62 / 83
第四章
第62話 トニー合流。風車の騎士追撃戦
しおりを挟む
向こうから、見覚えのある一団がやって来た。
「タリホー! 騎士団発見! 風車じゃないけど!」
「よくわからないけどやっちまうですー!!」
ドワーフたちが気勢を上げる。
「まあ待て待て」
俺は彼らを止めることにした。
声だけでは止まらないので、ミサイルをぶっ放して地面を爆発させて止める。
「ウグワーッ!? な、なんだと思ったら青魔道士殿! どうしたのですかな」
侍従長が真っ先に我に返った。
何気にドワーフは血の気が多い。
瞬間湯沸かし器みたいなのがたくさんいるな。
「ど、どうしたのですか青魔道士殿!」
「うむ、ドワーフから見ると人間はみんな同じに見えるかもしれないが、あれは多分俺たちの知り合いなんだ」
「そうだったのですか! ではあれは……」
「フォンテインナイツ分隊だ」
「分隊!?」
ドワーフ達がどよめいた。
そして近づいてくる騎士団を凝視する。
彼らは最初警戒していたが、俺のミサイル爆発を見てから、「あっ、これ知ってるやつだ」となったらしい。
彼ら……フォンテイン義勇騎士団は駆け寄ってきた。
「なあ青魔道士殿、分隊の方が圧倒的に多いのですが」
「本隊か分隊かは戦闘力で決まるんだ」
「納得したですよ」
納得しましたか。
「ドルマー!! エリカー!!」
トニーがレーナを連れてやってくる。
「怪しい一団がいると、斥候が伝えてくれたんだ。何者だろうと思ったら、ドルマの仲間だったのか」
「おう。ドワーフだぞ。アディ姫、事情を説明してもいい?」
「構わないですよー」
「姫!?」
トニーが仰天した。
レーナがふんふん頷き、「チェック!」とドワーフ達を指さした。
「ドワーフ族! 本当だ! 存在してたんだねー。人間を超えた超技術を振るう地底に住まう種族で、肉体的には弱めなんだけど、技術があるから敵に回すと恐ろしい存在だと言われてるよ」
「レーナのみやぶる、が炸裂したな」
学者のお墨付きがあったので、アディ達がドワーフだと理解していただけたようだ。
で、彼らの事情をざっと話す。
「風車の騎士が彼らの秘宝を? そいつは大変だな」
唸るトニー。
フォンテイン義勇騎士団のリーダーたる貫禄が出てきたじゃないか。
彼ら義勇騎士団の活躍が、後世にフォンテインサーガとして語られるようにもなっていくのだろう。
「風車の騎士はオレ達の敵でもあるんだ! 協力しよう!」
「本当ですか! 人間はいまいち信用できないですがー」
アディがちらっと俺を見た。
「青魔道士殿の紹介なら信頼するですよ!」
「ああ、ドルマは表も裏もない信用できる男だ!」
俺を中心に、人とドワーフの結束が出来上がっていく。
これを見て、少年風水士はほおーと感心していた。
『あんた。何気に凄いんだな。人間とドワーフと、俺はゴブリンだぜ? それが一箇所に集まって、同じ目的に向かうなんて聞いたこともない』
「そお?」
まあ、俺もゴブリンと一緒に行動したのは、この間のゴブリン王国が初めてなんだけど。
一度経験してしまうと、ドワーフを仲間にしても全然気にならないな。
大規模に膨れ上がった一行は、風車の騎士を追撃する。
あいつらはどこに向かってるんだろうな。
ひたすら逃げていっているのは分かる。
「徒歩だと埒があかないですねえ。……ということで! 行軍しながら作っていたものが完成したのですよ! 小型飛空艇!」
ドワーフ達の中から、小舟みたいなものが押し出されてきた。
いつの間に作っていたんだろうか。
どうやら、それぞれのドワーフが部品を作成し、今さっき集めて組み上げたらしい。
「これに強い人を集めて、先行させて風車の騎士を叩き潰すですよ!」
「いいな! よし、やろう!!」
エリカが元気になった。
単調な行軍で、すっかり飽きていたからな。
こういう状況の変化を待ち望んでいたのだ。
「エリカが行くなら俺も行くぞ」
「では拙者も」
『お、俺も行くぞ!』
「よし、オレも先行する!」
「あ、じゃあ僕も!」
ということで、飛空艇はいっぱいになった。
操作担当のドワーフが一人だけついてきて、他は見知った顔ばかり。
エリカ、俺、ホムラ、風水士、トニー、レーナ。
フォンテイン義勇騎士団としては、一行の長が先行するのはいいの? とか思ったんだが。
「トニーさん、やっちまってください!」
「数々の偉業を成し遂げてきたフォンテインの力を見せてくださいよー!」
なんか応援されている。
「トニーも大変でさ。義勇騎士団のリーダーになれる器なのかって陰口も叩かれてて」
レーナがこそっと教えてくれた。
「それは大変だ。トニー、実力的には騎士として才能ない感じだからな」
「うん。だからここでやっとかないと危ないとこだった」
「苦労してるなあ。やっぱりあれだな。大きな組織に所属するのはいかんな」
余計なしがらみみたいなものが生まれてしまう。
これはよろしくない。
俺は最小限の組織で行くぞ。
「よし、やるぞ、やるぞ、やるぞっ」
トニーがぶつぶつ言っている。
緊張しているな。
「力まないでよろしい。トニーはトニーにできることをするんだ。無茶をして死んだら、未来の世界で俺が困る」
「? 何を言ってるんだドルマ」
「死ぬなと言っているんだ。危険なところに突撃して暴れるのは俺とエリカの仕事なのだ」
そう告げ、発進した小型飛空艇の先頭に陣取る俺である。
あっという間に、風車の騎士達が見えてきた。
頭数はそう多くない。
そして風車の騎士の横には、ゴブリンがいるな。
『ジャガラがいる!! おい、下ろしてくれ! ここであいつを止めないといけない!!』
少年風水士が吠えた。
よし、ここいらで決戦か。
「タリホー! 騎士団発見! 風車じゃないけど!」
「よくわからないけどやっちまうですー!!」
ドワーフたちが気勢を上げる。
「まあ待て待て」
俺は彼らを止めることにした。
声だけでは止まらないので、ミサイルをぶっ放して地面を爆発させて止める。
「ウグワーッ!? な、なんだと思ったら青魔道士殿! どうしたのですかな」
侍従長が真っ先に我に返った。
何気にドワーフは血の気が多い。
瞬間湯沸かし器みたいなのがたくさんいるな。
「ど、どうしたのですか青魔道士殿!」
「うむ、ドワーフから見ると人間はみんな同じに見えるかもしれないが、あれは多分俺たちの知り合いなんだ」
「そうだったのですか! ではあれは……」
「フォンテインナイツ分隊だ」
「分隊!?」
ドワーフ達がどよめいた。
そして近づいてくる騎士団を凝視する。
彼らは最初警戒していたが、俺のミサイル爆発を見てから、「あっ、これ知ってるやつだ」となったらしい。
彼ら……フォンテイン義勇騎士団は駆け寄ってきた。
「なあ青魔道士殿、分隊の方が圧倒的に多いのですが」
「本隊か分隊かは戦闘力で決まるんだ」
「納得したですよ」
納得しましたか。
「ドルマー!! エリカー!!」
トニーがレーナを連れてやってくる。
「怪しい一団がいると、斥候が伝えてくれたんだ。何者だろうと思ったら、ドルマの仲間だったのか」
「おう。ドワーフだぞ。アディ姫、事情を説明してもいい?」
「構わないですよー」
「姫!?」
トニーが仰天した。
レーナがふんふん頷き、「チェック!」とドワーフ達を指さした。
「ドワーフ族! 本当だ! 存在してたんだねー。人間を超えた超技術を振るう地底に住まう種族で、肉体的には弱めなんだけど、技術があるから敵に回すと恐ろしい存在だと言われてるよ」
「レーナのみやぶる、が炸裂したな」
学者のお墨付きがあったので、アディ達がドワーフだと理解していただけたようだ。
で、彼らの事情をざっと話す。
「風車の騎士が彼らの秘宝を? そいつは大変だな」
唸るトニー。
フォンテイン義勇騎士団のリーダーたる貫禄が出てきたじゃないか。
彼ら義勇騎士団の活躍が、後世にフォンテインサーガとして語られるようにもなっていくのだろう。
「風車の騎士はオレ達の敵でもあるんだ! 協力しよう!」
「本当ですか! 人間はいまいち信用できないですがー」
アディがちらっと俺を見た。
「青魔道士殿の紹介なら信頼するですよ!」
「ああ、ドルマは表も裏もない信用できる男だ!」
俺を中心に、人とドワーフの結束が出来上がっていく。
これを見て、少年風水士はほおーと感心していた。
『あんた。何気に凄いんだな。人間とドワーフと、俺はゴブリンだぜ? それが一箇所に集まって、同じ目的に向かうなんて聞いたこともない』
「そお?」
まあ、俺もゴブリンと一緒に行動したのは、この間のゴブリン王国が初めてなんだけど。
一度経験してしまうと、ドワーフを仲間にしても全然気にならないな。
大規模に膨れ上がった一行は、風車の騎士を追撃する。
あいつらはどこに向かってるんだろうな。
ひたすら逃げていっているのは分かる。
「徒歩だと埒があかないですねえ。……ということで! 行軍しながら作っていたものが完成したのですよ! 小型飛空艇!」
ドワーフ達の中から、小舟みたいなものが押し出されてきた。
いつの間に作っていたんだろうか。
どうやら、それぞれのドワーフが部品を作成し、今さっき集めて組み上げたらしい。
「これに強い人を集めて、先行させて風車の騎士を叩き潰すですよ!」
「いいな! よし、やろう!!」
エリカが元気になった。
単調な行軍で、すっかり飽きていたからな。
こういう状況の変化を待ち望んでいたのだ。
「エリカが行くなら俺も行くぞ」
「では拙者も」
『お、俺も行くぞ!』
「よし、オレも先行する!」
「あ、じゃあ僕も!」
ということで、飛空艇はいっぱいになった。
操作担当のドワーフが一人だけついてきて、他は見知った顔ばかり。
エリカ、俺、ホムラ、風水士、トニー、レーナ。
フォンテイン義勇騎士団としては、一行の長が先行するのはいいの? とか思ったんだが。
「トニーさん、やっちまってください!」
「数々の偉業を成し遂げてきたフォンテインの力を見せてくださいよー!」
なんか応援されている。
「トニーも大変でさ。義勇騎士団のリーダーになれる器なのかって陰口も叩かれてて」
レーナがこそっと教えてくれた。
「それは大変だ。トニー、実力的には騎士として才能ない感じだからな」
「うん。だからここでやっとかないと危ないとこだった」
「苦労してるなあ。やっぱりあれだな。大きな組織に所属するのはいかんな」
余計なしがらみみたいなものが生まれてしまう。
これはよろしくない。
俺は最小限の組織で行くぞ。
「よし、やるぞ、やるぞ、やるぞっ」
トニーがぶつぶつ言っている。
緊張しているな。
「力まないでよろしい。トニーはトニーにできることをするんだ。無茶をして死んだら、未来の世界で俺が困る」
「? 何を言ってるんだドルマ」
「死ぬなと言っているんだ。危険なところに突撃して暴れるのは俺とエリカの仕事なのだ」
そう告げ、発進した小型飛空艇の先頭に陣取る俺である。
あっという間に、風車の騎士達が見えてきた。
頭数はそう多くない。
そして風車の騎士の横には、ゴブリンがいるな。
『ジャガラがいる!! おい、下ろしてくれ! ここであいつを止めないといけない!!』
少年風水士が吠えた。
よし、ここいらで決戦か。
2
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
「君の魔法は地味で映えない」と人気ダンジョン配信パーティを追放された裏方魔導師。実は視聴数No.1の正体、俺の魔法でした
希羽
ファンタジー
人気ダンジョン配信チャンネル『勇者ライヴ』の裏方として、荷物持ち兼カメラマンをしていた俺。ある日、リーダーの勇者(IQ低め)からクビを宣告される。「お前の使う『重力魔法』は地味で絵面が悪い。これからは派手な爆裂魔法を使う美少女を入れるから出て行け」と。俺は素直に従い、代わりに田舎の不人気ダンジョンへ引っ込んだ。しかし彼らは知らなかった。彼らが「俺TUEEE」できていたのは、俺が重力魔法でモンスターの動きを止め、カメラのアングルでそれを隠していたからだということを。俺がいなくなった『勇者ライヴ』は、モンスターにボコボコにされる無様な姿を全世界に配信し、大炎上&ランキング転落。 一方、俺が田舎で「畑仕事(に見せかけたダンジョン開拓)」を定点カメラで垂れ流し始めたところ―― 「え、この人、素手でドラゴン撫でてない?」「重力操作で災害級モンスターを手玉に取ってるw」「このおっさん、実は世界最強じゃね?」とバズりまくり、俺は無自覚なまま世界一の配信者へと成り上がっていく。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さくら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる