サイハテの召喚士

茶歩

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第2章 モフモフへの使命

17 猩々

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 オリオンとの再会の日まで残りあと7日。

 朝起きてすぐにクライテリアで計測してみたところ、なんとアキの身体能力数値と経験数値が1ずつ上がっていた。


「身体W4、頭P 11、財力X3、経験T7、器用さR9、魅力U6、魔力Z1‥トータル数値はVのままかぁ。でも、思いのほかハイペースな伸びだと思います!アキさん!」


「あ、ありがとう‥」


 アキは体が石のように固まっているらしく、引きつった笑顔でブラウンに言葉を返した。


「私のトレーニングが割と効果有りってのはわかったけど、アキのその状態だと今日も同じトレーニングってのは無理そうだね」


 トレーニングっていっても木登りだけしかしてないんだけど‥


「そうだね。あまり追い込み過ぎても逆効果かもしれないし‥今日は午前中は俺と行動しましょう、アキさん。そして、午後からはカラーのトレーニング。どうですか?」


「はは‥助かるよ、午前中に体を休めるね」


「そうですね」


「じゃあ私は午前中、探索にいってくるよ」



 なんたって昨日ブラウンから素敵な情報を貰っちゃったもんね!




♦︎



 ブラウンの情報によると、Y地区のキングヘビーモスの住処のように人が寄り付かないという場所は、南西の山にあるそう。

 一括りに『山』とだけ言われても広大すぎるんだけど、どうやらその場所の近くに2本の巨木があるんだとか。


「うん、あからさまに大きい巨木があるよ‥」


 私の独り言が野原に落ちる。
気を付けろよ~くらいの軽いノリで宿から送り出された私は、1人好奇心を背負ってその巨木たちを目印に歩き出した。

 半日しか猶予がないから、行って帰ってくるくらいが限度かもしれない。寄り道しないで進まないと。

 それにしても、2本だけ見事に巨木が突き出ている。おかげで目的地にたどり着くのは困難じゃなさそうだ。


「いまがX地区‥
次がアキが元々住んでいたW地区で、その次がオリオンとの待ち合わせのV地区‥。そこから、えーっと?U、T、S、R、Q、P、O、N、M‥ときてのL‥‥」


 口にしてみると、気が引き締まる。
アキの心配ばかりしてるけど、私自身もステータスを上げる意識をしていかないと‥。
 ブラウンはすごく頭が良くて、冷静に自分のことも客観視できる人だから、ブラウンは大丈夫だと思うんだけど。


「でもまぁ、今日明日の話じゃないし‥大丈夫でしょ」


 私の年齢は、いまきっと12歳か13歳くらい。オッドさんが気怠げにそう言ってたし、まぁきっとそのくらい。
L地区に到着できるのは何歳くらいなんだろ。

 L地区‥といってもウォングバッドがいつL地区に来るかわからないし、オリオンも最低目標がL地区と言ってたし‥
ステータスL以上を目指さないといけないんだよなぁ。



 途中雑魚魔物を何匹か倒しながらボヤァっと先のことを考えていたら、いつのまにか巨木のすぐ近くにいた。


 巨木に一歩近づいた途端、両耳から脳に響く嫌な耳鳴り。


「‥‥またこれ」


 昨日の夜狩中にも突然なったんだよなぁ。どうしちゃったんだろ。

 巨木に近づく毎に耳鳴りが強くなっている気がするのは気のせいだろうか。いや、気のせいだと思いたい。目的地に進むためには巨木に近づく必要があるんだから‥


「‥っ、なんだろ、あれ」


 耳鳴りに顔を歪ませながらも、2本の巨木の間に『何か』を発見した。

 石で組まれた私の背丈ほどの大きさの物体。うん、石碑かなんかっぽい。お墓かなんかかなぁ?

 その石碑っぽいものの真ん中には、丸い窪みがあった。何かを差し込むものなのか、はたまた格好つけで穴が空いてるだけなのかはわからないけど。


 さて。石碑はまぁどうでもいいとして‥


「ここらに何が住んでるんだろ」


 一体、何の住処?
とりあえずこの巨木に登って辺りを見渡してみようかな。

 耳鳴りが酷くて仕方ないけど、私はとりあえず左右にある巨木のうちの右側を登ることにした。 

 いやぁ幹が太すぎて登れないかも。でも一応手足を掛けられそうな場所はあるし‥


 そしてまじまじと巨木を見つめ、声を失った。



ーーーなにあれ。‥猿??



 巨木を見上げたはるか上。
木の上に『何か』がいる。


 その『何か』は私の姿を視界に入れた途端、巨木から手を離し、地面へと降り立った。

 なんという身体能力‥脚力が凄すぎる。この高さからジャンプで降りれるなんて‥かっこいい‥

 その背丈は私の3倍程あって、動物で言うところの猿に似ていた。真っ赤な体毛と、鋭く突き出た牙が特徴的だ。黄色い双眼がギラリと光っている。


『何者、オマエ』


「喋れるの?!お猿さん、すごい!!」


『猿ジャナイ、猩々。
オマエ、匂イ変』


「匂い変?!
ちゃんと宿でお風呂入ったよ!」


 突然、猩々は素早く腕を動かした。
長い指が私の顔を掠める。あまりにも早い動きで、私は反応すらできなかった。

 片目を隠していた布がはらりと地面に落ちる。


「いきなり何するの。
びっくりするじゃん!」


 猩々は私の目を見てから、ニィッと笑みを浮かべた。


『オマエ、待ッテタ』


「えぇ?!」


 なんなんだろう、このお猿さん。
言葉を話してるけど、言ってることも意味不明‥


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