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滅びの塔編
第3話 スケルトンとは面倒な
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「あんなに挑発しなくても良かったんじゃないですか……?」
「散々チュートリアルやったんだから、普通にクリアしたんじゃ面白くないじゃないか」
色々工夫を凝らした舐めプで罠をくぐり抜けた俺たちは、次なる場所に来ていた。
滅びの塔と言うだけあって、次々にヤバい感じの階層が用意されているらしい。
よくよく見ると、緩やかな下り坂が巨大な螺旋状に続いている。
「ルミイもノリノリだったじゃない」
「そりゃあ、わたしだって腹が立ってはいますから! というかマナビさん、異世界召喚されたばかりなのに凄いですよ。なんで余裕なんですか」
「ああ。それはね。恐怖とか戸惑いは未知から生じるんだ。俺は現代っ子だからね。知らないことに挑んで失敗するのが怖い。やって無駄になることならやりたくない。だが、やる前にヘルプとチュートリアルで分かるならどうだろう?」
「どうなるんですか?」
「ノーフィアー! 怖いものなどどこにもなくなる……。常に平常心だよ」
「それはそれで頭おかしいですよマナビさん」
「そうかなあ」
二人ならんで、次のステージを見やる。
「モンスターいるね」
「いますねえ……。言っておきますけど、わたし、エルフの腕力とバーバリアンの頭脳ですからね」
「非力で難しいこと分からないんじゃん」
「そうなんです」
謙遜でしょ、と思ってヘルプ機能でルミイを調べてみる。
おっと、プロポーションまで情報が出てしまった。スゴイ数値だ……!!
これは心に秘めておこう。
なになに、身体能力は弱め。
頭脳は普通。
バーバリアンの中でもトップクラスの耐久力と、ハイエルフの中でもトップクラスの耐魔力を持っていると。
凄いじゃん凄いじゃん。
可愛くてふわっふわな見た目だが、タンク職としての天賦の才能を持っている。
なあにこのハーフエルフ。
俺を見てみる。
おお、ほぼ全ての能力が低い! 知力と器用さ以外は全部最低値のGランクかあ。
胆力はEXSって書いてある。
「まあ、チュートリアルさえできれば身体能力なんか飾りですよ。じゃあ行ってみよう、チュートリアル。モンスターが多いから、今回は難しそうだな」
「はあい、お付き合いします!」
世界の色が塗り替わる。
チュートリアルモード独特の、あちこちに矢印が表示されている世界だ。
「モンスターだとチュートリアルどうなるんだろうな。行動予測まで出る? やってみようか」
「うわっ、マナビさんよく手ぶらで前に出られますね!」
「武器といえばスマホしか持ってないからな。こいつは電波ももう繋がらなくなったので、できの悪い鈍器程度の感じになっている」
「戦えそうなんです?」
「ゴブリンさえ殺せないだろう……」
「手ぶらと一緒じゃないですかあ」
「あっはっは」
まず、配置されていたスケルトンが攻撃を仕掛けてきた。
武器は剣と槍?
相手に反応して武器を振り回してくる。
これはちょっと怖いな。
何回かやり直して、スケルトンの動きをよく見る。
「あー、こんな感じなのね。筋肉がなくて、多分魔法で動いてるけど骨の動かせる限界までしかいけないと。じゃあ、こうだ」
回避は把握した。
だが、武器はリーチが長くて怖いな。
「奪っておきたいね」
「スケルトンから初手で武器を奪うとか考えないですよね普通ー」
「これね、何回も見てたら握りが甘くなる瞬間が分かるの。ほらここ」
槍を躱して、スケルトンの手の甲を叩いたら、手を離した。
「ほら!」
「スケルトンが武器を手放しやすくなるタイミングとか調べた人、マナビさんが初めてじゃないですか?」
「そうなの? まあ、手ぶらの一般人じゃないと意味がない情報だもんな」
槍を手にして、振り回してみる。
おお、体が泳ぐ~。
「マナビさん、槍の使い方はこうです! こう!」
「うおっ、後ろにルミイがくっついてきて柔らかい!」
「背中に全神経を集中しないでくださあい」
ルミイの抗議の声を受けながら、槍の使い方を学ぶ。
ほうほう、振り回すにしても、突くにしても、変な工夫しようと思わないでストレートに使うのね。
「技は色々あるかもですけど、そういうのって趣味人とか超人とかじゃないと必要ないんじゃないですか」
「そうかも。ゲームとかアニメでは技があったけど、無双系は技なんてもんじゃなかったしなー」
こうして、槍の基本的な振り回し方を習った俺。
スケルトンから槍を奪う、槍を振り回してスケルトンを倒す。
ここまでをしっかり練習したぞ。
そして次。
今度は弓を構えたスケルトンが、次々に矢を射掛けてくる。
これはタイミングを調べる。
狙いは甘いな。
ダッシュで駆け抜ける……。
いや、スライディングで抜ける?
何度か試して、リズムを掴んだ。
「大体タイミング分かった。ほぼ音ゲーだなこれは」
「凄いですね! 罠もですけど、マナビさんってタイミングを覚えるの本当に速いですよねえ」
「リズム系のゲームやり込んでたからな」
お次は鎧を着込んだスケルトン軍団。
「スケルトンしかいないの?」
「普通、ここに送り込まれるの失敗作だとみなされた異世界人と巫女ですからねー」
「あー、ほどほどの罠とモンスターで死んじゃうわけね。だけど好都合だなあ」
鎧をヘルプで確認すると、弱めの魔法がかかっている事が分かった。
これを槍でどうにかするのは難しいな。
だが、槍で突いてみると、鎧のせいで動きが悪くなっている事がわかった。
「これ、タイミングを合わせて間をすり抜けるのが最適解だな。ちょっとやってみよう。基本の動きは今までのスケルトンと一緒だし、動きが鈍くなってるだけだ。鎧の威圧感で騙されるが、弱体化だぞこれ」
「スケルトンソルジャー相手にそういうコト言う人初めて見ましたあ」
「何回も対戦やり直したりしないもんなあ」
するするとスケルトンソルジャーをすり抜ける。
俺よりもあちこち出っ張っているルミイは、ちょっと苦労した。
だがバーバリアンとエルフの血が為せる技か、身体能力が高い。
六回目くらいのやり直しで完璧にできるようになった。
「偉いぞ」
「これ、何回やるんですかあ」
「完璧になるまでだぞ。全部完璧にバッチリクリアできるようになったら、怖くもなんともなくなるだろ。で、恐怖感が完全に薄れる前に本番をやってクリアする。緊張感なくなるとむしろ失敗するからね」
「わたし、ちょっと確信しました。マナビさん、間違いなくワンザブロー帝国が全てを賭けて召喚するに値する異世界の勇者ですよう」
「そう? ちょっと照れるなあ」
スケルトンソルジャーをくぐり抜け、最後に待っていたスケルトンジェネラル……腕が多い甲冑スケルトンを相手取る。
これは、槍を腕と腕の間に挟み込むとこんがらがって、動けなくなることが判明した。
これにて第二階層の攻略完了。
「それじゃあ、こっちを見ているであろう帝国の連中に、第二階層突破をお披露目するとしようか」
「いい性格してますよねえ」
「散々チュートリアルやったんだから、普通にクリアしたんじゃ面白くないじゃないか」
色々工夫を凝らした舐めプで罠をくぐり抜けた俺たちは、次なる場所に来ていた。
滅びの塔と言うだけあって、次々にヤバい感じの階層が用意されているらしい。
よくよく見ると、緩やかな下り坂が巨大な螺旋状に続いている。
「ルミイもノリノリだったじゃない」
「そりゃあ、わたしだって腹が立ってはいますから! というかマナビさん、異世界召喚されたばかりなのに凄いですよ。なんで余裕なんですか」
「ああ。それはね。恐怖とか戸惑いは未知から生じるんだ。俺は現代っ子だからね。知らないことに挑んで失敗するのが怖い。やって無駄になることならやりたくない。だが、やる前にヘルプとチュートリアルで分かるならどうだろう?」
「どうなるんですか?」
「ノーフィアー! 怖いものなどどこにもなくなる……。常に平常心だよ」
「それはそれで頭おかしいですよマナビさん」
「そうかなあ」
二人ならんで、次のステージを見やる。
「モンスターいるね」
「いますねえ……。言っておきますけど、わたし、エルフの腕力とバーバリアンの頭脳ですからね」
「非力で難しいこと分からないんじゃん」
「そうなんです」
謙遜でしょ、と思ってヘルプ機能でルミイを調べてみる。
おっと、プロポーションまで情報が出てしまった。スゴイ数値だ……!!
これは心に秘めておこう。
なになに、身体能力は弱め。
頭脳は普通。
バーバリアンの中でもトップクラスの耐久力と、ハイエルフの中でもトップクラスの耐魔力を持っていると。
凄いじゃん凄いじゃん。
可愛くてふわっふわな見た目だが、タンク職としての天賦の才能を持っている。
なあにこのハーフエルフ。
俺を見てみる。
おお、ほぼ全ての能力が低い! 知力と器用さ以外は全部最低値のGランクかあ。
胆力はEXSって書いてある。
「まあ、チュートリアルさえできれば身体能力なんか飾りですよ。じゃあ行ってみよう、チュートリアル。モンスターが多いから、今回は難しそうだな」
「はあい、お付き合いします!」
世界の色が塗り替わる。
チュートリアルモード独特の、あちこちに矢印が表示されている世界だ。
「モンスターだとチュートリアルどうなるんだろうな。行動予測まで出る? やってみようか」
「うわっ、マナビさんよく手ぶらで前に出られますね!」
「武器といえばスマホしか持ってないからな。こいつは電波ももう繋がらなくなったので、できの悪い鈍器程度の感じになっている」
「戦えそうなんです?」
「ゴブリンさえ殺せないだろう……」
「手ぶらと一緒じゃないですかあ」
「あっはっは」
まず、配置されていたスケルトンが攻撃を仕掛けてきた。
武器は剣と槍?
相手に反応して武器を振り回してくる。
これはちょっと怖いな。
何回かやり直して、スケルトンの動きをよく見る。
「あー、こんな感じなのね。筋肉がなくて、多分魔法で動いてるけど骨の動かせる限界までしかいけないと。じゃあ、こうだ」
回避は把握した。
だが、武器はリーチが長くて怖いな。
「奪っておきたいね」
「スケルトンから初手で武器を奪うとか考えないですよね普通ー」
「これね、何回も見てたら握りが甘くなる瞬間が分かるの。ほらここ」
槍を躱して、スケルトンの手の甲を叩いたら、手を離した。
「ほら!」
「スケルトンが武器を手放しやすくなるタイミングとか調べた人、マナビさんが初めてじゃないですか?」
「そうなの? まあ、手ぶらの一般人じゃないと意味がない情報だもんな」
槍を手にして、振り回してみる。
おお、体が泳ぐ~。
「マナビさん、槍の使い方はこうです! こう!」
「うおっ、後ろにルミイがくっついてきて柔らかい!」
「背中に全神経を集中しないでくださあい」
ルミイの抗議の声を受けながら、槍の使い方を学ぶ。
ほうほう、振り回すにしても、突くにしても、変な工夫しようと思わないでストレートに使うのね。
「技は色々あるかもですけど、そういうのって趣味人とか超人とかじゃないと必要ないんじゃないですか」
「そうかも。ゲームとかアニメでは技があったけど、無双系は技なんてもんじゃなかったしなー」
こうして、槍の基本的な振り回し方を習った俺。
スケルトンから槍を奪う、槍を振り回してスケルトンを倒す。
ここまでをしっかり練習したぞ。
そして次。
今度は弓を構えたスケルトンが、次々に矢を射掛けてくる。
これはタイミングを調べる。
狙いは甘いな。
ダッシュで駆け抜ける……。
いや、スライディングで抜ける?
何度か試して、リズムを掴んだ。
「大体タイミング分かった。ほぼ音ゲーだなこれは」
「凄いですね! 罠もですけど、マナビさんってタイミングを覚えるの本当に速いですよねえ」
「リズム系のゲームやり込んでたからな」
お次は鎧を着込んだスケルトン軍団。
「スケルトンしかいないの?」
「普通、ここに送り込まれるの失敗作だとみなされた異世界人と巫女ですからねー」
「あー、ほどほどの罠とモンスターで死んじゃうわけね。だけど好都合だなあ」
鎧をヘルプで確認すると、弱めの魔法がかかっている事が分かった。
これを槍でどうにかするのは難しいな。
だが、槍で突いてみると、鎧のせいで動きが悪くなっている事がわかった。
「これ、タイミングを合わせて間をすり抜けるのが最適解だな。ちょっとやってみよう。基本の動きは今までのスケルトンと一緒だし、動きが鈍くなってるだけだ。鎧の威圧感で騙されるが、弱体化だぞこれ」
「スケルトンソルジャー相手にそういうコト言う人初めて見ましたあ」
「何回も対戦やり直したりしないもんなあ」
するするとスケルトンソルジャーをすり抜ける。
俺よりもあちこち出っ張っているルミイは、ちょっと苦労した。
だがバーバリアンとエルフの血が為せる技か、身体能力が高い。
六回目くらいのやり直しで完璧にできるようになった。
「偉いぞ」
「これ、何回やるんですかあ」
「完璧になるまでだぞ。全部完璧にバッチリクリアできるようになったら、怖くもなんともなくなるだろ。で、恐怖感が完全に薄れる前に本番をやってクリアする。緊張感なくなるとむしろ失敗するからね」
「わたし、ちょっと確信しました。マナビさん、間違いなくワンザブロー帝国が全てを賭けて召喚するに値する異世界の勇者ですよう」
「そう? ちょっと照れるなあ」
スケルトンソルジャーをくぐり抜け、最後に待っていたスケルトンジェネラル……腕が多い甲冑スケルトンを相手取る。
これは、槍を腕と腕の間に挟み込むとこんがらがって、動けなくなることが判明した。
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