見世物少女、反乱します!《完》

茶歩

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第23話

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 状況が理解できないままの団長の首が宙を舞った。
チャーリーさんが剣でその首を刎ねたのだ。

「な、なにをしている!!!」

 火災現場を調べていた憲兵たちも、使用人たちの悲鳴でこちらの異常事態に気付いて駆け寄ってきた。
 チャーリーさんは血飛沫を浴びながら、満足気に大きな笑い声を出していた。

「犯人を見つけたのさ!だから!俺が俺の手で!!
殺してやったんだよ!!当然だろ?!俺の屋敷が燃やされたんだ!」

「は、犯人だと?証拠は‥?!」

 いくら憲兵隊長と繋がっているとしても、一般憲兵との繋がりは深くないはず。その証拠に憲兵達は目の前で殺人を犯したチャーリーさんを取り囲んでいた。

「証拠?!犯人だから目の前に現れたんだろう!何を言っているんだお前は!!」

 彼は今、興奮しすぎて支離滅裂なことを言っていることに気が付いていない。

「つ、捕まえろ!」

 チャーリーさんが憲兵達に捕らえられた。
でも捕まったとしても‥憲兵のトップと癒着があるのなら、すぐに解放される可能性も高い。そんなの復讐にならないじゃない。

「‥そろそろ移動しますか」

「あぁ、そうだな」

 私は魔法陣にまた願った。
ギルさん曰く通常は魔力を放出すれば放出しただけ、疲労が現れるらしいんだけど‥私にはそんな兆候は全く現れなかった。

ーーギルさんと私とレックスとチャーリーさんの4人でサーカスに移動します。あ、もちろんレックスは私の腕の中に。

 こうして、乳母の腕の中にいたはずのレックスを腕に抱きながら、私たちは混沌としていたチャーリーさんの屋敷を後にしたのだ。

 サーカスの居住用テントが立ち並ぶ地に、私たちは飛ばされた。
ついこの間までここにいたのに、なんか懐かしい感じがしちゃうわ。

 どうやら今は公演中らしく、公演用テントからは大きな歓声が聞こえ、私たちの周りに人影はなかった。

「?!、な、何故移動したんだ?!ここはサーカスか?!」

「あぁ。あのままじゃあんた捕まってただろ」

「そうだな‥感謝するぞ、ギル。
それにしても何故ここへ?あ、俺の屋敷を燃やした代わりにサーカスを燃やしてくれるのか?!それはいい!!」

 まるでサーカスのピエロのような、気味の悪い笑顔を浮かべたチャーリーさん。私は思わず小さく笑い声をあげてしまった。

「‥団長は犯人じゃありませんよ?」

 私がそう言って笑うと、チャーリーさんは時が止まったかのように数秒固まった。

「‥‥‥は?」

「さて問題です!誰が犯人でしょうか?」

 きっと私の頬は紅潮し、嬉しさのあまり両目はうっとりとしている筈だ。まぁ片目は、目の前のこの人のせいで失っているんだけど。

「え‥嘘だろ?え、え?だって誓約書は‥?え?!」

 チャーリーさんがギルさんに怯えるように後退りをしている。
ここにはチャーリーさんの護衛もいない。誓約書が無効化されているなら、チャーリーさんは今、誰よりも弱い立場にいる。

 チャーリーさんは途端にガタガタと震え出し、青い顔をして地面に尻餅をついた。

「誓約書は有効だ。屋敷を燃やしたのは俺じゃない」

「‥‥え?」

「じゃじゃーん。犯人は私でした」

 チャーリーさんはパチパチと拍手をする私を見て、数秒固まった。
そして今度はみるみるうちに地獄の鬼のような顔付きになっていく。

「お、おまえぇぇえ!!
放火したのか?!能無しの癖に!!異物の癖に!!アイナァ!!!」

ただの放火であんなにも燃えるとでも思ってるのかな?
まぁ私の魔力が0だと信じて疑っていないんだから仕方ないか。

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