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6章
6-2 図太く生きる(2)
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礼拝堂に行ってみると、そこには顔を伏して祈りをささげる父の姿があった。
私達は静かに礼拝堂へと入り、そんな彼の背後へと歩み寄る。
「クリストフか?」
父は低くしゃがれた声で言った。
ずいぶん白髪が増えた、彼の姿を間近で見て、私はふとそう思った。
「いえ、オーレリアです」
私は言った。
私の声に驚き、父は少し慌てたようにして私達の方へと振り返る。
「なぜ、お前がここにいる……?」
「父上にお話があるからです」
「話……? お前の話など聞くものか! 帰れ! お前のような醜い娘は、私の娘ではない!」
「父上! 何を仰られますか! レーアはあなたの娘、私達の妹です!」
メリッサ姉様が父の言動に怒りをあらわにした。
私は手を伸ばし、そんなメリッサ姉様の言葉を止めた。
「私を娘だと思ってくださらないなら、それはそれで結構です。では、神学者サイード様の紹介でやってきた、アルバート・ディアックの使いとして私の話を聞いていただきたい」
「……何……だと?」
父は戸惑った。そんな彼に、私はサイード様の紹介状を見せる。
サイード様はこんな状況になることを予想して、教会を去る前に紹介状を書いて私に渡してくれたのだ。
「よもや父上も、聖皇様すら耳を傾ける神学者様のお言葉を無視するなどという、教会の権威につばを吐くような真似はなさらないでしょう?」
私は言った。
父は舌打ちをした。
「姑息な真似を……」
「あなたの娘ですから」
私は笑って言った。
「いいだろう……、話は聞いてやる。何が望みだ」
「レオノール・ディアック伯が弟のフェルナン・ディアックを毒殺し、その後、フェルナンに協力的だった家臣や領民を粛清して回っているのは父もご存知のことと思います」
「……ああ」
父はうなずいた。私は続ける。
「そこで、そんなレオノール・ディアックを討つべく、アルバート・ディアックが近く挙兵いたします。父上には軍を動かして、彼の側に付いていただきたい」
私は言った。
しばらく、父は無言で考えた。その後、
「それは出来ない」
と私に短く答えた。
「これはお前がどうこうという話でもなく、客観的に考えて出来ない。我が領にはアルバート・ディアックを援護する値打ちがない。そのために領主として、軍を動かすことは出来ない」
父は淡々と私に理由を説いた。
しかし、私は言葉を返す。
「確かに領主としてはそうでしょう。しかし、父上ご自身の立場を考えれば、軍を動かすことには値打ちがあるのです」
「何だと……」
「ロンバルド公はすでにアルバート・ディアックへの援軍を約束くださいました。父上が援軍をくださらなくても、アルバートは勝つことには勝てるのです」
私は嘘をついた。
ロンバルド公が軍を出してくれるのは、父上が援軍を出すと決めた場合だけという取り決めだ。
しかし。
私はメリッサ姉様の方へと振り返る。
すると、メリッサ姉様は、私に無言でうなずいてくれた。
その頷きは、私にとっては姉様が私の嘘に乗ってくれるという意味だけれど、父上にとってはロンバルド公が援軍に同意したという意味にしか映らない。
「――父上に援軍をお願いしているのは、あくまでも、戦争を一瞬で終わらせるためです。アルバートは内戦の長期化によって、王国や領民に悪影響が出ることを恐れ、あえてこうして私を使いにやったのです」
父上は少し顔色を変えた。額に少し汗がにじんでいた。
「それで? それが、私が援軍を出すことにどうつながる?」
「ええ。それは、これから説明いたします」
父が話に食いついてきた。
――勝った。私は心の中で確信した。
はやる気持ちを押さえるため、私は深呼吸をしてから説明を始める。
「レオノール・ディアック伯の背後にいるのはローテルマン公です。ローテルマン公は、父も懇意にされている公爵……そうですね?」
「ああ、そうだ。クリストフにでも聞いたか?」
父はクリストフ兄様の方をにらむ。けれど、兄様はとぼけた。
「しかし、ローテルマン公はディアック伯のことをあまり信用しておりません。彼を支持しているのは、あくまでも先代ディアック伯の後継者だからという理由で、最近の彼の目に余る蛮行に、ローテルマン公は頭を悩ませているそうです。これは聖アルメヌアス教会の関係者からの情報ですから、ほぼ間違いありません。
そこで、アルバート・ディアックが兄のレオノール・ディアック伯を討つとどうなるでしょうか。
領民は彼を英雄だと語り継ぐでしょう。弟を毒殺したレオノールを討ったとなれば、貴族達もアルバートの行動を高く評価します。それを受けて、国王もおそらくはアルバートの行動を賞賛するであろうと考えられます」
私は父の反応をうかがいながら、淡々と説明を続けた。
父は私の言葉の真偽を確認しながら話を聞いているようだったけれど、私の予想に一定の説得力はあると判断しているようだった。
「では、話を、父上の立場の話に戻しましょう。アルバートは未婚です。彼が英雄だと王国中で語り継がれるようになれば、ローテルマン公は彼を身内に取り込もうとするでしょう。ローテルマン公は王家の血筋を引いておられますから、王族の親族となったアルバートは王国内でどんどん出世をしていくはずです。
……そうなれば、父上やアブドゥナー家の立場はどうなりましょうか。かたや飛ぶ鳥を落とす勢いで出世をするディアック家、かたや実績はあるものの王家とのつながりのないアブドゥナー家――、国王やローテルマン公がどちらを重宝するようになるかは、聡い父上ならばすぐにおわかりになられましょう」
その時、父はつばをのみ込んだ。
「……それで?」
父はつぶやいた。
私は答える。
「ですから、父上は援軍の条件として、アルバートが私を妻にめとることという条件を付ければ良いのです。そうすれば、父上はアルバートの出世を止められるだけでなく、英雄に手を貸した勇気ある義父として大衆からも賞賛されましょう」
私が言った後、父はしばらく黙っていた。
やがて、くくくく、と顔を伏しながら笑いをもらし始める。
「悪くはない。悪くはない計画ではないか。腐っても、私の娘ということか……」
身勝手な父の言葉に、私は拳を握ってじっと怒りを抑えた。
そして、怒りがもれないように、ゆっくりと言葉を吐き出す。
「……私もアブドゥナー家の者ですから、アブドゥナー家の利益を常に考えています。それに、私とアルバートは愛し合っているのです。私はアルバートと一緒になれるのなら、それだけで構いません」
父は笑った。
「いいだろう。しかし、私はお前やディアックのせがれを信用しているわけではない。お前の言葉に嘘がないと見極められるまで、お前に監視を付けさせてもらう。それで良いなら援軍を出してやろう」
私はうなずいた。
「……それで、父上のお気が済むのなら」
父との面会の後、私達は部屋を与えられ、しばらくそこに滞在することとなった。
その部屋は、四年前まで私が暮らしていた部屋で、部屋の内装は四年前から全くと言っていいほど変わりがなかった。
「放っておかれているのか、それともまだどこかで娘だと思ってもらえているのか……」
その真相は確かめようがない。
きっと父も母も自分の気持ちを、誰かに正直に打ち明けることはないだろう。
私は部屋に入った後、ベッドの縁に腰をかけた。
その時、ファリンダがそんな私に抱きついてきた。
「レーア様! これでとうとう、アルバート様とご結婚されるのですね!」
自分のことのように喜んでくれるファリンダ。
私はそんな彼女を見て、溜め息をついた。
「残念だけれど、私はアルバートとは結婚しないわ」
私は言った。
すると、ファリンダの顔から見る見るうちに笑みが消えていく。
「……どうしてですか? まさか、お父上への復讐のため?」
「結果的にはそうなるかもしれないけれど、違うわ」
私はファリンダの頭をなでながら続ける。
「今回の件でディアック伯領は荒廃しきってしまった。領地を復興し直すためには、お金や物資などの他領からの援助がいるのよ。父上は私とアルバートが結婚しても、ディアック伯領には一切援助はしない。けれど、アルバートとローテルマン公のご息女が結婚されれば、アルバートはローテルマン公の援助を受けることが出来る。そうすれば、領民の皆が幸せになれるのよ」
「では、レーア様の幸せはどうなるのですか?」
ファリンダは今にも泣きそうな顔をして言った。
「私だってそれなりに幸せになれるわ。皆が喜んでくれる。アルバートの夢が叶う。ファリンダがそばに居てくれる。自由になって、いろんなところを旅して、いろんなものを見てみたいとも思っていたしね。……いっそのこと、サイード様の従者にでもさせてもらって、一緒について回るのもいいかもしれない。そうすれば旅費の心配はしなくて済みそうだし」
私が言うと、ファリンダはすねてベッドの中に転がり込んだ。
「そういえばファリンダ。もう岩飴はもらってきた? 私、食べたいんだけれど」
「知らないです! 自分でもらってくれば良いんじゃないですか?」
「私が行くと、何か企んでるんじゃないかって父上が疑うでしょ?」
「知らないです! じゃあ、我慢してください!」
完全に聞く耳をもたなくなってしまったファリンダ。
その後、私は彼女をくすぐって無理やり笑わせた。
私達は静かに礼拝堂へと入り、そんな彼の背後へと歩み寄る。
「クリストフか?」
父は低くしゃがれた声で言った。
ずいぶん白髪が増えた、彼の姿を間近で見て、私はふとそう思った。
「いえ、オーレリアです」
私は言った。
私の声に驚き、父は少し慌てたようにして私達の方へと振り返る。
「なぜ、お前がここにいる……?」
「父上にお話があるからです」
「話……? お前の話など聞くものか! 帰れ! お前のような醜い娘は、私の娘ではない!」
「父上! 何を仰られますか! レーアはあなたの娘、私達の妹です!」
メリッサ姉様が父の言動に怒りをあらわにした。
私は手を伸ばし、そんなメリッサ姉様の言葉を止めた。
「私を娘だと思ってくださらないなら、それはそれで結構です。では、神学者サイード様の紹介でやってきた、アルバート・ディアックの使いとして私の話を聞いていただきたい」
「……何……だと?」
父は戸惑った。そんな彼に、私はサイード様の紹介状を見せる。
サイード様はこんな状況になることを予想して、教会を去る前に紹介状を書いて私に渡してくれたのだ。
「よもや父上も、聖皇様すら耳を傾ける神学者様のお言葉を無視するなどという、教会の権威につばを吐くような真似はなさらないでしょう?」
私は言った。
父は舌打ちをした。
「姑息な真似を……」
「あなたの娘ですから」
私は笑って言った。
「いいだろう……、話は聞いてやる。何が望みだ」
「レオノール・ディアック伯が弟のフェルナン・ディアックを毒殺し、その後、フェルナンに協力的だった家臣や領民を粛清して回っているのは父もご存知のことと思います」
「……ああ」
父はうなずいた。私は続ける。
「そこで、そんなレオノール・ディアックを討つべく、アルバート・ディアックが近く挙兵いたします。父上には軍を動かして、彼の側に付いていただきたい」
私は言った。
しばらく、父は無言で考えた。その後、
「それは出来ない」
と私に短く答えた。
「これはお前がどうこうという話でもなく、客観的に考えて出来ない。我が領にはアルバート・ディアックを援護する値打ちがない。そのために領主として、軍を動かすことは出来ない」
父は淡々と私に理由を説いた。
しかし、私は言葉を返す。
「確かに領主としてはそうでしょう。しかし、父上ご自身の立場を考えれば、軍を動かすことには値打ちがあるのです」
「何だと……」
「ロンバルド公はすでにアルバート・ディアックへの援軍を約束くださいました。父上が援軍をくださらなくても、アルバートは勝つことには勝てるのです」
私は嘘をついた。
ロンバルド公が軍を出してくれるのは、父上が援軍を出すと決めた場合だけという取り決めだ。
しかし。
私はメリッサ姉様の方へと振り返る。
すると、メリッサ姉様は、私に無言でうなずいてくれた。
その頷きは、私にとっては姉様が私の嘘に乗ってくれるという意味だけれど、父上にとってはロンバルド公が援軍に同意したという意味にしか映らない。
「――父上に援軍をお願いしているのは、あくまでも、戦争を一瞬で終わらせるためです。アルバートは内戦の長期化によって、王国や領民に悪影響が出ることを恐れ、あえてこうして私を使いにやったのです」
父上は少し顔色を変えた。額に少し汗がにじんでいた。
「それで? それが、私が援軍を出すことにどうつながる?」
「ええ。それは、これから説明いたします」
父が話に食いついてきた。
――勝った。私は心の中で確信した。
はやる気持ちを押さえるため、私は深呼吸をしてから説明を始める。
「レオノール・ディアック伯の背後にいるのはローテルマン公です。ローテルマン公は、父も懇意にされている公爵……そうですね?」
「ああ、そうだ。クリストフにでも聞いたか?」
父はクリストフ兄様の方をにらむ。けれど、兄様はとぼけた。
「しかし、ローテルマン公はディアック伯のことをあまり信用しておりません。彼を支持しているのは、あくまでも先代ディアック伯の後継者だからという理由で、最近の彼の目に余る蛮行に、ローテルマン公は頭を悩ませているそうです。これは聖アルメヌアス教会の関係者からの情報ですから、ほぼ間違いありません。
そこで、アルバート・ディアックが兄のレオノール・ディアック伯を討つとどうなるでしょうか。
領民は彼を英雄だと語り継ぐでしょう。弟を毒殺したレオノールを討ったとなれば、貴族達もアルバートの行動を高く評価します。それを受けて、国王もおそらくはアルバートの行動を賞賛するであろうと考えられます」
私は父の反応をうかがいながら、淡々と説明を続けた。
父は私の言葉の真偽を確認しながら話を聞いているようだったけれど、私の予想に一定の説得力はあると判断しているようだった。
「では、話を、父上の立場の話に戻しましょう。アルバートは未婚です。彼が英雄だと王国中で語り継がれるようになれば、ローテルマン公は彼を身内に取り込もうとするでしょう。ローテルマン公は王家の血筋を引いておられますから、王族の親族となったアルバートは王国内でどんどん出世をしていくはずです。
……そうなれば、父上やアブドゥナー家の立場はどうなりましょうか。かたや飛ぶ鳥を落とす勢いで出世をするディアック家、かたや実績はあるものの王家とのつながりのないアブドゥナー家――、国王やローテルマン公がどちらを重宝するようになるかは、聡い父上ならばすぐにおわかりになられましょう」
その時、父はつばをのみ込んだ。
「……それで?」
父はつぶやいた。
私は答える。
「ですから、父上は援軍の条件として、アルバートが私を妻にめとることという条件を付ければ良いのです。そうすれば、父上はアルバートの出世を止められるだけでなく、英雄に手を貸した勇気ある義父として大衆からも賞賛されましょう」
私が言った後、父はしばらく黙っていた。
やがて、くくくく、と顔を伏しながら笑いをもらし始める。
「悪くはない。悪くはない計画ではないか。腐っても、私の娘ということか……」
身勝手な父の言葉に、私は拳を握ってじっと怒りを抑えた。
そして、怒りがもれないように、ゆっくりと言葉を吐き出す。
「……私もアブドゥナー家の者ですから、アブドゥナー家の利益を常に考えています。それに、私とアルバートは愛し合っているのです。私はアルバートと一緒になれるのなら、それだけで構いません」
父は笑った。
「いいだろう。しかし、私はお前やディアックのせがれを信用しているわけではない。お前の言葉に嘘がないと見極められるまで、お前に監視を付けさせてもらう。それで良いなら援軍を出してやろう」
私はうなずいた。
「……それで、父上のお気が済むのなら」
父との面会の後、私達は部屋を与えられ、しばらくそこに滞在することとなった。
その部屋は、四年前まで私が暮らしていた部屋で、部屋の内装は四年前から全くと言っていいほど変わりがなかった。
「放っておかれているのか、それともまだどこかで娘だと思ってもらえているのか……」
その真相は確かめようがない。
きっと父も母も自分の気持ちを、誰かに正直に打ち明けることはないだろう。
私は部屋に入った後、ベッドの縁に腰をかけた。
その時、ファリンダがそんな私に抱きついてきた。
「レーア様! これでとうとう、アルバート様とご結婚されるのですね!」
自分のことのように喜んでくれるファリンダ。
私はそんな彼女を見て、溜め息をついた。
「残念だけれど、私はアルバートとは結婚しないわ」
私は言った。
すると、ファリンダの顔から見る見るうちに笑みが消えていく。
「……どうしてですか? まさか、お父上への復讐のため?」
「結果的にはそうなるかもしれないけれど、違うわ」
私はファリンダの頭をなでながら続ける。
「今回の件でディアック伯領は荒廃しきってしまった。領地を復興し直すためには、お金や物資などの他領からの援助がいるのよ。父上は私とアルバートが結婚しても、ディアック伯領には一切援助はしない。けれど、アルバートとローテルマン公のご息女が結婚されれば、アルバートはローテルマン公の援助を受けることが出来る。そうすれば、領民の皆が幸せになれるのよ」
「では、レーア様の幸せはどうなるのですか?」
ファリンダは今にも泣きそうな顔をして言った。
「私だってそれなりに幸せになれるわ。皆が喜んでくれる。アルバートの夢が叶う。ファリンダがそばに居てくれる。自由になって、いろんなところを旅して、いろんなものを見てみたいとも思っていたしね。……いっそのこと、サイード様の従者にでもさせてもらって、一緒について回るのもいいかもしれない。そうすれば旅費の心配はしなくて済みそうだし」
私が言うと、ファリンダはすねてベッドの中に転がり込んだ。
「そういえばファリンダ。もう岩飴はもらってきた? 私、食べたいんだけれど」
「知らないです! 自分でもらってくれば良いんじゃないですか?」
「私が行くと、何か企んでるんじゃないかって父上が疑うでしょ?」
「知らないです! じゃあ、我慢してください!」
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