悪役令嬢ですが、自分のスキルの代償がきつくて泣きそうです(仮)

秋桜

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第1章〜目覚めと出会い〜

7.読書しようとしたら心配されました。

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出て行くジークフリートを眺めながらアリシアナは何故こうなったのかを必死で考えていた。

気づけば自分はアリシアナで、部屋で王子に手を握られていて、どうやら1ヶ月寝ていたらしい私にずっと魔力循環に来てくれていたり、婚約していたり………というかここ、好感度が最大まで上がらないと入ることすら出来ないジークフリート王子の産みの母親がいた部屋じゃなかったっけ?

(……もう意味がわからない。)


推測しようにも、残ってる記憶は前世(?)の記憶と謎空間の景色とその時に見た過去なのかこれからある事なのかわからない様々な記憶だけ。

それでどうしろと…。

(ジークフリート王子殿下が言っていた、1ヶ月前にグラスフィリア公爵邸で1回、私が目覚めて言ってたってのもなんの事かしら…?)

アリシアナはあとから知る話だが、この時のアリシアナには、公爵邸で目が覚めて、日記を読んで謎空間に行くまでの記憶がすっぽりと無くなっていた。

アリシアナは頭だけで考えるのに限界を感じ、とりあえずで考えを紙にまとめたくて何か書くものがないかを聞くことにした。

私は『誰かっ…。』と声を出そうとしてベットの横のベルに気づく。

(そう言えば、"夢"の中で今よりもちょっと年上の私がこれで人を読んでた気がする…。)

私は恐る恐るベルを鳴らす。

(だ、大丈夫かしら…本当は非常時用のでしたとかないわよね?)

アリシアナがベルを鳴らしてすぐ、ノック音がして、『どうぞ』というと、1人のブロンドの髪のメイドさんが入ってきた。

「お呼びでしょうか、アリシアナお嬢様。お食事はもう少しで軽食の準備が整いますのでお持ち致します。」

「……そうだったの、実は少し退屈していて何か書くものがないかと思って…自分で取りに行こうかとも考えたのだけれど体がずっと寝てたせいか思うように動かなくて…。」

そう言うと、メイドさんは『気が付かなくて申し訳ありませんでした、至急お持ちします』といい出ていこうとしたので一緒にこの世界の歴史や魔法、地理などこの世界の事がわかる本も一緒に頼んだ。

すると、かなり驚いた様子でこう言われた。

「お嬢様がお勉強の本を…!?」

出ていくのを止め、アリシアナのいる方に引き返すと手を握り『失礼します』と言い魔力を循環させるブロンド髪のメイドさん(仮)。

「熱は…ないようです…お嬢様?頭が痛いとかお腹が痛いとかですか?それともまだお身体がどこか悪いんじゃ…。」

(………なんで本を持ってきてと言うだけでここまで心配されるのかしら…ゲームのアリシアナってどんな子だったのよ…。)

ゲームのアリシアナはなんでも知っている才色兼備のチート令嬢だったので、てっきり幼少時に家の書庫にこもっているような子だったのかと思っていた私はますますアリシアナの事が分からなくなる。

「いえ、体が思うように動かないだけで体調はジークフリート王子殿下とお医者様のおかげもあってとっても快調です。以前の私は、本を読んだりはしなかったのですか?」

「はい、いつも庭で走り回っていらっしゃいましたし、数年前風邪をひかれて寝込まれた時も自分で読むのは嫌だと私に読むようにとおっしゃってこられたくらいですので…。」

「そうなの…ごめんなさいね、私あなたとそんなに前から一緒にいたのね…今は名前すら分からないなんて…。」

「アリシアナお嬢様、気になさらないでください。では改めて、私はマリアと申します。よろしくお願いします。」

「そう、マリアさんと言うのね。いい名前ね。」

「ありがとうございます。両親がつけてくれた自慢の名前です。お嬢様はどうぞマリアと呼び捨てでお呼びください。」

「分かったわ、マリア。それと、どうせなら言ってしまうけれど、本とついでに何か編み物か刺繍どっちかを持ってきてもらえるかしら、読書の息抜きにやろうと思うの。」

「…………いつの間にできるようになったんですか?」

(……うん、そんな反応される気はしてた…。)

本当は前世で好きだっただけなのだがそんなことは言えないので王子殿下に言ったのと同じ嘘をつく。

「……この1ヶ月寝てた時に夢で見たの。」


「そうですか、今度どんな夢だったのか私にもおきかせくだいませ、お世話させていただく上で今のお嬢様を知ることは大事ですので。」

侍女のマリアは少し嬉しそうにそう言った。

「分かったわ。」

私は何一つわからない不安な気持ちが少しほっこりした気がした。
それと同時に、何もかも忘れ、前世の記憶のせいで別人のようになってしまった事を申し訳なく思った。
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