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2章 魔法の国ルクレイシア
魔物討伐5 :落ちた先で待つもの (セイルクside)
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クレアが言っていた光が見えたのは、討伐可能範囲の端にあたる部分だった。
雪の中でも綺麗に見えた金色の光。
俺は言われたとおり、そこへ向かおうとする。
「待ってください!」
そう言って誰かが俺の腕を掴んだ。
振り返ると、今日受付対応をしてくれた人だった。
俺が受付の人に向き直ると、すぐに怒鳴られた。
「馬鹿ですかあなたは!どうしてここまで逃げてきたのに、もう一度入ろうとするんですか!?」
そう言われて少し納得した。
俺は生徒で、あの巨大な魔物から逃げてきた。
よっぽど死に急いでいるか魔物を倒したくてたまらない奴に見えるだろう。
別に、どう見られたって構わない。
クレアが無事か確かめられるなら。
「……すみません。でも、パートナーが危ないんです。俺のことを命がけで助けてくれました。
今行かないと……俺は後悔します」
俺が落ち着き払った声で事情を話すと、受付の人は何か思うところがあるのか、俺の腕を掴む力が弱まった。
俺はそっとその手を離して、頭を下げた。
「後で俺の評価をいくらでも下げてくれていいです。だから行かせてください」
俺の言葉に、受付の人は何度も息を出し入れして、何か言おうとしているのがわかる。
頭を下げ続ける俺には見えないが、きっと葛藤が表情に現れているのだろう。
「…………わかりました。許可します。
ただし、討伐終了までにあなたもパートナーも帰ってこなかったら、すぐに緊急連絡先へ連絡を入れます」
「はい、それでいいです。
……ありがとうございます」
俺はもう一度頭を下げてから森に向かって走り出した。
光の目印は討伐範囲の中では森の最奥に位置する場所だった。
クレアの強さなら怪我なく帰ってこれるかもしれないが、光の方向へ走ってくるように言ったクレアの言うとおりにする。
それに、クレアはこの森の地図が頭に入っていない。
俺たちは国民であり生徒でもあってこの森のことは何度も教えられてきた。だから、地図はだいたい頭に入っている。
でもクレアは他国出身で、今日一日俺の先導で森を歩いていた。
歩く場所によっては底なし沼や滝があるこの森は迷ったら危険だ。
結界近くにいるということは、きっと、結界を伝って帰るはずだ。
結界は討伐可能範囲を四角で囲むように張り巡らされている。
それに、結界付近は魔物が近づかないから安全に帰れる。
俺はその可能性に賭けて、結界まで走った。
結界の魔石が置いてあって、手で触れないとわからないほど綺麗な結界が張られている。
俺は風魔法で足に軽量化の魔法をかけて、走り出した。
さっきよりもずっと速く走れている。
(すれ違いだけは気をつけて行こう)
俺はそう決めて走り続けた。
5回目の鐘の音が聞こえたころ、俺は森の中腹に来ていた。
そろそろ出会ってもおかしくないはずだ。
このあたりは確か崖があって、去年落ちた生徒がいたことで規制された区域が近い。
クレアが落ちていたらどうしようかと思ったが、俺は結界が正常に作動しているのを願ってその考えを払拭した。
茂みを歩いていると、どこからか声がした。
男の声だろうか。少し低い声がする。
声をたどって歩いていくと、茂みを抜けられて、俺はそこで信じられない光景に出会った。
フードの奴がミュゼを崖から落とした。
一瞬、理解できなかった。
ミュゼが落とされた理由や、どうして結界が作動していないのか、いろいろと考えてしまって、体が動かなかった。
でも、俺に気づいていないフードの奴の呟きで俺は正気を取り戻した。
「始末完了か。使えない奴だった」
その瞬間に俺は風魔法で崖に飛び出した。
「─────ミュゼ!!!!」
俺の下を落ちるミュゼは目を閉じてすべてを諦めたように見えた。
『арызгклм』
俺が『浮遊』の呪文を唱えた途端、ミュゼの落下速度はゆっくりになった。
俺は落ちていく体でミュゼを抱き止め、ミュゼと落下していく。
近づいてくる木々が見えて俺の心は内心焦り出す。
地面に雪が積もっていたとしても、このままでは生存確率は低い。
どうやって落ちるのが正解か、怪我を1番少なくするのにここでの最適解は何か。
俺が脳をフル回転させて、考え、考えついたものは、成功する可能性が1番低いものだった。
俺は息を吐いて、自分が下敷きになれるようにミュゼの下側に移る。
落ち着け、きっと発動する。
『лсыаетивийусрчк гудий』
『飛行』の魔法だった。
自身に触れているものも一緒に浮くことができるこの魔法。
俺が成功したことがない魔法。
俺の渾身の呪文は一瞬、俺たちの体を浮かせてくれたが、すぐに効力を失った。
失敗した。
バキッ、ガサガサガサガサ、ドサッ!
そうして何かにぶつかった感覚がして、俺は意識を手放した。
ピチョン
ピチョン
水が落ちる音が響いている。
俺がゆっくりと目を開けると、薄暗い岩肌が見えた。
首を動かして、辺りを見渡して、ここが洞窟だと気づく。
「─────っいた」
体を起こした途端、足や背中に激痛が走り、思わず声を出して顔を顰めた。
体中が痛い。
熱を帯びた場所はきっと捻挫したのだろう。
俺の声が聞こえたからなのか、どこかからこちらへ向かってくる足音がした。
俺とミュゼを助けてくれた人だろうか、それとも、あのフードの奴だろうか。
俺は激痛の中、身構える。
そうして現れたのは、長い銀髪を後ろでひとまとめにした、灰色と水色を混ぜたちょうど雪が降るときの空の色のような目をした同い年くらいの女の子だった。
彼女の体もところどころ切ったりぶつけたりした場所があるのを見て、あいつに落とされたのかと思った。
肩に乗った雪を払いながら、彼女は俺に近づいて横にあった、水につけてあったタオルを絞って俺に当ててくれた。
「もう起きて大丈夫なの?セイルクはそんなに痛いところはなかった?」
「─────クレア?」
俺は彼女の声に驚いて、彼女の質問に質問を重ねる形で答えてしまった。
クレアと呼ばれた彼女は首を傾げた。
「そう、だけど………どうかした?」
そこまで言われてハッとした。
俺は今までクレアの顔を見たことがなかった。
こんな風に見ることになるとは思わなかったけど、俺は知ってる人だとわかって安心したのか、少し肩の力が抜けた。
不思議そうに見つめるクレアに俺は「なんでもない」と言って言葉を続けた。
「体はところどころ痛いけど大丈夫そうだ。
ところで、今がどんな状況かクレアにはわかるか?」
クレアは俺が大丈夫と言ったのを聞いて安心した顔を見せた。
もしかしたら、いつもこうやって表情を変えていたのかもしれない。
そう思うと、少しもったいない気がしてしまった。
クレアは俺に当てていたタオルをまた水につけて口を開いた。
「私は魔物を倒した後に会ったミュゼさんと………少し口論になってここに落ちてしまったの。木に引っかかって傷を負ったくらいで、雪のおかげで即死しなくて済んだ。
どれくらい後かわからないけど、目が覚めたら雪がひどくて、近くにセイルクたちも落ちたみたいに雪に埋まっていたから、雪を凌いで傷を治療するためにもすぐ近くにあったこの洞窟に来たの。
こんな事態になったし、魔石で連絡しようとしたんだけど……魔力が残ってなくて、魔石が壊せなかったんだ。
それで、今ここで寒さを凌いでいる感じかな」
クレアは申し訳なさそうな顔で俺に今までの状況を伝えてくれた。
俺たちが助かったのは降り積もった雪とクレアの治療のおかげだったみたいで、俺はクレアに頭を下げて礼を言った。
「ありがとう。クレアのおかげで生き延びられてる」
「そんな大げさな……討伐だとこれくらいあってもおかしくないよ」
少し困ったように笑うクレアに俺は、そういえばと思い出して口を開いた。
「俺がクレアに言われたとおり光に向かって走る前に、受付の人から討伐終了までに帰ってこなかったら、何がなんでも緊急連絡先に連絡するって言ってたんだ。
だから、終了してから連絡がいけば助けが見込めるんじゃないか?」
俺の問いにクレアはポケットから懐中時計を取り出した。
開いた懐中時計を見ると、討伐開始からすでに10刻が過ぎていた。
討伐は7刻で終了だから、もう3刻は経っている。
これは、救助は見込めないと言うことだろうか。
「ん………」
誰かの声が聞こえて、俺はすぐにそちらを振り返った。
クレアはすぐに立ち上がって、声の主の元へ近寄った。
その動きを辿って、声の主がミュゼだとわかる。
クレアはミュゼの横にも置いてある水につけたタオルを絞って額に当てる。
朦朧としていたミュゼの意識が一瞬にしてはっきりとして、ミュゼはバッと起き上がる。
「いったっ!?」
ただ、起きたときの俺と同じように激痛が襲ったのか、すぐに体を丸める。
クレアはミュゼの体を支えてタオルを当てる。
口論になったと言っていたのに、クレアは何も気にしていないみたいだ。
ミュゼは当てられているタオルの存在に気づいて、顔を上げ、クレアを見た途端に目を見開いた。
「え…………あなた、は、」
信じられないものを見るような視線をクレアに向けるミュゼは痛みすら忘れて他のことを考えているみたいだった。
クレアは混乱しているミュゼに笑顔を向けて話しかける。
「クレアです。さっき、セイルクにも驚かれました」
クレアの言葉にミュゼはまた驚いた顔を見せる。
「…………じゃ、じゃあほんとうに、クレアさんは、」
口を震わせながら何か言おうとしているミュゼにクレアが首を傾げた。
「どうかしましたか?」
ミュゼはそこで体を大きく跳ねさせてから、「なんでも、ないです……」と言って口を閉じた。
雪の中でも綺麗に見えた金色の光。
俺は言われたとおり、そこへ向かおうとする。
「待ってください!」
そう言って誰かが俺の腕を掴んだ。
振り返ると、今日受付対応をしてくれた人だった。
俺が受付の人に向き直ると、すぐに怒鳴られた。
「馬鹿ですかあなたは!どうしてここまで逃げてきたのに、もう一度入ろうとするんですか!?」
そう言われて少し納得した。
俺は生徒で、あの巨大な魔物から逃げてきた。
よっぽど死に急いでいるか魔物を倒したくてたまらない奴に見えるだろう。
別に、どう見られたって構わない。
クレアが無事か確かめられるなら。
「……すみません。でも、パートナーが危ないんです。俺のことを命がけで助けてくれました。
今行かないと……俺は後悔します」
俺が落ち着き払った声で事情を話すと、受付の人は何か思うところがあるのか、俺の腕を掴む力が弱まった。
俺はそっとその手を離して、頭を下げた。
「後で俺の評価をいくらでも下げてくれていいです。だから行かせてください」
俺の言葉に、受付の人は何度も息を出し入れして、何か言おうとしているのがわかる。
頭を下げ続ける俺には見えないが、きっと葛藤が表情に現れているのだろう。
「…………わかりました。許可します。
ただし、討伐終了までにあなたもパートナーも帰ってこなかったら、すぐに緊急連絡先へ連絡を入れます」
「はい、それでいいです。
……ありがとうございます」
俺はもう一度頭を下げてから森に向かって走り出した。
光の目印は討伐範囲の中では森の最奥に位置する場所だった。
クレアの強さなら怪我なく帰ってこれるかもしれないが、光の方向へ走ってくるように言ったクレアの言うとおりにする。
それに、クレアはこの森の地図が頭に入っていない。
俺たちは国民であり生徒でもあってこの森のことは何度も教えられてきた。だから、地図はだいたい頭に入っている。
でもクレアは他国出身で、今日一日俺の先導で森を歩いていた。
歩く場所によっては底なし沼や滝があるこの森は迷ったら危険だ。
結界近くにいるということは、きっと、結界を伝って帰るはずだ。
結界は討伐可能範囲を四角で囲むように張り巡らされている。
それに、結界付近は魔物が近づかないから安全に帰れる。
俺はその可能性に賭けて、結界まで走った。
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俺は風魔法で足に軽量化の魔法をかけて、走り出した。
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5回目の鐘の音が聞こえたころ、俺は森の中腹に来ていた。
そろそろ出会ってもおかしくないはずだ。
このあたりは確か崖があって、去年落ちた生徒がいたことで規制された区域が近い。
クレアが落ちていたらどうしようかと思ったが、俺は結界が正常に作動しているのを願ってその考えを払拭した。
茂みを歩いていると、どこからか声がした。
男の声だろうか。少し低い声がする。
声をたどって歩いていくと、茂みを抜けられて、俺はそこで信じられない光景に出会った。
フードの奴がミュゼを崖から落とした。
一瞬、理解できなかった。
ミュゼが落とされた理由や、どうして結界が作動していないのか、いろいろと考えてしまって、体が動かなかった。
でも、俺に気づいていないフードの奴の呟きで俺は正気を取り戻した。
「始末完了か。使えない奴だった」
その瞬間に俺は風魔法で崖に飛び出した。
「─────ミュゼ!!!!」
俺の下を落ちるミュゼは目を閉じてすべてを諦めたように見えた。
『арызгклм』
俺が『浮遊』の呪文を唱えた途端、ミュゼの落下速度はゆっくりになった。
俺は落ちていく体でミュゼを抱き止め、ミュゼと落下していく。
近づいてくる木々が見えて俺の心は内心焦り出す。
地面に雪が積もっていたとしても、このままでは生存確率は低い。
どうやって落ちるのが正解か、怪我を1番少なくするのにここでの最適解は何か。
俺が脳をフル回転させて、考え、考えついたものは、成功する可能性が1番低いものだった。
俺は息を吐いて、自分が下敷きになれるようにミュゼの下側に移る。
落ち着け、きっと発動する。
『лсыаетивийусрчк гудий』
『飛行』の魔法だった。
自身に触れているものも一緒に浮くことができるこの魔法。
俺が成功したことがない魔法。
俺の渾身の呪文は一瞬、俺たちの体を浮かせてくれたが、すぐに効力を失った。
失敗した。
バキッ、ガサガサガサガサ、ドサッ!
そうして何かにぶつかった感覚がして、俺は意識を手放した。
ピチョン
ピチョン
水が落ちる音が響いている。
俺がゆっくりと目を開けると、薄暗い岩肌が見えた。
首を動かして、辺りを見渡して、ここが洞窟だと気づく。
「─────っいた」
体を起こした途端、足や背中に激痛が走り、思わず声を出して顔を顰めた。
体中が痛い。
熱を帯びた場所はきっと捻挫したのだろう。
俺の声が聞こえたからなのか、どこかからこちらへ向かってくる足音がした。
俺とミュゼを助けてくれた人だろうか、それとも、あのフードの奴だろうか。
俺は激痛の中、身構える。
そうして現れたのは、長い銀髪を後ろでひとまとめにした、灰色と水色を混ぜたちょうど雪が降るときの空の色のような目をした同い年くらいの女の子だった。
彼女の体もところどころ切ったりぶつけたりした場所があるのを見て、あいつに落とされたのかと思った。
肩に乗った雪を払いながら、彼女は俺に近づいて横にあった、水につけてあったタオルを絞って俺に当ててくれた。
「もう起きて大丈夫なの?セイルクはそんなに痛いところはなかった?」
「─────クレア?」
俺は彼女の声に驚いて、彼女の質問に質問を重ねる形で答えてしまった。
クレアと呼ばれた彼女は首を傾げた。
「そう、だけど………どうかした?」
そこまで言われてハッとした。
俺は今までクレアの顔を見たことがなかった。
こんな風に見ることになるとは思わなかったけど、俺は知ってる人だとわかって安心したのか、少し肩の力が抜けた。
不思議そうに見つめるクレアに俺は「なんでもない」と言って言葉を続けた。
「体はところどころ痛いけど大丈夫そうだ。
ところで、今がどんな状況かクレアにはわかるか?」
クレアは俺が大丈夫と言ったのを聞いて安心した顔を見せた。
もしかしたら、いつもこうやって表情を変えていたのかもしれない。
そう思うと、少しもったいない気がしてしまった。
クレアは俺に当てていたタオルをまた水につけて口を開いた。
「私は魔物を倒した後に会ったミュゼさんと………少し口論になってここに落ちてしまったの。木に引っかかって傷を負ったくらいで、雪のおかげで即死しなくて済んだ。
どれくらい後かわからないけど、目が覚めたら雪がひどくて、近くにセイルクたちも落ちたみたいに雪に埋まっていたから、雪を凌いで傷を治療するためにもすぐ近くにあったこの洞窟に来たの。
こんな事態になったし、魔石で連絡しようとしたんだけど……魔力が残ってなくて、魔石が壊せなかったんだ。
それで、今ここで寒さを凌いでいる感じかな」
クレアは申し訳なさそうな顔で俺に今までの状況を伝えてくれた。
俺たちが助かったのは降り積もった雪とクレアの治療のおかげだったみたいで、俺はクレアに頭を下げて礼を言った。
「ありがとう。クレアのおかげで生き延びられてる」
「そんな大げさな……討伐だとこれくらいあってもおかしくないよ」
少し困ったように笑うクレアに俺は、そういえばと思い出して口を開いた。
「俺がクレアに言われたとおり光に向かって走る前に、受付の人から討伐終了までに帰ってこなかったら、何がなんでも緊急連絡先に連絡するって言ってたんだ。
だから、終了してから連絡がいけば助けが見込めるんじゃないか?」
俺の問いにクレアはポケットから懐中時計を取り出した。
開いた懐中時計を見ると、討伐開始からすでに10刻が過ぎていた。
討伐は7刻で終了だから、もう3刻は経っている。
これは、救助は見込めないと言うことだろうか。
「ん………」
誰かの声が聞こえて、俺はすぐにそちらを振り返った。
クレアはすぐに立ち上がって、声の主の元へ近寄った。
その動きを辿って、声の主がミュゼだとわかる。
クレアはミュゼの横にも置いてある水につけたタオルを絞って額に当てる。
朦朧としていたミュゼの意識が一瞬にしてはっきりとして、ミュゼはバッと起き上がる。
「いったっ!?」
ただ、起きたときの俺と同じように激痛が襲ったのか、すぐに体を丸める。
クレアはミュゼの体を支えてタオルを当てる。
口論になったと言っていたのに、クレアは何も気にしていないみたいだ。
ミュゼは当てられているタオルの存在に気づいて、顔を上げ、クレアを見た途端に目を見開いた。
「え…………あなた、は、」
信じられないものを見るような視線をクレアに向けるミュゼは痛みすら忘れて他のことを考えているみたいだった。
クレアは混乱しているミュゼに笑顔を向けて話しかける。
「クレアです。さっき、セイルクにも驚かれました」
クレアの言葉にミュゼはまた驚いた顔を見せる。
「…………じゃ、じゃあほんとうに、クレアさんは、」
口を震わせながら何か言おうとしているミュゼにクレアが首を傾げた。
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