96 / 102
3章 依存国ツィーシャ
食後の運動
しおりを挟む
リュークに連れられてやってきたのは、闘技場のような場所だった。
中央の砂が敷いてあるだけのフィールドを囲むように周りが高くなっている。観客席だろうか。
まばらに人が観客席に座っているが、フィールドでは何もしていない。
これから始まるのか、ただたむろしているだけなのか。
席に座る1人が、リュークを見つけて声を上げた。
「リューク!この前来たばっかだから、当分来ないと思ってたよ!今日も見せてくれんの?」
少し興奮気味に席からリュークに向かって話す男は、さっきの街の人たちのようにリュークの顔見知りのようだった。
リュークは軽く手を振った。
「今日は運動しに来た」
「え、運動?」
リュークはそれだけ答えて、クレアの手を引いてフィールドの壁に埋め込まれた機械を触り出した。
途端にフィールドを包むように球状の結界らしきものが展開されていく。
「ここ、普段はイベントとかで魔法や剣術の大会に使われるんだ。使わないときは、今みたいに一般開放されていて、誰でもここで練習できる」
操作を終えたリュークがクレアのほうに向き直ってそう言った。
クレアはそこまで言われて、食後の運動で何をするのか察した。
その様子に、リュークはクレアに手を差し伸べた。
「食後の運動、つきあってよ」
「…………わかった」
断れない雰囲気にクレアは渋々手を取った。
「それじゃあ……合図は俺がやるから、『はじめ』の合図で魔法を使うこと。フィールドの設定上、一定のダメージが入ったらその時点で強制終了されて、受けた傷は全部回復するから、いくらでも暴れていい。
でも、ダメージを受けたときの感触は残るから、あんまり酷いことはしないこと。
じゃあ、準備ができたら2人とも手を挙げて」
その場に居合わせたうちの1人の男が合図をしてくれるというので、その言葉に甘え、2人はフィールドに向かい合って立った。
何も言わずに、お互いに手を挙げる。
高らかに挙げられた2人の手を確認して、男は息を吸った。
「────はじめ!」
合図の「め」で、動き出したのはリュークだった。
『цитаты с то у』
開始早々にして短縮した詠唱でリュークはフィールドの地形を変形させた。
大地が立っていられないほどの大きな揺れを伴って変わっていく。
いろんな高さでそびえる地の柱が所狭しと張り巡らされ、視界は奪われたと言っても過言ではない。
変わっていく地形の地面の揺れと、どれだけのダメージを受けると終わるかわからないクレアは風魔法で少しだけ地面から浮いた。
まだ向こうが何も仕掛けてきていない手前、あまり高く飛んでも不利になるだけだと思ったのだろう。
それとクレアにはもうひとつ悩みごとがあった。
(氷は魔力を消費しやすいかな……)
大きく魔力を消費する魔法や属性をあまり使いたくないということだった。
クレアはここに来る前に訪れた魔法の国、ルクレイシアで無茶な魔法の使い方をして『傷』を増やしてしまった。
診察した医師や一緒にいたファルには魔法を控えるように言われていた。
そのためにクレアはできるだけ魔力を消費せずに終わらせることを考えている。
(さて……そろそろかな)
そんなふうに考えていると、地面の揺れが止まった。
そこからクレアは何かを感じ取ったように足元の地面に炎を叩きつけた。
炎の跡からは地面に黒い人影が動けずにいた。
「やっぱりね」
クレアがそうつぶやいてその黒い人影に近寄った瞬間。
ぐさり、と左肩に何かが刺さる感覚がした。
突然の痛みにクレアが振り返ると、大小さまざまな地の柱の影から『生えた』たくさんの黒い人影がいた。
クレアは柱は目隠しのためでもあるが、リュークのこの魔法のためでもあったのだとようやく気づいた。
「最初の一撃が見抜かれるのは分かっていたから、第二の手も考えておいたんだ。前よりも面倒になっただろう?」
無数の人影たちの方から声が聞こえる。
リュークはどうやらこの中に紛れているようだ。
クレアは昔のことを思い出していた。
リュークは珍しい闇属性の使い手だ。
物陰さえあれば溶け込んで移動することだってできるし、闇で包むこともできる。
昔何度か手合わせをしたときは、クレアが策を練り出して地面に発光の魔法をかけたせいで、なすすべなく負けたことがあった。
クレアはそれを見越して、最初の一撃の炎を地面に向けて叩きつけたのだ。
いつもならそれで勝っていたが、今回は少し違う。
あのときはもう一つの属性である地属性を上手く使えておらず、対策のしようがなかったが、リュークも時を経て成長しているようだ。
しかも、クレアは大きな魔法を使うことを避けているため、地面を発光し続けるのはできない。
クレアが考えているうちに、人影たちは数を成して襲いかかってくる。
上へ飛んだとしても、柱の大きさによってはフィールドの結界まで届いているものがあるため、影も伸びることができる。
地上にとどまるだけでも、それはそれで影が襲いかかってくる。
そうなると、やはり柱をどうにかしなければならない。
しかし、今思いついた方法では結構な魔力を消費するだろう。
そうして考えているうちにも影は数を増やしてクレアを襲ってくる。
少しずつクレアに傷を負わせている。
このままでは一定ダメージというものでクレアが負けるだろう。
(負けたくはない、な)
クレアはそう思って何かを決心した。
1番高い柱の上に立つと、クレアは下を見下ろした。
影が集まって、大きくなろうとしていた。
「たしかに、面倒になったけど、いくらでも攻略の仕方はあるよ」
クレアは聞こえないほどの声の大きさで呟くと、足元に魔法陣を出現させた。
『───飲み込め』
その一言で、クレアの魔法陣は青白く光って、勢いよく大量の水が溢れ出した。
明らかに巨大な魔法だが、クレアは一回だけなら許してくれるだろうと思って使っているようだった。
顔にはファルが怒った顔で連絡してくる未来を心配する色が伺えた。
水はフィールドのほぼ1番上から地面へ落ちてくるため、勢いが増していく。
滝のように流れてくる水に当たった小さな柱は、一瞬にして跡形もなく泥となって砕け散った。
そして、フィールドが結界に覆われているため、徐々に水が溜まりだす。
「………そうきたか」
リュークは悔しそうにつぶやいて影から体を戻した。
その時点でリュークの膝あたりまで水はやってきていた。
影は水の中では光の反射が揺れるために体を維持できない。
そのため、分裂してクレアを襲うことができない。
きっと、このままでは水に飲み込まれて溺死して終わるだろう。
しかし、ここで終わりたくはない。
リュークが指をパチンっと一度鳴らすと、今まであった柱がすべてなくなった。
そして、次の瞬間、結界を覆うように土が張り巡らされていき、光が遮断された。
(陰さえあれば───)
リュークは少しだけ笑った。
『дугокбпж чгуСуыгпойп』
その詠唱で、リュークの体は一瞬にして消えた。
しかし、クレアはその状況に焦ることはなかった。
水はまだ、フィールドの半分くらいしか満たしていない。勢いをつけてもリュークの影が到達するのが早いだろう。
それでもクレアは1番上から動くことなく、囮にでもなったようにリュークを待っている。
(どうして動かない?怖気付いたとか?)
壁を伝う影のリュークはクレアが動かないことに少しの疑問を持ちながらも1番上を目指していく。
クレアは下の溜まっていく水を見つめながらリュークの来訪を待つ。
そうして、もうクレアが目の前というところで、リュークが影となって他の影と姿を現した。
それが引き金だった。
「────いらっしゃい」
クレアは笑ってそれだけ言うと、『飛行』を解除して、水のほうへまっすぐ落下をはじめた。
「………負ける気?」
リュークは岩肌の影から呆然とクレアの落ちる様を見ている。
フィールドの半分以上を占めている水でも、まだ1番上までは距離がある。
ここから落ちてしまうと、水と接触したときの強いダメージでクレアの負けはほぼ確定だ。
一体何が狙いなのか、わからずに呆然としているリュークを見て、クレアは勝ちを確信した。
『────反転』
クレアはそう言って指を鳴らした。
次の瞬間、落ちていくクレアが目にしたのはフィールドの『上部』を覆った水だった。
空間属性の『反転』により、水の位置を上下反対にしたのだ。
『反転』は対象自体にかかる重力に干渉しないため、水が落ちてくることはない。
ただ、水の中はこれまで通りの水だ。
(………詠唱ができない…………!)
水に巻き込まれたリュークは形を保っていられず、元に戻ったが、水のせいで詠唱できないことにしてやられたという顔をした。
クレアは『飛行』を使って、ゆっくりと地上に降りると、また指を鳴らした。
途端に、水の中に渦が現れて暴れだす。
風魔法で作った大きな水の竜巻が水中に現れる。
ものすごい勢いで暴れだす水の竜巻は、リュークが出したフィールド伝いの土を飲み込み、濁流となっていく。
あとは時間の問題だ。
リュークが抜け出すか、クレアが仕留めるか。
しかし、リュークはあの中では何も詠唱ができない。
クレアの勝ちが濃厚だ。クレアもほぼ自分の勝ちを確信していた。
ドゴォォォンッ
上から土の剣が落ちてくるまでは。
クレアが上を見ると、リュークは大きな土の柱にしがみついて、水面から顔を出していた。
どうやったのかはわからないが、あの土の柱で浮上してきたようだ。
リュークはクレアの頭上に無数の土の剣を落としていく。
クレアはリュークの魔法に少しあたりながらも、水の勢いを風魔法で増していく。
リュークは荒波に飲まれてフィールドの結界にあたるのを繰り返している。
持久戦に持ち込まれるかと思われたときだった。
ビビビッ!
ビビビッ!
フィールドにけたたましく音が鳴り響いたと思えば、次の瞬間には最初の向かい合った姿勢に戻っていた。
色々と戻って、状況が飲み込めずにいると、開始の合図をしてくれた男が慌てて口を開いた。
「た、ただいまの結果──────」
中央の砂が敷いてあるだけのフィールドを囲むように周りが高くなっている。観客席だろうか。
まばらに人が観客席に座っているが、フィールドでは何もしていない。
これから始まるのか、ただたむろしているだけなのか。
席に座る1人が、リュークを見つけて声を上げた。
「リューク!この前来たばっかだから、当分来ないと思ってたよ!今日も見せてくれんの?」
少し興奮気味に席からリュークに向かって話す男は、さっきの街の人たちのようにリュークの顔見知りのようだった。
リュークは軽く手を振った。
「今日は運動しに来た」
「え、運動?」
リュークはそれだけ答えて、クレアの手を引いてフィールドの壁に埋め込まれた機械を触り出した。
途端にフィールドを包むように球状の結界らしきものが展開されていく。
「ここ、普段はイベントとかで魔法や剣術の大会に使われるんだ。使わないときは、今みたいに一般開放されていて、誰でもここで練習できる」
操作を終えたリュークがクレアのほうに向き直ってそう言った。
クレアはそこまで言われて、食後の運動で何をするのか察した。
その様子に、リュークはクレアに手を差し伸べた。
「食後の運動、つきあってよ」
「…………わかった」
断れない雰囲気にクレアは渋々手を取った。
「それじゃあ……合図は俺がやるから、『はじめ』の合図で魔法を使うこと。フィールドの設定上、一定のダメージが入ったらその時点で強制終了されて、受けた傷は全部回復するから、いくらでも暴れていい。
でも、ダメージを受けたときの感触は残るから、あんまり酷いことはしないこと。
じゃあ、準備ができたら2人とも手を挙げて」
その場に居合わせたうちの1人の男が合図をしてくれるというので、その言葉に甘え、2人はフィールドに向かい合って立った。
何も言わずに、お互いに手を挙げる。
高らかに挙げられた2人の手を確認して、男は息を吸った。
「────はじめ!」
合図の「め」で、動き出したのはリュークだった。
『цитаты с то у』
開始早々にして短縮した詠唱でリュークはフィールドの地形を変形させた。
大地が立っていられないほどの大きな揺れを伴って変わっていく。
いろんな高さでそびえる地の柱が所狭しと張り巡らされ、視界は奪われたと言っても過言ではない。
変わっていく地形の地面の揺れと、どれだけのダメージを受けると終わるかわからないクレアは風魔法で少しだけ地面から浮いた。
まだ向こうが何も仕掛けてきていない手前、あまり高く飛んでも不利になるだけだと思ったのだろう。
それとクレアにはもうひとつ悩みごとがあった。
(氷は魔力を消費しやすいかな……)
大きく魔力を消費する魔法や属性をあまり使いたくないということだった。
クレアはここに来る前に訪れた魔法の国、ルクレイシアで無茶な魔法の使い方をして『傷』を増やしてしまった。
診察した医師や一緒にいたファルには魔法を控えるように言われていた。
そのためにクレアはできるだけ魔力を消費せずに終わらせることを考えている。
(さて……そろそろかな)
そんなふうに考えていると、地面の揺れが止まった。
そこからクレアは何かを感じ取ったように足元の地面に炎を叩きつけた。
炎の跡からは地面に黒い人影が動けずにいた。
「やっぱりね」
クレアがそうつぶやいてその黒い人影に近寄った瞬間。
ぐさり、と左肩に何かが刺さる感覚がした。
突然の痛みにクレアが振り返ると、大小さまざまな地の柱の影から『生えた』たくさんの黒い人影がいた。
クレアは柱は目隠しのためでもあるが、リュークのこの魔法のためでもあったのだとようやく気づいた。
「最初の一撃が見抜かれるのは分かっていたから、第二の手も考えておいたんだ。前よりも面倒になっただろう?」
無数の人影たちの方から声が聞こえる。
リュークはどうやらこの中に紛れているようだ。
クレアは昔のことを思い出していた。
リュークは珍しい闇属性の使い手だ。
物陰さえあれば溶け込んで移動することだってできるし、闇で包むこともできる。
昔何度か手合わせをしたときは、クレアが策を練り出して地面に発光の魔法をかけたせいで、なすすべなく負けたことがあった。
クレアはそれを見越して、最初の一撃の炎を地面に向けて叩きつけたのだ。
いつもならそれで勝っていたが、今回は少し違う。
あのときはもう一つの属性である地属性を上手く使えておらず、対策のしようがなかったが、リュークも時を経て成長しているようだ。
しかも、クレアは大きな魔法を使うことを避けているため、地面を発光し続けるのはできない。
クレアが考えているうちに、人影たちは数を成して襲いかかってくる。
上へ飛んだとしても、柱の大きさによってはフィールドの結界まで届いているものがあるため、影も伸びることができる。
地上にとどまるだけでも、それはそれで影が襲いかかってくる。
そうなると、やはり柱をどうにかしなければならない。
しかし、今思いついた方法では結構な魔力を消費するだろう。
そうして考えているうちにも影は数を増やしてクレアを襲ってくる。
少しずつクレアに傷を負わせている。
このままでは一定ダメージというものでクレアが負けるだろう。
(負けたくはない、な)
クレアはそう思って何かを決心した。
1番高い柱の上に立つと、クレアは下を見下ろした。
影が集まって、大きくなろうとしていた。
「たしかに、面倒になったけど、いくらでも攻略の仕方はあるよ」
クレアは聞こえないほどの声の大きさで呟くと、足元に魔法陣を出現させた。
『───飲み込め』
その一言で、クレアの魔法陣は青白く光って、勢いよく大量の水が溢れ出した。
明らかに巨大な魔法だが、クレアは一回だけなら許してくれるだろうと思って使っているようだった。
顔にはファルが怒った顔で連絡してくる未来を心配する色が伺えた。
水はフィールドのほぼ1番上から地面へ落ちてくるため、勢いが増していく。
滝のように流れてくる水に当たった小さな柱は、一瞬にして跡形もなく泥となって砕け散った。
そして、フィールドが結界に覆われているため、徐々に水が溜まりだす。
「………そうきたか」
リュークは悔しそうにつぶやいて影から体を戻した。
その時点でリュークの膝あたりまで水はやってきていた。
影は水の中では光の反射が揺れるために体を維持できない。
そのため、分裂してクレアを襲うことができない。
きっと、このままでは水に飲み込まれて溺死して終わるだろう。
しかし、ここで終わりたくはない。
リュークが指をパチンっと一度鳴らすと、今まであった柱がすべてなくなった。
そして、次の瞬間、結界を覆うように土が張り巡らされていき、光が遮断された。
(陰さえあれば───)
リュークは少しだけ笑った。
『дугокбпж чгуСуыгпойп』
その詠唱で、リュークの体は一瞬にして消えた。
しかし、クレアはその状況に焦ることはなかった。
水はまだ、フィールドの半分くらいしか満たしていない。勢いをつけてもリュークの影が到達するのが早いだろう。
それでもクレアは1番上から動くことなく、囮にでもなったようにリュークを待っている。
(どうして動かない?怖気付いたとか?)
壁を伝う影のリュークはクレアが動かないことに少しの疑問を持ちながらも1番上を目指していく。
クレアは下の溜まっていく水を見つめながらリュークの来訪を待つ。
そうして、もうクレアが目の前というところで、リュークが影となって他の影と姿を現した。
それが引き金だった。
「────いらっしゃい」
クレアは笑ってそれだけ言うと、『飛行』を解除して、水のほうへまっすぐ落下をはじめた。
「………負ける気?」
リュークは岩肌の影から呆然とクレアの落ちる様を見ている。
フィールドの半分以上を占めている水でも、まだ1番上までは距離がある。
ここから落ちてしまうと、水と接触したときの強いダメージでクレアの負けはほぼ確定だ。
一体何が狙いなのか、わからずに呆然としているリュークを見て、クレアは勝ちを確信した。
『────反転』
クレアはそう言って指を鳴らした。
次の瞬間、落ちていくクレアが目にしたのはフィールドの『上部』を覆った水だった。
空間属性の『反転』により、水の位置を上下反対にしたのだ。
『反転』は対象自体にかかる重力に干渉しないため、水が落ちてくることはない。
ただ、水の中はこれまで通りの水だ。
(………詠唱ができない…………!)
水に巻き込まれたリュークは形を保っていられず、元に戻ったが、水のせいで詠唱できないことにしてやられたという顔をした。
クレアは『飛行』を使って、ゆっくりと地上に降りると、また指を鳴らした。
途端に、水の中に渦が現れて暴れだす。
風魔法で作った大きな水の竜巻が水中に現れる。
ものすごい勢いで暴れだす水の竜巻は、リュークが出したフィールド伝いの土を飲み込み、濁流となっていく。
あとは時間の問題だ。
リュークが抜け出すか、クレアが仕留めるか。
しかし、リュークはあの中では何も詠唱ができない。
クレアの勝ちが濃厚だ。クレアもほぼ自分の勝ちを確信していた。
ドゴォォォンッ
上から土の剣が落ちてくるまでは。
クレアが上を見ると、リュークは大きな土の柱にしがみついて、水面から顔を出していた。
どうやったのかはわからないが、あの土の柱で浮上してきたようだ。
リュークはクレアの頭上に無数の土の剣を落としていく。
クレアはリュークの魔法に少しあたりながらも、水の勢いを風魔法で増していく。
リュークは荒波に飲まれてフィールドの結界にあたるのを繰り返している。
持久戦に持ち込まれるかと思われたときだった。
ビビビッ!
ビビビッ!
フィールドにけたたましく音が鳴り響いたと思えば、次の瞬間には最初の向かい合った姿勢に戻っていた。
色々と戻って、状況が飲み込めずにいると、開始の合図をしてくれた男が慌てて口を開いた。
「た、ただいまの結果──────」
11
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!
月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、
花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。
姻族全員大騒ぎとなった
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる