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とある少女の話 2
しおりを挟む事は強制的に、それでいて着実に進んでいる。
物語のその果てで彼女は何を思うのだろう、私を憎む?その運命を呪う?
……どちらにしてもその表情を見るのが楽しみで仕方がない!
「ローズ祭は上手くいった…彼女がついて回らなくても勝手に王子が行く……ふふ、形は違えど大筋は辿っているわ…」
きっともうすぐ彼女をよく見ている彼女達が私をいじめに来る。
そうすればもう!彼女は逃れられない!
……でも一つおかしなことと言えば、彼らが何故か彼女と親しくしていること。
ああ、ずるい。
私が手に入れたいものを悠々と手に入れるなんて本当にずるい。
なんだかまるで彼らは彼女の周りで何かを警戒しているみたい。
変にストーリーを進める私に彼らもおかしくなったというのだろうか。
「なあ……何を考えてるんだ…?お前」
「なんの事かしら?」
「いや……なんつーか…最近のお前、妙な気がする」
「ふふ、まるで野生の動物みたいよディム」
彼はやはり鼻が利くということか、私がやろうとしていることが彼にバレれば邪魔をされること間違いなしだ。
計画は冷静に、狡猾に。
それに彼女の周りは攻略キャラが多すぎる。
いつ第二幕の彼らがここへやってくるやもしれない、彼らは初期から居る彼らよりも切れ者が多い。
ストーリーが変わりきる前にルートを固定せねば足場を崩されてやってきた事が全て無意味になる。
それは避けなければ折角の計画も崩れてしまう。
ウィリアム王子はどこか気付いている。
私の計画を、と言うよりは、私の異質さをだ。
今はまだ、私の予想通りに動いているけれどこれから先どう転がるかは私にかかっている事だろう。
それに彼を想い人の元に置かなすぎても、すれ違ってもこの国は滅びの危機となる。
私としては別に国が滅びようとも構うものでは無いけれど、戦争が起こるのは困る。
この戦争が起きれば紛れもなく彼女は死ぬ、攻略キャラの多くも無事とはいかないだろう。
仮にも好きだった物語が最悪の形で幕を閉じるのはあまりにも悲しい。
もっとも、この国の危機はこれだけには収まらないのがお約束というもの。
彼が事を起こさずとも第二、第三の波乱が待ち受けている訳だしもっと策を練らなければならない。
私が彼らの中の誰か一人を攻略する事は無いのだから。
「ふふふ……もっと楽しみましょう?ゲームはまだ始まったばかりですわ」
花言葉の通り、泡沫の幻想を。
そしていつか見た彼女を救うために。
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