢様方お茶をお持ち致しました」
ん、この声はエドモン?
そして何故にエドモン??
何故ってこれは普通に考えても可笑しいでしょう。
そうここは私の私室だから、この部屋でお茶を淹れてくれるのは当然アメリアなのよ。
なのに今私達の前でお茶を淹れ、無表情のままでそれを運んでくるのは執事のエドモン。
いやいや彼の仕事はお茶を淹れる様なお仕事じゃあないわ。
勿論侍女のお仕事を卑下している意味合いじゃあない。
エドモンはカルリエ家の、お義父様の執事だけれど実際この家の家令をも兼ねているからこういう細々とした仕事ではなく、屋敷全体を纏め指示するのが彼――――エドモンの仕事なのよ。
然もお義父様がお亡くなりになられ女主人となったお母様はあの通り今もお部屋へ篭っていらっしゃるでしょう。
だからこのカルリエ男爵家にとってエドモンの存在はとても重要だったりする。
なのにその彼がどうして?
なぜ急にこの様な事を……どう考えてみても彼の不可思議な行動に、私は心の中で何かが引っかかってしまう。
「さぁアナスタシアお嬢様お召し上がり下さいませ」
そうしてお茶と共に出されたのはアナの好きな焼き菓子達。
アナは途端に幸せそうな表情をしたのだけれど、何故か急に何か堪える様な表情となり……。
「あ、い、いいの。私はお茶だけで良いわエドモン。夕食後にお菓子は食べないものよ」
そう言いつつアナは実に羨ましげに、いやいやめっちゃ名残惜しそうにお菓子を睨み続けてるってどういう事??
それに今なんて言いましたアナスタシアさん。
夕食後にお菓子は食べないものよって貴女っ、つい先日まで夕食後だけではなくっ、寝る寸前までいやいや寝落ちする瞬間までバクバクと欲望の命ずるままに食べていらっしゃったでのは何処のどなたっっ!!
生憎これは私だけでなくっ、屋敷の者全員が知っている事実よ!!
だからエドモンも焼き菓子を持ってきた――――って何っっ!?
「何を仰っておいでですか」
「えーっとだからお菓子は――――っっ!?」
「え、何? 何ってちょっと!!」
アナが珍しくお菓子を拒否したのも十分吃驚したのだけれどっ、それ以上に吃驚……いやいや恐怖がこの部屋を支配しようとしている!?
一体何故こんな事になったと言うのっっ。
そう、アナがお菓子をエドモンに拒否、いいえ拒否とは言ってもアナは決して冷たく言い放ったりなんてしない。
ただ普通に食べないとアナが言ったと言うのに、何故かエドモンはその焼き菓子を彼の大きな手で可愛らしく一切れ――――じゃあないっっ。
しっかりがっしりと掴めるだけ焼き菓子を掴むとそのまま問答無用でアナの口へと強制的に突っ込もうとしているのよ!!
幾らお菓子大好きなアナでも一度に幾つもなんて食べられる――――って言う問題じゃあないわっっ。
何よりも異常だと感じてしまうのはそんな無謀な行動をするエドモンの表情には一片の感情もなく、何処か焦点が合っていなくてとても虚ろな感じが益々私達姉妹へ恐怖を駆り立ててしまうの。
ええっ、それはもうホラー映画も真っ青よ。
斧やチェーンソー等を持っていないかだけの問題であって、決していやいや絶対に主家の娘へとる態度ではないわ⁉。
「な、何をしているのですエドモン!! 今直ぐアナより離れなさいっっ」
兎にも角にも私は襲いくる恐怖心と必死に闘いながらエドモンへ語気を強めて言い放つ。
しかしどうした事なのかこんなに近くにいると言うのに、私の声はどうやらエドモンには聞こえていないらしい。
いや最早私の存在すらも見えていない様にさえ思えてしまうのは何故っっ⁉
ただ彼の手の中にある焼き菓子を何としてもアナの口の中へと突っ込み、咀嚼させ、しっかりと嚥下させようとしているのだけは何とか理解出来たわ。
それと同時に一つ、いえ一つどころではないけれど兎に角今はその疑問とは――――。
エドモンの手にしている焼き菓子へ何か仕込まれているのではないのかしら。
もしそうなのだとすればエドモンの取る一連の奇怪な行動にも納得が出来るわ。
でもそこで新たな疑問がまた芽生えてくるのよ。
何故アナが狙われなければいけないのかってね。
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