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2章 魔法の国ルクレイシア
魔法特訓 1 :飛ぶより前に (セイルクside)
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プリントを提出してすぐ。
魔物討伐まで2週間になって、俺は精力的にクレアに魔法を教えてもらっていた。
「さてと………。『飛行』を習得したいんだよね。
一回、見せてほしいな」
「……………わかった」
俺は少しためらいつつも、前に出た。
十分に距離と広さを取って、俺は深呼吸した。
きっと、失敗してしまうけど。
『лсыаетивийусрчк гудий』
徐々に体が浮き始める。
ここまでは上手くいく。
でも、ここから上に上がったり自在に飛ぼうとしたら無理なんだろ────
そう思った途端。
「うわっ」
俺の予想通り、上に上がろうとした途端、俺はバランスを崩して地面に背中から落ちた。
いつも落ちているが地味に痛い。
俺が体を起き上がらせてクレアのほうを見ると、クレアは俺のもとまで来ていた。
手を差し伸べられて、つい手を取って立ち上がると、クレアは俺の胸のあたりをつん、と指し当てた。
急なことに固まっていると、クレアが口を開いた。
「さっき、『どうせできない』って思ったでしょ」
「────っ!」
何もかも見透かされている気がした。
あまりにも図星で俺は返す言葉がなかった。
俺の反応を見て、クレアは「やっぱり」と言ってため息をついた。
「魔法学校に通ってるって言ってたよね?第一学校に特待生ってことは、実技が無理な分座学で取ってるはずだよね?」
「あ、あぁ……一応そうだけど」
急変した態度に驚く間も与えず、多分怒っているクレアはすぐに次の言葉を続ける。
「ルクレイシアの学校では魔法の特性について学ばないの?
正直に言って、基礎の『き』もできてないのに魔法を使おうなんてお門違いだと思うんだけど…………どうなの?」
「えっ?あぁ………えっと、魔力論と魔法論の授業があるから、学んでると思う」
俺の反応にクレアはまたため息をついた。
フードで見えないが多分呆れている。
そして、クレアは前に本を収納したように亜空間を出現させて、そこから紙とペンを取り出した。
そして、魔法を使ってペンを動かしてさらさらと紙に何かを書いていく。
書き終わると、クレアはすぐに俺の手にその紙とペンを握らせた。
見ると、紙には何箇所か空欄になった状態で魔力と魔法の関係について簡単に記述されている。
「今すぐ、何も見ずにそれを埋めてみて」
「わかった………」
俺は地面に紙を置いて空欄を埋めていく。
【魔力と魔法の関係】
以下は著書の抜粋である。「」を埋めなさい。
魔力は私たちが魔法を使う上で欠かせない「魔法の源」である。魔力がしっかりとコントロールできなければ、魔法もしっかりと発動することはできない。
魔力と魔法は切っても切れない関係なのだ。
その例として、「卵の魔法観察」を挙げる。
子どもが初めて魔法を発動するときに、それぞれにどのような差が見られるかを観察したものである。
その結果、魔力は子どもの「感情」によって左右され、魔法にも影響が出ることがわかった。
これは年代を変えても同じ結果を得られたため、ほぼ間違いないことである。
つまり、派手に昂って発動すれば魔法は「勢いを増し」、怖いと思えば魔法は「控えめになり」、無理だと思えば「一生出ない」。
もちろん、魔法に上乗せする魔力量によって威力はいくらでも変わるが、その上乗せする魔力もマイナスな感情が乗ってしまうとあまり上乗せされない。
だからこそ、魔法実技の最初の教育で「感情を支配すること」を教えるべきなのである。
結構きついことを言っていたからもっと難しいと思っていたが、当たり前なところから出て拍子抜けした。
俺は書き終わったものをクレアに渡した。
クレアは俺の答案を見て、またもため息をついた。
「これがわかってて、か…………。前途多難かもしれない………」
そこまで言われると、無理なのかと思ってしまうのだが、クレアは地面に腰を下ろして、俺と顔を合わせる。
何か重大なことでも言われるのかと、居住まいを正してクレアの言葉を待つと、クレアはすぐに教えてくれた。
「セイルクは、できるできない以前の問題。
……最初からできないと思い込んで発動させても、成功するわけないよ。ちゃんと成功した自分を想像してみて」
「あ………」
俺はそこまで言われてやっと気づいた。
卵の魔法観察に見られたように、俺が「できない」と思ったから魔法もできなくなったんだ。
それはつまり、まだできないと決まったわけじゃなく、可能性が残ってるってことだ。
俺はあの教師の言う通り、座学の知識だけが取り柄の生徒になるところだった。
俺が気づいたのを察したのか、クレアは少し語気を和らげて話す。
「気づいたようなら何より。知識だけ持ってても実践できなきゃ意味がないから」
そう言ってから立ち上がったクレアは少し距離を取った場所に立った。
『飛行』
一言でクレアは簡単に宙に浮いて、自在に歩き出した。
最初に会ったときはもっと控えめだと思っていたが、違うのかもしれない。
クレアは内に秘めた自信があるんだ。
わざわざ前面に出して不遜な態度を取らなくても生きていける自信がある。
だから、今みたいに魔法が簡単に発動できたのも成功する自信があるからこそなのかもしれない。
地面に降り立ったクレアはまた口を開いた。
「学べる機会があるなら、そのときに学んで自分のものにすることが大事だよ。
セイルクは学校と私を使えばいいよ」
その言葉は少し羨ましいという感情が混ざっている気がしたが、気のせいかもしれない。
俺は立ち上がってもう一度挑戦することにした。
魔物討伐まで2週間になって、俺は精力的にクレアに魔法を教えてもらっていた。
「さてと………。『飛行』を習得したいんだよね。
一回、見せてほしいな」
「……………わかった」
俺は少しためらいつつも、前に出た。
十分に距離と広さを取って、俺は深呼吸した。
きっと、失敗してしまうけど。
『лсыаетивийусрчк гудий』
徐々に体が浮き始める。
ここまでは上手くいく。
でも、ここから上に上がったり自在に飛ぼうとしたら無理なんだろ────
そう思った途端。
「うわっ」
俺の予想通り、上に上がろうとした途端、俺はバランスを崩して地面に背中から落ちた。
いつも落ちているが地味に痛い。
俺が体を起き上がらせてクレアのほうを見ると、クレアは俺のもとまで来ていた。
手を差し伸べられて、つい手を取って立ち上がると、クレアは俺の胸のあたりをつん、と指し当てた。
急なことに固まっていると、クレアが口を開いた。
「さっき、『どうせできない』って思ったでしょ」
「────っ!」
何もかも見透かされている気がした。
あまりにも図星で俺は返す言葉がなかった。
俺の反応を見て、クレアは「やっぱり」と言ってため息をついた。
「魔法学校に通ってるって言ってたよね?第一学校に特待生ってことは、実技が無理な分座学で取ってるはずだよね?」
「あ、あぁ……一応そうだけど」
急変した態度に驚く間も与えず、多分怒っているクレアはすぐに次の言葉を続ける。
「ルクレイシアの学校では魔法の特性について学ばないの?
正直に言って、基礎の『き』もできてないのに魔法を使おうなんてお門違いだと思うんだけど…………どうなの?」
「えっ?あぁ………えっと、魔力論と魔法論の授業があるから、学んでると思う」
俺の反応にクレアはまたため息をついた。
フードで見えないが多分呆れている。
そして、クレアは前に本を収納したように亜空間を出現させて、そこから紙とペンを取り出した。
そして、魔法を使ってペンを動かしてさらさらと紙に何かを書いていく。
書き終わると、クレアはすぐに俺の手にその紙とペンを握らせた。
見ると、紙には何箇所か空欄になった状態で魔力と魔法の関係について簡単に記述されている。
「今すぐ、何も見ずにそれを埋めてみて」
「わかった………」
俺は地面に紙を置いて空欄を埋めていく。
【魔力と魔法の関係】
以下は著書の抜粋である。「」を埋めなさい。
魔力は私たちが魔法を使う上で欠かせない「魔法の源」である。魔力がしっかりとコントロールできなければ、魔法もしっかりと発動することはできない。
魔力と魔法は切っても切れない関係なのだ。
その例として、「卵の魔法観察」を挙げる。
子どもが初めて魔法を発動するときに、それぞれにどのような差が見られるかを観察したものである。
その結果、魔力は子どもの「感情」によって左右され、魔法にも影響が出ることがわかった。
これは年代を変えても同じ結果を得られたため、ほぼ間違いないことである。
つまり、派手に昂って発動すれば魔法は「勢いを増し」、怖いと思えば魔法は「控えめになり」、無理だと思えば「一生出ない」。
もちろん、魔法に上乗せする魔力量によって威力はいくらでも変わるが、その上乗せする魔力もマイナスな感情が乗ってしまうとあまり上乗せされない。
だからこそ、魔法実技の最初の教育で「感情を支配すること」を教えるべきなのである。
結構きついことを言っていたからもっと難しいと思っていたが、当たり前なところから出て拍子抜けした。
俺は書き終わったものをクレアに渡した。
クレアは俺の答案を見て、またもため息をついた。
「これがわかってて、か…………。前途多難かもしれない………」
そこまで言われると、無理なのかと思ってしまうのだが、クレアは地面に腰を下ろして、俺と顔を合わせる。
何か重大なことでも言われるのかと、居住まいを正してクレアの言葉を待つと、クレアはすぐに教えてくれた。
「セイルクは、できるできない以前の問題。
……最初からできないと思い込んで発動させても、成功するわけないよ。ちゃんと成功した自分を想像してみて」
「あ………」
俺はそこまで言われてやっと気づいた。
卵の魔法観察に見られたように、俺が「できない」と思ったから魔法もできなくなったんだ。
それはつまり、まだできないと決まったわけじゃなく、可能性が残ってるってことだ。
俺はあの教師の言う通り、座学の知識だけが取り柄の生徒になるところだった。
俺が気づいたのを察したのか、クレアは少し語気を和らげて話す。
「気づいたようなら何より。知識だけ持ってても実践できなきゃ意味がないから」
そう言ってから立ち上がったクレアは少し距離を取った場所に立った。
『飛行』
一言でクレアは簡単に宙に浮いて、自在に歩き出した。
最初に会ったときはもっと控えめだと思っていたが、違うのかもしれない。
クレアは内に秘めた自信があるんだ。
わざわざ前面に出して不遜な態度を取らなくても生きていける自信がある。
だから、今みたいに魔法が簡単に発動できたのも成功する自信があるからこそなのかもしれない。
地面に降り立ったクレアはまた口を開いた。
「学べる機会があるなら、そのときに学んで自分のものにすることが大事だよ。
セイルクは学校と私を使えばいいよ」
その言葉は少し羨ましいという感情が混ざっている気がしたが、気のせいかもしれない。
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