最強術師、転生して学園へ。

白百合・ラピスラズリ・蘭

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01:白樺の木と白㛲の少女

1話:異世界

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 気が付くと、そこは真っ暗な場所だった。
 身体の感覚はある。転生には成功したんだろう。彼はそう考え身体に魔力……魔法術を使用するのに必要な力……を身体の中に循環させて、自分の身体の形状と状態を把握する。

 歳の頃は十弍かそこら。性別は男。中肉中背の体型で、歩行可能な程の筋肉はある。だが、魔力とは別の力が身体を流れている。
 その事を不思議に思いながらも状態を把握した彼は、早速立とうと腕と脚に力を入れた。が、立つことはできず、倒れてしまった。
 新しい身体に、感覚が馴れず、脳の信号を受け止めきれなかった様だ。
 今度は、身体強化の魔法を使いながら立ち上がった。さっきの様に転ぶことはなく、無事立ち上がったが、身体強化を解くと再び倒れるだろうと予想した。

 その時、彼はふと、自分が前世と同じように魔法が使えてることに気がついた。
 まるで、前世の身体をそのまま小さくした様な感覚。その事に違和感を覚えながらも、今考えることじゃないと頭を振り払った。

 立てた事だしと、自分がどこにいるのかを確認するべく、探知魔法で、自分のいる場所を探知する。
 すると、ここはどうやら洞窟の中のようだった。
 自分以外の生き物が居ない事を確認し、探知魔法を頼りに、外へ向かう。

 外に出るとそこは鬱蒼と茂る森の中だった。だが、この森には生物の気配は全くない。毒か何かが広まっているのだろう。そう考え、大通りと思しき道まで歩く。

 探知魔法には弍種類あり、魔力の波形で、触れた物の情報をそのまま送ってくれる物と、自分の視覚情報を遠くに飛ばしてくれる物がある。

 洞窟を探知したのが前者で、大通りの道を見つけたのが後者だ。

 彼が歩を進めていくと、剣撃の音と男たちの叫ぶ声、そして、背筋を逆撫でするような嗤い声が聞こえてきた。探知の範囲を特段広くしてないので、まだ情景は見えてないが、誰かが戦っているのだろうと結論づけ、探知の範囲を広げて、静かに戦場へと近づいた。

 戦場に近い茂みに着くと、身体を屈め身を隠して、戦いを視た。
 戦いの中心となっているのは豪華絢爛と形容できるほど、綺麗な装飾がなされた馬車と、それを守るように取り囲む騎士と、その外側で、騎士達を攻撃している野盗と思われる男たちがいた。

 彼は今、人に恩を売っとくのは得策だろうと思い、茂みから飛び出て、左手に銀朱の魔法陣を展開して、大声で魔法名を言った。

「『Feuer pfeil火の矢』!」

 彼が放った火の矢は、野盗の頭に直撃し、その野盗を吹き飛ばした。吹き飛ばされた野盗を目撃した、騎士と野盗は一瞬硬直し、そしてこちらを見た。
 が、野盗はすぐさま襲いかかってきた。
 彼はそれを魔法で撃退しながら、壱人の騎士に向かって叫んだ。

「援護します!」
「感謝する!」

 騎士がそう返事をしたのを後ろで聞き、敵を魔法で倒していく。

 気づけば、野盗も、かしらと思われる男ただ壱人となったとき、男はこちらに掌を向け、声高々に詠唱と思われるものを始めた。

「『Ó magia, concede o meu desejo.
Vermelho,duzentos-e-quarenta-e-um.
Verde,quarenta-e-três.
Azul,zero.』『Fogo bala火の弾』」

 頭の手からは赤の魔法陣と同時に火の弾が現れ、こちらに放たれた。
 Fogo balaと言われた火の弾は、魔法とはまた別の、自分にも流れている不思議な力によって放たれていた。

 彼は、その力に興味を持ち、その弾に向かって壱つの魔法を放った。
「『Feuer aufzählung火の弾』」

 彼の手から放たれた魔法は、頭が放ったFogo balaとぶつかり、そしてFogo balaをかき消した。
 Feuer aufzählungは、そのまま頭へと向かって行き、男に直撃し、焼き殺した。

 圧倒的な戦いを、半ば見るだけの状態だった騎士たちは、彼が頭を倒したのと同時に、今度は彼に警戒を向けた。

 そして、騎士の中で壱人、先程彼が声を掛けた騎士が、こちらに近づき、話しかけてきた。

「助太刀感謝する。私はラヴェルミナ公爵騎士団騎士団長を務める、アブァリス・フォン・マリャティウスと言う。貴殿は我々の仲間と認識してもよいだろうか?」

 その問いに間髪入れずに、

「その認識で問題ないです。俺はファルノモキア・レノ・フォン・アイルレント。特段貴族位を賜っている訳ではないので、名前は気にしないでください。魔法術士というものをやっています。よろしくお願いします。」

 彼……ファルノモキアがそう言い、握手を求める様に手を出した。
 アブァリスは、剣に掛けていた手を離して、ファルノモキアの手を握った。

「こちらこそよろしく頼む。貴殿は、我々の命の恩人だ。是非とも敬語は外して欲しい。それと、烏滸おこがましいかもしれんが壱つ頼まれ事をしてくれないか?」

 アブァリスはそう言い、馬車のある後ろの方を少し見た。

「先程の野盗との戦闘で、我ら騎士団はだいぶ消耗した。半数近くも亡くなってしまったからな。そこでだ。ファルノモキア殿、貴殿を護衛として帝都まで同行願いたい。」

 アブァリスの提案に、ファルノモキアは、少し思案した。
 この提案は、街を目指し、貴族に恩を売りたい彼にとっては大の好都合。だが、先程の公爵と言う爵位を聞いて、果たして本当に恩を売っても大丈夫か少し不安になった。
 公爵程の爵位持つ者となると、少しの不敬でもこの国に居られなくなるかもしれない。この世界に来たばかりの彼にとってはそれは超絶不都合な事だった。
 そんな時、アブァリスがファルノモキアに向かって都合のいい事を言い放った。

「うちの公爵様は、平民だなんだと気にしないお方だ。余程のことをしでかさない限りは不敬罪などの罪には問わない。仮に、貴殿が悪と言えない場合での不敬罪に置いては、私は貴殿の味方をしよう。」

「そう言うことなら、同行させてもらいます。」

 そう言うと、アブァリスに少しせきばらいをされた。

「あー、俺も街へ行きたかったから、その提案はありがたく了承させて貰うよ。」

「そうか。それはこちらとしても有難い。是非ともよろしく頼む」

 そうして、同行が決まったと同時に、公爵へ挨拶をすることになり、弍人は馬車の方に向かって行った。
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