モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第一部:都市国家アドポリスの冒険 6

幕間 デュラハン出現

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 アンデッドと同一視される事が多いが、デュラハンは精霊の一種である。
 氷の精霊王ストリボーグに従う、強力な精霊だ。

 それがアドポリス周辺に現れたのだから騒ぎになった。

『おおおっ……! 憎い……憎い……!!』

 デュラハンは、首なし馬を駆って怨嗟えんさの声を上げ続ける。

『我を縛り付ける魔法が! 我を走らせる呪縛が! 許さぬ! 許さぬぞ魔術師ィィィィ!!』

 首なし馬が引く戦車チャリオットの上で、首なし騎士は吠えた。
 全身から紫色のオーラが広がる。

「こ、こええ……!!」

 デュラハン討伐を受けていたのは、Aランクパーティ。
 彼らも、この鬼気迫る首なし騎士の姿に恐怖を感じずにはいられなかった。

 小脇に抱えられたデュラハンの首は、兜に覆われている。
 この目元を覆う面頬めんほおのパーツが上がると、死の呪いを与えるデュラハンの力が発揮されることになる。

 デュラハンに死を宣告された者は、心臓を凍りつかされて死ぬというのだ。

『邪魔をするか人間! ああ、憎い! 憎い! 魔術師が憎い!! おのれ! おのれェェェ!!』

「くっそ、止まれデュラハン!!」

 大きな盾を持った戦士が立ちふさがる。
 タンクと呼ばれる役割の、敵を食い止める戦士だ。
 Aランクゆえ、その実力は折り紙付き。

 戦士としての才能を持つがゆえ、人間の限界を超えた身体能力も発揮できる。

 戦士と首なし馬が衝突した。

「ぬおおお!!」

 首なし馬を食い止める盾の戦士。
 その脇から、槍を持った戦士が駆け出した。

「覚悟しろデュラハン!」

 彼の槍は魔法の武器だ。
 それが振り回され、首なし騎士を狙う。

 だが、その一撃は食い止められる。
 デュラハンが手綱を手放し、剣を抜いていたのだ。

『笑止』

 一言とともに、槍が跳ね除けられる。
 そして、デュラハンの巨体が宙を舞った。
 騎乗用の全身鎧スーツアーマーに身を包み、軽々とジャンプするなど人間にできる所業ではない。

 着地と同時に、デュラハンは槍持ちの戦士に向かって剣を振った。

「くおおっ!!」

 これをどうにか槍でいなし、後退してから突き込みを行おうとする戦士。
 無理な体勢からの突きは甘くなる。
 デュラハンはこれを鎧の胸板で、掠めるように受けた。

「サンダーブリット!!」

 それを側面から、魔法で攻撃する魔法使い。

「行け、炎の精霊ヴルカン!!」

 炎の小人を行使する、エルフの精霊使い。

「神よ、聖なる裁きを! 衝撃フォース!」

 神聖魔法による射撃。
 これが同時に、デュラハンを打った。

 傾ぐ首なし騎士。 
 だが倒れない。
 効いていないのではない。

 並外れてタフなのだ。

『魔術師ィィィィ!!』

 首なし騎士の片手が、抱えていた首を持ち上げた。
 その面頬は既に持ち上がっている。

『汝らに死を与える』

「くおっ」

「うっ」

「うあっ」

 胸を押さえながら、魔法使い、精霊使い、僧侶が倒れる。

「まずいっ!! 退却、退却!!」

 盾持ちの戦士が叫んだ。
 槍持ちが後退する。

 横合いから盗賊が飛び出してきて、魔法使いを抱えた。
 槍持ちも精霊使いを担ぎ、僧侶はどうにか自らの足で。

「くっ……! お、俺がしんがりをする! みんな、逃げろーっ!! このデュラハン、強い……!!」

 Aランクたる彼らがデュラハンと戦ったことが無いわけではない。
 それらは言わば、精霊王ストリボーグの加護から外れた、はぐれデュラハンであった。

 Sランクモンスターたるデュラハンは強い。
 だが、絶望的に倒せないような強さではなかった。

 かつてのデュラハンを、この六人の連携で一度撃退してはいるのだ。

「しかし……!!」

 盾持ちの戦士は、強く盾を蹴られて後退した。
 デュラハンの力は、並ではない。

 首なし馬から降りたほうが強いとはどういうことだ。

 それにこいつは、あの槍持ちの攻撃を捌きながら魔法使い達を一蹴した。
 明らかに戦い慣れている。

「くおおっ、隙が……逃げる隙が無いっ……!!」

『許さん……許さんぞ魔術師めがァァァァァッ!! 必ずやこの呪縛を解き! 貴様を八つ裂きにしてくれるわァァァァァッ!!』

 ついに盾は真っ向から砕かれる。
 振り下ろされたデュラハンの剣は、魔法が掛けられた堅固な盾ですらも破壊してみせたのだ。

「も……もうだめだ」

 戦士は絶望を感じながらも、腰から剣を抜く。

「みんな、生き残ってくれよ……!!」

 決意を固めて、戦士はデュラハン目掛けて剣を振るった。

 それを、差し出した己の首で受け止めるデュラハン。

「あ……」

『汝に死を与える』

 戦士の心臓が凍りついた。
 力なく崩れ落ちる戦士。

 首なし騎士は怒りの叫びを上げると、再び戦車に飛び乗った。
 首なしの馬が、高らかにいななく。

 デュラハンを止める者は、いない。
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