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終末の王編
第166話 対ありからのUターン
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「呆然として見ていました」
「謎の戦いだったのだなー」
「二人とも死の線が見えないんだもの。絶対やり合いたくないね……。これってつまり、運命を捻じ曲げてくるレベルの実力者が二人いるってことだよ」
アカネル、カオルン、ナルカがため息をついている。
眼の前でよく分からんものを見せられたからだろう。
俺と達人はすっかり打ち解けた。
「正直、俺としては何度でも対戦して実力を確かめ合いたいところだが、これはゲームではなく現実だ。下手をするとどちらかが死ぬ」
「達人の口からまともなセリフが飛び出してきたぞ」
「なので魔導王を倒したら存分にやり合おう」
「やはりまともではなかった」
まあ、そのうち安全に戦える手段を見つけたらやっても構わないんじゃないか。
面倒だし、俺に何かメリットがあるとも思えないが……達人へのご褒美として付き合ってやるのもよかろう。
俺からして、コンボの達人はもう身内判定なのである。
「それはそうと達人よ」
「なんだ」
「エリイはどうなんだ。ちょっとしか知らない俺から見てもいい女だぞ。めちゃくちゃいい女だ」
「うおーっ」
達人がぐねぐねと身悶えした。
反応に困っているな。
俺がニヤニヤしていると、駆け寄ってきたアカネルとカオルンが俺のお尻をペチンと叩いた。
「ウグワーッなんだなんだ」
「マスターから浮気の気配を感じました!」
「ナルカまでで止めるのだー!」
「浮気しないよしないよ」
今は城壁の上にある通路にいるのだが、その縁まで追い詰められてしまった。
二人ともすごい迫力だ。
「女は怖いなあ」
コンボの達人が呟く。
こいつ、とにかくめちゃくちゃに女性が苦手なんだな。
「いいか二人とも。俺はな、身内判定した人間を誰かとくっつけるのが好きなんだ。だからコンボの達人とエリイをくっつけられないかという話をだな」
「あ、そういうことでしたか。確かにマスターはカプ厨なところがあります」
「アカネル、カプ厨ってなんなのだ?」
カオルンが知らぬ言語に興味を示したようだ。
「なんでもかんでもカップルにしてしまおうとする人のことですよ。マスターの力で、オクタゴンとガガンはパートナーを見つけてカップルになったでしょう」
「おおーっ、確かにそうなのだー!」
納得のカオルンなのだった。
そんな知識を得ても何の役にも立たんぞ……。
俺たちはルミイとエリイのところに行くべく、城壁内の階段を使って地上へ降りる。
その途中で、達人と色々話をするのである。
「いいか達人。副交感神経が働いていないと、俺たちの愚息はおっきしないんだ。つまり今のお前のようにガチガチだといざ行為をする時にふにゃふにゃになる……」
「詳しいなあ……!」
「慣れるしかない! いや、そっちの趣味が無いなら無理は言わないが。マイノリチー的な性癖をお持ちだったりしない?」
「俺は至ってノーマルだ。格ゲーの女キャラのエロ同人とかたくさん持ってた」
「そうか! そうすると、エリイなんか実体化した格ゲーの女性キャラみたいなもんではないか」
「ゲームキャラはぐいぐい来ない……」
「面倒くさい男だな」
こいつ、オクタゴンを凌ぐ超弩級の陰キャだぞ。
だが、そんなストイックな陰キャだったからこそ世界最強まで上り詰めたとも言える。
この世界に存在する妻帯者や陽キャで、こいつに勝てるやつは俺以外おるまい。
魔導王はなんか一人だけっぽいから、陰キャとカウントしておく。
「別に取って食われるわけではない。エリイは気が早いのですぐにお前を押し倒してくるだろうが、そこは躱しながらちょっとずつ慣れていけ。慣れだ、慣れ! こっちの世界での行為、明らかに俺たちのいた現実と快楽度合いが違うぞ」
「そんなところまで研究してたのか……。恐ろしい男だ」
そっち方面に関しては、恐れに満ちた目を向けてくるコンボの達人なのであった。
こうして井戸端に到着。
ここは魔法の井戸なので、汲み上げられる水が自動的に浄化される。
周囲には袋などが散乱しているが、これはなにか。
「マスター、これは蛮族が使った毒です。井戸に毒を投げ込むことで、飲用水を使えないようにし、この都市を攻めようとしたようです。ですが井戸に浄化の魔法が掛かっていたので、全ての毒が消えて美味しい飲水になっています」
「魔法強いなあ」
井戸水で戻した食料を、もりもり食べているルミイとエリイ。
二人ともよく食うなあ。
食べながらの会話内容は、男談義なのだ。
エリイが今までの男がいかにヘタレだったかをまくし立てている。
「男としては魅力的でも、腕っぷしが全然で魔獣が裏切ったらお漏らしして泣き叫ぶのよ? ありえない! その場で頭を蹴ってふっ飛ばしてサッカーボールにしちゃった」
怖いトークしてるなあ。
エリイが学習したのは、平時の性的魅力ではなく、こういう異常事態で強さを発揮するタイプの方が好ましいということだろうか。
「マナビさんはですねー。普段から大胆不敵で、いかにして相手に舐められるかばかり考えてて、舐められると嬉しそうに大義名分を見つけたみたいな顔で、叩き潰すんですよー。性格は最悪ですけどすごく頼りになってですねー」
「いいなあ。ちょうだいよー」
「だめです! 姉さんだってこれは戦争ですよー!!」
姉妹が大変仲良しだ。
これを見て、コンボの達人が震え上がった。
「怖い」
「怖くないって。いかん、これは時間を掛けて慣れさせていかねばならんやつだ……!!」
手間が掛かるぞ!
ひとまず達人は仲間にした。
バギーの後部座席に、達人、エリイ、カオルン。
運転席にぶうぶう言うルミイ、助手席はナビゲーターのアカネル。
俺の後ろにナルカ。
「またあたいがマナビの後ろなのかい!? そ、その、しがみついているのは照れくさくて……。あたいがラバーの手綱を握っちゃいけないのかい?」
「ラバーは俺のことが大好きだからな……。俺がこうして導いてやったほうが喜ぶんだ。なあラバー」
「ぶるるー」
ラバーが俺に顔を近づけて、すりすりしてくるのだ。
痛い痛い、鎧が当たってる。
そして俺たちはUターン。
ツーブロッカー帝国、フォーホース帝国を縦断するルートに入る。
目指すはイースマスだ。
「謎の戦いだったのだなー」
「二人とも死の線が見えないんだもの。絶対やり合いたくないね……。これってつまり、運命を捻じ曲げてくるレベルの実力者が二人いるってことだよ」
アカネル、カオルン、ナルカがため息をついている。
眼の前でよく分からんものを見せられたからだろう。
俺と達人はすっかり打ち解けた。
「正直、俺としては何度でも対戦して実力を確かめ合いたいところだが、これはゲームではなく現実だ。下手をするとどちらかが死ぬ」
「達人の口からまともなセリフが飛び出してきたぞ」
「なので魔導王を倒したら存分にやり合おう」
「やはりまともではなかった」
まあ、そのうち安全に戦える手段を見つけたらやっても構わないんじゃないか。
面倒だし、俺に何かメリットがあるとも思えないが……達人へのご褒美として付き合ってやるのもよかろう。
俺からして、コンボの達人はもう身内判定なのである。
「それはそうと達人よ」
「なんだ」
「エリイはどうなんだ。ちょっとしか知らない俺から見てもいい女だぞ。めちゃくちゃいい女だ」
「うおーっ」
達人がぐねぐねと身悶えした。
反応に困っているな。
俺がニヤニヤしていると、駆け寄ってきたアカネルとカオルンが俺のお尻をペチンと叩いた。
「ウグワーッなんだなんだ」
「マスターから浮気の気配を感じました!」
「ナルカまでで止めるのだー!」
「浮気しないよしないよ」
今は城壁の上にある通路にいるのだが、その縁まで追い詰められてしまった。
二人ともすごい迫力だ。
「女は怖いなあ」
コンボの達人が呟く。
こいつ、とにかくめちゃくちゃに女性が苦手なんだな。
「いいか二人とも。俺はな、身内判定した人間を誰かとくっつけるのが好きなんだ。だからコンボの達人とエリイをくっつけられないかという話をだな」
「あ、そういうことでしたか。確かにマスターはカプ厨なところがあります」
「アカネル、カプ厨ってなんなのだ?」
カオルンが知らぬ言語に興味を示したようだ。
「なんでもかんでもカップルにしてしまおうとする人のことですよ。マスターの力で、オクタゴンとガガンはパートナーを見つけてカップルになったでしょう」
「おおーっ、確かにそうなのだー!」
納得のカオルンなのだった。
そんな知識を得ても何の役にも立たんぞ……。
俺たちはルミイとエリイのところに行くべく、城壁内の階段を使って地上へ降りる。
その途中で、達人と色々話をするのである。
「いいか達人。副交感神経が働いていないと、俺たちの愚息はおっきしないんだ。つまり今のお前のようにガチガチだといざ行為をする時にふにゃふにゃになる……」
「詳しいなあ……!」
「慣れるしかない! いや、そっちの趣味が無いなら無理は言わないが。マイノリチー的な性癖をお持ちだったりしない?」
「俺は至ってノーマルだ。格ゲーの女キャラのエロ同人とかたくさん持ってた」
「そうか! そうすると、エリイなんか実体化した格ゲーの女性キャラみたいなもんではないか」
「ゲームキャラはぐいぐい来ない……」
「面倒くさい男だな」
こいつ、オクタゴンを凌ぐ超弩級の陰キャだぞ。
だが、そんなストイックな陰キャだったからこそ世界最強まで上り詰めたとも言える。
この世界に存在する妻帯者や陽キャで、こいつに勝てるやつは俺以外おるまい。
魔導王はなんか一人だけっぽいから、陰キャとカウントしておく。
「別に取って食われるわけではない。エリイは気が早いのですぐにお前を押し倒してくるだろうが、そこは躱しながらちょっとずつ慣れていけ。慣れだ、慣れ! こっちの世界での行為、明らかに俺たちのいた現実と快楽度合いが違うぞ」
「そんなところまで研究してたのか……。恐ろしい男だ」
そっち方面に関しては、恐れに満ちた目を向けてくるコンボの達人なのであった。
こうして井戸端に到着。
ここは魔法の井戸なので、汲み上げられる水が自動的に浄化される。
周囲には袋などが散乱しているが、これはなにか。
「マスター、これは蛮族が使った毒です。井戸に毒を投げ込むことで、飲用水を使えないようにし、この都市を攻めようとしたようです。ですが井戸に浄化の魔法が掛かっていたので、全ての毒が消えて美味しい飲水になっています」
「魔法強いなあ」
井戸水で戻した食料を、もりもり食べているルミイとエリイ。
二人ともよく食うなあ。
食べながらの会話内容は、男談義なのだ。
エリイが今までの男がいかにヘタレだったかをまくし立てている。
「男としては魅力的でも、腕っぷしが全然で魔獣が裏切ったらお漏らしして泣き叫ぶのよ? ありえない! その場で頭を蹴ってふっ飛ばしてサッカーボールにしちゃった」
怖いトークしてるなあ。
エリイが学習したのは、平時の性的魅力ではなく、こういう異常事態で強さを発揮するタイプの方が好ましいということだろうか。
「マナビさんはですねー。普段から大胆不敵で、いかにして相手に舐められるかばかり考えてて、舐められると嬉しそうに大義名分を見つけたみたいな顔で、叩き潰すんですよー。性格は最悪ですけどすごく頼りになってですねー」
「いいなあ。ちょうだいよー」
「だめです! 姉さんだってこれは戦争ですよー!!」
姉妹が大変仲良しだ。
これを見て、コンボの達人が震え上がった。
「怖い」
「怖くないって。いかん、これは時間を掛けて慣れさせていかねばならんやつだ……!!」
手間が掛かるぞ!
ひとまず達人は仲間にした。
バギーの後部座席に、達人、エリイ、カオルン。
運転席にぶうぶう言うルミイ、助手席はナビゲーターのアカネル。
俺の後ろにナルカ。
「またあたいがマナビの後ろなのかい!? そ、その、しがみついているのは照れくさくて……。あたいがラバーの手綱を握っちゃいけないのかい?」
「ラバーは俺のことが大好きだからな……。俺がこうして導いてやったほうが喜ぶんだ。なあラバー」
「ぶるるー」
ラバーが俺に顔を近づけて、すりすりしてくるのだ。
痛い痛い、鎧が当たってる。
そして俺たちはUターン。
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目指すはイースマスだ。
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