転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~

アズドラ

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第157話

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 エマルタでの騒動からしばらく後、ティフォン達を住人に迎え入れた。最初戸惑っていたがだいぶ慣れてきたようで皆と仲良くしてくれている。
「ティフォンさん、お願いします……」
「キッドさんいらっしゃい、またずいぶんとやられて」
「はい……」
 ティフォンは元々医学の勉強をしていたという事もありマリーからここの医療系の仕事を引き継ぎ医者として活躍している。主に修行でボッコボコにされて運ばれてくるキッドの手当てと体調不良の子達の看病をしている感じだが、聞くと出産などの知識もあるという事で今後いろいろと助けてもらうことが決定しているしなによりティフォンが医療に強いおかげで本業ではないマリーに兼任でお願いしていた負担が減ったのも嬉しいことだ。まぁ、そのお陰でマリーが頻繁にコボルト坑道に入ってしばらく出てこなくなってしまったのだが……
「ククちゃんこっちー!」
「キュウ!」
 ククはその可愛さからアーシラ達に大人気でずっと他のチビッ子動物軍団と一緒に走り回っている。アルコは片方の翼を失ったため飛翔能力は失ってしまったが今は体力も回復して歩き回っているのと同じ鳥系の為かヨゾラやシラユキと仲が良く雑談して楽しんでいるみたいだ、本人曰くここでのんびり余生を過ごさせてもらうとのことだ。ちなみに尾羽はそのうち生えてくるとのことだし切り落とした翼は有効活用してくれと尾羽と共にクーネリアに提供された。もちろん彼女は超レア素材に狂喜乱舞の大喜びだったのは言うまでもなく工房に引きこもってしまった。
「ティフォンさん達馴染めて良かったね」
「アズハ、歩いて平気?」
「平気、少しは運動しないとね」
 アズハのお腹はすっかり大きくなり、子供達はすくすく育っていてもうすぐ産まれるとのことだ。最近は体に気を使って部屋に居ることが多いがたまにお散歩して回ってるらしい、ちなみに常にフブキがついて回ってくれてるため転倒など危ないことは全くない。護衛に介護、何でもできるマジの名犬? である!!
「タカトこそその子は大丈夫なの?」
「ん~どうなんだろ? 魔力を吸いまくってる感覚はあるんだけど、成長してるというか俺を見て何かを覚えてる? みたいな感じなんだよね」
 新たな家族を迎えて環境がまた少し良くなって俺はというと胸からモフモフの布を襷掛けにしてアルコから託された卵を四六時中抱きかかえているのだ。孵化のために親となるドラゴンが必要とのことで間違いなくドラゴンの一般的な育て方ではないが一緒に居て面倒を見ている、時々動いているしそろそろ産まれるかもしれない。
「早く生まれてくれるといいね。この子達のお兄ちゃんかお姉ちゃんになるのかな?」
 アズハは俺が抱える卵を撫でて見せる。確かにこの子も産まれたら兄弟になるのかな?
「たぶんアルコの魔力で十分成長はしてるんですけど。この子のあり方を決める竜の親が居ないため止まってたんだと思います、私は混ざりもので親の代わりにはならなかったみたいですので」
 話しているとキッドの手当てを終えたティフォンがやってきていた。ククやアルコもだが出会った時はくすんでいた宝石のような部位は栄養問題の解消と十分な魔力の吸収により美しい輝きを取り戻し煌めいている。アルコなんて虹孔雀という名の通り七色に輝く美しい羽毛を取り戻している、いつか尾羽が再生したら広げて見せてもらおう。
「ティフォンみたいに綺麗な姿で産まれて来てくれればいいんだけどね。俺みたいな黒い鱗じゃ可哀想だ……」
「別に黒でもかっこいいと思うよ?」
 アズハはそう言いながらまた卵を撫でて見せる。
「ありがと、でも黒い鱗の竜は悪名がつき過ぎてる気がするんだよね……きっと生きづらいよ」
「でも同じくらい名声もあると思うよ?」
 改めて振り返ると俺、めっちゃやらかしてない? ほんとある意味アニメ、マンガの主人公以上に……でもあれはあれで実力隠したり国に振り回されたりしてくっそめんどくさいし嫌だったんだよなぁ……実力隠しててとか誰にも認められなくて追放とかバカバカし過ぎる、それなら今みたいに好き勝手した方が楽か……結局俺みたいな馬鹿がどんなに考えてもどうしようもないな。
「この子達もアズハに似てくれればいいな」
 俺はそっとアズハのお腹に手を置く、せめてこの子達も好きなように自分の意思で考えて決めて生きて行けるようある程度の平和な道は用意してあげたいな。
「っとそれより検診だよね? 邪魔してごめん」
「いえいえ、仲のいい夫婦だなって。そんな両親に恵まれてこの子達も幸せですよ」
「ありがと」
「はい!」
 そうして皆で楽しいひと時を過ごすのだった。
「じゃあアズハさん寒くなってきましたしお部屋に行きましょうか」
「はい」
 そうして俺も他の様子を見に行こうとしたその時。胸の辺りが急に熱くなりブルブルと振動が始まりどんどん激しくなってくる。
「ティフォン! ちょっとまって卵が!!」
 俺は咄嗟にティフォン達を呼び止め、二人とも慌てたその声に振り返り急いで駆け寄ってくる。
「なんかすごく動いてますね! 産まれるかも!!」
 布から外し、卵を両手で持ち上げてみるとすごく熱い……そして中で何かが大きくなっている? いや、動いている気がする。
「まって、早くない!? まだしばらくかかると思ってたんだけど??」
「言ったじゃないですか! 成長に必要な分は私達の魔力で十分だったんです。言うなれば最後の仕上げが足りなかっただけで!!」
「おおう……どうすればいいの!?」
 魔力が足りないって言ってたくせに実は足りてたとか意味わかんないんだけど!! てか話が違う!!!
「落ち着いてください! ドラゴンの誕生はまず自力で殻の破壊です、それに必要な力を上げてください」
「なにを!?」
「マナですマナ!! 外から力を集めるのを助けてあげてください!!」
「わ、わかった!!」
 俺は自身の魔力でマナを集め卵に注ぎ込む。すると振動がピタッと止まった。
「止まった?」
 全員が卵を見守る中どんどんと熱くなっていき突然ヒビが入った。
「クワァー!!」
 次の瞬間、卵の上が砕け小さな頭が顔を見せた。
「産まれた!!」
 小さな竜は卵を上から少しずつ砕いていき、やがて全てを破きその全身を俺の手の上に見せるのだった。
「タカトに似てるね」
「そう?」
 周囲をきょろきょろと見回す小竜は言われてみると確かにドラゴンモードの俺によく似ている。頭部の角に加え特徴的な鼻先の一本角、今は湿って潰れているが頭部から首、背中にかけて髪のような毛も生えていて翼に長い尾と俺の基本形態によく似ている。
「白銀ではないですけど綺麗な銀色の鱗ですね」
 願いが通じたのかこの子は黒い鱗ではなかった、少し受け継いでるような気もするが深みのある綺麗な銀色だ。前に襲撃してきたシルバーワイバーンの鱗が安物の劣化品に見えるくらい美しさに差がある。
「クワァ!!」
 小竜は翼を広げパタパタと羽ばたこうとしている。しかし少し浮いたところですぐにポトッと落ちてしまうちょっと可愛らしい感じだった。
「にに、ねね! その子は?」
「アーシラ、この子は今産まれたばっかの赤ちゃんだよ」
「そうなの!? 弟!? 妹!?」
 いつの間にかやってきたアーシラは目を輝かせながら小竜を見つめている。この子はアーシラの下にあたるのかな?
「ん~男の子だ、アーシラ弟だね」
「弟だぁ!!」
 アーシラは嬉しそうに飛び跳ねている。よくよく見ると他の皆も周囲に集まって様子を見ていた、さすがに騒ぎ過ぎたか……
「にに! 抱っこしたい!!」
 アーシラは手をバッと広げてアピールしている、小竜はなんだか理解できてないようだが敵じゃないことはわかっているようだ。
「まだ産まれたばっかだから優しくね?」
「うん! ……うわっ!?」
 小竜をアーシラの目線に連れて行くとそのまま腕を伝い頭の上にあっという間に登って行ってクワァ! っと満足そうに鳴き声を上げる。
「あ、こら! 勝手に登っちゃダメ!! 抱っこしたいのに!!」
 ぷくっとアーシラはすこし不満そうだったがすぐに機嫌を直し楽しそうに遊びだした。
「ここの案内してあげる!」
 そう言うとアーシラは小竜を連れてすごい勢いで走って言ってしまった。なんとなく小竜も楽しそうな気がしたのでしばらくそのままにしてあげるとしよう。
「名前、考えてあげなきゃなぁ……」
「そうだね、でもタカトも慌てるんだね」
「うっ……そりゃ未経験の事ですし……」
 その様子を微笑ましく眺めながら新しい家族の誕生を祝う。もちろんこの日、大宴会になったのは言うまでもないことだった。
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