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シクスゼクス帝国編
第90話 旅立ちとパパママ
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夕飯は何の肉なのか完全に不明な分厚いステーキを食い、みんな揃って、遊んだ疲れからかキングサイズベッドでぐうぐう爆睡。
爽やかに目覚めた後、ハムエッグとトーストにアメリカンコーヒーという完璧な朝食を終え、ついに旅立ちの時がやって来た。
「最も食が充実している場所だった……」
俺は感慨に浸る。
「わたしも結構好きかもですね! また来ましょうね!」
「ああ。ルミイを送り届けたら、セブンセンスでオクタゴンの嫁さん探して、その後はシクスゼクス滅ぼしてオクタゴンをリア充にしてやろう!」
「戦うのだ!? やるのだやるのだ!!」
カオルンもやる気満々。
アカネルは、イースマスでもらってきたコーヒー豆みたいなものの匂いを確認している。
「何しているの」
「文化的食事のために、たまに当機能がコーヒーを淹れようと思いまして。ですがこれは、コーヒー豆の見た目と香りですがコーヒー豆ではなく、こういう昆虫ですね」
「なんと、昆虫汁だったか。そう言われるとイースマスらしいと言える」
俺はうんうん頷いた。
そこへ、ディゴ老人とアビサルワンズ一同が現れる。
「マナビ様、皆様、お達者で。オクタゴン様の願いもどうか叶えてくだされ」
「ああ、任せておけ。それと、美味い飯と宿ありがとうな。パルメディア世界で最高のホスピタリティだったよ」
イースマス、本当に素晴らしいところだった。
アビサルワンズの方が、人格的に優れてるってのは、この世界の人間どうなってるんだろうな。
彼らと握手し(しっとりしてた)、手を振り分かれる。
名残惜しいな。
海辺には暗雲が立ち込め、それが巨大な怪物の姿を形作った。
そして手を振ってくる。
「じゃあな、オクタゴン! 絶対にお前のパートナーを連れて戻ってくる!」
俺はそう決意し、シクスゼクスの国境へ向けて走るのだった。
本来であれば、細長い構造のシクスゼクス帝国を駆け抜けるのはなかなか大変だ。
だが、ここはオクタゴンの力を借りてワープすることにした。
オクタゴンの能力は、己の領域で世界を変化させることでもある。
つまり、途中のルートをオクタゴンの領域化してそこを通過すれば……。
ちょっと走っただけで、すぐにシクスゼクスの国境付近に到着だ。
あいつ、この能力を使えばあらゆる海辺に出現できるらしい。
強い能力だよなあ。
「セブンセンス辺りでいい感じの女神とか見つけたら、オクタゴンを直接呼びつけた方が早いかも知れないな」
「マスター、神々の領域に別の神が現れるともう戦争です」
「そっかー」
縄張り争いだな。
難しいものだ。
その後、イースマスで食べた何が美味しかったとか、水着が解放感あって良かったとか、そういう話をしながら移動した。
すると、ちょうど国境の辺りで激しい争いが起きているではないか。
シクスゼクスの誇る魔族兵団みたいなのが、何かとぶつかり合っている。
突如、竜巻が起こって魔族兵団を吸い上げ、地面に叩きつけた。
炎があちこちから吹き上がり、魔族兵団を攻撃する。
かと思うと、今度は氷の礫だ。
魔族兵団側も、魔法の弾丸みたいなのをぶっ放して対抗する。
そんな弾丸の嵐の中を、光り輝く肉体を持ったマッチョマンたちが強引にくぐり抜けた。
そして、魔法を使っていた魔族の頭を斧でかち割る。
巨人を二人がかりで持ち上げて、頭から叩き落とす。
ワオ、バーバリアン!
「あっ、みんなですよ! みんながいますよ! 懐かしいですー!!」
ルミイのテンションが一気に上がった。
なんだって。
つまり、あの凄まじい戦い方をして、魔族兵団を押しまくっている一団が……。
『娘の声が聞こえたと思ったら……ルミイ! ルミイなのね!』
どこからか、落ち着いた感じのちょっとセクシーな女性の声が聞こえた。
「ママー! 帰ってきましたー!」
『おかえりなさい! 本当にルミイなのね。よかった……。どこも怪我はしてない? ちゃんと食事はできてる? 痩せてない?』
「ちょっとお肉がつきました」
『あらあら、だったら母親として、ルミイが太っちょさんになってないかどうかチェックしないといけないわね。あなた食いしん坊だもの』
姿は見えないのに、和気あいあいとした会話は展開されている。
これはもしや……。
アカネルに目配せしたら、彼女がすぐにヘルプ機能で調べてくれた。
「精霊シルフを用いた遠距離会話です。音を運び、遠く離れた場所でも自在に会話できるようにします」
「ほおー、便利だなあ」
『近くに人がいるみたいね。あなたがたは誰かしら? シクスゼクスの兵士?』
尋ねられたら答えるのが道理である。
「俺はコトマエマナビだ。故あってルミイに召喚された異世界召喚者で、ここまでルミイを連れてきたのだ。彼女のお母さんですか。娘さんにはいつもお世話になっております」
色々な意味でな。
『お世話に……? ルミイに手を出したということ……?』
「実はまだ」
『あらまあ。でも、生半可な男じゃ、ルミイに掛けた守りを突破できないものね』
突破は容易だったが、俺としてはこう、相思相愛になってから合意のもとでえっちなことをだな……。
「マナビが鼻を膨らませてるのだ。何か考えてるのだなー」
「マスターは常にエッチなことしか考えてませんよ」
『他にも二人いるようね。いいわ。凍土の王国にお招きするわよ。あなた! ルミイよ! ルミイが近くにいるわ!』
『なんだと! どっちだ! あっちか! よし!!』
すごくでかくて豪快な声がした。
そして、魔族兵団の一角がドカーンッと爆発する。
そこから現れたのは、光り輝く拳を突き出した、大男である。
獣の毛皮を纏い、背中には巨大な斧を背負っている。
髭面で、恐ろしく目付きが鋭い。
そいつがじろりとこちらを見た。
そして、目がにっこりと細くなる。
「ルミイ~~~~~~!! 無事だったかー!! パパだぞー!!」
「パパー!!」
ダダ甘じゃん!
さらに、パパさんは俺を見て、
「余計な虫も一緒なようだな……。パパが厳しくチェックしてやろう」
なんて言うのだった。
いいぞ、お前のカワイイルミイは俺がもらう。
(シクスゼクス帝国編 おわり)
爽やかに目覚めた後、ハムエッグとトーストにアメリカンコーヒーという完璧な朝食を終え、ついに旅立ちの時がやって来た。
「最も食が充実している場所だった……」
俺は感慨に浸る。
「わたしも結構好きかもですね! また来ましょうね!」
「ああ。ルミイを送り届けたら、セブンセンスでオクタゴンの嫁さん探して、その後はシクスゼクス滅ぼしてオクタゴンをリア充にしてやろう!」
「戦うのだ!? やるのだやるのだ!!」
カオルンもやる気満々。
アカネルは、イースマスでもらってきたコーヒー豆みたいなものの匂いを確認している。
「何しているの」
「文化的食事のために、たまに当機能がコーヒーを淹れようと思いまして。ですがこれは、コーヒー豆の見た目と香りですがコーヒー豆ではなく、こういう昆虫ですね」
「なんと、昆虫汁だったか。そう言われるとイースマスらしいと言える」
俺はうんうん頷いた。
そこへ、ディゴ老人とアビサルワンズ一同が現れる。
「マナビ様、皆様、お達者で。オクタゴン様の願いもどうか叶えてくだされ」
「ああ、任せておけ。それと、美味い飯と宿ありがとうな。パルメディア世界で最高のホスピタリティだったよ」
イースマス、本当に素晴らしいところだった。
アビサルワンズの方が、人格的に優れてるってのは、この世界の人間どうなってるんだろうな。
彼らと握手し(しっとりしてた)、手を振り分かれる。
名残惜しいな。
海辺には暗雲が立ち込め、それが巨大な怪物の姿を形作った。
そして手を振ってくる。
「じゃあな、オクタゴン! 絶対にお前のパートナーを連れて戻ってくる!」
俺はそう決意し、シクスゼクスの国境へ向けて走るのだった。
本来であれば、細長い構造のシクスゼクス帝国を駆け抜けるのはなかなか大変だ。
だが、ここはオクタゴンの力を借りてワープすることにした。
オクタゴンの能力は、己の領域で世界を変化させることでもある。
つまり、途中のルートをオクタゴンの領域化してそこを通過すれば……。
ちょっと走っただけで、すぐにシクスゼクスの国境付近に到着だ。
あいつ、この能力を使えばあらゆる海辺に出現できるらしい。
強い能力だよなあ。
「セブンセンス辺りでいい感じの女神とか見つけたら、オクタゴンを直接呼びつけた方が早いかも知れないな」
「マスター、神々の領域に別の神が現れるともう戦争です」
「そっかー」
縄張り争いだな。
難しいものだ。
その後、イースマスで食べた何が美味しかったとか、水着が解放感あって良かったとか、そういう話をしながら移動した。
すると、ちょうど国境の辺りで激しい争いが起きているではないか。
シクスゼクスの誇る魔族兵団みたいなのが、何かとぶつかり合っている。
突如、竜巻が起こって魔族兵団を吸い上げ、地面に叩きつけた。
炎があちこちから吹き上がり、魔族兵団を攻撃する。
かと思うと、今度は氷の礫だ。
魔族兵団側も、魔法の弾丸みたいなのをぶっ放して対抗する。
そんな弾丸の嵐の中を、光り輝く肉体を持ったマッチョマンたちが強引にくぐり抜けた。
そして、魔法を使っていた魔族の頭を斧でかち割る。
巨人を二人がかりで持ち上げて、頭から叩き落とす。
ワオ、バーバリアン!
「あっ、みんなですよ! みんながいますよ! 懐かしいですー!!」
ルミイのテンションが一気に上がった。
なんだって。
つまり、あの凄まじい戦い方をして、魔族兵団を押しまくっている一団が……。
『娘の声が聞こえたと思ったら……ルミイ! ルミイなのね!』
どこからか、落ち着いた感じのちょっとセクシーな女性の声が聞こえた。
「ママー! 帰ってきましたー!」
『おかえりなさい! 本当にルミイなのね。よかった……。どこも怪我はしてない? ちゃんと食事はできてる? 痩せてない?』
「ちょっとお肉がつきました」
『あらあら、だったら母親として、ルミイが太っちょさんになってないかどうかチェックしないといけないわね。あなた食いしん坊だもの』
姿は見えないのに、和気あいあいとした会話は展開されている。
これはもしや……。
アカネルに目配せしたら、彼女がすぐにヘルプ機能で調べてくれた。
「精霊シルフを用いた遠距離会話です。音を運び、遠く離れた場所でも自在に会話できるようにします」
「ほおー、便利だなあ」
『近くに人がいるみたいね。あなたがたは誰かしら? シクスゼクスの兵士?』
尋ねられたら答えるのが道理である。
「俺はコトマエマナビだ。故あってルミイに召喚された異世界召喚者で、ここまでルミイを連れてきたのだ。彼女のお母さんですか。娘さんにはいつもお世話になっております」
色々な意味でな。
『お世話に……? ルミイに手を出したということ……?』
「実はまだ」
『あらまあ。でも、生半可な男じゃ、ルミイに掛けた守りを突破できないものね』
突破は容易だったが、俺としてはこう、相思相愛になってから合意のもとでえっちなことをだな……。
「マナビが鼻を膨らませてるのだ。何か考えてるのだなー」
「マスターは常にエッチなことしか考えてませんよ」
『他にも二人いるようね。いいわ。凍土の王国にお招きするわよ。あなた! ルミイよ! ルミイが近くにいるわ!』
『なんだと! どっちだ! あっちか! よし!!』
すごくでかくて豪快な声がした。
そして、魔族兵団の一角がドカーンッと爆発する。
そこから現れたのは、光り輝く拳を突き出した、大男である。
獣の毛皮を纏い、背中には巨大な斧を背負っている。
髭面で、恐ろしく目付きが鋭い。
そいつがじろりとこちらを見た。
そして、目がにっこりと細くなる。
「ルミイ~~~~~~!! 無事だったかー!! パパだぞー!!」
「パパー!!」
ダダ甘じゃん!
さらに、パパさんは俺を見て、
「余計な虫も一緒なようだな……。パパが厳しくチェックしてやろう」
なんて言うのだった。
いいぞ、お前のカワイイルミイは俺がもらう。
(シクスゼクス帝国編 おわり)
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