元悪役令嬢な天使はもう逃げられない。

秋桜

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第1章 (強制連行という名の)帰還

12,もう1人の天使と神の怒りにふれた者

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「なぜ貴女が今ここにいる。」

ソレイユの低く重く冷たい声が部屋の中にいる人を凍てつかせる。

「お姉様に…あ、謝りたくて。」

真っ青でガタガタと震えているもう1人の天使からは今にも涙がこぼれそうだがそれを心配するのは生前その天使の恋人だった男ひとりだけだ。

「貴女はあの時すぐに死んだから知らないかもしれないがティーナがそこの男に殺されるような事が起こったのは全て貴女の死に際の言葉が原因だ。」

「そ、それは誤解が──「たとえ、何か誤解があった末の言葉だったとしても貴女のせいで私のティーナがなんの罪も無いのに牢獄で殺されたのは事実だ。」」

「っ。」

1貴族家の令嬢でしか無かった者が殺されただけなのに、第一王子の婚約者であるクリスティーナが死ぬような事態にまでなったのは絶対に何者かの策略によるものだ。裏から人を操っていた存在がいないとおかしいし、ありえない事だ。実際後からわかった事だが、あの時は数人が魔法によって操られていた事がわかっている。だからと言ってそれで許せるかと言えばそれは別問題なわけで。

月が不在の間に太陽を排除しようとした何者かが今もこの城のどこかにいる。ソレイユはその事が許せなかった。

「自分を殺した人間が現れれば恐怖して当然だし、自分に何一つ過失が無いのに殺されれば怒りもする。心無い視線や言葉に傷つきもする。私以外には先ほどティーナのそばにいた精霊達が見えていなかったから知らないだろうが精霊達はお前達に怒り、人間を滅ぼそうとしていた。ティーナが止めていなければありとあらゆる天変地異がすべての人間に襲いかかっていた。」

ソレイユがそう言うとようやく事態の重大さを知ったのか青ざめる人が現れる。

「未だに勘違いしているものがいるようだから言っておくが、私が精霊達と言葉をかわせるのはティーナが居るからだ。神の寵児だったティーナが私を伴侶として愛してくれているから精霊達も私に加護をくださっている。お前達はそれがわかっていると思っていたが私の思い違いだったようだ。」

失望したと冷たい目で突き放すソレイユ。

「そこの天使がティーナの前に現れた瞬間、ティーナの心が急速に冷えていくのを感じた。深い絶望とかろうじて壊れていなかった"この国"とティーナの繋がりが完全に壊れる"音"が聞こえた。私はこれからティーナのいる所へ向かう。誰1人着いてくるな。」

と言っても精霊達の怒りをかっているお前達にはこの回廊は使えないだろうがな、と言うとソレイユは青い顔で固まっている天使の羽が生えた女の方を向く。

「貴女が誰とも話さないのは自分の犯した罪がわかっていたから自分で自分を罰していたのかと思っていたが…違っていたようだ。そう思ったから貴女の入国を許したと言うのに。今までずっと話さなかったのならなぜわざわざここに来たいと口を開いたんだ?」


永遠に黙っていれば良かったものを、とソレイユは忌々しそうにそうつぶやいて回廊の中へと消えていった。





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話の区切り的に短いですが今日はここまでです。
なので、本編に入れられそうにない6話のソレイユ視点の解釈をのせておきます。
このすれ違いにクリスティーナは現時点では気づいてません。




***ソレイユ視点の例の会話

「綺麗な瞳ね、貴方は大丈夫そう。貴方名前はなんと言うの?(訳:あなたは元気そうね。私は死んだのに。)」

「ソレイユ・ヴァン・グローリア。(訳:助けられなくてすまなかった。)」

ソレイユは悲しそうに微笑んで言った。

「ソレイユ…太陽ね。貴方にピッタリの素敵な名前ね。(訳:太陽なんて名前…今のあなたには不釣り合いね。)」

そう言うと、クリスティーナは目覚めてから初めてちゃんと笑った。
その笑みはとても静かな微笑みだったがソレイユはそれだけの事がすごく嬉しかった。

「ティーナは前に同じ事を僕に言ってくれたよね。ソレイユが太陽って意味だって僕に教えてくれた。覚えて…ない、よね。その様子だと。(訳:すまないっ…でも僕には君がいないとダメなんだ。もう一度チャンスをくれないか。)」

以前と同じ様に、昔を懐かしむ様に、お互いだけに本当の気持ちが伝わるように話すクリスティーナとソレイユ。クリスティーナの静かな微笑みにソレイユは久しぶりに心から笑っていた。
それを見たクリスティーナが突然ソレイユに手をかざす。
警戒した護衛がやめさせようとしたがそれはソレイユ本人によってとめられた。


***

笑う事をやめてしまい冷酷だと言われている事を自覚しているソレイユとソレイユがそうなっている事をまだ知らないクリスティーナ。それゆえのすれ違い。

以前とは少し変わり神秘的な気も感じられ、たくさんの精霊に囲まれるクリスティーナと守ると言った言葉も守れず何より大切なものを死なせ、それを当たり散らすように人々に恐れられ王宮内を震え上がらせる今の自分。そんな風にソレイユは今の自分の事を思ってます。

***

次の話で短いですが1章が終わりとなります。
このまま2人がピリピリしたままで放置はしませんのでご安心を(笑)

明日も昼までには投稿したいなと思ってます。
なるべく頑張ります。
また読みに来てくれると嬉しいです。
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