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第四章【朝霧の残像】
捜索開始。
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夕崎くんと別れたわたしたちは、人混みの中姫乃ちゃんを探す。
けれど、お祭りの中で女の子一人探すのは、なかなか困難を極めた。
「……姫乃ちゃぁん、どこー!?」
「朝霞ー、個人的に写真撮ろうとしたことなら謝るから出てこーい」
「トーヤ、それ端から聞いても不審者っぽいけど大丈夫?」
近くの人に特徴を伝えて目撃情報を募ろうにも、人によって見え方が変わるなんておかしな事態のせいで、姫乃ちゃんのビジュアルが安定しないのだ。正直八方塞がりだった。
「うう……シオンくん、このうさぎのストラップみたいな、こっそり使えそうな魔法道具とかない!?」
人探し向きの魔法道具はあるのかも知れないけれど、こんなに人目のある場所では、シオンくんも表立った魔法は使えないだろう。
空飛ぶ紙とか浮遊する光の粒とか、普段見かける魔法たちは人目につきすぎる。
「そうだな……。トーヤ、ちょっと見せて」
「あ、はい」
シオンくん自身は手ぶらのように見えたけれど、とーや先生のボディバッグの中に、いくつか魔法道具を入れているようだ。
道の端に移動して、わたしたちは先生のカバンを漁る。絵面があまりよろしくなかったけれど、緊急事態だからしかたない。
「目立たず使えて、朝霞さんを見付けられるような……、……あ。これだ」
「なにそれ?」
「ふふ……みゆりさんは目がいいけど、僕は耳がいいんだ」
そういえばシオンくんがよく使っている第二音楽室の暗幕の魔法も、このうさぎのストラップも、どちらも音に関するものだ。得意な魔法ジャンルがあるのかもしれない。
「さて、お姫様を探しに行こうか」
そう言って魔法道具を手にして不敵に微笑むシオンくんは、普段と違う雰囲気の服装もあって、綺麗というよりも、格好よかった。
*******
けれど、お祭りの中で女の子一人探すのは、なかなか困難を極めた。
「……姫乃ちゃぁん、どこー!?」
「朝霞ー、個人的に写真撮ろうとしたことなら謝るから出てこーい」
「トーヤ、それ端から聞いても不審者っぽいけど大丈夫?」
近くの人に特徴を伝えて目撃情報を募ろうにも、人によって見え方が変わるなんておかしな事態のせいで、姫乃ちゃんのビジュアルが安定しないのだ。正直八方塞がりだった。
「うう……シオンくん、このうさぎのストラップみたいな、こっそり使えそうな魔法道具とかない!?」
人探し向きの魔法道具はあるのかも知れないけれど、こんなに人目のある場所では、シオンくんも表立った魔法は使えないだろう。
空飛ぶ紙とか浮遊する光の粒とか、普段見かける魔法たちは人目につきすぎる。
「そうだな……。トーヤ、ちょっと見せて」
「あ、はい」
シオンくん自身は手ぶらのように見えたけれど、とーや先生のボディバッグの中に、いくつか魔法道具を入れているようだ。
道の端に移動して、わたしたちは先生のカバンを漁る。絵面があまりよろしくなかったけれど、緊急事態だからしかたない。
「目立たず使えて、朝霞さんを見付けられるような……、……あ。これだ」
「なにそれ?」
「ふふ……みゆりさんは目がいいけど、僕は耳がいいんだ」
そういえばシオンくんがよく使っている第二音楽室の暗幕の魔法も、このうさぎのストラップも、どちらも音に関するものだ。得意な魔法ジャンルがあるのかもしれない。
「さて、お姫様を探しに行こうか」
そう言って魔法道具を手にして不敵に微笑むシオンくんは、普段と違う雰囲気の服装もあって、綺麗というよりも、格好よかった。
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