異世界ドM戦記 ~僕は美少女にどつかれて無双する~

あけちともあき

文字の大きさ
10 / 75
Mと姫騎士編

第十話:ドMと姫騎士とようじょ悪魔

しおりを挟む
 周囲は、兵士、兵士、兵士、時々アルフォンシーナ、兵士、兵士、兵士、兵士だ。
 対して僕たちは、丸腰のエカテリーナ様、平常運転で丸腰の僕、そして棒きれを持っている熊岡くんと、棒きれを持っている富田くん。新聞屋は何故かナイフとか持っていて、一番装備が充実している。でもこいつは戦いが始まると真っ先に後ろに隠れる。僕は知ってるぞ。階さんと出羽亀さんは戦闘向きの能力じゃないけど、この二人がやられると色々詰む。
 大変なことになってしまったぞ。

「張井くん、あっしにいい考えがあるっす」

「僕知ってるよ。そのセリフを言った後に出てくるのは、必ずろくでもない提案なんだ」

「アルフォンシーナ様に土下座するっすよ!!」

「ほらあー!」

「そして油断して近づいてきたところをぶすりっとやるっす!!」

「ひぇっ、思った以上に鬼畜だった!」

 僕たちの漫才みたいなやり取りをみて、アルフォンシーナは額に青筋を浮かべる。

「何をやっているの!? わたくしはそんな漫才を見に来たのではないわよ!! ええい、者共、エカテリーナ……いや、牢破りの反逆者を抹殺するのよ! 見事首を上げたものには、褒美は思いのままよ!!」

 おおおお、と兵士達が歓声をあげる。
 その中、何故だか階さんがぼそっと言った言葉が妙に響く。

「いえ、常識的に考えて、口封じで全員殺されますよね。王族のスキャンダルを下々の者が知って無事でいられるはずないですから」

 すっと兵士達が真顔になる。
 そして、「え、マジ?」って顔でアルフォンシーナを見る。
 多分、アルフォンシーナの性格や、自分たちの身分を考えると、階さんの正論は笑い飛ばすには重過ぎるんだと思うな。彼女はこうやって、盛り上がっているところに水を差すのが天才的にうまい。なのでいじめられる。

「なっ!? そ、そんなことは無いわ!! お前たち、私の言う事を聞かないというのなら、この場で首を跳ねてやっても……」

「ヒャッハァー! 隙ありっすう!! ”土の弾丸アースバレット”ぉ!! 死ねアルフォンシーナぁ!!」

 新聞屋が生き生きとしながら、土の弾丸を創りだしてアルフォンシーナめがけて放つ。
 汚い。
 流石新聞屋汚い。
 弾丸はアルフォンシーナに到達すると、目の前に突然現れた見えない壁みたいなのにぶつかって、ぺしょんと弾けた。

「なっ、なっ、なっ」

 アルフォンシーナが驚いている。

「ひぇっ」

 新聞屋が逃げ出した。こら、逃げるな!!

「ええい、殺せ!」

 アルフォンシーナの号令に合わせて、槍が投げつけられてくる。
 このままだと新聞屋が串刺しタヌキになりそうだったので、僕は前に立ちふさがった。
 ちくっと来た。
 多分4点くらいダメージを受けたな。

「ばかな、槍投げを受けても傷一つつかないだと!?」

「ひええ、張井くん恩に着るっすー!!」

「うわっ、足にすがりつかないでよ、避けられないでしょ!? 早く離れ……いやもっと胸をこすりつけて!!」

 次々に僕に向かって槍や矢が飛んでくる。
 痛い!
 さすがにざくざく刺さると痛いぞ。
 だが背中が気持ちいい。新聞屋は人間性は最低だけどプロポーションは最高だな!
 あれで性格がまともなら、マドンナに変わってクラスのアイドルになれる逸材なのに!

「はぁーっはっはっは! ぬるい! ぬるいっすよー!! こんなことでは、あっしを倒すことなんて出来ないっすよ? アルフォンシーナ様、それがおたく兵士たちの限界っすかねー? プークスクス、へそでぶんぶく茶釜が沸いちゃうっすよ!」

「新聞屋、攻撃を受けてるのは僕なんだから無駄な挑発しないで!」

「おや、張井くんは痛いことをされると気持ちいいんじゃないっすか」

「男はいやだ」

 僕はきっぱりと言った。
 エカテリーナ様は、僕にぶつかって地面に落ちた槍を手にしている。

「ふむ、これなら、戦えそうだ」 

 何度かひゅんっと音を立てて槍を振る。

「げえ、エカテリーナが武器を!」

 明らかに焦るアルフォンシーナ様。
 そりゃそうだよなあ。一撃でダイヤーウルフを吹き飛ばすような技を使える人が、武器を持っちゃったら僕だって怖い。

 わあっと声をあげて、兵士たちがにじり寄る。
 だが、斬りかかってこない。
 エカテリーナ様が怖いのだ。
 戦争ならともかく、こんな王族の争いに巻き込まれて死んだら、手柄にもならない。
 やるだけ損なのだ。
 兵士たちは、俺ちょー頑張ってますよ! ってポーズだけ見せて、攻撃してこない。
 たまにおざなりに、僕に向かって武器を投げつけてくる! 痛い!

「いひいい! あ、あっし、何故か恨まれてるっすよー!?」

「うん、新聞や、自分の胸に手を当てて考えてみようか」

 とかやっていたんだけど、明らかに膠着こうちゃく状態。
 これは日暮れまでかかるぞお、と思っていたらだ。


「ベルゼブブからたのまれてやってきたのですけど、なんなのですかこれはー」

 ちょっと舌っ足らずな声が戦場に響いた。
 くんくん、これは幼女の香り!

「どうしたっすか張井くん! いつになくシリアスな顔っすよ!」

「すまないが年増は黙っていてくれないか!」

 僕は理不尽な一喝で新聞屋をたしなめると、声のする方向を向いた。
 そこは僕たちを見下ろすような空の上。
 なんと、ジャンパースカート姿の小さな女の子が浮かんでいるではないか。
 頭には、羊みたいなくるりんとした角が生えていて、肌の色は血が通っていないかと思えるくらい白い。
 赤く輝く瞳が僕たちを見回した。

「おや、戦いは終わりなのです? 続けてもいいですよ。グレモリーは手出ししないです。存分にころしあえーです」

「な……、七十二柱の悪魔の一人、グレモリーだと!? まさか、ハリイたちを助けに来たのか?」

「バカな、どうしてグレモリーがここに!?」

 エカテリーナ様とアルフォンシーナはよく知っているみたいだ。
 兵士たちは、悪魔らしいようじょを見上げて、あわわわわ、と後退あとじさり。
 グレモリーちゃんはそれを満足げに見てていて、突然手を振り上げて、

「わっ!!」

 と大声をあげた。
 これで兵士たちは肝を潰したようで、ひえー、とか、うわー、とか言って逃げ出してしまう。

「ひいいー! 悪魔っすー! あっしは美味くないっすよー!? 食うなら張井くんを食うっすー!!」

「えっ、食べられるのかい!! 僕も一度ようじょに美味しくいただかれたかったんだ!!」

 やばい、興奮してきた!

「うわっ、変態なのです」

 ようじょの軽蔑した視線!!

『魔力がアップ!』
『魔力がアップ!』
『魔力がアップ!』

 くう、体内に力がみなぎってくるぞ!

「うわ、きしょいのです。めざわりなのです! きえるです!」

 ようじょが両腕に力をみなぎらせる。
 凄い魔力みたいなのをビリビリ感じるぞ!

「ひ、ひい! やるなら張井くんをやるっす!!」

 うわ、押すなよ新聞屋!

「さあ、グレモリーに色目をつかうへんたいさんは、きえてなくなるがいいです! ”爆噴射エクスプロードゲイザー”!!」

 次の瞬間、僕たちの足元が大爆発を起こした!

「ぎょえー!!」

「うわあああ!」

 僕と新聞屋は空に舞い上げられ、

「ぎょぎょ!? な、なんでこっちにくるです!? グレモリーを巻き込むですか!? うきゃああああ」

 ようじょを巻き込んで、遠く遠く飛ばされていく!

「ハリイ! アミ!」

 エカテリーナ様の声が聞こえた気がした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

処理中です...