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後期の授業も全て終わり、春休みが来た。
学科のガイダンスを終えた後、俺は一目散に奈菜を探した。
一階を急ぎ足で歩いていると、玄関を丁度出るところで奈菜を見つけた。
俺は奈菜の肩を掴んだ。
奈菜は俺の顔を見ると泣き出しそうな顔をしていた。
その涙の意味するところは分からない。
「奈菜、あの、時間ある?」
俺はためらいがちに聞いた。
以前はもっと自然に話せていたのに、少し離れている間に付き合う前のような距離感になってしまった。
「ごめん、今日はちょっと無理」
「じゃあ、明日は?」
「できれば少し先にしてほしいんだけど……」
奈菜は少しためらい気味に言ったが、俺は食い下がった。
ここを逃したら永遠に話せなくなってしまう気がする。
「話したいことがあるんだ。聞いてもらうだけでいいから」
本当は聞いてもらうだけでなく、俺の話を聞いたあとの返答も聞きたいし、奈菜の思っていることもぶつけてほしい。
しかし、そんなことを言って奈菜が会うことを拒んでしまったら意味がない。
少しずつでいいから、仲直りをしていきたい。
「このままだと、俺たち───」
その先の言葉は口に出せなかった。
口に出して、耳で聞いて、頭で理解して、それが原因で現実のことになってしまったらと考えると、容易に口にすることができなかった。
俺は奈菜の反応を見る。
奈菜は、伏し目がちにうなずいた。
「わたしも、このままじゃだめだと思ってた」
どこか疲れ果てたような力のない声だ。
最近の俺は奈菜を悲しませることしかしていない。
あの花のような笑顔をどうやって引き出していたのか、思い出せなくなってしまった。
「明日、家まで迎えに行くから。少しドライブしない?」
「うん、分かった」
奈菜は足早に俺に背を向けて帰ろうとした。
「待って。帰り、送って行くよ」
「明日まで待って」
奈菜の眼差しは何かを訴えるような強さを持っていた。
俺はそれに応え、無言で頷いた。
奈菜が正門を出た後で、黒いモコが正門のロータリーをぐるりと回って出て行った。
公佳さんか?
いや、リアガラスに貼ってあるステッカーが別物だ。
いくら人気だからといって、モコばかりでいやになる。
明日俺は、奈菜に自分の身体の秘密を打ち明けるつもりだ。
誰かにこの体質について打ち明けるのは初めてである。
奈菜はどう思うだろうか。
そして、奈菜のどんな反応も、俺はきちんと受け止められるのか。
最近見せなくなった笑顔。
奪ったのは俺だ。
俺は奈菜が好きだ。
奈菜の笑顔が大好きだ。
その笑顔のためなら、俺はどんなことだってする。
体を張って奈菜の笑顔を守れるのなら、俺はどうなったっていい。
奈菜が笑顔を俺ではなく他の誰かに向けたいというのであれば、その時は悔しいが潔く身を引こうとも思う。
自分のせいで奈菜の笑顔が見られなくなるより、他人に向けた笑顔を遠くから眺めている方がいい。
でも、できることなら、その笑顔の向かいにいるのは、ずっと俺であってほしい。
どんな結果になってもいいから、もう一度だけ、笑ってほしい。
俺は、どんなに悲しんだって、苦しんだっていいから、奈菜だけは、笑っていてほしい。
大学から帰宅した後、俺は家に荷物を置いてすぐに公園に向かった。
昨日トオルに会えなかったため、すぐにでも無事であることを確認したいと思ったからだ。
心なしか、奈菜との心の隙間をトオルで埋めているような気がして、二人に対して罪悪感を抱いた。
小走りで道を進み、公園の入り口が見えてきたところで、ぼちゃんっという音がした。
カエルが飛び込むような小さい音ではなく大きい音だ。
嫌な予感がする。
俺は走って公園の入り口を通り過ぎた。
一直線に池へ向かうと、誰かが池の中でもがいていた。
俺は一瞬で自体を察した。
周囲を見ると誰もいない。
俺はすぐに、池フェンスのない部分から池に飛び込んだ。
小さな池のわりに意外に深く、俺の腰のあたりまで水位はあった。
俺はもがくトオルの身体を引き寄せ抱き上げる。
そして池から上がり、トオルの背中をさすって水を吐かせた。
落ち着きを取り戻したトオルは大声をあげて泣き出した。
俺の胸に縋り付く。
このまま何も見ずに眠ってくれるといいのだが、泣き止んだところで顔を上げた。
「カナトお兄ちゃん、ありが……」
トオルは俺の方を向いて硬直した。
初めて見る透明人間だ。
怖いに決まっている。
相当ショックを受けたのだろう。
トオルはそのまま気を失った。
池を眺めると、紙飛行機が池の表面で浮かんでいた。
トオルはあれを拾おうとしたのだろう。
いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
俺がこうして駆け付けたからいいが、来るのが遅れていたらトオルの命はどうなっていたか。
俺はすぐ行動に出た。
ダッフルコートの帽子を被り、念の為周囲に人がいない事を確認して、トオルを抱いて走った。
できるだけ人通りの少ない道を選んだが、誰かに見られていないという確証はない。
しかし立ち止まるという選択肢は俺になかった。
俺は一目散に自分の家に向かった。
家に着くと、外出から帰ってきた母親と玄関に出会した。
母は姿の見えない俺を見ても驚かなかった。
どこかでヘマして水でもかぶったのだろう、くらいにしか考えていない。
「あれ?可那人どうしたの?びしょ濡れじゃない……っていうかその子どうしたの!?」
腕に抱いたトオルを見て驚きの声を上げた。
「池で溺れてた。気絶してるだけだから心配はいらない。悪いけど着替えさせてくれない?俺の身体が戻ったら連れていくから」
「連れていくってどこに!?」
「児童相談所。保護してもらう」
「どういう事?」
「急いでるから着替えだけお願い」
母にトオルを任せて俺は身体をバスタオルで拭いて着替えた。
風呂に入っている時間はないのでとにかく身体を乾かすことに注力した。
ひたすらドライヤーで全身を乾かすこと十数分。やっと元に戻ったので、居間にいる母とトオルの元へ向かった。
俺が小さい頃着ていた服に着替えたトオルは、まだ目覚めなかったが、呼吸を聞く限り異常はないだろう。
気持ちよさそうに寝ているようだ
俺は目を覚さないようにトオルを毛布に包んで運んで、車の後部座席に乗せた。向かう先は児童相談所だ。
本当は病院に連れていくべきなんだろうが、病院に連れて行き、母親が呼ばれてしまったら、保護するタイミングを完全に失ってしまう。
そろそろ潮時だ。
俺の秘密を知られた以上、トオルと前と同じように一緒にいるのは無理だ。
俺のことを誰かに話してしまうかもしれないし、子どもとはいえ自分の弱みを握られているようで気が気でない。
話してわかる年齢でもないし、寂しいがトオルとはもうお別れだ。
急ぎつつも安全運転で車を走らせた。
時折後部座席のトオルを見たが、まだ目を覚まさなかった。
児童相談所に着き、駐車場に車を停めた。
車から降りてトオルを毛布ごと抱き上げて、入り口に向かう。
「すみません、橘と言いますが、眞壁さんをお願いします」
受付の女性に要件のみ告げる。
女性は困惑しつつも眞壁さんに取り次いでくれた。
「橘さん、どうしたんですか!?」
「昨日お伝えしていたトオル君です。池で溺れていたので保護しました。このままでは危険です。どうかこちらで保護してあげてください。まずは病院に連れて行ってあげてください。母親とその交際相手に見つかったら何をされるか分かりません」
「橘さん、申し訳ありません。昨日、トオル君の親御さんに会いに行ったら警戒されてしまってトオル君とも会う事ができませんでした」
「眞壁さんを責めるつもりはありません。どうかトオルを助けてください」
「私達が責任を持ってお預かりします」
「あ、でもこれ、誘拐ってことになりますか?」
「大丈夫です。こちらでうまくやります」
話がひと段落し、俺は児童相談所を後にした。
車の中で一息吐く。
最後まで面倒を見きれなかったのが心残りだが、もうどうしようもない。
トオル、幸せに暮らせよ。
学科のガイダンスを終えた後、俺は一目散に奈菜を探した。
一階を急ぎ足で歩いていると、玄関を丁度出るところで奈菜を見つけた。
俺は奈菜の肩を掴んだ。
奈菜は俺の顔を見ると泣き出しそうな顔をしていた。
その涙の意味するところは分からない。
「奈菜、あの、時間ある?」
俺はためらいがちに聞いた。
以前はもっと自然に話せていたのに、少し離れている間に付き合う前のような距離感になってしまった。
「ごめん、今日はちょっと無理」
「じゃあ、明日は?」
「できれば少し先にしてほしいんだけど……」
奈菜は少しためらい気味に言ったが、俺は食い下がった。
ここを逃したら永遠に話せなくなってしまう気がする。
「話したいことがあるんだ。聞いてもらうだけでいいから」
本当は聞いてもらうだけでなく、俺の話を聞いたあとの返答も聞きたいし、奈菜の思っていることもぶつけてほしい。
しかし、そんなことを言って奈菜が会うことを拒んでしまったら意味がない。
少しずつでいいから、仲直りをしていきたい。
「このままだと、俺たち───」
その先の言葉は口に出せなかった。
口に出して、耳で聞いて、頭で理解して、それが原因で現実のことになってしまったらと考えると、容易に口にすることができなかった。
俺は奈菜の反応を見る。
奈菜は、伏し目がちにうなずいた。
「わたしも、このままじゃだめだと思ってた」
どこか疲れ果てたような力のない声だ。
最近の俺は奈菜を悲しませることしかしていない。
あの花のような笑顔をどうやって引き出していたのか、思い出せなくなってしまった。
「明日、家まで迎えに行くから。少しドライブしない?」
「うん、分かった」
奈菜は足早に俺に背を向けて帰ろうとした。
「待って。帰り、送って行くよ」
「明日まで待って」
奈菜の眼差しは何かを訴えるような強さを持っていた。
俺はそれに応え、無言で頷いた。
奈菜が正門を出た後で、黒いモコが正門のロータリーをぐるりと回って出て行った。
公佳さんか?
いや、リアガラスに貼ってあるステッカーが別物だ。
いくら人気だからといって、モコばかりでいやになる。
明日俺は、奈菜に自分の身体の秘密を打ち明けるつもりだ。
誰かにこの体質について打ち明けるのは初めてである。
奈菜はどう思うだろうか。
そして、奈菜のどんな反応も、俺はきちんと受け止められるのか。
最近見せなくなった笑顔。
奪ったのは俺だ。
俺は奈菜が好きだ。
奈菜の笑顔が大好きだ。
その笑顔のためなら、俺はどんなことだってする。
体を張って奈菜の笑顔を守れるのなら、俺はどうなったっていい。
奈菜が笑顔を俺ではなく他の誰かに向けたいというのであれば、その時は悔しいが潔く身を引こうとも思う。
自分のせいで奈菜の笑顔が見られなくなるより、他人に向けた笑顔を遠くから眺めている方がいい。
でも、できることなら、その笑顔の向かいにいるのは、ずっと俺であってほしい。
どんな結果になってもいいから、もう一度だけ、笑ってほしい。
俺は、どんなに悲しんだって、苦しんだっていいから、奈菜だけは、笑っていてほしい。
大学から帰宅した後、俺は家に荷物を置いてすぐに公園に向かった。
昨日トオルに会えなかったため、すぐにでも無事であることを確認したいと思ったからだ。
心なしか、奈菜との心の隙間をトオルで埋めているような気がして、二人に対して罪悪感を抱いた。
小走りで道を進み、公園の入り口が見えてきたところで、ぼちゃんっという音がした。
カエルが飛び込むような小さい音ではなく大きい音だ。
嫌な予感がする。
俺は走って公園の入り口を通り過ぎた。
一直線に池へ向かうと、誰かが池の中でもがいていた。
俺は一瞬で自体を察した。
周囲を見ると誰もいない。
俺はすぐに、池フェンスのない部分から池に飛び込んだ。
小さな池のわりに意外に深く、俺の腰のあたりまで水位はあった。
俺はもがくトオルの身体を引き寄せ抱き上げる。
そして池から上がり、トオルの背中をさすって水を吐かせた。
落ち着きを取り戻したトオルは大声をあげて泣き出した。
俺の胸に縋り付く。
このまま何も見ずに眠ってくれるといいのだが、泣き止んだところで顔を上げた。
「カナトお兄ちゃん、ありが……」
トオルは俺の方を向いて硬直した。
初めて見る透明人間だ。
怖いに決まっている。
相当ショックを受けたのだろう。
トオルはそのまま気を失った。
池を眺めると、紙飛行機が池の表面で浮かんでいた。
トオルはあれを拾おうとしたのだろう。
いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
俺がこうして駆け付けたからいいが、来るのが遅れていたらトオルの命はどうなっていたか。
俺はすぐ行動に出た。
ダッフルコートの帽子を被り、念の為周囲に人がいない事を確認して、トオルを抱いて走った。
できるだけ人通りの少ない道を選んだが、誰かに見られていないという確証はない。
しかし立ち止まるという選択肢は俺になかった。
俺は一目散に自分の家に向かった。
家に着くと、外出から帰ってきた母親と玄関に出会した。
母は姿の見えない俺を見ても驚かなかった。
どこかでヘマして水でもかぶったのだろう、くらいにしか考えていない。
「あれ?可那人どうしたの?びしょ濡れじゃない……っていうかその子どうしたの!?」
腕に抱いたトオルを見て驚きの声を上げた。
「池で溺れてた。気絶してるだけだから心配はいらない。悪いけど着替えさせてくれない?俺の身体が戻ったら連れていくから」
「連れていくってどこに!?」
「児童相談所。保護してもらう」
「どういう事?」
「急いでるから着替えだけお願い」
母にトオルを任せて俺は身体をバスタオルで拭いて着替えた。
風呂に入っている時間はないのでとにかく身体を乾かすことに注力した。
ひたすらドライヤーで全身を乾かすこと十数分。やっと元に戻ったので、居間にいる母とトオルの元へ向かった。
俺が小さい頃着ていた服に着替えたトオルは、まだ目覚めなかったが、呼吸を聞く限り異常はないだろう。
気持ちよさそうに寝ているようだ
俺は目を覚さないようにトオルを毛布に包んで運んで、車の後部座席に乗せた。向かう先は児童相談所だ。
本当は病院に連れていくべきなんだろうが、病院に連れて行き、母親が呼ばれてしまったら、保護するタイミングを完全に失ってしまう。
そろそろ潮時だ。
俺の秘密を知られた以上、トオルと前と同じように一緒にいるのは無理だ。
俺のことを誰かに話してしまうかもしれないし、子どもとはいえ自分の弱みを握られているようで気が気でない。
話してわかる年齢でもないし、寂しいがトオルとはもうお別れだ。
急ぎつつも安全運転で車を走らせた。
時折後部座席のトオルを見たが、まだ目を覚まさなかった。
児童相談所に着き、駐車場に車を停めた。
車から降りてトオルを毛布ごと抱き上げて、入り口に向かう。
「すみません、橘と言いますが、眞壁さんをお願いします」
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「橘さん、どうしたんですか!?」
「昨日お伝えしていたトオル君です。池で溺れていたので保護しました。このままでは危険です。どうかこちらで保護してあげてください。まずは病院に連れて行ってあげてください。母親とその交際相手に見つかったら何をされるか分かりません」
「橘さん、申し訳ありません。昨日、トオル君の親御さんに会いに行ったら警戒されてしまってトオル君とも会う事ができませんでした」
「眞壁さんを責めるつもりはありません。どうかトオルを助けてください」
「私達が責任を持ってお預かりします」
「あ、でもこれ、誘拐ってことになりますか?」
「大丈夫です。こちらでうまくやります」
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