俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

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58・ツーテイカーからの誘い

第171話 キノコのかき揚げ蕎麦を食す

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 ざくざく刻んだキングキノコのかき揚げが完成した。
 横ではすでに蕎麦を用意してある。

 蕎麦を茹でているのは真剣な顔をしたシズマだ。

「何もかもナザルに任せちまったら申し訳ないからな! 俺だって美味い蕎麦を作る手伝いくらいやるさ!」

「すっかり熱血になってしまった」

「和食が俺の冷え切ったハートに火を付けた」

「分かる……」

 僕とシズマで固い握手を交わす。
 その眼の前で、シュワシュワ音を立ててかき揚げが完成していく。
 侵入した油によって、キノコの歯ごたえレベルを確認する。

 よし!!

 この時間だ!

 僕は素早くかき揚げをざるに開けた。
 さらに、つばをクリスピー状になる程度にカラッと揚げて……。

「ナザル、蕎麦完成だ!」

「よし! 醤油ダレのつゆを……」

「もう作ってあるぞ!」

 ここで飼い主氏のエントリーなのだ。
 一番簡単なつゆ作りをお願いした。
 だし汁はあらかじめ取ってあるからね。

 ここに茹でたての蕎麦をざっと入れて、キノコのかき揚げを載せて……キングキノコのつばの素揚げを散らす。
 凄い……。
 物凄いものが出来てしまったぞ。

「どうぞどうぞ……」

 キノコ職人に差し出すと、彼は目をキラキラと輝かせた。

「美味しそうだーっ!! すごくいい匂い! かき揚げですか!? なんですかねえこれ! どれどれ……?」

 まずはかき揚げをカリッと齧るキノコ職人。

「うほーっ!! ほくほくした傘の味が凝縮されて……美味いっ……! かと思うと、柄のシコシコした歯ざわりが……!! ふ、二通りのかみごたえで……ああ~~、頭が溶けそうだ~っ!!」

 幸せそうである!

「つゆに浸してから食べると、また味わいと食感が変わりますよ……」

「なんだって!? どれどれ……? ふお、ふおおおおお……!! サックリとした外側がしっとり汁を吸って味わい深く……! 柔らかな皮に包まれたきのこの味が……おお、変化して……うま、うまひぃぃぃぃぃ」

 こんなに感激してもらえるとは!
 しかもキノコ職人、食レポが大変うまい。

 いや、僕は気付いたのだが……この異世界、パルメディアの住人たちは一様に食レポが上手い。
 本来は難しいことを考えずに生きている人々が、美味しいものを口にした瞬間、知識神の加護を得て素晴らしいボキャブラリーを発揮して食レポを奏で始めるのだ。

「たべたーい!!」

「たべたああい!」

 コボルドのちびさんたちが騒ぎ出した!
 さあさあキノコ職人、一通り食べきってしまってくれ!

「この、蕎麦かい? 本当にあの蕎麦なのかい!? へえー! 最近こっちにやって来たパスタみたいに……いや、なんかもっと硬い? 歯ごたえがあるな。いや、こりゃ蕎麦自体が美味いな……おっ!? シコシコの中にパリッとした食感が……こ、こりゃあ、キングキノコのつばか!! うわーっ、なんだこの料理……! 一体どれだけの食感があるんだ!? しかも時間が経つとつゆが染みて……この料理は一体感が出てきて……堪らねえええええ!!」

 ここからキノコ職人が止まらなくなった。
 かき揚げを食べ、蕎麦を食べ、つゆを飲む。

 僕とシズマと飼い主氏の三人でサムズアップを決めた。
 その横で、小さいのが二人で「おなかへったー!」と大騒ぎなのだ!

 では、腹ペココボルドたちのためにも作ってあげるとしよう!
 人数分のかき揚げとつばの素揚げを作り、蕎麦を茹で、つゆを用意し……。

 さあ僕らも実食!

 油を使って食感だけを感じ取っていたのだが、果たしてどんなものか……?
 サクッと齧る。

「うおおっ!! うめえ! うまいうまいうまい!」

「こりゃあうまい! うまいうまいうまい!」

「二人は美味しいものを食べると語彙が無くなるなあ……。あ、だが本当に美味しい。我が国のキノコにこれほどの潜在能力があったとは……。ベンクマン様にも献上すべきだな……」

「おおいしぃー!」

「キノコおいしーねー!」

 コボルドたちには、ぬるめにしたつゆと、ほどよい温度のかき揚げ。
 サクサク感は弱いけど、これなら火傷しないからね。
 子供向けなのだ。

 それに、ほのかに香るくらいでコボルドたちは十分に味わえる。
 薄味がちょうどいいわけだ。

 こうして完璧なキノコ料理の第一弾を作り上げた僕。
 監視していたギルドの構成員を呼び寄せて、彼らにも食べさせた。

「うほおおおおお」

「うめえええええ」

「これ酒に合うよ絶対」

「強い酒がほしいな……」

「醤油? このつゆいいな……。絶対仕入れるべきだよ」

「冷戦終わってて良かったー」

 監視員たちもキノコのかき揚げを大変気に入っていただいたようだ。
 他にも、舞茸のようなものや、シメジみたいなキノコもあるらしい。
 それらも色々な料理を試させてくれるということで……。

 ツーテイカーへの滞在はどうやら、かなりエキサイティングなことになりそうなのだった。

「時に、僕らの宿はどうなってるんで?」

「ああ、期待してもらっていいよ。ツーテイカーで一番安全な場所にあるとびきりの宿だから」

 それってつまり……。

「地下」

「いやーん」

 この国では、爽やかな目覚めとか朝とかを期待することはできないんじゃないだろうか……!?

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