召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

文字の大きさ
121 / 196
セブンセンス法国編

第121話 戦術・戦略・タクティクス

しおりを挟む
 流石にハッスルし過ぎ、限界を超えたので俺も足腰がガクガクである。
 しかもかなり深みのある賢者モードだ。
 今日明日は賢者だな。

 なお、ルミイは腰が抜けたそうなので、しばらくベッドでぐうぐう惰眠をむさぼるらしい。

「あとでご飯持ってきてくださいね、あなた!!」

「あなた!!」

 夫婦みたいな呼び方に、俺は興奮して飛び跳ねた。
 賢者モード終わり!

 ウキウキして宿の階下に向かう。
 オクタゴンとカオルンと、大変悔しそうなアカネルと、きょとんとしているナルカがいた。

「あれ? ガガンは?」

『あいつは凄まじいショックを受けていてな。それを癒やすために今夜は慈愛神に仕える中でも、現在トップのお姉さんのところで傷を癒やすことになった。最高司祭からの粋な計らいというやつだな』

 いかん、早まってしまったか。
 ガガンがNTRに目覚めてしまったらどうしよう。

「マスター! 次、次は当機能が……!!」

「お? なんか分からないけど、次はカオルンなのだ。アカネルは三番目なのだー」

「うぎー」

 アカネルがめちゃくちゃ悔しそうにテーブルを叩いている。
 俺と一緒の時に先走りすぎたペナルティが発生してるな……!

「ははあ。晴れて夫婦ってわけかい。めでたいね! 死と生は繋がってるからね! ルサルカ様は生の営みを寿ぐ神でもあるんだよ」

 ナルカは、アカネルの動きに面食らいつつも、俺を祝福してくれる。
 いい娘である。

『さて、話を戻そう。明日、また慈愛神の最高司祭と会うことになっているぞ。今日も神殿建立に立ち会ってもらったが、そこに戦神の食客だろう異世界召喚者が仕掛けてきてな』

「いたのか、異世界召喚者」

『戦いの尖兵として、主に戦神と技巧神が召喚するそうだ。地面を水のように変化させて自在に泳ぎ、攻撃を仕掛けてくるやつだったのでそのまま地面を固めて生き埋めにして倒してやった。端末の俺様では、相手を狂気にする力が弱めだからな』

 事もなげである。
 なお、戦神の信者連中はカオルンとナルカが一掃したらしい。

「カオルン、強いんだねえ! 小さいのにあたいよりも強いんじゃないかと思ったよ! ありゃあ人間の動きじゃないねえ」

「うんうん、カオルンは強いのだ! ちょっと周りに異常なのが多いだけなのだ!」

 カオルン、褒められて嬉しそうである。
 最近、なんか活躍できなかったもんなあ。
 えっへんと胸を張っている。

『でな。その働きを見て、慈愛神の最高司祭が色々便宜を図ってくれる事になった。これは慈愛神本人からの接触もあった。間違いない。鍛冶神は聖女が直接来るらしい』

「デカい話になってきたなあ!」

『もともと、セブンセンスを巻き込んだ内戦を止める事を考えていただろう。どうやったって大きい話になるんだよ。それともあれか? 兄弟は他の宗教を全部ぶっ飛ばすつもりだったか』

「そんな気分だった気がする……。確かに味方につけられた方がいいか」

 オクタゴンはクールである。
 本体があの海辺にいるので、頭が冷えやすいのかもしれない。


 結局その日は解散ということになり、カオルン、アカネル、ナルカが女子部屋。
 俺は飯を持って来て、ルミイと一緒に食ったのである。
 いやあ、カロリーを使ったおかげか、ルミイの食うこと食うこと。

「こんなにお腹減るんですねえ! びっくりしました! とりあえずものすごく満足したので、わたしの心は広くなりそうです……」

「ルミイが菩薩のような顔をしている……」

 ムラムラするが、さすがに愚息が「丸一日休めて下さい」と言っているので今日はそのまま寝ることにした。
 二人で大きなベッドに大の字になり、お互いを蹴飛ばしあって寝たような気がする。

 起きると、ルミイの足が頭の上にあり、俺の腕がルミイの腹の上にあった。
 どういう寝相だ……?

 向かいの女子部屋が騒がしくなり、目覚めたな、と分かる。
 部屋から出て挨拶をしたところ、カオルンとアカネルとナルカ、熟睡したようでスッキリした顔だ。

「アカネルがいつまでも呪詛を吐いているので、気絶させて眠らせたのだなー」

「カオルン、強硬手段に出たか。しかし急がないとアカネルがヤンデレ落ちするな。猶予はない」

 機械だというのに、その辺誰よりも人間っぽいのはどうなのよ。

 ちなみにこの連れ込み宿は、一階が酒場になっている。
 ここでモーニングを食い、オクタゴンが出現したところで連れ立って慈愛神神殿へ向かった。

 慈愛神の神殿は、一見すると大きなお屋敷である。
 門扉があちこち破壊されたり、焼け焦げた跡があるのは最近の内戦のせいらしい。

 神殿の中では、男女だったり男男だったり女女だったりが、仲睦まじくお喋りしている。
 会話の内容は神への聖句を交えたものなので、あれ自体がお仕事なんだろう。
 しかし、多様な愛を許容する神である。

 奥まった会議室に通される。
 そこには、昨日会ったおばあちゃん最高司祭と、2mくらいありそうなガチムチの女性がいた。

 この人が鍛冶神の聖女ですか……。
 ガガンと殴り合えそうだな。

 オクタゴンが登場すると、二人はそれぞれの形で神への礼を行う。
 うちの兄弟、腐っても神だもんな。

『お互いが持っている情報を交換しよう。内戦の終わりは近いぞ。まず、技巧神教団は無力化された。あれは、技巧神がコンボの達人に敗れ、休眠状態に入ったためだ』

「コンボの達人……! とんでもない怪物が入り込んでおりましたな」

 おばあちゃんの声が震えているぞ。
 えっ、あの格闘キャラみたいなやつ、そこまで恐れられてるの?
 個人戦力で教団を脅かすレベルなんだなあ。さすが世界最強の一角。

「好都合であろう。積極交戦派の一角が潰れてくれた。我らに交戦の意志なし。コンボの達人は、戦わぬ相手には手出しをせぬ武人と聞く」

 鍛冶神の聖女が男らしい口調で告げた。
 ちなみにこの聖女、既に人妻であり、一男二女の子どもがいるんだって。

 既婚でも聖女いけるのだ。

「ああ、聖女はね、あり方そのものに神が力を与えているものなのですよ。だから、清らかな乙女だろうが、このようなババであろうが変わらんのですわ」

「ほうほう。じゃあ異世界召喚者にたぶらかされた、光輝神の聖女のアリスティアは?」

「光輝神様は恐らく、全然問題ないと仰ってると思いますがの。問題は頭の固い上の連中でしょう。このババが法皇であったときも、あやつらの石頭には閉口しておりました」

 なんだってー。
 つまり、アリスティアはバリバリ問題なしの光輝神の巫女だったわけである。

 悪いのは光輝神教団の上の方か。
 俺とオクタゴン、顔を見合わせてニヤリと笑う。
 排除すべき対象が見つかったな。

「ちなみに、もしかしてなんですが」

 アカネルが口を開く。

「内戦が行われているのは、異世界召喚者タクルによってもたらされた混乱を、各教団が相手の責任だと押し付けあってるからでは……?」

 おばあちゃんとガチムチ聖女が曖昧な笑顔になった。
 正解っぽい。

 しょうもねー!

 つまり、この内戦はプライドの話だったのだ!

 なお、積極交戦派と呼ばれる光輝神、戦神、技巧神、知識神は同盟を結んでいるわけではなく、バトルロワイヤル状態である。
 だが、最近はさすがにくたびれてきて、交戦も小競り合い程度になっている。
 そこをルサルカ教団が突いたので、この間のような塀の外での戦いが発生したわけだ。

「知識神はオクタゴン側についた。光輝神は上層部をどうにかする。最後は戦神か。異世界召喚者送り込んでくるレベルだから、教団単位で好戦的だぞ。だから、次は戦神教団を叩く。できれば戦神そのものを呼び出して叩く」

 俺は今日の方針を決めた。
 満場一致で可決する。

 本来ならば正気ではない策なのだ。
 戦を象徴する神そのものを倒すというわけだからな。

 だが、うちはオクタゴンもいるし、俺もチュートリアルすれば神とやりあえるだろ。
 ということで問題なし!

 なお、ルミイは後ろでニコニコしながら話を聞いているだけで、至ってマイペースなのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?ただいまお相手募集中です!

月芝
ファンタジー
国の端っこのきわきわにある辺境の里にて。 不自由なりにも快適にすみっこ暮らしをしていたチヨコ。 いずれは都会に出て……なんてことはまるで考えておらず、 実家の畑と趣味の園芸の二刀流で、第一次産業の星を目指す所存。 父母妹、クセの強い里の仲間たち、その他いろいろ。 ちょっぴり変わった環境に囲まれて、すくすく育ち迎えた十一歳。 森で行き倒れの老人を助けたら、なぜだか剣の母に任命されちゃった!! って、剣の母って何? 世に邪悪があふれ災いがはびこるとき、地上へと神がつかわす天剣(アマノツルギ)。 それを産み出す母体に選ばれてしまった少女。 役に立ちそうで微妙なチカラを授かるも、使命を果たさないと恐ろしい呪いが……。 うかうかしていたら、あっという間に灰色の青春が過ぎて、 孤高の人生の果てに、寂しい老後が待っている。 なんてこったい! チヨコの明日はどっちだ!

鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸
ファンタジー
【あらすじ】  ジュナリュシア・キーブレスは、キーブレス王国の第十七王子として生を受けた。  キーブレス王国は、スキル至上主義を掲げており、高ランクのスキルを持つ者が権力を持ち、低ランクの者はゴミのように虐げられる国だった。そして、ジュナの一族であるキーブレス王家は、魔法などのスキルを他人に授与することができる特殊能力者の一族で、ジュナも同様の能力が発現することが期待された。  しかし、スキル鑑定式の日、ジュナが鑑定士に言い渡された能力は《スキル無し》。これと同じ日に第五王女ピアーチェスに言い渡された能力は《Eランクのギフトキー》。  つまり、スキル至上主義のキーブレス王国では、死刑宣告にも等しい鑑定結果であった。他の王子たちは、Cランク以上のギフトキーを所持していることもあり、ジュナとピアーチェスはひどい差別を受けることになる。  お互いに近い境遇ということもあり、身を寄せ合うようになる2人。すぐに仲良くなった2人だったが、ある日、別の兄弟から命を狙われる事件が起き、窮地に立たされたジュナは、隠された能力《他人からスキルを奪う能力》が覚醒する。  この事件をきっかけに、ジュナは考えを改めた。この国で自分と姉が生きていくには、クズな王族たちからスキルを奪って裏から国を支配するしかない、と。  これは、スキル至上主義の王国で、自分たちが生き延びるために闇組織を結成し、裏から王国を支配していく物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも掲載しています。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

処理中です...