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29・オブリー、アーランへ!
第85話 オブリー栽培職人スカウト
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「君、南方の大都市に興味ない? なに? 興味はとてもあるが道中が危なくて旅なんかできない? そのために僕ら三人の強力な冒険者がいるんだよ! これで安心だ! さあ、僕らと一緒に旅に出よう!」
「いつもながらナザルの言葉はどうして胡散臭いんだろうなあ」
「張り付いたような笑顔でまくしたてるからだと思うわ! 目がいつも笑ってないもの! ねえコゲタ!」
「コゲタ、ご主人すきー」
ということで、僕の懸命な説得の甲斐あって、オブリー栽培を生業とする職人を一人スカウトできたのだった。
僕らについてくれば、左うちわの生活が約束されているぞ!
なに?
危険な往路?
平気平気!!
スカウトした職人は、中年をちょっと過ぎたくらいのお年。
確かにこのご年齢で、危険な旅路を南国に向かうのは辛かろう。
だが、彼曰く、
「嫁に先立たれて、娘は結婚して家を出ていったし、俺の稼ぎはここだとそんなに良くない。この年だと先のことがわかってきて、人生の締めみたいになってくるんだが……」
ここでクワッと目を見開く職人。
「俺は! フリーになった今こそ何かしらで一旗上げたい! だが! 俺はオブリーを栽培することしか出来ない!! そのオブリー栽培で一旗揚げられる場所があるなら、あんたの言葉を信じてついていこう! なんか信頼できそうな気がする」
「君の人を見る目は確かだ!」
「詐欺師の目をしてる」
「あの職人、今までよく騙されずに生きてこれたわねえ」
「ご主人かっこいー!」
コゲタが理解してくれればいいよ!
ということで、夢を掴まんとする職人は僕らについてくることになったのだった。
「少しずつ進んでいこう。僕らは旅慣れているが、彼は旅の初心者だ」
「おっ、ナザルがまともな事を言ったぞ」
「それはそうねー」
君たち二人は茶々を入れるだけではないかね!
あ、いや、バンキンとキャロティはもともと関係なかったな。
僕の好き勝手だった。
ってことで、彼が所有しているオブリーの苗木を持てるだけ持って旅立つことにした。
荷馬車は僕が金をはたいて買ったぞ。
馬まではさすがに予算が及ばなかったため、もう荷馬を引退したじいさん馬を譲り受けた。
涼しくて葉っぱがたくさん生えているアーランで余生を送るがいい。
こうして、夕方頃に旅立つ僕らなのだ。
寒くなる夜まで移動したら、そこで野営をし、明け方から移動する。
とにかく灼熱の砂漠地帯を抜けてしまうのが肝要である。
職人氏は、なんなら荷馬車に載せて運んでいく。
歩き疲れたら大変だからな。
彼の体ことが一番大切なのだ。
それに、苗木が枯れないように手入れしてもらわないといけないしな。
オブリーの苗木を持ち出すというのは、本来なら物議を醸し出すはずだ。
ヒートスにとって、最も大切な作物だからな。
だが、これを見た兵士たちは軽く笑いながらスルーした。
これはなぜか?
オブリーの苗木を他国で育てるなど、非現実的だと思っているからだ。
それに、ヒートスを囲む土地は危険に満ちている。
苗木を守って渡れるとは思えない。
では、苗木を育てるにはどうしたらいいか。
職人を連れていけばいい。
だが、職人はもともと、この国を離れたことがない人ばかりだ。
そんな人間が、ヒートス周辺地帯を抜けられるはずがない。
まあ、挙げればきりがないが、つまりは無理だと考えられているし、それが常識になっているわけだな。
いやあ、運が良い。
誰も不幸にならずに、僕はオブリーをアーランに運べるわけだな。
「驚いた……何事もなく国が見えないところまで来ちまった……」
呆然としている職人。
「襲撃はあっただろ? まあハーピーだったから、慣れたもんだけどよ」
バンキンが、ヒートスで仕入れた新型武器を布で拭いている。
これはいわゆる鎖鎌だな。
分銅を投げつけて離れた敵を叩いたり、巻き付けて引き寄せたりできる。
この男は案外鎖鎌がマッチするらしく、襲ってきたハーピーを見事、分銅で叩き落としていた。
キャロティはなんとかの一つ覚えであるガンドで、的確にハーピーの翼を狙って撃ち落とす。
一芸も磨き上げれば何にでも通用するんだな。
で、僕は油の霧を撒いて職人とコゲタを守るわけだ。
すっかりハーピーが怖いコゲタは、僕にひしっと抱きついていた。
よしよしこれからも守ってやるからな!
「いや、それにしたって、空から襲ってくるモンスターをたった三人でああも簡単に……」
「まあハーピー何ぞ大して強いモンスターじゃないからな。飛べる分、あいつらは骨がスカスカだから一発当たれば落とせるし」
空を飛ぶモンスターに一発当てられる重戦士ってのがおかしいんだけどな。
こうして夜。
キャンプをする。
あくまで仮眠程度だが、明け方に移動するためにここで一番寒い時間を焚き火でやり過ごすのだ。
職人が苗木に布を掛け始めた。
寒さから守るためだろう。
連れてきて良かった、職人。
彼は彼の戦いを行っているのだ!
その後、僕らはジャンケンをして、早番、中番、遅番の見張りを決定した。
えっ、コゲタ、キャロティと一緒に番をするだって!?
「ふふふ……! あたしたち仲良しだもんねー!」
「コゲタ、キャロティすきよー」
「な、なんだってー!!」
「おいナザル、どうでもいいことでショック受けてないで寝ろ!」
仕方ないなあ……。
僕は次の番まで、一眠りすることになるのだった。
「いつもながらナザルの言葉はどうして胡散臭いんだろうなあ」
「張り付いたような笑顔でまくしたてるからだと思うわ! 目がいつも笑ってないもの! ねえコゲタ!」
「コゲタ、ご主人すきー」
ということで、僕の懸命な説得の甲斐あって、オブリー栽培を生業とする職人を一人スカウトできたのだった。
僕らについてくれば、左うちわの生活が約束されているぞ!
なに?
危険な往路?
平気平気!!
スカウトした職人は、中年をちょっと過ぎたくらいのお年。
確かにこのご年齢で、危険な旅路を南国に向かうのは辛かろう。
だが、彼曰く、
「嫁に先立たれて、娘は結婚して家を出ていったし、俺の稼ぎはここだとそんなに良くない。この年だと先のことがわかってきて、人生の締めみたいになってくるんだが……」
ここでクワッと目を見開く職人。
「俺は! フリーになった今こそ何かしらで一旗上げたい! だが! 俺はオブリーを栽培することしか出来ない!! そのオブリー栽培で一旗揚げられる場所があるなら、あんたの言葉を信じてついていこう! なんか信頼できそうな気がする」
「君の人を見る目は確かだ!」
「詐欺師の目をしてる」
「あの職人、今までよく騙されずに生きてこれたわねえ」
「ご主人かっこいー!」
コゲタが理解してくれればいいよ!
ということで、夢を掴まんとする職人は僕らについてくることになったのだった。
「少しずつ進んでいこう。僕らは旅慣れているが、彼は旅の初心者だ」
「おっ、ナザルがまともな事を言ったぞ」
「それはそうねー」
君たち二人は茶々を入れるだけではないかね!
あ、いや、バンキンとキャロティはもともと関係なかったな。
僕の好き勝手だった。
ってことで、彼が所有しているオブリーの苗木を持てるだけ持って旅立つことにした。
荷馬車は僕が金をはたいて買ったぞ。
馬まではさすがに予算が及ばなかったため、もう荷馬を引退したじいさん馬を譲り受けた。
涼しくて葉っぱがたくさん生えているアーランで余生を送るがいい。
こうして、夕方頃に旅立つ僕らなのだ。
寒くなる夜まで移動したら、そこで野営をし、明け方から移動する。
とにかく灼熱の砂漠地帯を抜けてしまうのが肝要である。
職人氏は、なんなら荷馬車に載せて運んでいく。
歩き疲れたら大変だからな。
彼の体ことが一番大切なのだ。
それに、苗木が枯れないように手入れしてもらわないといけないしな。
オブリーの苗木を持ち出すというのは、本来なら物議を醸し出すはずだ。
ヒートスにとって、最も大切な作物だからな。
だが、これを見た兵士たちは軽く笑いながらスルーした。
これはなぜか?
オブリーの苗木を他国で育てるなど、非現実的だと思っているからだ。
それに、ヒートスを囲む土地は危険に満ちている。
苗木を守って渡れるとは思えない。
では、苗木を育てるにはどうしたらいいか。
職人を連れていけばいい。
だが、職人はもともと、この国を離れたことがない人ばかりだ。
そんな人間が、ヒートス周辺地帯を抜けられるはずがない。
まあ、挙げればきりがないが、つまりは無理だと考えられているし、それが常識になっているわけだな。
いやあ、運が良い。
誰も不幸にならずに、僕はオブリーをアーランに運べるわけだな。
「驚いた……何事もなく国が見えないところまで来ちまった……」
呆然としている職人。
「襲撃はあっただろ? まあハーピーだったから、慣れたもんだけどよ」
バンキンが、ヒートスで仕入れた新型武器を布で拭いている。
これはいわゆる鎖鎌だな。
分銅を投げつけて離れた敵を叩いたり、巻き付けて引き寄せたりできる。
この男は案外鎖鎌がマッチするらしく、襲ってきたハーピーを見事、分銅で叩き落としていた。
キャロティはなんとかの一つ覚えであるガンドで、的確にハーピーの翼を狙って撃ち落とす。
一芸も磨き上げれば何にでも通用するんだな。
で、僕は油の霧を撒いて職人とコゲタを守るわけだ。
すっかりハーピーが怖いコゲタは、僕にひしっと抱きついていた。
よしよしこれからも守ってやるからな!
「いや、それにしたって、空から襲ってくるモンスターをたった三人でああも簡単に……」
「まあハーピー何ぞ大して強いモンスターじゃないからな。飛べる分、あいつらは骨がスカスカだから一発当たれば落とせるし」
空を飛ぶモンスターに一発当てられる重戦士ってのがおかしいんだけどな。
こうして夜。
キャンプをする。
あくまで仮眠程度だが、明け方に移動するためにここで一番寒い時間を焚き火でやり過ごすのだ。
職人が苗木に布を掛け始めた。
寒さから守るためだろう。
連れてきて良かった、職人。
彼は彼の戦いを行っているのだ!
その後、僕らはジャンケンをして、早番、中番、遅番の見張りを決定した。
えっ、コゲタ、キャロティと一緒に番をするだって!?
「ふふふ……! あたしたち仲良しだもんねー!」
「コゲタ、キャロティすきよー」
「な、なんだってー!!」
「おいナザル、どうでもいいことでショック受けてないで寝ろ!」
仕方ないなあ……。
僕は次の番まで、一眠りすることになるのだった。
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