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第1章 (強制連行という名の)帰還
3. 元幼馴染との再会
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前回から引き続き、クリスティーナの幼なじみの騎士団長視点です。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
しばらくして魔物が全て片付くと、天使はこちらに背を向けたまま話しかけてきた。
「どこの国の者か存じ上げませんが、加勢ありがとうございます。血を落としますので少しの間そのままでお願いします。」
男は天使のその澄んだ綺麗な声を聞いて、『まさかありえない』と信じられずにいた先程の考えが確信を持った疑念へと変わる。
クリスティーナ様を知らない部下達はさっきまで笑いながら魔物を虐殺していた人物と同一人物とは思えない穏やかな声を聞き、人の変わりように驚いているようだった。かくいう私も今の状況には混乱しているのだが。
もし仮にこの天使が本当にクリスティーナ様だったとしてもクリスティーナ様は無茶を言うお方ではあったがお淑やかで優しく令嬢の鏡のような方だった。あんな風に笑いながら魔物を虐殺する姿など想像もできないような性格だった。それに人が天使や神になったなど聞いた事が無いしやはり他人の空似なのだろうか。
だがそれにしては似すぎている…。
やはり、クリスティーナ様?
プラチナブロンドに輝く長くて綺麗なふわふわの髪、はちみつ色の大きな瞳が魅力的な可愛らしいクリスティーナ様の姿が頭に浮かぶ。
だが、こちらのそんな動揺はお構い無しに無機質でそして聞いた事のない詠唱が聞こえてくる。
「"天にまします我らの母よ。穢れを祓い災いを退ける力を我に与えよ。ホーリーライトウォッシュ"」
聞いたことの無い詠唱だ…普通ならありえない。
魔法とは本来神様に祈り、奇跡を希うものだ。前半の呪文は魔法によって様々だが最後の終わりは必ず神様や精霊に対して遜り、あくまでお願いという形をとっている。神様に対し『力を貸し与えたまえ』や『分け与えたまえ』など、表現は様々だが決して『力を与えよ』などと命令したりはしないのだ。神様に対し失礼だし、普通それだと魔法は発動しないからだ。
詠唱が終わってすぐに優しくて暖かい光が降り注ぐ。
魔物との戦いで汚れた髪や身体、衣服、鎧についた土埃や魔物の血そして負った怪我までもが消えていく。
やがて光がおさまり天使が振り返りこちらを見る。
すぐに気がついたのかはちみつ色の大きな瞳を見開き、顔を真っ青にして呟いた。
「ぁ……ルヴァイン様…。」
男はその呟きと表情を見て慌てて駆け寄ろうとするが天使は男達がいる方向とは逆方向へ逃げるように走り去って行く。
「隊長!!」
男はその光景を呆然と見つめていたが部下の声で我にかえった。
このまま行かせてはダメだっ。
「ま、待ってくれ!!お願いだから話だけでも聞いてくれっ!」
男はここで逃したらもう二度と会えないだろうと感じ、部下と共に追いかける。
追いかけながら男はあの時からもう何度したか分からない後悔が溢れてきていた。
(俺はあの時からずっと後悔してきた。信じきれずに周囲を止めなかった自分自身に。)
部下に天使を囲むように指示をだす。
(話す資格がないのも、ましてや追いかける資格なんてあるわけもない。)
相手はクリスティーナ様、少しの油断が命取りとなるのを騎士団長とその副団長は経験からよく知っていた。
(それでも…俺の事は許さなくてもいいから陛下にだけはもう一度会って欲しい。)
取り囲む過程で天使の前に出た部下の1人がクリスティーナ様の美しい顔を見て気が緩んだのか包囲に隙が出来る。
(陛下は今でもクリスティーナ様だけを愛しておられる。)
その隙をすかさずつこうとクリスティーナが速度を上げる。
(あの事件さえ起こらなければ今は…いや。)
それに気づいた副団長がフォローにはいる。
(時は戻せはしないのだから、過ぎたことを悔やんでもしょうがない。)
流石は副団長、小さな頃から伊達にクリスティーナ様に逃げれ続けていない。これを本人に言ったら倍以上になって返ってくるから誰も言えないが。
天使になってもやはり女性だからだろう、男はすぐに追いつく事が出来た。部下達も追いつき非礼を覚悟で追いつめる。
(クリスティーナ様に今の俺はどう映って―……いや、よそう。)
男はそこまで考えたところで、男達が寄ってたかって一人の女の子を追いかけ追い詰めて取り囲む図が浮かびネガティブな思考を無理矢理やめて頭の隅っこに追いやった。
クリスティーナ様に正面からゆっくりだが確実に近づいていく…。
そしてもう観念したのか、逃げないクリスティーナ様の手を掴んだ―――
――――はずだった私の手は空を切り、クリスティーナ様の手が透過し私の手をすり抜けた。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
ここまでお読み下さりありがとうございます。
次も修正が終わり次第投稿致します。
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しばらくして魔物が全て片付くと、天使はこちらに背を向けたまま話しかけてきた。
「どこの国の者か存じ上げませんが、加勢ありがとうございます。血を落としますので少しの間そのままでお願いします。」
男は天使のその澄んだ綺麗な声を聞いて、『まさかありえない』と信じられずにいた先程の考えが確信を持った疑念へと変わる。
クリスティーナ様を知らない部下達はさっきまで笑いながら魔物を虐殺していた人物と同一人物とは思えない穏やかな声を聞き、人の変わりように驚いているようだった。かくいう私も今の状況には混乱しているのだが。
もし仮にこの天使が本当にクリスティーナ様だったとしてもクリスティーナ様は無茶を言うお方ではあったがお淑やかで優しく令嬢の鏡のような方だった。あんな風に笑いながら魔物を虐殺する姿など想像もできないような性格だった。それに人が天使や神になったなど聞いた事が無いしやはり他人の空似なのだろうか。
だがそれにしては似すぎている…。
やはり、クリスティーナ様?
プラチナブロンドに輝く長くて綺麗なふわふわの髪、はちみつ色の大きな瞳が魅力的な可愛らしいクリスティーナ様の姿が頭に浮かぶ。
だが、こちらのそんな動揺はお構い無しに無機質でそして聞いた事のない詠唱が聞こえてくる。
「"天にまします我らの母よ。穢れを祓い災いを退ける力を我に与えよ。ホーリーライトウォッシュ"」
聞いたことの無い詠唱だ…普通ならありえない。
魔法とは本来神様に祈り、奇跡を希うものだ。前半の呪文は魔法によって様々だが最後の終わりは必ず神様や精霊に対して遜り、あくまでお願いという形をとっている。神様に対し『力を貸し与えたまえ』や『分け与えたまえ』など、表現は様々だが決して『力を与えよ』などと命令したりはしないのだ。神様に対し失礼だし、普通それだと魔法は発動しないからだ。
詠唱が終わってすぐに優しくて暖かい光が降り注ぐ。
魔物との戦いで汚れた髪や身体、衣服、鎧についた土埃や魔物の血そして負った怪我までもが消えていく。
やがて光がおさまり天使が振り返りこちらを見る。
すぐに気がついたのかはちみつ色の大きな瞳を見開き、顔を真っ青にして呟いた。
「ぁ……ルヴァイン様…。」
男はその呟きと表情を見て慌てて駆け寄ろうとするが天使は男達がいる方向とは逆方向へ逃げるように走り去って行く。
「隊長!!」
男はその光景を呆然と見つめていたが部下の声で我にかえった。
このまま行かせてはダメだっ。
「ま、待ってくれ!!お願いだから話だけでも聞いてくれっ!」
男はここで逃したらもう二度と会えないだろうと感じ、部下と共に追いかける。
追いかけながら男はあの時からもう何度したか分からない後悔が溢れてきていた。
(俺はあの時からずっと後悔してきた。信じきれずに周囲を止めなかった自分自身に。)
部下に天使を囲むように指示をだす。
(話す資格がないのも、ましてや追いかける資格なんてあるわけもない。)
相手はクリスティーナ様、少しの油断が命取りとなるのを騎士団長とその副団長は経験からよく知っていた。
(それでも…俺の事は許さなくてもいいから陛下にだけはもう一度会って欲しい。)
取り囲む過程で天使の前に出た部下の1人がクリスティーナ様の美しい顔を見て気が緩んだのか包囲に隙が出来る。
(陛下は今でもクリスティーナ様だけを愛しておられる。)
その隙をすかさずつこうとクリスティーナが速度を上げる。
(あの事件さえ起こらなければ今は…いや。)
それに気づいた副団長がフォローにはいる。
(時は戻せはしないのだから、過ぎたことを悔やんでもしょうがない。)
流石は副団長、小さな頃から伊達にクリスティーナ様に逃げれ続けていない。これを本人に言ったら倍以上になって返ってくるから誰も言えないが。
天使になってもやはり女性だからだろう、男はすぐに追いつく事が出来た。部下達も追いつき非礼を覚悟で追いつめる。
(クリスティーナ様に今の俺はどう映って―……いや、よそう。)
男はそこまで考えたところで、男達が寄ってたかって一人の女の子を追いかけ追い詰めて取り囲む図が浮かびネガティブな思考を無理矢理やめて頭の隅っこに追いやった。
クリスティーナ様に正面からゆっくりだが確実に近づいていく…。
そしてもう観念したのか、逃げないクリスティーナ様の手を掴んだ―――
――――はずだった私の手は空を切り、クリスティーナ様の手が透過し私の手をすり抜けた。
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