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第2章 今の情勢とこれからの立場
22. 教会と淀み
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【エルデイン王国首都トリスティナ・中央区 城前大通り】
翌日、毎朝の日課と朝食を終わらせた2人は馬車で職人街にあるガラス工房へと向かっていた。
「どう?だいぶ変わったでしょ?」
馬車の窓から外を見ているクリスティーナにソレイユがそう言った。
「そうね。前よりも明るい表情をしている人が多いわ。」
「横暴な貴族による事件も減ったし、汚職を弾圧して減った分のお金をティーナが前に言ってた公共の福祉って言うのとかに使ったりしたんだ。」
ソレイユはその時の弾圧した者を思い出してか鋭い目をしている。
「明るい表情の人が多いのはそのおかげかもしれないね」とソレイユは言う。
「汚職…その貴族はまだいるの?」
「主犯共はもう居ないよ。でも、そのお零れを貰ってたやつなんかはまだ残ってる状態かな。」
「そうなの。」
だったら、餌に食いつくのはその人達の誰かかしらね。
「その家のリストを宮に送って貰えるかしら。お茶会の招待状リストから外せているか確認したいわ。」
「わかった。城に帰ったら確認しよう。」
その返事を聞いてから、またぼんやりと窓の外を見たクリスティーナは景色が先ほどと変わっているのに気づく。
「あら、この辺りはもう職人街なのね。」
クリスティーナは外にいる精霊達の元気がなぜかない事に気がついて、少しだけ未来を視る。
「…少し歩きたいのだけどいいかしら?」
「頼んでみよう。」
ソレイユはそう言って馬車の天井から出ている豪華な装飾の付いた紐を引いた。
【エルデイン王国首都トリスティナ・東南区 職人街 1番通り】
目的の工房より少し離れた場所で馬車を降りた2人は護衛の騎士達に案内され工房に向かっていた。
カンカンと鉄を打つ音や魔道具で木材や金属を削っている音がそこかしこから聞こえる。いくつかの工房や工場には販売所や店が併設されている所もある。ソレイユと歩いていると街ゆく人にたまにびっくりされて平伏されるのでそこまでしなくていいと伝えるのだがその度にさらにびっくりされるのがクリスティーナにはわからなかった。
そんなこんなで久しぶりの2人でのデートを楽しんでいたクリスティーナだったが、もう少しで工房に着くというところでふと足を止める。
「?、ティーナどうかした?」
「約束している時間まではまだ少しあるって言ってたわよね?」
神妙な態度でそう聞いてくるクリスティーナにソレイユは何かあった様だと判断し真剣な顔で時間は大丈夫だと伝える。
「早めに出てきたからね。」
「寄りたい所が出来たんだけどいいかしら?」
クリスティーナはこの近くに教会がある感じがするから立ち寄っておきたかったのだ。
感じる気に違和感を感じるから、もしかしたら急ぎで浄化が必要かもしれない。
なんだか淀んでる…感じ…なのかしらね。嫌な予感がするわ。
「いいよ。ティーナが気になってるところに行こうか。」
「ありがとう。」
こうして2人は工房に向かうのならば右に曲がらなければならない道をまっすぐ進んだ。
少し進むと淀んだ気を感じていた教会が見えてくる。
これは…何か外的要因よる意図的なもの?
この国の首都の教会なのに?
「この教会。ちょっと良くない事が起こっているわね。」
「良くない事?」
ソレイユの顔が仕事モードに切り替わった。
「ええ、何か外的要因で淀んでる感じね。」
「さすが女神様。そんな事もわかるようになったんだ。」
「近づかないとわからないわよ?」
「それでも十分にすごいよ。」
「そうかしら?」
クリスティーナはソレイユにそう答えながら教会を視る。
これはこのまま放置するとこの街全体に拡大するわね。誰がこんな事を…。
「少し中の神官と話して、浄化してしまった方がいいわ。」
「わかった。僕が話そう。」
「頼むわ。」
ソレイユが教会の敷地内に足を踏み入れるとソレイユの契約精霊が姿を現した。
『リュヌ、ここ、危ないよ。気をつけて。』
「ウェントゥスがそう言うという事は本格的に良くない事が起こってそうだな。」
ソレイユの契約精霊であるウェントゥスがソレイユを守るための結界をはる。
『悪魔の居た気配がするよ。』
「悪魔?」
悪魔。
天使と敵対し、世に災いをもたらすと言われているモノ達で、対価を渡せばどんな願いでも叶えてくれると言われている。
だが対価がその人の命や魂でした。なんて例がほとんどなのでこの国では悪魔召喚を禁忌としている。
「ウェントゥス、その悪魔はどの程度の等級かわかる?」
『うー…そこまではわかんない!』
「そうなのね。ありがとう。」
『んーん!ティナのお願い叶えられなくてごめんね。』
悲しそうにしているウェントゥスを慰めてからクリスティーナは考える。
上位よりさらに上、世界にも両手で数えられるほどしかいない超位精霊であるウェントゥスにわからないという事はもしかして3年前に周囲を操り私が死ぬように誘導した存在かもしれないわね。
クリスティーナがそう思い険しい顔をしていると同じくらい険しい顔をしたソレイユが視た結果を告げる。
「ティーナ、何もわからなかった。」
クリスティーナはその返事を聞いてびっくりすると共に確信する。
"月"であるソレイユが視てもわからない者。それはそのまま、3年前にクリスティーナの"太陽"の目を掻い潜ってクリスティーナを殺すように誘導した者以外考えられなかった。
ようやく尻尾を掴んだ。そう思った。
^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-
お読み下さりありがとうございます。
翌日、毎朝の日課と朝食を終わらせた2人は馬車で職人街にあるガラス工房へと向かっていた。
「どう?だいぶ変わったでしょ?」
馬車の窓から外を見ているクリスティーナにソレイユがそう言った。
「そうね。前よりも明るい表情をしている人が多いわ。」
「横暴な貴族による事件も減ったし、汚職を弾圧して減った分のお金をティーナが前に言ってた公共の福祉って言うのとかに使ったりしたんだ。」
ソレイユはその時の弾圧した者を思い出してか鋭い目をしている。
「明るい表情の人が多いのはそのおかげかもしれないね」とソレイユは言う。
「汚職…その貴族はまだいるの?」
「主犯共はもう居ないよ。でも、そのお零れを貰ってたやつなんかはまだ残ってる状態かな。」
「そうなの。」
だったら、餌に食いつくのはその人達の誰かかしらね。
「その家のリストを宮に送って貰えるかしら。お茶会の招待状リストから外せているか確認したいわ。」
「わかった。城に帰ったら確認しよう。」
その返事を聞いてから、またぼんやりと窓の外を見たクリスティーナは景色が先ほどと変わっているのに気づく。
「あら、この辺りはもう職人街なのね。」
クリスティーナは外にいる精霊達の元気がなぜかない事に気がついて、少しだけ未来を視る。
「…少し歩きたいのだけどいいかしら?」
「頼んでみよう。」
ソレイユはそう言って馬車の天井から出ている豪華な装飾の付いた紐を引いた。
【エルデイン王国首都トリスティナ・東南区 職人街 1番通り】
目的の工房より少し離れた場所で馬車を降りた2人は護衛の騎士達に案内され工房に向かっていた。
カンカンと鉄を打つ音や魔道具で木材や金属を削っている音がそこかしこから聞こえる。いくつかの工房や工場には販売所や店が併設されている所もある。ソレイユと歩いていると街ゆく人にたまにびっくりされて平伏されるのでそこまでしなくていいと伝えるのだがその度にさらにびっくりされるのがクリスティーナにはわからなかった。
そんなこんなで久しぶりの2人でのデートを楽しんでいたクリスティーナだったが、もう少しで工房に着くというところでふと足を止める。
「?、ティーナどうかした?」
「約束している時間まではまだ少しあるって言ってたわよね?」
神妙な態度でそう聞いてくるクリスティーナにソレイユは何かあった様だと判断し真剣な顔で時間は大丈夫だと伝える。
「早めに出てきたからね。」
「寄りたい所が出来たんだけどいいかしら?」
クリスティーナはこの近くに教会がある感じがするから立ち寄っておきたかったのだ。
感じる気に違和感を感じるから、もしかしたら急ぎで浄化が必要かもしれない。
なんだか淀んでる…感じ…なのかしらね。嫌な予感がするわ。
「いいよ。ティーナが気になってるところに行こうか。」
「ありがとう。」
こうして2人は工房に向かうのならば右に曲がらなければならない道をまっすぐ進んだ。
少し進むと淀んだ気を感じていた教会が見えてくる。
これは…何か外的要因よる意図的なもの?
この国の首都の教会なのに?
「この教会。ちょっと良くない事が起こっているわね。」
「良くない事?」
ソレイユの顔が仕事モードに切り替わった。
「ええ、何か外的要因で淀んでる感じね。」
「さすが女神様。そんな事もわかるようになったんだ。」
「近づかないとわからないわよ?」
「それでも十分にすごいよ。」
「そうかしら?」
クリスティーナはソレイユにそう答えながら教会を視る。
これはこのまま放置するとこの街全体に拡大するわね。誰がこんな事を…。
「少し中の神官と話して、浄化してしまった方がいいわ。」
「わかった。僕が話そう。」
「頼むわ。」
ソレイユが教会の敷地内に足を踏み入れるとソレイユの契約精霊が姿を現した。
『リュヌ、ここ、危ないよ。気をつけて。』
「ウェントゥスがそう言うという事は本格的に良くない事が起こってそうだな。」
ソレイユの契約精霊であるウェントゥスがソレイユを守るための結界をはる。
『悪魔の居た気配がするよ。』
「悪魔?」
悪魔。
天使と敵対し、世に災いをもたらすと言われているモノ達で、対価を渡せばどんな願いでも叶えてくれると言われている。
だが対価がその人の命や魂でした。なんて例がほとんどなのでこの国では悪魔召喚を禁忌としている。
「ウェントゥス、その悪魔はどの程度の等級かわかる?」
『うー…そこまではわかんない!』
「そうなのね。ありがとう。」
『んーん!ティナのお願い叶えられなくてごめんね。』
悲しそうにしているウェントゥスを慰めてからクリスティーナは考える。
上位よりさらに上、世界にも両手で数えられるほどしかいない超位精霊であるウェントゥスにわからないという事はもしかして3年前に周囲を操り私が死ぬように誘導した存在かもしれないわね。
クリスティーナがそう思い険しい顔をしていると同じくらい険しい顔をしたソレイユが視た結果を告げる。
「ティーナ、何もわからなかった。」
クリスティーナはその返事を聞いてびっくりすると共に確信する。
"月"であるソレイユが視てもわからない者。それはそのまま、3年前にクリスティーナの"太陽"の目を掻い潜ってクリスティーナを殺すように誘導した者以外考えられなかった。
ようやく尻尾を掴んだ。そう思った。
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お読み下さりありがとうございます。
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