紅の呪い師

Ryuren

文字の大きさ
57 / 70

第五十七話

しおりを挟む
 嫌な予感は、していた。何か悪い夢を見たわけでもない。ただ、目覚めたのだ。半身を起こし、しばらくの間ぼうっと空虚を見つめる。熱が下がってから、はじめてまともに起き上がったという気がする。疲れきっていた。体が、とてつもなく重い。
「紅成」
 鄭義の、声。緊迫した空気とともに、部屋に入ってくる。鬼のような形相をして、手に短剣を握っていた。思わず、それを見て後ずさる。
「龍翠が、白藍と施安を殺して逃げた。紅隆もいない」
「──は」
 言葉が、出なかった。内容が理解できずに、ただうろたえる。
「扈珀を捕らえて、地下に閉じ込めた。扈珀によれば、紅隆は玉陽という山へ、三刻ほど前に向かったらしい。おそらくその一刻後に、龍翠が白藍を殺している。そして、行方不明だ」
「なんで」
 頭の中が、ぐるぐると回った。計画では、三日後の夜に呪いを使って、父を殺害しようと決めていたはずだ。それが、何故、今。
「……扈珀が言っていた。目的を果たしたいのならば、玉陽という山へ行け、と」
「わけがわかんねえよ」
「それはこっちだって同じだ」
 鄭義が、厳しい声音で言う。それからしゃがみこんで、自分の肩を強く叩いた。
「いいか、よく聞け。龍翠が、暴走したのかもしれんのだ。様子が、おかしかっただろう。龍翠が、どこへ行ったかはわからん。ただ、今俺たちがしなければならないことを考えろ」
 震えながら、頷く。そうだ。鄭義を、信じればいい。鄭義の言うことだけを、聞いていればいい。
「まず、俺がここの一座にいる人間、全員を逃がす。騒ぎになる前に、だ。ここにいる人間は、皆不穏な雰囲気が漂っていたのに薄ら気づいている。お前らが盗んできた銀を与えて、一人一人を黙って逃がしてくる」
「みんな?」
「ああ。俺一人でな」
 俯く。こんなふうにして、突然崩れるのだ。使用人、仲間の芸人の顔をひとりひとり思い浮かべる。昔から、顔を知っている者たち。
「……師匠だけは」
 拳を、握りしめる。
「師匠だけは、俺にやらせてくれ」
「だが、時間が」
「頼む」
 鄭義の目を、見つめた。少しの、間のあと。鄭義がため息をついた。肩を掴まれていた手が、離される。
「張引に別れを告げたら、すぐに龍翠を探しにいけよ。二刻探して見つからなければ、戻ってこい」
「わかった」
 鄭義が、頷く。それから、素早く立ち上がって、部屋を出ていった。
 震える足で、ゆっくりと歩く。一度、深呼吸をした。今は、師匠のことだけを考える。今、だけだ。しまってあった銀の小袋を、俺はそっと取り出した。



 生まれた時から、母がいた。母は、心優しくて、美しいひとだった。父と過ごした記憶はなにもないが、母がいるだけで、自分には十分だった。ともに鞠を転がして遊んだり、桃を食べたり、朝焼けを見に外に連れて行ってくれたこともある。鄭義も時々面倒を見てくれて、師匠もその時からいたが、本当に好きなのは母だけだった。
 母は、自分以外の大人にはなるべく近づいてはいけない、と言うのが口癖だった。特に、扈珀という男には。忌み嫌うべき男なのだとも、教わった。理由は、何故か話してはくれなかった。
 鄭義に、なんとなく父のことを聞いてみた。鄭義は、お前は呪いの力を継いでいないから、父に愛されないのだと言った。呪いの、力。わけがわからなかったが、その力についてものちのち母から教えてもらい、知ることになった。母が、呪い師であること。母の呪いの力を利用するために、父は母と結婚したということ。そして、自分を産んだということ。
 それでも、母はつらそうではなかった。呪いの力が目的であろうがなんだろうが、父は母を愛しているのだと言った。絶対に、愛しているはず。母は、いつもそうやって自分に言い聞かせるように、語るのだった。

 ある日から、母の体調が悪くなった。病気がちで、いつも寝床に伏せってしまうようになったのだ。母は、紅隆は自分を愛していなかった、とうわ言のように言っていた。そして、扈珀の名を呼んでいた。自分に、紅隆を憎め、と言うようにもなった。母が、変わってしまったのは父のせいなのだ、と。言われた通りに、憎んだ。自分のすべては、母だったから。
 母が死んだ時、自分の胸に何かが重くのしかかってくるような気がした。自分の中に、母がいる。すぐに、悲しみは母の憎しみに塗り替えられた。人が、憎くてたまらなかった。だから、誰にも会いたくなかった。
 死ぬ間際、母が自分に、『紅隆を殺せ』と言った。常に、その言葉を胸に生きてきた。それなのに、いつまでも部屋に引きこもって、何もできない自分を嫌悪した。張引──師匠との厳しい稽古が、それをいつも忘れさせてくれた。

 師匠は、自分の前で笑うことはけしてなかった。厳しい目をして、自分の手を容赦なく打つだけだ。褒められたこともなければ、自分の芸の出来を許してくれたこともない。師匠の前では良い顔をしながら、内心それを憎んでいたりもした。いつか、絶対に師を超えてやる。それだけを、思っていた。
 自分を叱っている師匠の目には、いつもどこか、悲しみの色が浮かんでいた。憎しみに燃える自分の目を、そのまま映していたのかもしれない。誰もかもが、嫌だった。鄭義は、自分が成長していくにつれ、自分にかかわらなくなった。父と近しい人間なのだ。何か秘密を抱えているのだろうが、それなら自分の方からもかかわりたくない。父を、殺せ、と。いつになったら、その目的が果たせるのか。待つばかりで、行動を起こせない自分をまた嫌悪して、結局引きこもる。自暴自棄になって、師匠からの稽古に耐える。その、繰り返しだった。



 ある日、龍翠という女が一座のもとにやってきた。一緒に来た四人とは、どこか違う雰囲気を放つ女。正直、下に見ていた。芸をしたこともないのだという。日頃の憂さ晴らしのように、俺は龍翠にちょっかいを出した。動じないのが更に腹立たしかったが、ある日蹴り返された上、翻弄までされた。所詮紅隆の、息子だということ。言われて、悔しかった。その日から、はっきりと龍翠が嫌いになった。

 鄭義に、「父が憎いか」と聞かれた。不意に、だ。何故鄭義がと、信じられないような気持ちで、俺は恐る恐る頷いた。隠すこともないのだ。鄭義が、「俺もだ」と答えた。わけがわからなかった。鄭義は、昔から父の傍にいる。父に忠誠を尽くす、犬のような男だと思っていたのに、その父を憎いと言ったのである。しかも、龍翠もまた同じだと鄭義が言った。ますます、わけがわからなくなった。ふと、龍翠の頬の刺青を思い出す。母の遺した呪いの書を、毎日眺めていた。龍翠は、呪い師なのかと。鄭義が、黙って頷いた。

 自分の世界に、光が差してきたかのようだった。龍翠が、紅隆を殺すためにここに来たということ。それなら、自分はその手助けをしてやればいいのではないか。龍翠が、何故そんな目的を抱えているのか。理由は、さておいて。胸が、高鳴った。龍翠の話を聞いて、ますます興奮した。自分と同じ、黒い影を身に巣食わせているのだ。自分と、同じ。
 世界が、ぐるりと変わったようだった。ようやく、母の願いを自分で叶えられる。そう、思った。父について知るために、情報を集めようとした。はじめて見る、呪い。龍翠が、少しだけ羨ましく思った。それでも、黙って首を振った。
 
 龍翠に、母の着物を見せた。李玲玉という女が、仕立てたものらしい、と。龍翠は静かな目で、大きな燕尾蝶が刺繍された着物に手を触れ、じっと眺めていた。



 龍翠と鄭義との計画とともに、少しずつ進んでいく時の流れ。大きなことをやろうとしているというのは、かつてないことで、緊張した。それでも、考えに考え、きちんと実行した。その表で、手妻の腕もきちんと磨く。紅隆と扈珀の前で、はじめて芸をして見せた時。複雑な感情だった。目の前にいるのは、敵なのに。二人に自分を認めて欲しいという、欲望を抱いている。吐き気がするような気持ち悪さを抑えながら、俺はなんとかやりきった。やりきっても、誰も自分を褒めなかった。明後日から興行に出す、と言われただけで。ああ、こんなものなのか、と思った。

 しかし、顔見世のときにいろんな人間に褒められた。慣れなくて、俺はただ戸惑った。龍翠まで、自分を褒めた。胸の中があつくなって、溢れそうだった。輝く客の目を見ながら芸をする、心地良さ。格別だった。自分はまた変った、と思った。

 身の回りにいた人間が、変化を遂げている。龍翠と、彪林の間柄。何も教えてくれない、鄭義。地下に漂う、緊迫した空気。すべてが、自分を揺らそうとしていた。恐れながら、どこか面白がっていた部分があったのだと思う。平凡な日々が、明らかに変わっているのだ。人間とは、ほんの些細なことに揺らぎ、落ち込んだりもする。龍翠を見て、思った。誰かを好きになることが、どうということはよくわからない。それでも、龍翠が苦しんでいるというのはわかった。今は、そんなことに揺らがされている暇はない。その分、自分は安心だという気がした。何も、心に残る人間などいないのだ。自分を揺るがす、人間などいないのだから。

 そう、思っていたのに。

 日記を、手に入れた。扈珀の日記だ。少しずつ、少しずつ読み進めた。その間に、いろいろな事があった。高延亮の死。鄭義の疑い。読み進めていくうちに、ふと、死にたくなった。扈珀が、母の兄であったということ。白藍のこと。鄭義が、愛していた女のこと。そして──。

 自分の知っている母が、そこにはいなかったのだ。

 嘘だ、と思った。しかし、鄭義は「本当だ」と言った。信じたくなかった。心優しくて、いつも微笑んでいた、母がいない。そこにいたのは、執着心と狂気に塗れた、女だった。夜、寝台の上でひっそりと泣いた。自分は、こんな母を胸の内に抱えていたのか、と。
 ──扈珀。母とともに過ごしていたはずの思い出が、すべて扈珀としてそこに記されている。扈珀が、自分を愛していたのだ。それなのに、何故。母が、扈珀に愛を、自分を与えたくないがために、自分の記憶を上書きしたのか。ふるえた。つらかった。どうしようも、なくなった。

 どう足掻いたって、紅隆を殺さなければ、この身は自由にならない。
 心配そうな顔をしている龍翠に、俺ははっきりと言った。紅隆を殺す、と。それだけを、考えていればよかった。父にどんな目的があれども、結局は殺さなければならないのだ。龍翠が、俯いた。

「……復讐を果たしたら、私は」
 静かな声で、龍翠が言う。
「自害します。生きている意味など、私にはないから」
 何も、返せなかった。自分も、もういっそのこと死んでしまおうか。そう思うと、何もかもどうでもよくなってきた。どうせ死ぬ。殺せば、自分は死ねる。
 もう、十分苦しんだから。これ以上、苦しむ人間を増やさない、その為にも。
 父の言動に、僅かに動かされながら、自分はなんとかして立っていた。



 体が、熱い。頭が、くらくらする。とうとう、立っていられなくなった。寝台に寝転がると、もうなにもみえなくなった。息が、苦しい。目を閉じた闇の中で、何かひとつの影が浮かぶ。

「母上」
 声を、あげた。母が、両手を広げて微笑んでいた。一歩足を踏み出し、やがて留まる。行けない。そこに、行ってはいけない。
『成』
 母が、顔を歪めた。何故、来ないのか。問いかけられた。答えられなかった。
「……母上」
『どうしたの、成』
 また、母がわらった。こんどは、恐ろしいくらいに歪な笑みだった。口角が、ぐいとつり上がっただけの。
「何か用があるんだろ。さっさと話せよ」
 叫ぶ。目を、つぶろうとしているのに、嫌でも目の前に母の姿が浮かぶ。笑みを顔に貼り付けたまま、母が言った。
『──成、駄目よ。あんな男の日記など、信じてはいけないわ』
「何を」
『ぜんぶ、扈珀の妄想なの。騙されないで、鄭義という男にも。あなたは利用されているだけなの』
「利用してるのは、どっちだよ」
 喚いた。頭を、抱える。母の、からだ。声。温もり。胸に、飛び込みたい。もう、何もかも忘れて。駄目だ。駄目なのだ。
『みんなみんな、悪者よ。私以外、悪者。紅隆も、扈珀も、鄭義も、皆。皆、私を苛めて、殺したのだわ』
「うるさい」
『ねえ、成。言ってごらんなさい、私に自分の、すべてを委ねるって』
 母が、わらう。どういう、意味だ。どういう、……。
『あなたは、私になるの。私の言うがままに、罪人に罰を与えるのよ。紅隆を殺し、そして扈珀を虐げ、苦しめる。永遠に。奴が、力果てて死ぬまで』
「どうして」
『私の願いを、叶えられないの? あなたは、いい子でしょう』
 黙れ。言おうとしたのに、声が、出なくなる。息が、苦しい。

『おいで。うんと頷けば、力いっぱい抱きしめてあげるわ』

『さあ』

『早く』

「……ぁ、あぁ」
 涙が、溢れだしてくる。扈珀。扈珀。扈珀は、本当に憎むべき男なのか。思い出。確実に、甦ろうとしている。それでも、母に、抱きしめられたい。
『成』
 頭が、ぐらりと歪む。闇の、深い底へ、底へと体が沈んだ。母の声だけが、意識の中にこだましている。また、遠くなった。



「紅成様」
 龍翠が、いた。ぼんやりと、視界にその影がうつるだけだ。これが現実かもわからないまま、俺は呟いた。
「俺、母上の夢を見た」
「……え」
「母上の」
 それ以上、喋れそうになかった。熱い。頭が、痛い。もう、このまま死んでしまえそうだった。それは、いけない。俺はまだ、生きていなくちゃならない。
「紅成様。どうか」
 龍翠の、手。頬に触れてくる。冷たかった。しかし、すぐにその手は温くなった。
「どうか」
「龍翠」
「死なないで、ください」
「俺は、大丈夫だよ」
 たぶん。いや、きっと。絶対に。ここで、くたばってなるものか。俺は、ようやく俺の力で動けるのだ。じっと、何も出来ずに蹲っていた日々から。俺は、ようやく、……。

 また、視界が歪む。けして眠るものか、と思った。


 
 同じ夢を、続けて四度、五度と見た。いつも、ぎりぎりの所で耐えるしかなかった。母の戯言など、聞き入れてはいけない。まるで、立合いのようだった。眠るのがこわいのに、意識はいつもふらりと飛んでいく。そして、母が目の前に浮かぶのだ。次に、こう語りかけてくる。

『成、私にすべてを委ねなさい』
 
 俺、は。俺は、何を信じるべきなのか。わかっているはずだ。本当の記憶を、思い出さなければならない。ちゃんと。はっきりと。思い出せ、俺には誰がいた? 俺の傍に、いてくれた人。あの日、本当に一緒に朝焼けを見たのは。──抱きしめてくれたのは、誰だった?
 思い出せ。あの人が、言ったことばを。

『痛くないんだろう。なら、泣きやめ』
 声が、聞える。ああ。確かに、聞える。
『桃だ。不老長寿の果実と呼ばれている。縁起のいいものだぞ』
 誰の、声だ。一体、誰の。
『おい、……やめろ。成』
 母が、声をあげる。やめてはいけない。思い出せ。ほら、あの顔だ。走っていくと、いつも笑って、自分を抱き上げて……。

『紅成』

 応えた。扈珀、と。見えた。鮮明な、思い出が、はっきりと。
 ──扈珀だ。そうだ。扈珀を、ひとりにしてはいけない。母の思うがままに、させてはいけないのだ。

「俺は、母上の思うがままにはならない。紅隆は、自分の意思で殺す。紅隆を殺したら、貴様はさっさと消えろ」

 叫んだ。母の顔が、ぐにゃりと歪んだ。母が、うめき声をあげて、蹲る。目を、かたく瞑った。俺は、目覚めなければならない。目的を、果たすために。握りしめた拳に、力を込めた。

 闇が、晴れていく。一度、深く深呼吸をした。喉の突っかかりが、綺麗に消えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...