ピコーン!と技を閃く無双の旅!〜クラス転移したけど、システム的に俺だけハブられてます〜

あけちともあき

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第四部:送還編

148・俺、ホリデー号ごと混沌時空に突っ込む

「というわけで、邪神メイオーです」

 俺が紹介すると、オクタマ戦団の面々がどよめいた。
 そりゃあどよめくだろう。
 世界を滅ぼしかけた巨悪そのものが、平気な顔して俺の横にいるんだからな。

「紹介されたメイオーだ。オレは最終的にはお前らの敵に回るだろうが、今はそれよりもカオスディーラーをぶっ殺す千載一遇のチャンスだ。この男に手を貸すことにした」

「そんなわけで、短い間だがメイオーが仲間になったのでよろしく。一緒に力を合わせて混沌の裁定者を倒そう!」

 俺が拳を空に突き上げると、「おー!」という声とともに、ルリアとカリナとアリシアと、フロントとダミアンGとジェーダイも拳を突き上げた。

 他はちょっと戸惑っているような?

「オクノ」

 皆を代表して口を開いたのは、イクサだ。
 弟であるトノス王子を救出し、今は彼を船底に安置している。戻ってきてすぐの発言だ。
 あまりものを考えていないので、率直な質問が来るに違いない。

「敵ではないのか?」

「後で敵になる。今は味方だ」

「ならいい」

 イクサが納得した。

「いいのかよ……。おい、オクノ。俺からはまっとうな質問なんだが」

「はい、オルカどうぞ」

「本当にいいのか? お前がそもそも、倒すことを目的にしていた奴だろうが。邪神メイオーは世界の敵だぞ? 神話にも謳われた、怪物だ。そんな奴を本当に仲間にできるってのかよ? 俺は正直、ついていけねえぜ」

「なるほど、常識的に考えるとそうだと思う。これに関しては、メイオーの口から語ってもらった方がいいのではないか。メイオー、お願いできる?」

「いいだろう」

「お前が直接解説するのかよ!?」

 オルカ、いいツッコミだ。

「オレが裏切る心配でもしているか? だが、それはない。オレは裏切るくらいなら最初から敵対するからだ。その方が面白いし、戦いが生まれるだろう? 裏切っては、相手の最高の戦力を発揮できないまま終わる。そんなものは戦いではない。オレは正々堂々、全力と全力がぶつかり合う戦いを望む! だが、いいか? カオスディーラーはその対極にいる存在だ。あれは戦いをしない。精神を汚染し、何もかもてめえの色に染め上げて支配する。そんな事が許されると思うか? 許されねえだろうよ。だからオレは戦いを挑んだ。あいつに何もかも支配されちゃあ、楽しい戦いが起こらねえじゃねえか!」

 おおー、主張が一貫している。
 俺とイクサが納得してウンウンと頷いた。

「だからだ! 俺は戦いを守るために、カオスディーラーと戦う。オレ一人じゃあ、あいつを滅ぼすことはできなかった。あの野郎、クソ生き汚ねえんだ。なんで、お前らの力を借りて、今度こそ徹底的に滅ぼす。二度と復活できないように粉々に分解して、跡形もなく消し去る。それまでは俺はお前らの味方だ。分かったか?」

「む、むむう。どう考えても危険な発言にしか聞こえねえぞ。だが、確かに伝説に語られたメイオーと相違ないな。それと、なんでオクノに似てるんだよそいつ」

 オルカ、良い質問だ。
 疑問点を大体ここで出し切るつもりだろうか。
 さすがは年の功、いい仕事をするなあ。

「オレがオクノの分身を触媒としてこの世界に顕現したからだ。こいつが使う幻術は、実体のある幻を呼び出す方法じゃねえ。異なる可能性をこの世界に呼び込む呪法だ。可能性は揺らいでいるから、すぐに消える。まさに幻みたいなもんだ。だが、そこに力を取り戻しつつあったオレが宿った。可能性は確実性となり、オレは現実になった。そういうことだ」

「なるほどー」

 とても納得した。
 フタマタと同じ原理で出現したわけだ。

「補足するぞ」

「はい、シーマどうぞ」

 俺に促されて、シーマが咳払いをしながら発言した。

「オクノの分身がなくても、メイオー様は復活したじゃろう。じゃが、その時にはカオスディーラーの手が広がり、世界は手遅れになる可能性があったのじゃ。これは類稀なる幸運と言わざるを得ないのじゃ」

「待って。オクノは混沌の裁定者に対抗できるわ。メイオーなんかがいなくても問題ないと思うけど」

 反論するラムハ。
 この隙に、メイオーと俺はこそこそ相談した。
 メイオーは、混沌の裁定者のところに突っ込む算段があるらしい。

「ラムハ、それはな。手数が足りんのじゃ。オクノはカオスディーラーの無敵な守りを崩せる。じゃが、そこで奴が再びオクノを地球に飛ばせば終わりじゃ。ここにメイオー様がいれば、カオスディーラーに付け込む隙は与えないで済む。理解できたか?」

 不承不承、といった感じでラムハが頷いた。

「そうね。もう、オクノと離れ離れになりたくないもの」

 あっ、なんか凄く可愛いこと言ってる!
 嬉しい。

「オクノ、よそ見をするな。でだな、これで計画は全部だ。実行するぞ」

 そこで、メイオーも俺にひそひそ話を語り終える。
 この話は全部、ダミアンGと操舵手のグルムルにも聞かせているのだ。

 よし、準備開始だ。

「ダミアンG、飛ぶぞ。準備だ」

『ヒエエ、ろぼ遣イガ荒イオ人デスー。デモチョット、コノコキ使ワレル感覚ガ……カ・イ・カ・ン』

「うるさいぞ」

 ダミアンGをアイテムボックスに半分突っ込んだ。
 すると、こいつが空中から生えているような状態になる。

「わはははは! なんだそりゃ!! お前ら本当に面白いな!」

 爆笑するメイオー。

「お前の作戦を実行するためにはこれが一番手っ取り早いんだよ。ダミアンG、俺の呪力を使ってビームセイル展開だ。オルカ、フロント、風を出してくれ! 王国上空に混沌の裁定者がまだ留まっているそうだ。奴の住んでいる空間に、ホリデー号をぶちこむぞ!!」

「なんだそれ、面白そうだな!」

「なるほど、悪の要塞に吶喊するのはクライマックスの定番。やろう……!」

 マストに手を当てる、オルカとフロント。

 ちなみに、作業しながらラムハとシーマの話も聞いてるぞ。

「それから付け加えると、確かにオクノのビンタはカオスディーラーに通じたのじゃ。じゃが、あのチキンな輩が対抗策を用意していないと思うか? 五花めを媒介とし、カオスディーラーは革命軍を作り上げた。そやつらの中に、カオスディーラーは少しずつ根を張り、いつでも本体を移動できるようにしたのじゃ。今まさに、やつは別の誰かを本体とすべく動いているじゃろう。完全に奴の移動が終わってしまえば、再びカオスディーラーを追うことは困難になるのじゃ」

「では、それをメイオーは追えると言うの?」

「追える」

 即座に応じたのはメイオーだ。
 ラムハ、ちょっと息を呑む。

「あの野郎は、わかりやすいニオイがあってな! 俺は一度戦った奴のニオイは忘れねえ。王都の上空に、そいつが渦巻いてやがる。ちょっとずつ、どこかに流れだそうとしてるがな」

 そこへ、今から突っ込もうというわけか。
 しかし、メイオーがニオイと称するこれ、イクサが察知する敵意とか、フタマタが俺の位置を常に理解する超感覚と同じようなものだと思われる。
 便利だ。
 俺も欲しい。

 そんなわけで!

「準備完了! 行くぞダミアンG!」

『了解! びーむせいる展開デス!』

 王都に広がる、光の帆。
 そして、そこを目掛けて風が吹き付けてくる。
 呪法が生み出した強烈な追い風だ。

 舞い上がるホリデー号。

 先端に設置された衝角が、ぐりぐり回転を始める。
 えっ、回るのあれ!?

『コンナコトモアロウカト、回ルヨウニシテオキマシタ』

「有能……! ドリル衝角だな」

 そして、浮かび上がったホリデー号が、猛烈な勢いで空に渦巻く混沌の気配へと突っ込んだ。
 衝角が、なにもないように見える空に突き刺さる。

 すると、空がぐるぐると衝角に巻き取られていくではないか。
 現れたのは混沌。
 不透明な七色に渦巻く空。

 まるで、絵の具を一度に何色もぶちまけて、ぐちゃぐちゃになった水の中のようだ。

「前進!!」

「アイアイサー」

 俺が指示すると、舵輪を握ったグルムルが答えた。
 微速前進……ではなく、高速前進を開始するホリデー号。

「おお、便利便利……! たまには道具とやらも使ってみるもんだな! 肉体一つでは限界があるか!」

 豪快に笑うメイオー。

「やれやれ、これでメイオー様の悲願も果たされるのじゃ。今あのお方、オクノに気を取られてわしのことスルーじゃし、このまま平穏でいてくれ……」

 祈るように呟くシーマ。
 ここでラムハが、訝しげな顔をして胸元に触れた。

「あれ? なんか、私の中から何かが出てきそうな……」

 その瞬間、何かがスポーンとラムハの胸元から飛び出してくる。
 なんかちょっと光ってる女の人がすり抜けてきたぞ。

『やっほー! 決戦だと聞いて手伝いに来きましたよ……! 月の女神……ハームラですっ。言うなればこれはわたくしの大好きなサプライズです!』

「おおー、妹よ久々」

『お兄様じゃないですかー! 何千年ぶりだと言うのにいつもどおりギラギラしていますねえ』

 おい、今なんか増えたぞ!?
 俺に突っ込む暇を許さぬまま、状況はガンガン進行していくのである。
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