記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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第2章 あなたは暗殺者⁉
横恋慕の気配④(フィリベール視点)
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(SIDE フィリベール)
まさかリナは、私を騙したのか!
許せない。許せない。許せない!
リナの軽率な行動をはっきりと理解した私は、感情が煮えたぎり、一気に体温が上昇した。
「陛下。私が間違っておりました。ジュディットを他の男の元からすぐに連れ戻し、当初の予定どおり、ジュディットと結婚いたします。今から彼女を探しますから」
「無理だ。お前がジュディット様と結婚を願っても手遅れだ。この国の王太子は、あの聖女と禊の儀を済ませている。あの聖女以外、お前の闇魔法を継承できないからな。この話はジュディット様から聞いて知っているだろう」
「闇魔法を継承できない……?」
「ああ。精霊が介した契約は、女狐が死のうと消えることはない」
「それはどういうことでしょうか? 私は知りません」
「いいや、聞いているはずだ」
ジュディットから聞いていたって? 聞かされていないぞ。
いや、あの女の話など、興味もなくて大半のことを聞き流していたからな。聞かされたのかもしれないが、記憶にない。
禊の儀など、所詮、ただの形式的な意味合いかと思っていた。だが、違ったのか。
私としては初めて聞く言葉だ。
急に降って湧いた事態に、緊張で口が渇く。
私は本当に……リナを正妻に迎えなくてはならないのか……。
違うよな。そう信じたいが、陛下が嘘をつく利点が見つからない。
となれば、認めたくないが、やはり真実なのか――。
……嘘だ。嘘だと言ってくれ。
リナがいなくなれば、私の世継ぎに闇魔法が継承されないのか……。
黒魔術を使い、跳ね返りの痣があると言われたリナである。即刻処刑したいところだ。
だが、そんな女でさえ失うわけにはいかない私は、床に膝を付け、陛下へ深々と頭を下げる。
「国王陛下。お許しください。禁術である黒魔術を行使したリナですが、私以外、闇属性を受け継ぐ王族はおりませんし、この件にはどうか目を瞑ってください。リナを処分しないでください」
喉の奥が張り付く感覚の中で、何とか伝え切れた。
会ったこともない二つ年の離れた弟は、精霊の呪いで魔法が使えない。
王族の恥である弟は、身を隠すように自然の多い土地で療養生活のような暮らしを送っている。
そんなやつは結婚さえ無理に決まっている。
それに王弟には、王子一人に王女が四人いるが、揃いも揃って髪も瞳も赤くはない。彼らの母親が側室だからか……。初めて気づいた。
「あの聖女を処分したくとも。結界と王宮の瘴気だまりの問題がある以上、あの聖女には責任を取って働いてもらわねば困るからな。但し、二度と政務をさせるな。昨日の書類は、ただ印を押しただけの、でたらめだと私の元へ苦情が入った」
「はい。陛下の仰るとおりにいたします。リナは聖女の仕事だけをさせますから。お許しください」
「いいからさっさと泉へ迎え!」
一先ず。リナの処刑は免れた。
……だが本当に、私を騙したリナを妻にしなければならないのか。こんな地獄のような話があるのか……。
――昨日までは、リナとの暮らしが楽しみでしかなかったのに、今は絶望しかない。
いや。この際だ。
リナの黒魔術の件を私は知らない振りをして、リナとの関係を円満に続けさえすればいいんだ。
今までどおり、私の前では痣を隠してくれれば、知らない振りくらいしてやれる。
陛下だって、目を瞑ってくれるんだし。
うまくいく。なんら問題はない。
私の前で従順なリナであれば、それでいいんだ。
鼻に付くジュディットより、横に置いておくぶんには都合が良い。
今後、国民の前で幸せな王太子夫妻の姿を見せ。行く行くは、国を象徴する国王夫妻になる道が、私にはあるのだから。
そうやって自分に言い聞かせれば、まだまだ希望は見えてきた。
◇◇◇
まさかリナは、私を騙したのか!
許せない。許せない。許せない!
リナの軽率な行動をはっきりと理解した私は、感情が煮えたぎり、一気に体温が上昇した。
「陛下。私が間違っておりました。ジュディットを他の男の元からすぐに連れ戻し、当初の予定どおり、ジュディットと結婚いたします。今から彼女を探しますから」
「無理だ。お前がジュディット様と結婚を願っても手遅れだ。この国の王太子は、あの聖女と禊の儀を済ませている。あの聖女以外、お前の闇魔法を継承できないからな。この話はジュディット様から聞いて知っているだろう」
「闇魔法を継承できない……?」
「ああ。精霊が介した契約は、女狐が死のうと消えることはない」
「それはどういうことでしょうか? 私は知りません」
「いいや、聞いているはずだ」
ジュディットから聞いていたって? 聞かされていないぞ。
いや、あの女の話など、興味もなくて大半のことを聞き流していたからな。聞かされたのかもしれないが、記憶にない。
禊の儀など、所詮、ただの形式的な意味合いかと思っていた。だが、違ったのか。
私としては初めて聞く言葉だ。
急に降って湧いた事態に、緊張で口が渇く。
私は本当に……リナを正妻に迎えなくてはならないのか……。
違うよな。そう信じたいが、陛下が嘘をつく利点が見つからない。
となれば、認めたくないが、やはり真実なのか――。
……嘘だ。嘘だと言ってくれ。
リナがいなくなれば、私の世継ぎに闇魔法が継承されないのか……。
黒魔術を使い、跳ね返りの痣があると言われたリナである。即刻処刑したいところだ。
だが、そんな女でさえ失うわけにはいかない私は、床に膝を付け、陛下へ深々と頭を下げる。
「国王陛下。お許しください。禁術である黒魔術を行使したリナですが、私以外、闇属性を受け継ぐ王族はおりませんし、この件にはどうか目を瞑ってください。リナを処分しないでください」
喉の奥が張り付く感覚の中で、何とか伝え切れた。
会ったこともない二つ年の離れた弟は、精霊の呪いで魔法が使えない。
王族の恥である弟は、身を隠すように自然の多い土地で療養生活のような暮らしを送っている。
そんなやつは結婚さえ無理に決まっている。
それに王弟には、王子一人に王女が四人いるが、揃いも揃って髪も瞳も赤くはない。彼らの母親が側室だからか……。初めて気づいた。
「あの聖女を処分したくとも。結界と王宮の瘴気だまりの問題がある以上、あの聖女には責任を取って働いてもらわねば困るからな。但し、二度と政務をさせるな。昨日の書類は、ただ印を押しただけの、でたらめだと私の元へ苦情が入った」
「はい。陛下の仰るとおりにいたします。リナは聖女の仕事だけをさせますから。お許しください」
「いいからさっさと泉へ迎え!」
一先ず。リナの処刑は免れた。
……だが本当に、私を騙したリナを妻にしなければならないのか。こんな地獄のような話があるのか……。
――昨日までは、リナとの暮らしが楽しみでしかなかったのに、今は絶望しかない。
いや。この際だ。
リナの黒魔術の件を私は知らない振りをして、リナとの関係を円満に続けさえすればいいんだ。
今までどおり、私の前では痣を隠してくれれば、知らない振りくらいしてやれる。
陛下だって、目を瞑ってくれるんだし。
うまくいく。なんら問題はない。
私の前で従順なリナであれば、それでいいんだ。
鼻に付くジュディットより、横に置いておくぶんには都合が良い。
今後、国民の前で幸せな王太子夫妻の姿を見せ。行く行くは、国を象徴する国王夫妻になる道が、私にはあるのだから。
そうやって自分に言い聞かせれば、まだまだ希望は見えてきた。
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