召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

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凍土の王国編

第99話 決闘開始から決闘佳境へ

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 この間の決闘が行われた広場である。
 バーバリアン王バルクが、末姫ルミイに求婚した異邦人と決闘するというので、大勢の野次馬が詰めかけていた。
 このあたりに住んでるバーバリアンのほとんどと、結構な数のエルフがいる。

 ルミイは勝利すると得られるトロフィーみたいな感じなので、まさしくトロフィーワイフ。
 ゴテゴテ着飾らされて、うんざりした顔をしながら一番高いところにある椅子に腰掛けていた。

 俺側には、カオルン、アカネル、ガガン。
 バルク側には、側近のバーバリアンたちとルリファレラがいる。
 あのバーバリアン王、側室もいるっぽいけど、ルリファレラがとにかく強烈なので全然目立たず、気を抜くと奥さん一筋に見えるな。

『マナビくん、聞こえるかしら』

「あ、お義母さん聞こるぞ」

『良かったわ。いい? 絶対に一人で勝ってはだめ。なるべく、理不尽に見える手段で勝ってね。邪神さんの手を借りて、派手に、見てる側が納得できない形でね』

「なんだって!」

『だって、誰もが納得できる形で勝ったら、次の王はあなたよ?』

「そ、それはいやだー。そうか、ルミイに求婚するということは、バルクを倒さないといけないし、倒したら王にされるという罠が二重で仕掛けられていたのか……」

 ここで気付く俺である。

「王なのだ? カオルン、動けなくなるのはいやなのだー!」

 カオルンは自由だもんな。

「マスターが王になったら国が滅びますからね。絶対に阻止せねばなりません」

 アカネルは俺がどういうやつなのかよく分かっている。

「王になりたくないとは、変わった男だなあ……」

 ガガンは典型的バーバリアン男子なので、勝利して王になるのは夢だったようである。
 そこで、ペンダントからオクタゴンも意見を口にしてきた。

『俺様が露骨に介入する必要がありそうだな。人脈も力と言っていたから、俺様のような神脈だって力だ。せいぜい理不尽にやらかして、周りの連中が反抗する気も起きないようにしてやろう』

「やる気だなあー」

 オクタゴンがそんな前向きなの珍しい。
 まあ、ここで俺が固定されたらこいつの嫁さんゲット計画が頓挫してしまうしな。

 そうこうしていると、なんかでっぷりしたおっさんが進み出てきて、大きく息を吸い込んだ。

「これより!! ルミイ姫との婚姻を賭けた決闘を開始する!! 凍土の王バルク!! 賭けるものは!!」

 バルクが立ち上がる。
 でかい。

「我が愛娘、ルミイだ。凍土の王国の至宝を、どこの馬の骨とも分からん男にくれてやる理由はない! 怪しげな技を使うとしても、ここで叩き潰してくれよう。だが、この俺を見事下したならば、ルミイだけではない。この王の地位もくれてやろう!!」

 この宣言に、会場はうわーっと沸く。
 俺は、うわーっと引く。

「あの人、本当に王にするつもりだよ」

『バルクはそういう男よ。ルミイは王国にあまり関係なく猫可愛がりして育ててたから、とにかく他所にやるのがいやなのね』

 ルリファレラのため息が聞こえてきた。
 子離れできない父親というわけだな。
 ルミイもルミイで、うんざりした顔を……してはいないな。なんかハラハラしながら俺とバルクを交互に見ている。

『ルミイもバルクのこと大好きだもの。あの娘、甘えん坊だからね。だからマナビくん、ちゃんと加減すること。うちの人を殺さないでね』

「全力で手加減する」

 俺は誓った。

「挑戦者! ルミイ姫に求婚した命知らずの異邦人! 怪しげな技で若き戦士ガガンを打ち破った男、マナビよ! 望むものは!」

「ルミイと結婚すること、それだけだ!」

 俺は堂々と宣言した。
 王位はいらん!!

 高いところに座ってるルミイが、パッと表情を輝かせる。
 めっちゃ嬉しそう。
 俺もニコニコになっちゃうな。

 当然、会場もうわーっと沸いた。
 大盛りあがりである。

 かくして、どこからか持ってこられた銅鑼がジャーン!!と鳴らされ。

「決闘を開始する! 見届人は王弟マスキュラーが務める!!」

 あ、このでっぷりしたおっさん、バルクの弟か!!
 ルミイの叔父さんじゃん。

 後で挨拶しとこう。
 親戚付き合いは大事だからな。

 だが、今は決闘だ。

 開始の合図とともに、バルクが動き出した。
 地面を蹴ったと思ったら、巨体が一瞬で眼の前まで来る。
 うわー、蹴った後の地面が爆発してるわ。

「さっさと終わらせてやろう! ふぬあーっ!!」

 振り下ろされるのはバルクの斧。
 最初から決めに来たな!

 だが、ここでオクタゴンの介入がある。

『やらせるわけにはいかんのでなあ』

 ペンダントの前面に黒いゲートが展開し、そこからオクタゴンが半身を乗り出した。
 そして、振り下ろされた斧を横からぶん殴る。

 殴られた斧は、一瞬でオクタゴンの領域化した。
 ぐずぐずに溶け崩れ、海底の泥になって地面に落ちる。

「なにいっ!!」

 バルクは素早く判断し、距離を取った。
 後退ざま、地面を蹴ってえぐり取り、これを飛び道具にしてぶっ放してくる。
 凍った礫の嵐みたいなもんだ。

 俺は素早くチュートリアルして、こいつを横に寝そべって回避した。
 広範囲攻撃だったな。
 寝そべらなければ当たってた。

 周囲からすると、俺はいきなり戦場で寝た男に見えたらしい。
 その動きでバルクの放った広範囲攻撃を完全回避したので、会場がどよめく。

「凄い、あれを避けた奴を初めて見た!」

「いや、さっき誰か出てこなかったか!?」

「禍々しい気配を感じる!」

 オクタゴン、みんなに見えるように出てきて攻撃したもんな。

『マナビ、今度はど派手に行くぞ』

「よし、いけ」

 オクタゴンの宣言を承認する。
 すると、今度は俺の頭上に黒いゲートが出現した。

 そこから発生するのは、巨大オクタゴンの拳である。
 緑のコケと泥に包まれ、水かきのある巨大な手だ。

 そいつが出現と同時に、猛烈な勢いでバルクに叩き込まれた。

「ぬおおおおっ!! なんだその戦い方は!! 何をやっている!!」

 バルクはこれを跳躍して回避しながら、腰から手投げ斧を抜いて次々投擲してくる。
 手投げ斧が、闘気を帯びてギラギラ輝き出した。

 さっきの斧が光ってなかったのは、あれ加減してたんだな。

「こいつは俺の人脈の力だ。俺は誰かの力を借りて決闘を勝つぞ! どうだ、王にふさわしくあるまい!!」

 チュートリアルで、斧を回避する。
 手投げ斧は着弾と同時に闘気で爆発するので、範囲も読みきらないといかんな。

 さらに、オクタゴンが眷属を次々召喚し、空中のバルク目掛けてぶん投げた。
 空中戦が始まる。

 バルクは眷属たちを蹴り、ぶん殴り、千切っては投げ、千切っては投げ、どんどん処理しながら降りてくる。
 つえー。

『あれは、生身の人間としては最強クラスだな。あのな、マナビ。最強の異世界召喚者は三人いてな。俺様と、魔導王と、あと一人がコンボの達人』

「過去の人物と、最後に変なのいたな」

『あのバーバリアン王、コンボの達人ともそれなりにいい勝負しそうだぜ。おっと、来るぞ。油断するなよ』

「油断できねえって」

 こうして決闘は後半戦へ。
 激しいバトルで、会場が凄いことになっているが、観客はみんな大盛りあがりだったりするのだ。
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