俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

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100・二世誕生

第304話 カルボナル、よく泣きよく眠る

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 赤ちゃんというものはショートスリーパーである。
 すぐに目覚めて「ほぎゃー」と泣く。
 リップルが起き上がっておっぱいをあげる。

 そしてげっぷをしたカルはまたぐうぐうと眠る。
 また夜中に「ほぎゃー」と泣く。
 リップルがまた起きておっぱいをあげる。

 おっぱいの飲みっぷりは素晴らしい。
 こいつはデカくなる。
 だが、頻繁に起きて泣くのは勘弁して欲しい。

 この夜泣きの時期がしばらく続くらしいが、なんということであろうか。
 僕もリップルも参ってしまうぞ……。

 と思ったら、僕はあることに気付いたのだった!
 こ、この女……!

 寝てる!
 寝ながら起きて、おっぱいをあげている!!
 夜泣きに対応するべく、自分の行動をプログラムする魔法を使ったな?

 ここに来てやっと、僕はリップルのギフトが何なのかを理解した。
 彼女、オリジナル魔法をその場で作り上げることができるギフトを持っているのだ。

 しかも、魔力消費が少ないらしい。
 だから涼しい顔をして、とんでもない魔法を大量に使えるのだ。
 毎度毎度、ピンポイントで的確な魔法をよく知ってるもんだと思っていたが……。

 よく考えたら彼女、まともに呪文の詠唱もしないし、同じ魔法の名前を口にすることも無いではないか。

「なんたることだ。ずるい。いや、だが母乳をあげるのは母の役目だし、リップルは頑張っているとも言える。頑張り方がチート過ぎるだけだ」

 だが、このプログラムはおっぱいにしか対応していないらしく。
 僕はカルのおしめを替えたりなどを担当するのだった。

 うおーっ!!
 いっぱい出したな!!

 感心しながらおしめを替えてやると、カルは大変心地よさそうにスヤスヤ寝るのだった。
 頻繁におっぱいを飲んでいたのは序盤の一週間。

 ここからちょっと間隔が長くなった。

「一度に飲む量が増えた気がする。これはわずか一週間で成長しているんだね。ははー、興味深い」

 他人事のようにリップルが言う。
 僕も、細切れ睡眠に慣れてきた。
 いや、疲れが取れないんだが!

「ナザル顔色が悪いぞ、ちゃんと眠れているかい?」

「お陰様でね。まあ子育てとは忍耐だと聞く。頑張るさ」

「そうかい! 心強い男が夫で良かったなあ。私は不思議とよく眠れているが」

 自動おっぱい供給魔法、恐るべし。
 僕は馬車などを使ってゆっくり遺跡入口まで移動し、その時間を利用して睡眠!

 遺跡の見回りや仕事の管理を行い、昼休憩に午睡!
 さらに起きて仕事をした後、夕方に帰宅!

 呼んでおいた馬車に乗ってまた寝る。
 よし、睡眠時間はこれで確保できる……!!

 なんという激務であろうか。
 生前の仕事を思い出すなあ。
 このまったり、ファンタジースローライフをしている世界で、まさかデスマーチっぽい生活をすることになるとはな……。

 だが、全ては家族と息子のためである。
 カルのライフサイクルが安定するまでの間は、頑張るしかあるまい。

 とか思ってたら、自宅ではコゲタがカルをじーっと見ていた。
 真剣である。
 これは見守っている……!

 犬が、赤ちゃんのような小さい生き物を見守るそれだ。

「ただいまー」

「ご主人!」

 ハッとするコゲタ。
 まだ目があまり開いてないカルは、ぴくっと反応した。
 第六感で僕を感じ取っているのだろうか。

 とりあえず、駆け寄ってくるコゲタを抱き上げてわしゃわしゃ撫でた。

「ごしゅじーん! カル、げんきだったよー」

「そりゃあ良かった。コゲタが見守ってくれるおかげだなあ。立派なお姉ちゃんだなあ」

「むふふー」

 にんまりするコゲタだった。
 うんうんかわいい。

 そして赤ちゃんベッドの上で、赤ちゃん用のもこもこした服を着て転がっているカル。

 うすーく目が開いているのが分かる。

「僕のことが分かるかな?」

 なんかじっと見られている気がする。
 泣かずにじーっと僕を見ている。
 何を考えているんだろうなあ。

 こうして、カルが生まれて一ヶ月が過ぎた。
 夜中におっぱいを飲む回数が、なんと二回まで減った。

「昼間に四回、夜に二回ってところかなあ。重くなってきてる気がする」

「一ヶ月でそんなに育つのか……」

 赤ちゃんの成長は早い……!
 特にリップルはこういうのを理詰めで確認するタイプなので、カルの身長を巻き尺で計測している。

 僕もカルをよく抱っこするので分かるが、一ヶ月でおよそ1kgくらい増えた。
 体積にして3割増である。
 デカくなって行っているな。

 これが全てリップルのおっぱいで出来ている肉体か。
 あの強大な魔法の力がみなぎっているのではあるまいか。

 じっと見ていたら、カルがぴくっと動いた。

「ほぎゃー」

「あっ、この泣き方はうんこだな!!」

 僕は素早くおしめを替えた。
 うんこだった。

 迅速なおしめ替えに、カルは大満足。
 一瞬で泣き止んだ。

「ご主人すごーい!」

「ふふふ、この一ヶ月間何回おしめを替えたと思ってるんだ。で、リップルは何してるの? 昼寝? 肝が太い」

 リップル、割とカルを平気でほったらかしてぐうぐう寝てたりするからな。
 彼女なりに、放置しててもいいタイミングが分かっているのかもしれない。
 あるいは、すでにカルにそういうのを監視する魔法が掛かっているのかもな……。

 そんなこんなで、ちょっと変わった一家に生まれた赤ちゃんはもりもりと育ち……。
 年末には、三ヶ月目を迎えて首が据わってきたのである……!

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