ELYSIUM

久保 ちはろ

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Part 24-1

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 金目の白い背中が暗闇に浮かび上がる。
 ルイは薄闇の中、うつ伏せになるまどかの背を見下ろし、一瞬息をのんだ。
 しかし、すぐに吸い込まれるように、その中央を走る脊椎に舌を這わせていた。
 山脈のように連なる小さな突起を一つ一つを確かめるように、ゆっくりと舌でなぞる。
 じっくりと時間をかけてうなじから、尾てい骨を探るように丸く盛り上がる尻が作る窪みまでゆっくり下り、そして再び時間をたっぷりかけて上まで復路を辿る。
 たまに道がそれて腰のカーブのきわを登ることもある。
 すると、彼女は体を小さく震わせ、肩甲骨を浮き上がらせて耐える。
 はぅ……はっ……はあっ…………
 シーツに幾つもの皺が寄るほど握りしめ、細かい吐息を漏らす。
 んっ……
 ルイはそっと脇から手を差し入れ、尖った腰骨をすくうようにして尻を持ち上げる。
「あっ……いや」
 金目は首をひねって振り向く。怯えるように瞳が潤んでいる。
 ルイの目にはそれが誘っているようにしか映らない。体の中心に一気に血が集結し、滾る。
 こんなにいとも簡単に自分を発情させる彼女に、悔しさに近い感情が湧き、わざと空とぼける。
「犬には人間の言葉がわからないからなぁ」
「そんな……」
 その、全てを諦めたような声色にも鳥肌がたった。
 ルイは、「犬だ」と言ったら本当に自分が一匹の犬になった気がした。
 主人である筈の金目がそんな犬畜生のなすがままに、組み伏せられている。
ーー『飼い犬に手を噛まれる』っていうのはこういうことか? ちょっと違うか……。
 目の前に突き出されている白い尻の曲線に沿って、ルイはきめ細かな肌を下からゆっくりと舐め上げる。
 全身からほのかに立つ、彼女の香りを残らず削ぎ取るように。
 あッ……
 びくっ、と唇の下で尻が小さく跳ねた。
ーーこの耳でご主人様の吐息を聞き分けて
 この鼻でご主人様の体から上るにおいを嗅ぎ分けて
 この舌でご主人様から溢れる蜜を全て舐めとって
 全身全霊をかけてご主人様が悦びの声を上げるように、奉仕するーー
 それが、犬としての役目。

 ふぁ……あっ、はぁ……あぁ……。
 金目は依然体を震わせながら甘い声を上げ続ける。時々声がくぐもるのは、シーツでもくわえているのか。
 ずっと尻だけを舐め続けていると、口の中が乾く。だから、ルイはその白い谷間にある泉で喉を潤すことにする。
 それは自然なことだろう?
 泉は既に蜜をしとどに溢れさせている。
 顔を近づけ、湧き立つ女のにおいーー濃厚なそれを深く吸い込み、酔う。浅く舌を入れ、彼女のものをすくう。
 とろりと生暖かい蜜が糸を引いて舌に甘く絡み付く。本当に喉の渇きを潤すように、忙しなく舌を動かす。
 次第に、後ろから責めるのにも飽きてきた。金目の顔が見えない分、楽しみが半減だ。
 ルイは彼女の背中に自分の胸を寄せて、火照った体を後ろから抱くと、くるりと向きを変えた。
 咄嗟のことで彼女は抵抗できず、やはりなすがままだ。
 彼女は尻をルイの腿の上に乗せて、すっぽりと抱かれた状態だった。
「きょ……うかん?」
 潤んだ瞳が不安げに揺れる。
「ルイ、だ」
 ルイは、手に少し余るくらいの乳房に、両手の指を食い込ませながら、首筋に吸い付く。
「あぁっ……る、ルイ」
 何度聞いても、聞き飽きることが無い。生まれた時からの、馴染んでかなり経つ名前のはずだが、彼女に呼ばれるとその声色に脳髄がじんと刺激される。彼女の声とルイの名前が混ざり重なり合い、特別なコードになり、体中に甘い電気を走らせる。
 彼女の声にしか反応しない、響き。 
 ルイは片手で乳房を捏ねながら、別の手でベッドのバックボードに枕を積み重ねる。そして、彼女の体をその上に押し付けた。
 少し眉を寄せて、不信な色を帯びた眼差しがルイを見上げる。
「オレはおまえの犬なんだから、おまえの命令なら何でも聞くぜ? 『おすわり』でも、『お手』でも。何か言ってみろよ」
ーー普段服従させられっぱなしの金目の立場が逆転したら、こいつは一体オレに何を要求するだろう。
 ただ単に興味がわいた。
 彼女はハッと目を瞠った。少し開いた唇から息を吸う音が微かに聞こえた。そして、すぐに顔を赤くして、ルイから視線をそらした。
 そんなに言い難い無謀な要求か。これから彼女に辱められるはずだが、ルイの胸は期待で高まった。
(面白い。勿体ぶるなよ)
「あの……」
 ルイは彼女の脚の間に体を割り込ませたまま、滑らかな腿の上で手を上下に滑らせていた。
 言い淀んだ金目は、意を決したようにルイを見据え、それでも、いっぱいいっぱい、という顔で一言、「名前で……呼んで、下さい……」と、唇を噛む。 
(え…………? ……そんな、事かよ…………)
 全く想定外だった。
 ルイの手首を後ろ手に縛って動きを封じて放置とか、屹立を自分でしごいて一回抜いてみろ、とか、それくらい言われても当然と思っていただけに、嬉しい誤算だった。
ーーそんなささやかな………それは、どちらかというと、オレの………。
 ルイが黙って彼女の顔をまじまじと見ているだけに、居心地の悪さを感じたのか、「や、やっぱり………いいです、」ごめんなさい、と金目は俯く。
「まどか」
 彼女は顔を上げたが、その目はまだ、状況を理解していないようだった。
 だから、もう一度呼んでやる。
「まどか」
 名前を呼ぶとルイの中で何かが疼いた。本当に、彼女が自分の一部になった気がした。
 狂おしい程、愛しくなった。
 彼女が首にかじり付いてきた。あまりにもいじらしく、体を抱きしめ、首筋から耳をべろりと舐める。もう一度。
「ふぁ……」
「まどか」
 耳の、軟骨に軽く歯を立てた。
「あぁ……るぅい……」
 耳元でとろけるような声で囁かれ、かっと血が逆流した。口の中で転がしていた耳たぶに、つい強く歯を立てた。
「いたいっ」
 彼女がルイの下で一瞬身を強張らせた。口に微かに、あの鉄のような独特の味が淡く広がった。
「あ……」
 刹那、さすがにルイも素に戻った。
 ほんの少し、耳たぶの縁に血がにじんでいた。
「悪い………ごめん、ちょっと、切れた」
 目の前の濡れた瞳は、「信じられない」と言っている。
 傷つけるつもりはなかったんだ、とルイは小さな耳たぶにしゃぶり付く。
「ごめん」と、無心で舌を這わす。そうすれば傷が跡形も無く消えると信じているように。そしてまどかの血が少しでも自分の中で混和し、流れ、巡るように。
ーーおまえの名前がオレを狂わせたんだよ、舞い上がったんだよ、そう言って彼女を責めるのは正当なことのようにも思え、また、安い言い訳のような気もした。
「ぅン……は、あ……」
 まどかはたちまち、ルイの愛撫に反応する。首に回された腕がキツい。このまま首を締め上げてくれてもいい。
 ほとんど彼女に体を預けてその背中に片手を回し、もう一方で強く乳房を揉みしだいた。
「ごめん」
 耳への愛撫は依然続いていて、その合間にもう一度、謝った。
「も………、いい、です………」
 何かを開放できずに、内に押さえ込むような声が、彼女の喉から聞こえた。
「めい……めいれいして……も、いいんですか………」
 ルイは彼女の顔を間近に見下ろす。
「いいよ……なんでも」
 開きかけた彼女の唇が、少し震えた。
「わたしに……入れて………」
 伏せたまつげの影が、濃くなった。
「キスも……して」
 うん……返事をしたかわからない、喉の奥で唸っただけかもしれない。何しろ犬だから。
 願ったり叶ったりだ。
 そろそろ猛り狂ったものを宥める、誤摩化し続けるのも既に限界を越えていた。
 ルイはまどかの腰をぐっと掴んで引き寄せると、昂りを濡れた襞の間にてがい、体ごと沈み込ませた。
 少し窮屈だが、溢れる粘液によってじわじわと中へ誘い込まれる。
 柔らかい肉に包まれる感覚に、一瞬四肢に軽い痺れを覚えた。とうとう、彼女の中に。
 この瞬間をずっと夢見ていたことを、ルイはその時思い出した。
「ふぅ……ン」 
 小さく鼻を鳴らす彼女の唇を奪う。まどかは待ちわびていたかのように貪欲にオレに舌を絡めた。そして彼女はルイを締め付ける。
「まどか……」
 キスの合間、溜め息混じりに名を呼ぶ。
 ルイは腰を動かした。もう焦らすのも、焦らされるのもナシだ。昇りつめることしか頭に無い。
 ただ欲情のまま、まさに発情した犬のようにルイは彼女の中に張り詰めた屹立を何度も何度も突き刺した。
 腰を打ち付ける度に、蜜がジュプジュプと淫らな音を立てた。
 彼女は苦しそうに眉を寄せ、固く目を閉じている。軽く開いた口からは、熱い切れ切れの吐息が漏れる。
「あぁ! ……はぁああっ……あ……」
 まどかの手が背に回る。しっとりと汗が滲む二人の体から雌と雄の匂いが立ち上り、混ざり合う。まるで、二人だけの暗号のように。
「んん……ぅン!」
 噛み付くようなキスをしながら、ぐいぐいと奥に捻り込む。ルイの体の下で潰された乳房に手を這わせ、硬い先端をひねり上げる。
「ンんーー」
 まどかがさらにルイを締め上げた。咥え込み、離そうとしない。それでもルイは腰の動きは止めず、ますます激しい抽送を繰り返した。
「はぁっ……」
 ルイは苦しさに息を漏らした。
「まどか……締め過ぎ……」
 彼女は何も言わずに、顔の横でイヤイヤ、と首を振った。ルイはもう一度、傷ついた耳たぶを舐めた。
 ぞくりと体を何かが体を貫いた。会館というよりも恐怖にも似た何か、ルイを圧倒するもの。
 これから味わう愉悦の先にある恐怖を、一瞬垣間見たのかもしれない。
「オレ……もうヤバい……イッていい?」
 まどかも、上気した顔で見上げる。「うん……」と彼女は鼻にかかった声を出した。
 ルイは容赦なくさらに強く腰を打ち付け、隘路いっぱいに雄を擦り付けた。ぬるぬると滑り、突き上げると、子宮近くで先が引っかかる。
 何度もそこを攻め続けた、あまりの気持ち良さに、目眩を感じた。
「ああっ! いい………すごく………るぅい………っ」
 まどかも悲鳴に近い嬌声を上げる。動きに合わせて腰を振る。脚が腰に巻き付き、尻が浮く。より深く、繋がる。
「う……ぁ……すごい、まどか……」
 ルイの芯は熱を帯び、限界まで張りつめていた。
「はぁん! んん……あ……あぁっ!………ルイ……気もち、いい………いっちゃ……う」
 彼女の中はぎゅうっと締まった。細い指が背に食い込んだ。
「好き………な、の……ルイぃ………」
 その瞬間、彼女の言葉が電気のように走り抜け、ぱっと光が散った。雄は彼女の中でびくびくと盛大に痙攣し、精がほとばしった。
 どくどくと盛大に脈打ち、これでもかと言う程、それはまどかの中に流れ込んだ。 
 ルイはまどかの体の上に崩れ落ちるように、まだ熱で彼女の香りがこもる首筋に顔を埋めた。
 息があがり、呼吸が荒くなっていた。体中の筋肉は弛緩し切って言うことを聞かなかった。
 まどかも胸を大きく上下させていた。こめかみに髪が張り付いている。
 ルイは腕を緩慢な動作で上げ、指の背をまどかの頬に滑らせた。
 彼女はオレの方に顔を向けた。瞳に、まだくすぶっている官能を見た気がした。
 びくびく、とふんわりと温かい彼女の中の屹立が最後の足掻きで、震えた。
「あン……」
 彼女は苦しそうに眉を寄せた。それが艶かしく、また、腰が疼く。
「ルイ……」
「なに?」
「ほんとに、犬みたい……」
 ふふ、と彼女は微笑む。
「犬だって言ってんじゃん」
 肩口に噛み付いた。
 あっ……。
ーー敏感で、体中が性感帯みたいになってるな。ルイは耳元で囁いてやる。
「ルイが、いろいろするから……」
 拗ねて顔を逸らせた。逃げるのは許さない。ルイは頬を撫でていた指で顔を自分の方に向かせた。
「おまえが、そうしろって言っただろ」
「ずるい……」
 まどかは怒ったような顔をして見せた。でも、本気じゃない。
ーーそうだ。オレはずるい男だ。おまえが欲しいだろう言葉さえ言っていない。でも、言えないんだ。オレにはそれを言う資格が無い。それに、言ってしまったら何かが壊れそうでーー怖いんだ。
 ルイは心に入り込んで来た弱気を振り払うように体を起こすと、乱暴に彼女から引き抜いた。
 はン……
 まどかは軽く首をすくめた。ルイはそのまま体を抱き起こし、再びバックボードに押し付けると膝をすくい上げ、M字に脚を大きく開かせた。
「いや………」
 彼女の瞳に驚きの色が浮かんだ。それはそうだろう。ルイの吐き出した精が溢れ出し、てらてらと光っている秘部が曝け出されているのだから。
「いやじゃない」
 ルイは彼女の両手を膝の裏へ導き、自分でその脚を支えさせた。
「汚したんだから、綺麗にしないとだめだ。犬はグルーミングを怠らないんだよ」
 まどかは何も言えずに、視線を落とした。結局、彼女はオレの言いなりになる。
 そんなところがたまらないんだ。
 ルイは体を屈めると、開いた脚の間に顔を近づけた。自分の白濁した精と、まどかの蜜が混ざって濃密な匂いがむっと鼻腔をくすぐった。
「この格好だと、可愛い蕾も突き出て、舐め易いんだよ」
 いや………
 頭の上から声が降って来た気もしたが、無視して舌を花弁に押し当てた。
 やん……
 彼女の腰が一瞬退いたが、ルイは鼻を押し付けるようにして舌を動かし続ける。激しい行為でぷっくりと膨れ、熟れた花弁を丁寧に舐める。
「はぁ………あっ……」
 中から精が、まどかのものと一緒に流れ出る。まどかの悩ましい声を聞きながら、無心に舌を蠢かす。
 充血し、膨らんだまどかの蕾みに、濃い蜜を塗り付ける。ぴちゃぴちゃとわざと音を立てる。
 こんなにうまいものは音を立てて飲まないと、失礼だろう。
「うぅ……ン……あぁ………る、い……」
 彼女は忠実に自分の脚を支え、ルイに自分の秘部を曝け出している。押し寄せる快感に耐え、腕に力が入ったのか膝がもっと体に引き寄せられて、その濡れた部分がさらにルイの方に差し出された。まるで、もっと、もっとと無言で哀願しているかのように。
 むき出しになった蕾を軽く唇で挟み、舌先で転がす。
「ひゃうっ! ンン………んふっ………」
 彼女の豊かな腿に頭が挟まれた。ルイはそれを再び押し開いた。
「ちゃんと押さえておけよ」
 ルイは脚の間から軽く睨んだ。彼女は、ふくよかな胸の上から、とろんとした目でルイを見下ろした。
 無防備に半開きになった口に、再び欲望が煽られた。
「だ、だって………」
 ルイはぷっくりと存在を主張するそれを、ずずっと吸い込んだ。
「あぁっ!」
 彼女の腰が跳ねた。舌を奥へ奥へ差し入れ、温かい蜜をぐちゃぐちゃと掻き回す。
「はぁ……ル、イ……」
 まどかは瞼を閉じたまま苦しそうに顔を歪めているが、漏れる吐息はますます甘くて、淫靡だ。
「おねがい………はぁ……あ」
 目を上にやると、何か言いたそうな瞳に出会う。
(わかってるけどね、つい、そういう言葉が聞きたくなるんだよ)
 ルイはまどかを無視して、蕾の周りでわざとゆっくり舌を動かす。
「ねぇ……ぅん……るぅい……」
 そんな風に名前を呼ばれると、弱い。ーーそろそろ、だな。
 ルイは花芯を愛でるように、優しく舐め始めた。
「はぁーーん……」
 彼女はか細く吠え、背を反らせた。
 陰核が女のペニスというなら、ルイは要領を得てるつもりだ。
 丁寧に、ざらついた舌の表面を擦り付ける。そっと、一定の連続した刺激を与え続ける。
 ぴくぴくと、舌にそれ自体が痙攣しているのが伝わる。
「も……い、や……だめ……」
 ルイはぐしょぐしょに溢れる泉から愛液をすくい、また突起に塗り付ける。ぬるぬるとそこへ集中して舌を滑らせる。
 彼女は枕に体を押し付けるようにして身を沈め、さらに腰を突き出した。
「は……ぁ……、だめ……だめだめぇ……っ!」
 まどかはとうとう脚から手を放し、ルイの頭をそこへ押さえつけた。
 ルイはルイで、浮き上がる彼女の腰を両手で押さえつけながら、強く、執拗に吸い上げた。
「んんーーーぁ………」
 体が強張り、それから砂山が一気に崩れるように彼女は四肢を伸ばした。
「ああっ……」
 ルイは彼女のそんなぐにゃりとした体を、腰に手を回して引き寄せ、うつ伏せにすると尻を高く持ち上げた。
 まどかの脚の間でグルーミングをしていたら再び気持ちも、己も昂ってきた。
「また……ぁ」
「悪いけど、犬は本能抑えられないし」
 抑えるつもりも無いし。
 猛り立ち、十分すぎる程硬くなったそれは我慢など知らないらしく、ルイを急かす。
 まどかのやや薄い肉がついた尻を押し広げ、綺麗にした筈が、なぜかまた滴り落ちる程、蜜の溢れているそこに、突き立てた。
「はぅ……ん……るい……」
 枕を体の下に抱え込みながら、まどかは背をしならせた。
 既に一度精を放ったルイは、今度はじっくりまどかの中を堪能する。蜜を屹立全体に絡み付かせるように、腰をグラインドさせる。
「あっ……あ……」
 まどかはさらに感じ易くなっているらしく、体を細かく震わす。一点に集まって皺を寄せた可愛い穴が、ひくついている。
「ねえ、指、入れてもいい?」
「え?」
 まどかは、質問の意味を暫く考えているようだった。すぐに、言葉の意味するところが分かったらしく、とっさに振り向き、怯えた視線を投げた。
「だ、だめっ! だめ! やめて」
「だよな」
 ルイも彼女の口から「イエス」の言葉が出ると期待はしてなかった。
(からかいたくなっただけ。焦るおまえの顔を見たら、それだけ興奮するからさ)
「じゃあ、今度な」
 嫌です………枕に顔を埋めた彼女はくぐもった声を出した。
 それでも悪戯心がむくむくと湧いてきた。ルイは指で滴る蜜をすくい取ると、その小さな窪みに塗り付けた。
「ひゃん!」
 逃げ出そうとする腰を強く引き寄せた。そしてそのまま、ぬるぬるとマッサージするように指を動かした。窪みが誘うように蠢き、指先に甘く吸いつく。
「ダメです……ン、だめ……」
「入れないって。ただこうやってるだけ。気持ちいいだろ?」
 返事は聞かなくても、彼女の中が収縮を強めたのが何よりの証拠だ。
 バカ………
 そんな言葉さえ、欲望の炎に油を注ぐ。ルイは傲慢に腰を動かす。彼女の体が大きく揺さぶられる。
 動かしながら今度は、手を下に回して、震える花芯をやわやわと撫でる。
「やめ……てっ!」
 その愛撫する指を避けるように、彼女は余計に尻を突き出す。止めるわけないだろ。
 ペニスは依然として彼女の内を擦り続ける。そのうち、ぞわぞわとまるで恐ろしい数の触手が屹立を包み込んでいるような感触を覚えた。
「あぁ……るいぃ…………はあッ……いい……ルイぃ……」
 全身の肌が粟立った。花芯への刺激で、彼女の粘膜に鳥肌でも立ったのか。
 その初めての快感で己が、さらに膨張した。「余裕」なんて言葉は吹っ飛んだ。
 ルイは今まで以上に腰をまどかの尻に打ち付けた。だーし貪欲。ただ貪欲に。狂犬のように。額から汗が一筋流れた。
 濡れそぼった、お互いの肌が打ち合う湿った音が部屋に高く響き、まどかのとろけるような甘い嬌声もひときわ大きくなった。
「あっ! あぁぁ………! あッ……るい……」
 くっ……はぁ……
 ルイの乱れた息も重なる。何かに取り憑かれたたように、トロトロになった秘裂にただ、無心に何度何度も捻り込む。
 じんじんと熱い幹が痺れてくる。じわじわとその痺れが体を浸食していく。
「るぅいっ! ハァっ………も、ダメぇ! ……あぁぁ!」
 叫ぶように声を上げると、まどかの体が強張った。内がさらに狭くなり、屹立を絞り上げた。
「はっ……ぁ……まどかっ」
 彼女を体ごと突き上げるように、さらに何度か大きく打ち付けた。
 そして、最後に最奥を貫き、全てを放った。一瞬、何も分からなくなった。
 そのまま、彼女の背の上に傾れ込んだ。
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