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セブンセンス法国編
第119話 遭遇・コンボ・ルミィ
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戦神の信者たちを軽く撫で、邪神の神殿へ向かう俺たちである。
そこには戦神最強の信者たちがいると聞いていたが……。
到着すると、みんなぶっ倒れているではないか。
アビサルワンズもみんなぶっ倒れている。
どういうことだ。
「あっ! こいつは技巧神の信者だよ! ここで内戦をおっ始めてたんだねえ……。でもみんな倒れてるよ。殴られたり蹴られた跡があるから、刃物じゃないねえ……。息がある」
手加減して、これだけの人数を片付けたやつがいるということだ。
すると、オクタゴンがニュッと出てきた。
『気をつけろ。いるぞ』
「いるって何がだ。お前さんが警戒するほどの相手ってつまり……あー」
俺は理解した。あまり近づかないようにする。
そうすると、倒れてる連中の中で、一人だけが座禅っぽいポーズで座っているのだと気づく。
その男は、赤い道着の袖を雑に破り、黒いバンダナをはめていた。
黒い指ぬきグローブに、ジーンズとスニーカー。
あのちぐはぐな格ゲー主人公を組み合わせたような外見は……!
「あんた、コンボの達人だな」
「いかにも、我こそがコンボの達人」
カッと目を見開く、そのへんてこな男。
座禅したまま、スパーン!と飛び上がり、空中で足を伸ばして着地した。
そして身構える。
格ゲーのキャラみたいなポーズだ。
なんか肩が呼吸で揺れてる。
「新しい挑戦者かな(Here Comes A New Challenger)?」
「いや、別にやる気はない。そこの神殿、俺たちが設置したんで」
「そうなのか」
コンボの達人は、あからさまにガッカリした。
「お主は絶対に超強いと我の勘が告げてたんだがなあ」
「冗談じゃねえ」
俺はゾッとした。
こいつ、いきなり俺を見抜いたな。
しょぼい外見だし、きっと、魔力も無いし闘気すらも無い。
だが、この男がコンボの達人ならば、オクタゴンに匹敵するレベルの脅威である。
魔法文明を築き上げた魔導王と並ぶ、世界最強の三人の一人。
魔法でも闘気でも、邪神の力でもなく、個人の技量一つだけで頂点に至った正真正銘の化け物。
いやあ、強さは見た目じゃ全く分からないわ。
まさか俺が分からされるとは思わなかった。
「多分そのうちやり合う事になるとは思うけど、ここじゃないから。今おっ始めたら、俺はチュートリアルを駆使して逃げ切るぞ」
「逃げた相手を追いかけて倒すのは、我は苦手だな……。あっ! でもオクタゴンまでいるではないか。どうだ、我とここで試合おうではないか」
『やめておくぞ。俺様とお前が本気でやりあったら、この街が滅びる。それに俺様は端末に過ぎん。お前には勝てん』
端末の状態でバーバリアン王バルクを転がしたオクタゴンが、この妙ちくりんな男には勝てないと断言する。
本物であろう。
だが、あまりにもコンボの達人に凄みが無いので、ガガンはいぶかしく思ったようだった。
「そんなに強いのか? いや、マナビと戦って学習したけど、こっちも信じられん……。ちょっと戦ってみようじゃねえか」
すると、コンボの達人が凄く嬉しそうな顔をした。
「やってくれるのか! ありがたい! いやあ、ありがたい!!」
近づいてきて、ガガンの腕を握ってぶんぶん振る。
こんな嬉しそうな顔する男久々に見たな。
いや、ガガンとオクタゴン以来だから、最近よく見てるわ。
で、オクタゴンが神殿の活性化を行いつつ、サービスで各宗教の信者たちを治してやっているとだ。
ガガンとコンボの達人の試合が始まった。
ガガンの拳が打ち込まれる!
これをコンボの達人は、なんか時空が歪んでるのでは? みたいな動きで、前転して避けた。
そしてガガンに向かってペチペチとジャブを叩き込む。
あんなの、ガガンの巨体には通用しないだろ……と普通は思う。
「ウグワッ」
ガガンが怯んだ。
うっそだー。
そこにコンボの達人が迫る。
ガガンの怯みが抜けないうちに、残像を纏いながら中段突き、そして流れるように顎を打ち上げる掌底。
なんと、ガガンの巨体が宙に浮く。
それを追ってコンボの達人も飛んだ。
空中でジャブを三回、キックを二回、回し蹴りを食らわせると、ガガンはそこでやっと吹っ飛び、地面に激突した。
あっ、勢いでバウンドした。
そのバウンドしたガガンにコンボの達人は追撃を決める……決めようとして、やめた。
「いかんいかん!! 手加減しておかなければ」
「うう……! な、何をされたか全く分からなかったぜ」
ガガンがよろよろ起き上がる。
そりゃあ分からないよなあ。
しかもコンボの達人、今のはプラクティスモードだったらしい。
ガガンに全くダメージが残っていない。
「精進しろよ!」
彼は微笑みながら、立ち上がったガガンの拳に自分の拳を打ち合わせた。
「俺はこれから、俺より強いやつに会いに行く」
『いるかそんなもん』
オクタゴンが突っ込んだ。
世界最強の三人の一人だもんな。
「というか、最強の一人であるコンボの達人が何をしてるんだ」
「ああ、それはな。我は最強のライバルを求めて世界中を旅しているのだが……。技巧神がなかなか強いと聞いてここにやって来た。結界を弱パンチ連打で相殺し、こうして侵入し、ついに技巧神を表舞台に引きずり出して先程激闘の末にKOしたのだが、その興奮醒めやらずここまで来たのだ。まあ、噂に聞いていたよりは不自然に弱かったのでまだ変身を残しているのかも知れないが」
ナルカが目を剥く。
「かっ……神を倒したのかい!? 素手で!?」
「コンボが決まる相手なら必ず倒せる。我はそう信じている」
汗臭い微笑みとともに、拳を掲げるコンボの達人。
こうして、やつは去っていった。
正真正銘の神出鬼没らしいので、またどこかで会いそうだ。
「あいつは俺と相性がよろしくないな」
「そうなんですか? マスターが戦いたがらないなんて」
「あいつは恐らく、コンボが能力だ。つまり、どんな状況からでもコンボを繋げてくる。そして初撃は隙が極めて少ない攻撃からだな。俺が付け入る間が小さすぎるんだ」
今までで最も高精度なチュートリアルが必要になることだろう。
見た目も戦い方も一見してしょぼいが、コンボを決められる相手は必ず倒せるというあの男。
間違いなく最強の一角である。
しかも結界を弱パンチで相殺したと言っていた。
あいつは、どんなものでも無条件で、対応する攻撃によって相殺できるのだろう。
最強の攻撃と最強の守りを持つ男だ。
やりたくねー。
まあ、やることになったら勝つつもりだがな。
『よし、神殿が繋がった。ゲートを開くぞ。準備しろ』
「準備?」
『開いたぞ』
「マナビさーん!!!!!!」
俺が準備とやらをする暇も無く、むちむちしたものが飛び出してきて俺を押し倒した。
「ウグワーッ! こ、このもちもち柔らかさはルミイ! 二日ぶりなのに久々って感じだなあ」
「わたしこそ心配でしたよ! アカネルが抜け駆けしてないかとか、もうずーっとやきもきしてて」
「ギクッ」
今、アカネルが口で言った。
ハッとするルミイ。
そして、真顔になった。
「いっ、今すぐしちゃいましょう!! これ以上アカネルに主導権を渡すわけには行きません!! ここってそういうお店あるんですよね? 部屋を借りてしちゃいましょう!! すぐ! すぐ!!」
真顔だ!!
そしてショックで膝から崩れ落ちるガガン。
いきなり大惨事なのである。
そこには戦神最強の信者たちがいると聞いていたが……。
到着すると、みんなぶっ倒れているではないか。
アビサルワンズもみんなぶっ倒れている。
どういうことだ。
「あっ! こいつは技巧神の信者だよ! ここで内戦をおっ始めてたんだねえ……。でもみんな倒れてるよ。殴られたり蹴られた跡があるから、刃物じゃないねえ……。息がある」
手加減して、これだけの人数を片付けたやつがいるということだ。
すると、オクタゴンがニュッと出てきた。
『気をつけろ。いるぞ』
「いるって何がだ。お前さんが警戒するほどの相手ってつまり……あー」
俺は理解した。あまり近づかないようにする。
そうすると、倒れてる連中の中で、一人だけが座禅っぽいポーズで座っているのだと気づく。
その男は、赤い道着の袖を雑に破り、黒いバンダナをはめていた。
黒い指ぬきグローブに、ジーンズとスニーカー。
あのちぐはぐな格ゲー主人公を組み合わせたような外見は……!
「あんた、コンボの達人だな」
「いかにも、我こそがコンボの達人」
カッと目を見開く、そのへんてこな男。
座禅したまま、スパーン!と飛び上がり、空中で足を伸ばして着地した。
そして身構える。
格ゲーのキャラみたいなポーズだ。
なんか肩が呼吸で揺れてる。
「新しい挑戦者かな(Here Comes A New Challenger)?」
「いや、別にやる気はない。そこの神殿、俺たちが設置したんで」
「そうなのか」
コンボの達人は、あからさまにガッカリした。
「お主は絶対に超強いと我の勘が告げてたんだがなあ」
「冗談じゃねえ」
俺はゾッとした。
こいつ、いきなり俺を見抜いたな。
しょぼい外見だし、きっと、魔力も無いし闘気すらも無い。
だが、この男がコンボの達人ならば、オクタゴンに匹敵するレベルの脅威である。
魔法文明を築き上げた魔導王と並ぶ、世界最強の三人の一人。
魔法でも闘気でも、邪神の力でもなく、個人の技量一つだけで頂点に至った正真正銘の化け物。
いやあ、強さは見た目じゃ全く分からないわ。
まさか俺が分からされるとは思わなかった。
「多分そのうちやり合う事になるとは思うけど、ここじゃないから。今おっ始めたら、俺はチュートリアルを駆使して逃げ切るぞ」
「逃げた相手を追いかけて倒すのは、我は苦手だな……。あっ! でもオクタゴンまでいるではないか。どうだ、我とここで試合おうではないか」
『やめておくぞ。俺様とお前が本気でやりあったら、この街が滅びる。それに俺様は端末に過ぎん。お前には勝てん』
端末の状態でバーバリアン王バルクを転がしたオクタゴンが、この妙ちくりんな男には勝てないと断言する。
本物であろう。
だが、あまりにもコンボの達人に凄みが無いので、ガガンはいぶかしく思ったようだった。
「そんなに強いのか? いや、マナビと戦って学習したけど、こっちも信じられん……。ちょっと戦ってみようじゃねえか」
すると、コンボの達人が凄く嬉しそうな顔をした。
「やってくれるのか! ありがたい! いやあ、ありがたい!!」
近づいてきて、ガガンの腕を握ってぶんぶん振る。
こんな嬉しそうな顔する男久々に見たな。
いや、ガガンとオクタゴン以来だから、最近よく見てるわ。
で、オクタゴンが神殿の活性化を行いつつ、サービスで各宗教の信者たちを治してやっているとだ。
ガガンとコンボの達人の試合が始まった。
ガガンの拳が打ち込まれる!
これをコンボの達人は、なんか時空が歪んでるのでは? みたいな動きで、前転して避けた。
そしてガガンに向かってペチペチとジャブを叩き込む。
あんなの、ガガンの巨体には通用しないだろ……と普通は思う。
「ウグワッ」
ガガンが怯んだ。
うっそだー。
そこにコンボの達人が迫る。
ガガンの怯みが抜けないうちに、残像を纏いながら中段突き、そして流れるように顎を打ち上げる掌底。
なんと、ガガンの巨体が宙に浮く。
それを追ってコンボの達人も飛んだ。
空中でジャブを三回、キックを二回、回し蹴りを食らわせると、ガガンはそこでやっと吹っ飛び、地面に激突した。
あっ、勢いでバウンドした。
そのバウンドしたガガンにコンボの達人は追撃を決める……決めようとして、やめた。
「いかんいかん!! 手加減しておかなければ」
「うう……! な、何をされたか全く分からなかったぜ」
ガガンがよろよろ起き上がる。
そりゃあ分からないよなあ。
しかもコンボの達人、今のはプラクティスモードだったらしい。
ガガンに全くダメージが残っていない。
「精進しろよ!」
彼は微笑みながら、立ち上がったガガンの拳に自分の拳を打ち合わせた。
「俺はこれから、俺より強いやつに会いに行く」
『いるかそんなもん』
オクタゴンが突っ込んだ。
世界最強の三人の一人だもんな。
「というか、最強の一人であるコンボの達人が何をしてるんだ」
「ああ、それはな。我は最強のライバルを求めて世界中を旅しているのだが……。技巧神がなかなか強いと聞いてここにやって来た。結界を弱パンチ連打で相殺し、こうして侵入し、ついに技巧神を表舞台に引きずり出して先程激闘の末にKOしたのだが、その興奮醒めやらずここまで来たのだ。まあ、噂に聞いていたよりは不自然に弱かったのでまだ変身を残しているのかも知れないが」
ナルカが目を剥く。
「かっ……神を倒したのかい!? 素手で!?」
「コンボが決まる相手なら必ず倒せる。我はそう信じている」
汗臭い微笑みとともに、拳を掲げるコンボの達人。
こうして、やつは去っていった。
正真正銘の神出鬼没らしいので、またどこかで会いそうだ。
「あいつは俺と相性がよろしくないな」
「そうなんですか? マスターが戦いたがらないなんて」
「あいつは恐らく、コンボが能力だ。つまり、どんな状況からでもコンボを繋げてくる。そして初撃は隙が極めて少ない攻撃からだな。俺が付け入る間が小さすぎるんだ」
今までで最も高精度なチュートリアルが必要になることだろう。
見た目も戦い方も一見してしょぼいが、コンボを決められる相手は必ず倒せるというあの男。
間違いなく最強の一角である。
しかも結界を弱パンチで相殺したと言っていた。
あいつは、どんなものでも無条件で、対応する攻撃によって相殺できるのだろう。
最強の攻撃と最強の守りを持つ男だ。
やりたくねー。
まあ、やることになったら勝つつもりだがな。
『よし、神殿が繋がった。ゲートを開くぞ。準備しろ』
「準備?」
『開いたぞ』
「マナビさーん!!!!!!」
俺が準備とやらをする暇も無く、むちむちしたものが飛び出してきて俺を押し倒した。
「ウグワーッ! こ、このもちもち柔らかさはルミイ! 二日ぶりなのに久々って感じだなあ」
「わたしこそ心配でしたよ! アカネルが抜け駆けしてないかとか、もうずーっとやきもきしてて」
「ギクッ」
今、アカネルが口で言った。
ハッとするルミイ。
そして、真顔になった。
「いっ、今すぐしちゃいましょう!! これ以上アカネルに主導権を渡すわけには行きません!! ここってそういうお店あるんですよね? 部屋を借りてしちゃいましょう!! すぐ! すぐ!!」
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