召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

文字の大きさ
6 / 196
滅びの塔編

第6話 トラップ利用とは便利な

しおりを挟む
 色々試してみた。
 なるほど、スケルトンジェネラルの剣では、表皮にちょっと傷をつけることしかできない。
 槍も刺さらない。表皮を削るだけだ。

「マナビさん、これは……」

 ルミイが青ざめた顔でこちらを見る。
 俺も神妙にうなずいた。

「ああ。傷がつくということは倒せるということだ。これもいつも通りでいい」

「えっ!?!?!?!?!?」

 ルミイが、何を言ってるんだ貴方はと言う顔をした。

「ヘカトンケイルの頭があの高さだろ? それで、スケルトンアーチャーの矢には毒が塗られてたから、これを表皮に邪魔されないところに射たせるには……」

「も、もしかしてマナビさん。ヘカトンケイルを倒すって、滅びの塔の罠を逆に利用してやろうとしてるんですか?」

「その通り。見た感じ、これは普通にいけるだろう。じゃあ、ヘカトンケイルを誘導しながら通路を戻っていく練習しようか」

「あひー! またハードですー!!」

「チュートリアルでやり直し効くんだからイージーイージー。はいヘカトンケイルさん、こっちでーす。こっちこっち」

 声掛けも試してみる。
 どれが一番反応がいいだろうか?

『ヘカトンケイルには、帝国の兵士の人格がインストールされています。魔法と薬物によって自我を増幅され、プライドの塊になっています。解き放たれたヘカトンケイルは一切の命令を無視し、己の能力全てを使い切って暴れます。その代わり、寿命は短く設定され、解放から十日で絶命します』

「儚いモンスターだ。セミじゃん」

「セミとはちょっと違うんじゃないですか。えっと、ほら、セミは二週間生きますし」

「細かい違いがあるんだな」

 そう思うと、眼の前のヘカトンケイルが大きいセミのように見えてきた。
 さあて、この儚い生き物を罠に誘導してみよう。

 スケルトンジェネラル、スケルトンウォリアー、スケルトンアーチャーにぶつけてみる。

 ジェネラルは結構耐えるが、ウォリアーとアーチャーは即座に粉砕される。
 モンスターとしての強さとか格がぜんぜん違うな。

 当然、次のスケルトンなんか触れただけで粉々になった。
 動いているヘカトンケイルは、暴風みたいなヤバいやつなのだ。

 こいつと二人で互角に戦ったというか、勝ったルミイのパパとママは本物の化け物だなあ。

「あひー! やっぱりだめだこれー! おしまいだあー」

 泣きながら逃げているルミイをじっと見る。
 うーむ……!

 強さとは物理的じゃないところも大事なんじゃないだろうか。

 そう思いながら、第一階層まで逃げてきた。
 さて、交差するギロチン。
 これはヘカトンケイルが武器をぶつけて食い止めてしまう。

 あ、ここがキモだな。

「ここ、やり直し。ちょっとここから振り返って、俺が槍を投げつけてみるから」

『時間を戻します』

「サンキュー。はい、ここで一瞬振り返って、槍投擲! あ、無視されたわ。表皮には刺さるんだけどな」

「わたしたちみたいなチビは相手にされてませんよーう!」

「そうか、脅威になってないんだなあ。じゃあどうしよう? 槍に毒でも塗る? 毒? それじゃん」

「毒なんてどこにあるんですか?」

「スケルトンアーチャーが射ってた矢、全部毒矢だったの気付いてた?」

「えええええええ! それはマナビさんが気付いたのだけ毒だと思ってたんですけど!」

「実は全部なんだ。帝国の連中もマメだよな。じゃあ、もっと先からやり直しして。シークバーを過去に戻す」

『時間を戻します』

 スケルトンアーチャーの間を駆けていくところまで戻った。
 ここで、矢を回収する。
 そして槍に矢の毒を塗りつけながら走る。

「はい、じゃあここで槍をもう一本回収! そして毒を塗った槍を投げつける!」

「無視されました!」

「でも刺さっただろ? で、ほら見ろ。ちょっとだけ動きが悪くなった」

「あ、本当です! でもなんで槍が刺さったんでしょう」

「あそこ、スケルトンジェネラルが切りつけた傷なんだよ。ダメージ受けてるところを正確に狙えば、俺程度でも槍を刺せる。これくらい刺されば、毒がちゃんと通じるみたいだな」

 もう一回槍を投げる素振りをしたら、ヘカトンケイルは明らかに防御態勢になった。
 よっしゃ、警戒させた!
 これで勝ち確である。

 ギロチンのところでこれをやり直してみる。
 防御態勢になるヘカトンケイル!
 突き刺さるギロチン!

『ウグワアアアアアアッ!!』

 響き渡るヘカトンケイルの絶叫!

「よっしゃあああああああ!!」

「当たったー!」

「ここのギロチン、人間殺すにしてはオーバーキルなんだよ。ヘカトンケイルでちょうどいいくらいじゃん。それから落ちてくる天井」

『ウグワーッ!!』

「頭にゴツンと当たりましたね」

「これは怒らせただけだな」

 突き出す槍!

『ウグワーッ!?』

「足に刺さりましたね!」

「動きが悪くなった。ダメージ蓄積してるなー」

 そして落とし穴。
 ヘカトンケイルの片足がハマり、抜けなくなる。
 迫る壁。

『ウガアアアアアッ!!』

 武器を振り回し、壁を破壊しようとするヘカトンケイル。
 どんどん空間が狭くなり、ヘカトンケイルは武器すら振るえなくなる。
 だが、同時に壁面にどんどん亀裂が走り……。

「壊れそうですよマナビさん!」

「最終的には塔が壊れちゃうか。だが、ここまでヘカトンケイルの動きが妨害されたら、あとはイケる。ほいっ!!」

 ヘカトンケイルの目玉を目掛けて、毒を塗った槍を叩きつける。
 目玉に深々と槍を突き刺され、ヘカトンケイルが絶叫した。


 離れて様子を見る。
 少しして、壁面が完全に崩壊した。
 床も砕け始める。

 そしてヘカトンケイルも、がっくりと脱力し、崩れる塔に身を任せる……。

「落ちるところまでチュートリアルでやっとこう! ルミイ、ヘカトンケイルに乗って乗って」

「こっ、これをクッションにするんですかあ!?」

「察しがいいなあー」

「あひー! こーわーいー!」

「いけるいける!」

「いけませんってー!!」

 わあわあ騒ぎながら、俺たちは充実のチュートリアルを終えるのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

『レベルMAXの引退生活』 〜追放先でダラダラしていたら、いつの間にか世界最強の聖域になっていました〜

小林 れい
ファンタジー
「働いたら負け」と言って追放された最強聖女、成層圏で究極のニート生活を極める 〜神々がパシリで、寝顔が世界平和の象徴です〜 「お願いだから、私を一生寝かせておいて」 前世でブラック企業の社畜として命を削ったヒロイン・ユラリア。異世界に転生し、国を救う「聖女」として崇められるも、彼女の願いはただ一つ――「もう一歩も動きたくない」。 しかし、婚約者の第一王子からは「働かない聖女など不要だ!」と無情な婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。 「え、いいんですか? 本当に休んでいいんですね!?」 喜びに震えながら、ユラリアは人類未踏の死の荒野へと引きこもる。だが、彼女の「怠惰」を極めるための魔力は、いつしか世界の理(ことわり)さえも書き換えていった。 神龍王を巨大な「日除け」に。 料理の神を「おやつ担当の給食係」に。 妖精王を「全自動美容マシーン」に。 「面倒くさい」を原動力に開発された魔導家電や、異世界の娯楽(ゲーム)。挙句の果てには、地上を離れ、邸宅ごと空へと浮かび上がる! 地上の元婚約者が、聖女を失った王国の没落に泣きつこうとも、成層圏に住む彼女には豆粒ほどにも見えない。 神々さえもパシリにする史上最強のニート聖女が、夢の中でも二度寝を楽しむ、贅沢すぎる究極の休日が今、始まる!

精霊に愛される(呪いにもにた愛)少女~全属性の加護を貰う~

如月花恋
ファンタジー
今この世界にはたくさんの精霊がいる その精霊達から生まれた瞬間に加護を貰う 稀に2つ以上の属性の2体の精霊から加護を貰うことがある まぁ大体は親の属性を受け継ぐのだが… だが…全属性の加護を貰うなど不可能とされてきた… そんな時に生まれたシャルロッテ 全属性の加護を持つ少女 いったいこれからどうなるのか…

完結【清】ご都合主義で生きてます。-空間を切り取り、思ったものを創り出す。これで異世界は楽勝です-

ジェルミ
ファンタジー
社畜の村野玲奈(むらの れな)は23歳で過労死をした。 第二の人生を女神代行に誘われ異世界に転移する。 スキルは剣豪、大魔導士を提案されるが、転移してみないと役に立つのか分からない。 迷っていると想像したことを実現できる『創生魔法』を提案される。 空間を切り取り収納できる『空間魔法』。 思ったものを創り出すことができ『創生魔法』。 少女は冒険者として覇道を歩むのか、それとも魔道具師としてひっそり生きるのか? 『創生魔法』で便利な物を創り富を得ていく少女の物語。 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※カクヨム様にも掲載中です。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

処理中です...