召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

文字の大きさ
124 / 196
セブンセンス法国編

第124話 イナズマ・プロポーズ・黒幕is誰

しおりを挟む
『イナズマ!』

『ウグワーッ!?』

 おっと、背後ではオクタゴンがイナズマレッグラリアートを叩き込み、戦神が障壁と塀を破壊しながら倒れていく。
 大騒ぎだ。
 イナズマレッグラリアートとは、かつてあった技で、レッグラリアートを放つ時にイナズマ!と叫ぶのだ。

 日本のプロレスラーの技だが、後に格闘ゲームがそれを真似した……。
 多分、年代的にオクタゴンはオリジナルの技を知っていたのだろう。

 うわーっと沸くアビサルワンズたち。
 いつの間にかたくさん出てきてるな!

 そして戦神の信者たちが悲鳴をあげている。

「アリスティア! オレのところに来い! あんたがいるべき場所はこっちだ!」

 背後の大混乱には構わず、二人の世界を構築するガガンとアリスティア!!
 両手を広げたガガンの前で、アリスティアは逡巡した。

 神々大決戦が視界に入ってるだろうに、ハートが強いなー。

「できません……! わたくしは、光輝神の聖女として選ばれた者。例え資格を失っても、その役目を果たさねばなりませんから……!!」

 悲壮な決意を秘めて、アリスティアが叫ぶのだ。
 ヒロインみたいだな。

「な? あいつめんどくさいだろ? 自分で勝手に何もかも抱え込んでパンクするんだよ。昔からだよ」

 ナルカがアリスティアを指さしてため息をつく。
 幼なじみだもんなー。

 横合いから光輝神の信者たちが襲いかかってきたので、ナルカが魔眼を光らせてナイフを何本か投げた。
 信者たちが「ウグワーッ!!」と言いながらぶっ倒れる。
 ナルカの一撃はなんであろうと、通常の相手には一撃必殺なのだ。

「うう……!!」

 おっと、ガガンが言葉を紡げないでいる。
 そうだよなあ。
 あいつ、アリスティアの外見と佇まいから好きになったけど、今はアリスティアの中身も含めて好きだろ。

 否定はできないもんな。
 だが!
 だがしかしである!

「マスター! 蛮神バルガイヤーから直接通話の依頼があります!」

「なんだって! ヘルプ機能ってそういうの取り次げるんだ……」

 視界に出現したヘルプ機能のウインドウに、なんと受話器型のアイコンがついている。
 ポチッと押すと、音声アイコンが出現した。

『わしがあまねく太陽の恵みと猛威を司る蛮神、バルガイヤーである!!』

 豪快な声が戦場に響き渡った。
 おお、神様の意志が直接降臨。
 ルサルカ、知識神に続いて三柱目である。

 ガガンが、信仰する神の降臨に、直立不動になった。
 アリスティアも驚き、目を見開く。

「そんな……。太陽の光輝は、光輝神アクシスが司るもののはずです……! そもそもアクシス経典にはバルガイヤーという神の記述がされていません……」

『わしがあまねく太陽の恵みと猛威を司る蛮神、バルガイヤーである!! あと、光輝神アクシスはわしが法と正しき行いを司る時のハンドルネームである!! 元はバルガイヤーがハンドルネームだったが、長く凍土の大地で過ごすうちに信者数が逆転してメインとサブも入れ替わったのである!!』

 な、な、なんだってー!!
 今、さらっととんでもない事実がぶちまけられたな!

「つまりバルガイヤー、あんたがアクシスだったの?」

『わしがあまねく太陽の恵みと猛威を司る蛮神、バルガイヤーにして法と正しき行いと太陽の苛烈さを司る光輝神、アクシスである!!』

 神が他の神の名を僭称するなんてのは、悪神でもないと考えられない。
 ということで、これは本当だろう。
 とういうかいちいち名乗るな。

 さて。
 必死に抵抗し、己を律しようとしていたアリスティアだが。

 その理由とモチベーションが全部消えた。
 彼女はしょんぼりして、その場に体育座りしてしまった。

「そんなあ。わたくしは一体どうすればいいのですかあ」

「オレとあんたは信じる神が一緒だったってことだよ!!」

 そこにダイレクトに切り込むガガン!
 そうだな、障壁が全部消えたな!

「蛮神は、清らかとかそういう概念はない! 人は生きる上で他の命を殺すし、己が生きる場所を守るために血を流す! だが、仲間と友を裏切らないでいればそれは聖なる行いだ! 何も光輝神と変わらない! 聖女であるあんただって、男と契り、子を産んでいいんだ!!」

「いいぞガガン」

 グッと拳を握る俺である。
 あいつ、本当に輝いているな。
 主人公みたいだ。

 隣でルミイとアカネルもうんうん頷く。
 ナルカはボソッと、「これで内戦が片付くなら、あたいもそろそろ身を固めないといけないかもねえ」とか言っている。

 うちにおいで!!

「アリスティア! オレの……オレの子を産んで欲しい!!」

 うおーっ、ダイレクトプロポーズ!!
 この、何の飾りもなく、他にどう解釈のしようもない一言に、アリスティアは凄い衝撃を受けたようである。
 ぴょこんと立ち上がり、直立不動になっている。

「は、は、はい!? で、でもわたくしはその、汚れた身で……聖女としての資格……もにゃもにゃ」

「バルガイヤーの下でそんな概念は無い!! オレはあんたが好きだ! あんたが欲しい! アリスティアー!! オレと結婚してくれーっ!!」

 もう、プロポーズ以外の解釈が成立しない訴えである。
 返答はイエスかノーしかない。

 そしてこういうのに全く耐性が無いし、さっきの問答でガガンへの好感度メーターが上がってたらしいアリスティア。

「あっ、はい!」

 返事をしたのである。

『わしがあまねく太陽の恵みと猛威を司る蛮神、バルガイヤー……』『あなた! いい加減しつこいわよ! 月の女神にして慈愛神、リサルナが二人を祝福しましょう。二つの太陽の使徒がここで出会い、結ばれたのです! わーっ、拍手ー』

 すると、どこに隠れていたのか、慈愛神の信者たちがワーッとやって来て、ガガンとアリスティアを囲んで拍手する。

「おめでとうございます!」「おめでとう!」「おめでとうさん!」「めでたいなあ!」

 おめでとうコールだ。
 というか、月の女神も凄い爆弾発言したな。
 慈愛神と同一神だったの……?

 そう言えば、慈愛神リサルナの名前の中にルナってある!

 さて、この場に光輝神と慈愛神に祝福されたカップルが生まれてしまった。
 もう戦闘どころではない。

 戦神はさっきのイナズマレッグラリアートでKOされているし、もはやこの場で戦う理由など何も無かった。
 なし崩し的に、この大混戦は終わった。

 輪の中心に、ガガンとアリスティアがいる。
 オクタゴンは多数の戦神信者を狂気に陥れた後、アビサルワンズを連れて建物の中に引っ込んだ。
 いると話がややこしくなるもんな。

「あっ、ちょっと待って。ルサルカ様がオクタゴン様にお礼を言いたいらしいから。あたい、ちょっと行ってくる」

 ナルカがオクタゴンの方に走っていった。
 聖女も大変である。

 こうして、目の前の新米カップルが、人々から祝福されて照れている光景に戻るわけだ。
 なにせ、神の前でプロポーズしてこれを受諾したのだ。
 既に完全に夫婦である。

 めでたいなーと思っていたら、聖女アリスティアが俺の方に走ってきた。

「あの、あなた! アクシスとリサルナの言葉を届けてくださった、不思議なあなた!」

「あっはい」

「わたくしにしか、アクシスの声が聞こえなかった理由がわかりました。神は遠くの地におられたのですね。新たな信徒を抱えて導いておられたのです。では……法皇や神官戦士たちが聞いた声は何者の声だったのでしょうか。この内戦、裏でわたくしの知らない神が糸を引いています……!!」

 シクスゼクスだけではない。
 内戦の本当の黒幕は一体何者なのであろうか。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?ただいまお相手募集中です!

月芝
ファンタジー
国の端っこのきわきわにある辺境の里にて。 不自由なりにも快適にすみっこ暮らしをしていたチヨコ。 いずれは都会に出て……なんてことはまるで考えておらず、 実家の畑と趣味の園芸の二刀流で、第一次産業の星を目指す所存。 父母妹、クセの強い里の仲間たち、その他いろいろ。 ちょっぴり変わった環境に囲まれて、すくすく育ち迎えた十一歳。 森で行き倒れの老人を助けたら、なぜだか剣の母に任命されちゃった!! って、剣の母って何? 世に邪悪があふれ災いがはびこるとき、地上へと神がつかわす天剣(アマノツルギ)。 それを産み出す母体に選ばれてしまった少女。 役に立ちそうで微妙なチカラを授かるも、使命を果たさないと恐ろしい呪いが……。 うかうかしていたら、あっという間に灰色の青春が過ぎて、 孤高の人生の果てに、寂しい老後が待っている。 なんてこったい! チヨコの明日はどっちだ!

鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸
ファンタジー
【あらすじ】  ジュナリュシア・キーブレスは、キーブレス王国の第十七王子として生を受けた。  キーブレス王国は、スキル至上主義を掲げており、高ランクのスキルを持つ者が権力を持ち、低ランクの者はゴミのように虐げられる国だった。そして、ジュナの一族であるキーブレス王家は、魔法などのスキルを他人に授与することができる特殊能力者の一族で、ジュナも同様の能力が発現することが期待された。  しかし、スキル鑑定式の日、ジュナが鑑定士に言い渡された能力は《スキル無し》。これと同じ日に第五王女ピアーチェスに言い渡された能力は《Eランクのギフトキー》。  つまり、スキル至上主義のキーブレス王国では、死刑宣告にも等しい鑑定結果であった。他の王子たちは、Cランク以上のギフトキーを所持していることもあり、ジュナとピアーチェスはひどい差別を受けることになる。  お互いに近い境遇ということもあり、身を寄せ合うようになる2人。すぐに仲良くなった2人だったが、ある日、別の兄弟から命を狙われる事件が起き、窮地に立たされたジュナは、隠された能力《他人からスキルを奪う能力》が覚醒する。  この事件をきっかけに、ジュナは考えを改めた。この国で自分と姉が生きていくには、クズな王族たちからスキルを奪って裏から国を支配するしかない、と。  これは、スキル至上主義の王国で、自分たちが生き延びるために闇組織を結成し、裏から王国を支配していく物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも掲載しています。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

処理中です...