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0.夢
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「ちっちゃなタイヨウ。」
誰かがそう囁いた。冷たい手が、額を撫でた。タイヨウはひどい熱にうなされて、ひっくひっくと泣いていた。
「かわいそうなタァ」と、誰かがふたたび悲しげに囁く。「おれのちっちゃなタァ。可愛いちっちゃなタイヨウ。かわいそうになあ。熱いなあ。」
濡らした布が額を撫で、肌を拭った。タイヨウは目を開いて、その人を見た。少年だった。名前はなんだったろうか。もちろん知った顔だが、覚えていなかった。たぶん先輩の一人だろう。とても心配そうな顔をしていた。
「タァ。ちびさん。眠れるかなあ。お前が寝るまで、ついていてやるからな。」
少年は囁きながら、タイヨウの顔を覗き込んだ。熱にうなされる少年が小さく頷くと、相手はにこりと笑った。
それから、少年は火照った肌を、濡れ布巾でまた撫でた。冷たい感触に、気遣う声に、タイヨウは熱の苦しみと一人ぼっちの寂しさをいくらか紛らわせていた。
「ちっちゃなタァ。おれのちっちゃなタァ。」
いつしかうとうととして、タイヨウは目を瞑った。
誰かがそう囁いた。冷たい手が、額を撫でた。タイヨウはひどい熱にうなされて、ひっくひっくと泣いていた。
「かわいそうなタァ」と、誰かがふたたび悲しげに囁く。「おれのちっちゃなタァ。可愛いちっちゃなタイヨウ。かわいそうになあ。熱いなあ。」
濡らした布が額を撫で、肌を拭った。タイヨウは目を開いて、その人を見た。少年だった。名前はなんだったろうか。もちろん知った顔だが、覚えていなかった。たぶん先輩の一人だろう。とても心配そうな顔をしていた。
「タァ。ちびさん。眠れるかなあ。お前が寝るまで、ついていてやるからな。」
少年は囁きながら、タイヨウの顔を覗き込んだ。熱にうなされる少年が小さく頷くと、相手はにこりと笑った。
それから、少年は火照った肌を、濡れ布巾でまた撫でた。冷たい感触に、気遣う声に、タイヨウは熱の苦しみと一人ぼっちの寂しさをいくらか紛らわせていた。
「ちっちゃなタァ。おれのちっちゃなタァ。」
いつしかうとうととして、タイヨウは目を瞑った。
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