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Mと人魔大戦編
第五十九話:ドMと聖騎士とまさかの共闘
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なんか、ニックスさんが階さんと話し込んでいる。
階さんが抱いていた一大構想に、彼が興味を持ったみたいだ。
「なるほど、確かにそれは人魔大戦で我々の心が一つになった時しかかなわない夢だね……!」
割りといつも冷静なニックスさん、何やら鼻息が荒い。
「だが、前人未到の冒険になるだろう。危険などというものではない。それを、年端もいかない君がやろうというのかね?」
「私はきっと、これをやるために生まれてきたんです」
階さんがきっぱりと言った。
ニックスさんが感嘆のため息を漏らす。
「現実を知らないのかとも思っていたが、あのエカテリーナ姫と共に戦場に出ていたのだから、夢ばかり見ているというわけでもない。……いいだろう。君が命をかけるつもりならば、私も……いや、聖王国も全力でサポートすることを約束しよう」
「はい、よろしくお願いします」
なんだなんだ!?
妙に話が大きくなっていくぞ。
具体的には、このあいだ階さんがイリアーノで話してた構想をニックスさんが承認したっていうことらしい。
階さんは、この世界が辿った歴史が各地方でバラバラに語り継がれている事に気づいたんだそうだ。
これは、この間の戦争で捕虜になった遊牧民の話と、イリアーノで語り継がれている歴史の話が全然食い違っていたからだって。
イリアーノでは、信仰の対象の当主ルシフェルっていうのは神様みたいな扱いなんだけど、遊牧民の間では大悪魔みたいな扱い。
過去に起こったっていう人魔大戦の記録もまちまちで、遊牧民側で起こった人魔大戦もあれば、イリアーノでしか知られてないのもあった。
「現実の世界は、敵は同じ人間ですから仕方ない部分もあるでしょうけど、この世界では共通の敵である悪魔がいるのですから、力を合わせられるところは合わせるべきです」
うーむ、階さんの目の輝きが違う。
ニックスさんも、各地方で伝承が違っている事は知っていたけど、世界を巡ってその伝承を集めて、余さず記録して残そうっていう発想はなかったみたいだ。
これって結構現代日本から来た階さんだから出来る発想なのかもしれない。
「子供かと思っていたが……大した女性じゃないか」
ザンバーさんが横でひどく感銘を受けた様子だ。
「良かろう。お前の旅路には俺が同行しよう。その望みをかなえる一助となる事を約束する」
「えっ、そういうのっていいんですか」
僕はびっくりした。
だってザンバーさんは、聖王国が誇る聖騎士団のナンバー3なのだ。
そんな勝手な行動をしていいもんなんだろうか。
「我が聖騎士団が守るのは、聖王国だけではない。このガーデンに住まう人間全てでもあるのだ。そのための大きな一歩となるであろう、彼女の計画。これは守るに値するだろう」
「よ、よろしくお願いします」
いまだかつて、これほどリスペクトされたことはないんだろうなあ。階さんは頬っぺたを真っ赤にして、すごい勢いで頭を下げた。
「あー、なんか階さんはこっちに残りそうっすな」
「うん、僕はみんな帰りたいものだと思ってたんだけど、違うんだね」
「階さん、向こうじゃ死んだ魚みたいな目をしてたっすからなー。立場が近い張井くんが水を得た魚のようだったというのに」
「僕は僕で女子にいじめられてる時は至福のひと時だったね!」
「変態っすなー」
新聞屋とそんな話をしてたら、エリザベッタ様が帰ってきたところだった。
彼女は聖騎士に付き添われて、グレートホーリーを見学して回っていたらしい。
聖王国と仲が悪いイリアーノの王族が、こうしてグレートホーリーにやってくるっていうのは歴史上でも類を見ない一大事なんだとか。
なので、結構エリザベッタ様は丁重に扱われていた。
「ハリイ! アミ! 聞いて聞いて、すごいのよ! ここに比べたら、うちのお城なんて砦みたいなものよね!」
おー、興奮してる興奮してる。
新聞屋がそんなエリザベッタ様をよしよしとなだめている。
なんかこの二人が最近姉妹に見える。もちろん姉は新聞屋だ。年齢的には逆なんだけど。
「新聞屋もしっかりしてきたよねえ」
「は!? あっしがまるで今までふわふわと揺れ動いて根っこのない生き物だったような言い草はやめて欲しいっすな!」
「えっ、真っ先に僕たちを裏切ってエカテリーナ様について、すぐに切り捨てられてお尻を叩かれてたのは誰さ」
「あ、あ、あっしっす。ち、違うっすよ!? あれはこう、若気の至りで!! 若いうちは後先を考えない無茶をするものっす!!」
「脊椎反射で裏切るのはいかがなものかと何度も思ったんだよね……」
「ううう、うるちゃーい!!」
「きゃあ! 新聞屋、照れ隠しに蹴るのは良くない、いや、いい! もっと蹴って!」
『HPがアップ!』
『体力がアップ!』
『愛がアップ!』
「本当に二人は仲がいいのねえ」
エリザベッタ様がほっこりしてるぞ。
どうなんだろうなあ。お互い仲がいいっていうのは認めたくないものなんだけど、こう、なんかずーっと苦楽をともにしてると奇妙な連帯感みたいなのが生まれてくるような。
エカテリーナ様と、聖騎士たち数人がフレート王国へ戻っていった。
今度は、ニックスさんの空間移動の魔術みたいなので帰ったようだ。
帰る前に、エカテリーナ様は階さんの頭を撫でて行った。
「ルミナは必ず、この大きな仕事を成し遂げる。私はそう信じているぞ。たまにはフレートにも立ち寄って欲しい」
「……はい、ありがとうございます、何から何まで」
階さんが泣きそうだ。
エリザベッタ様ももらい泣きしている。
あれ、新聞屋、ちょっとうるっときてる?
「うううるさいっす! これは心の汗っす!」
そんなちょっとウェットな別れがあって、なんだかんだあって。
今僕たちは戦場にいます!
あの直後に悪魔側からの攻撃が始まったのだ!
ということで、僕と新聞屋とエリザベッタ様が協力する形で戦場に出てきている。
悪魔の軍隊は、一番数が多いのが悪魔ーって感じの見た目をした、悪魔兵士。
そいつらも、羽が生えて空を飛んでたり、下半身がケンタウロスみたいに馬だったりと色々。
こっちは兵士がたくさんと、聖騎士たち。
北東からは遊牧民の人たちも協力に駆けつけている。
で、僕ら三人と一緒にいるのが……。
「なぜ俺がお前たちの監視役なのだ」
「ご、護衛っすよね護衛!?」
すっごく不服そうなザンバーさん。
「お、お前と会うとあたしの心の傷が……!」
「あっ、その節はお世話になりました!」
遊牧民でも最強クラスの戦士、サリアさん。
ワイルドな女戦士で、槍の使い手。おっぱいも大きい。新聞屋といい勝負だ。あれっ、新聞屋って実は結構……?
「な、なにを人の胸を凝視してるっすか!?」
「あっー!! 新聞屋のキックが僕の股間に!!」
『HPがアップ!』
『体力がアップ!』
『精神がアップ!』
『魔力がアップ!』
『愛がアップ!』
『魅力がアップ!』
「お、おい、いきなり同士討ちか!? っていうか男の股を蹴ったらまずいだろ……まずい、よな?」
「大丈夫よ。ハリイはこういうの大好きだものね?」
「はいっ、だ、大好物ですっ」
生まれたての小鹿みたいに足をぷるぷるさせつつ僕。
倒れない、倒れていないぞ!
サリアさんは既に引いてる。
ザンバーさんはちょっと青ざめていた。
うん、男なら誰でもゾッとする痛みだよね!
そんな雑談をしながらの戦闘だ。
「行くぞ、”風車”!!」
サリアさんが長大な槍を振り回しながら戦場を走る!
凄い速さだ。早馬と同じくらいの速度で戦場を駆け回り、近寄る悪魔兵士たちを次々と弾き飛ばし、粉砕する。
回転する槍の速度は凄くて、石突に当たれば当たった部分を砕き、穂先に当たればそこを切り裂く。
自走するミキサーって言う感じだ。
それを見て、ザンバーさんも対抗意識をもやしたらしい。
「食らえ!”流星剣”!!」
ザンバーさんが空に剣を掲げると、切っ先に魔力が集中するのが分かる。
それを、敵の群れ目掛けて投げつけるんだ。
すると、魔力の塊が流星雨みたいな姿になって降り注ぎ、悪魔兵士たちを貫いていく。
もちろん、戦場は有利なばっかりじゃない。
悪魔兵士って、普通の兵士の三倍も強いんだそうだ。
だから、一対一になってしまうと普通の兵士では勝ち目がない。
分断された兵士たちの部隊が幾つも潰されていく。
聖騎士は一人ひとりは悪魔兵士より全然強いけど、複数に相手をされるとちょっと分が悪い。
今も目の前で、突出しすぎた聖騎士が悪魔兵士に囲まれてピンチだ。
「よし、じゃあ僕が行ってくるよ! 新聞屋、僕をぶっ飛ばして!」
「あいさ! ”石の発射台”!」
新聞屋の足元から出現した発射台に僕が飛び乗り、そのまま撃ち出す!
僕はぴゅーんと空を飛び、囲まれてる聖騎士の真横に落っこちた。
落下地点に悪魔兵士がいて、僕に直撃したせいで潰れてしまった。
「助けに来たよ! ”かばう”!」
聖騎士に来る攻撃を、僕が受け止める。そして、
「”全体カウンター”!!」
僕のパンチが分裂し、悪魔兵士たちを吹き飛ばした。
すぐに駆けつけた聖騎士たちが、その戦場を制圧する。
「か、かたじけない」
「いいんですよ!」
僕は爽やかに彼に返すと、次の戦場に向かった。
おっ、エリザベッタ様が魔眼ビームを撃ちそう!!
「”全体ガード”!!」
見える限りの仲間たちをカバーする。
その直後に、新聞屋が照準して放ったエリザベッタ様の魔眼。
扇状に展開していた悪魔兵士の大半を一掃する。
「こ、これが人魔大戦……!」
僕が助けた聖騎士が呟いた。
確かに、完全に戦争だ。
悪魔兵士は物凄く多いけど、無限って言うほどじゃない。
実際に今の魔眼で、数は半減してしまった。
少なからず犠牲は出るかもだけど、これは勝てない勝負じゃないなー、なんて思ってたらだ。
「おっ、ちょっとやる奴がくるっすよ」
新聞屋がエリザベッタ様の手を引いて近くまでやってきていた。
彼女は目を細めながら、地平線を見る。
うん、何かこっちに来る。
ライオンみたいな見た目をした奴だ。
そいつ目掛けて、聖騎士たちが隼斬りで斬撃を飛ばす。
だけど、ライオンはたくさんの攻撃を受けながら涼しい顔だ。
僕たちの目にしっかり見えるところまでやってきて、そいつは口を開いた。
「お初にお目にかかる。我輩の名は、悪魔ヴァプラ。一手指南して進ぜよう、聖騎士諸君」
名前のある悪魔がやってきた!
階さんが抱いていた一大構想に、彼が興味を持ったみたいだ。
「なるほど、確かにそれは人魔大戦で我々の心が一つになった時しかかなわない夢だね……!」
割りといつも冷静なニックスさん、何やら鼻息が荒い。
「だが、前人未到の冒険になるだろう。危険などというものではない。それを、年端もいかない君がやろうというのかね?」
「私はきっと、これをやるために生まれてきたんです」
階さんがきっぱりと言った。
ニックスさんが感嘆のため息を漏らす。
「現実を知らないのかとも思っていたが、あのエカテリーナ姫と共に戦場に出ていたのだから、夢ばかり見ているというわけでもない。……いいだろう。君が命をかけるつもりならば、私も……いや、聖王国も全力でサポートすることを約束しよう」
「はい、よろしくお願いします」
なんだなんだ!?
妙に話が大きくなっていくぞ。
具体的には、このあいだ階さんがイリアーノで話してた構想をニックスさんが承認したっていうことらしい。
階さんは、この世界が辿った歴史が各地方でバラバラに語り継がれている事に気づいたんだそうだ。
これは、この間の戦争で捕虜になった遊牧民の話と、イリアーノで語り継がれている歴史の話が全然食い違っていたからだって。
イリアーノでは、信仰の対象の当主ルシフェルっていうのは神様みたいな扱いなんだけど、遊牧民の間では大悪魔みたいな扱い。
過去に起こったっていう人魔大戦の記録もまちまちで、遊牧民側で起こった人魔大戦もあれば、イリアーノでしか知られてないのもあった。
「現実の世界は、敵は同じ人間ですから仕方ない部分もあるでしょうけど、この世界では共通の敵である悪魔がいるのですから、力を合わせられるところは合わせるべきです」
うーむ、階さんの目の輝きが違う。
ニックスさんも、各地方で伝承が違っている事は知っていたけど、世界を巡ってその伝承を集めて、余さず記録して残そうっていう発想はなかったみたいだ。
これって結構現代日本から来た階さんだから出来る発想なのかもしれない。
「子供かと思っていたが……大した女性じゃないか」
ザンバーさんが横でひどく感銘を受けた様子だ。
「良かろう。お前の旅路には俺が同行しよう。その望みをかなえる一助となる事を約束する」
「えっ、そういうのっていいんですか」
僕はびっくりした。
だってザンバーさんは、聖王国が誇る聖騎士団のナンバー3なのだ。
そんな勝手な行動をしていいもんなんだろうか。
「我が聖騎士団が守るのは、聖王国だけではない。このガーデンに住まう人間全てでもあるのだ。そのための大きな一歩となるであろう、彼女の計画。これは守るに値するだろう」
「よ、よろしくお願いします」
いまだかつて、これほどリスペクトされたことはないんだろうなあ。階さんは頬っぺたを真っ赤にして、すごい勢いで頭を下げた。
「あー、なんか階さんはこっちに残りそうっすな」
「うん、僕はみんな帰りたいものだと思ってたんだけど、違うんだね」
「階さん、向こうじゃ死んだ魚みたいな目をしてたっすからなー。立場が近い張井くんが水を得た魚のようだったというのに」
「僕は僕で女子にいじめられてる時は至福のひと時だったね!」
「変態っすなー」
新聞屋とそんな話をしてたら、エリザベッタ様が帰ってきたところだった。
彼女は聖騎士に付き添われて、グレートホーリーを見学して回っていたらしい。
聖王国と仲が悪いイリアーノの王族が、こうしてグレートホーリーにやってくるっていうのは歴史上でも類を見ない一大事なんだとか。
なので、結構エリザベッタ様は丁重に扱われていた。
「ハリイ! アミ! 聞いて聞いて、すごいのよ! ここに比べたら、うちのお城なんて砦みたいなものよね!」
おー、興奮してる興奮してる。
新聞屋がそんなエリザベッタ様をよしよしとなだめている。
なんかこの二人が最近姉妹に見える。もちろん姉は新聞屋だ。年齢的には逆なんだけど。
「新聞屋もしっかりしてきたよねえ」
「は!? あっしがまるで今までふわふわと揺れ動いて根っこのない生き物だったような言い草はやめて欲しいっすな!」
「えっ、真っ先に僕たちを裏切ってエカテリーナ様について、すぐに切り捨てられてお尻を叩かれてたのは誰さ」
「あ、あ、あっしっす。ち、違うっすよ!? あれはこう、若気の至りで!! 若いうちは後先を考えない無茶をするものっす!!」
「脊椎反射で裏切るのはいかがなものかと何度も思ったんだよね……」
「ううう、うるちゃーい!!」
「きゃあ! 新聞屋、照れ隠しに蹴るのは良くない、いや、いい! もっと蹴って!」
『HPがアップ!』
『体力がアップ!』
『愛がアップ!』
「本当に二人は仲がいいのねえ」
エリザベッタ様がほっこりしてるぞ。
どうなんだろうなあ。お互い仲がいいっていうのは認めたくないものなんだけど、こう、なんかずーっと苦楽をともにしてると奇妙な連帯感みたいなのが生まれてくるような。
エカテリーナ様と、聖騎士たち数人がフレート王国へ戻っていった。
今度は、ニックスさんの空間移動の魔術みたいなので帰ったようだ。
帰る前に、エカテリーナ様は階さんの頭を撫でて行った。
「ルミナは必ず、この大きな仕事を成し遂げる。私はそう信じているぞ。たまにはフレートにも立ち寄って欲しい」
「……はい、ありがとうございます、何から何まで」
階さんが泣きそうだ。
エリザベッタ様ももらい泣きしている。
あれ、新聞屋、ちょっとうるっときてる?
「うううるさいっす! これは心の汗っす!」
そんなちょっとウェットな別れがあって、なんだかんだあって。
今僕たちは戦場にいます!
あの直後に悪魔側からの攻撃が始まったのだ!
ということで、僕と新聞屋とエリザベッタ様が協力する形で戦場に出てきている。
悪魔の軍隊は、一番数が多いのが悪魔ーって感じの見た目をした、悪魔兵士。
そいつらも、羽が生えて空を飛んでたり、下半身がケンタウロスみたいに馬だったりと色々。
こっちは兵士がたくさんと、聖騎士たち。
北東からは遊牧民の人たちも協力に駆けつけている。
で、僕ら三人と一緒にいるのが……。
「なぜ俺がお前たちの監視役なのだ」
「ご、護衛っすよね護衛!?」
すっごく不服そうなザンバーさん。
「お、お前と会うとあたしの心の傷が……!」
「あっ、その節はお世話になりました!」
遊牧民でも最強クラスの戦士、サリアさん。
ワイルドな女戦士で、槍の使い手。おっぱいも大きい。新聞屋といい勝負だ。あれっ、新聞屋って実は結構……?
「な、なにを人の胸を凝視してるっすか!?」
「あっー!! 新聞屋のキックが僕の股間に!!」
『HPがアップ!』
『体力がアップ!』
『精神がアップ!』
『魔力がアップ!』
『愛がアップ!』
『魅力がアップ!』
「お、おい、いきなり同士討ちか!? っていうか男の股を蹴ったらまずいだろ……まずい、よな?」
「大丈夫よ。ハリイはこういうの大好きだものね?」
「はいっ、だ、大好物ですっ」
生まれたての小鹿みたいに足をぷるぷるさせつつ僕。
倒れない、倒れていないぞ!
サリアさんは既に引いてる。
ザンバーさんはちょっと青ざめていた。
うん、男なら誰でもゾッとする痛みだよね!
そんな雑談をしながらの戦闘だ。
「行くぞ、”風車”!!」
サリアさんが長大な槍を振り回しながら戦場を走る!
凄い速さだ。早馬と同じくらいの速度で戦場を駆け回り、近寄る悪魔兵士たちを次々と弾き飛ばし、粉砕する。
回転する槍の速度は凄くて、石突に当たれば当たった部分を砕き、穂先に当たればそこを切り裂く。
自走するミキサーって言う感じだ。
それを見て、ザンバーさんも対抗意識をもやしたらしい。
「食らえ!”流星剣”!!」
ザンバーさんが空に剣を掲げると、切っ先に魔力が集中するのが分かる。
それを、敵の群れ目掛けて投げつけるんだ。
すると、魔力の塊が流星雨みたいな姿になって降り注ぎ、悪魔兵士たちを貫いていく。
もちろん、戦場は有利なばっかりじゃない。
悪魔兵士って、普通の兵士の三倍も強いんだそうだ。
だから、一対一になってしまうと普通の兵士では勝ち目がない。
分断された兵士たちの部隊が幾つも潰されていく。
聖騎士は一人ひとりは悪魔兵士より全然強いけど、複数に相手をされるとちょっと分が悪い。
今も目の前で、突出しすぎた聖騎士が悪魔兵士に囲まれてピンチだ。
「よし、じゃあ僕が行ってくるよ! 新聞屋、僕をぶっ飛ばして!」
「あいさ! ”石の発射台”!」
新聞屋の足元から出現した発射台に僕が飛び乗り、そのまま撃ち出す!
僕はぴゅーんと空を飛び、囲まれてる聖騎士の真横に落っこちた。
落下地点に悪魔兵士がいて、僕に直撃したせいで潰れてしまった。
「助けに来たよ! ”かばう”!」
聖騎士に来る攻撃を、僕が受け止める。そして、
「”全体カウンター”!!」
僕のパンチが分裂し、悪魔兵士たちを吹き飛ばした。
すぐに駆けつけた聖騎士たちが、その戦場を制圧する。
「か、かたじけない」
「いいんですよ!」
僕は爽やかに彼に返すと、次の戦場に向かった。
おっ、エリザベッタ様が魔眼ビームを撃ちそう!!
「”全体ガード”!!」
見える限りの仲間たちをカバーする。
その直後に、新聞屋が照準して放ったエリザベッタ様の魔眼。
扇状に展開していた悪魔兵士の大半を一掃する。
「こ、これが人魔大戦……!」
僕が助けた聖騎士が呟いた。
確かに、完全に戦争だ。
悪魔兵士は物凄く多いけど、無限って言うほどじゃない。
実際に今の魔眼で、数は半減してしまった。
少なからず犠牲は出るかもだけど、これは勝てない勝負じゃないなー、なんて思ってたらだ。
「おっ、ちょっとやる奴がくるっすよ」
新聞屋がエリザベッタ様の手を引いて近くまでやってきていた。
彼女は目を細めながら、地平線を見る。
うん、何かこっちに来る。
ライオンみたいな見た目をした奴だ。
そいつ目掛けて、聖騎士たちが隼斬りで斬撃を飛ばす。
だけど、ライオンはたくさんの攻撃を受けながら涼しい顔だ。
僕たちの目にしっかり見えるところまでやってきて、そいつは口を開いた。
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