悪役令嬢ですが、自分のスキルの代償がきつくて泣きそうです(仮)

秋桜

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第2章〜星の記憶と手紙と決意〜

16.同じスキル(ジークフリート視点)後編

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僕が居る事に気づいていなかった様で話しかけるとびくっとされたが1人じゃないことに安心したのかほっとした表情を見せた。

「えっ…ジーク…様?…なんで?」

あぁ、やっぱり可愛い……ってそんな場合じゃなかった。
ニヤけてデレデレしたら気持ち悪いし、僕は王子なんだからしっかりしないと。
僕はそう思い、ついニヤけて緩みそうになる顔を引き締めて自然な笑顔に見えるよう表情をつくって聞き返した。

「それは僕がシアに聞きたいかな?」

僕がさっき光に包まれた直後にかなり頑張ってこの現象についてわかった事は三つだけだった。 

一つ。
この現象は僕の目と同じく親からの遺伝と神の加護によって使えるとされる【原始創造スキル】の内の1つによるものだという事。
二つ。
一部の例外を除き、この空間には同系統かつ同ランク以上のスキル保持者以外は起動者の作業完了まで一切の干渉が出来ない事。
三つ。
上記の干渉者がこの空間を出入りするには、スキル使用前から起動者と魔力循環をし、魔力を繋げてからスキルを発動する事。出るには起動者と干渉者が離れればその時点で干渉者はこの空間からは自動的に出されるという事。

ジークフリートは自分のスキルでも全てを知る事が出来ない強力な力とスキルを目の前に、『これはまた…すごいのが飛び出してきたな』と自分の時を思い出すと同時に内心であの時の自分自身を嘲笑した。そして、ジークフリートの祖母である上皇后が先代として導いてくれたおかげで自分の時はこれ程の大事にはなってないものの本当に大変だったなとしんみりとしかけた所でアリシアナの謝罪が聞こえてきて我に返った。

「巻き込んでしまい申し訳ありません…でも、なぜここに居るのか私にもさっぱり…あの呪文みたいなの言ってないのに。」

シアはこれがどういうスキルによるものなのかは知らない様で「なんで?」という質問は、と捉えたようだが僕が知りたいのはだ。ついでに言うとどういうスキルかは知らないシアがなぜ呪文という結論に至ったのかが気になった。
だが、いくら気になっても普段なら他人に聞く前に1度自分で考えてから聞く。大抵の事は自分で調べた方が早いし正確だからだ。
僕は思った通りにそのまま「呪文?」と聞いてしまってから、シアが先程見せてくれた日記の最後のページのアレかと思い出し、自分が今のこの状況に動揺している事に気がついた。
先程、自分の日記を見たシアが日記の最後のページを見て『………確証はないですが、私ならこれを試したと思います。』と記憶がない為か自信がなさそうにではあったがそう言ったのだ。【原始創造スキル】について詳しく知らなくても少し考えれば状況的に日記の呪文が関係してる事にシアなら気づくだろう。

「はい。前は、『我、ステラ・アステールの名において権限を行使する者なり。我、過―――あっ…。」

アリシアナがその呪文を言うと言い終わる前に豪華な装飾の本とペン、それとセットの白くて四角い小さな物体が一緒に出た。その3つからはとんでもなく強大で濃密な力を感じた。

そうそう、安易にスキル関係の言葉とか呪文とか言っちゃうとそうなるんだよね…【原始創造スキル】って完全にコントロール出来るまでは発動しようって思わなくても勝手に発動したりするから。僕もやった、やった。自分の時からまだ3ヶ月くらいしか経ってないのにすでになんか懐かしい。

「シア、その本は?」

「私にもまだ良く分かってないんです…本来なら色々試してみて、発動条件とかを調べたいんですが…なんだかちょっと何かするだけで大変な事になりそうで」

シアが乾いた笑いを零しつつ遠い目をして言った。

「あぁ、なるほど…確かに不用意に試したりはしない方が良さそうだ。」

【原始創造スキル】は文字通り神が原始の世界を創造した時に使用したとされているスキルで他の通常スキルと比べると全てにおいて規模が違う。みた感じシアのスキルは事象を改変する系の力みたいなのでほんとに何が起こるかわからない。

「せめて、発動条件だけでも分かればこんなことにならずに済むん…です…が…――」

うん?発動条件という言葉が出てくるって事は、これがスキルによる現象って気づいてる…のか?

僕がシアの様子や自分の時の経験を元に打開策を考えていると、自分で出した明らかに神器っぽい本やペンを手に取って調べていたシアが不吉な響きで呟いた。

「……あっ。」

何その「あっ」って!暴発しても僕にはその膨大な力を抑えるなんて出来ないんだけど!!?

ジークフリートは思わず笑顔が引き攣りそうになる。

いや、僕もやったから人の事は言えない。それはわかっている。嫌という程自覚している。祖母上が今ベッドから起き上がれないのは自分のせいなのだから。

自分の事を棚に上げる事になると自覚しつつジークフリートは不安にかられる。ジークフリート自身がスキルに目覚めた時と違い、アリシアナには指導者となれる先代は既に居ないと思われるからだ。よって、何かあっ暴発しても止められる人は居ない。

ははは…もう絶望的過ぎて本気で笑えてきた。

僕が最悪の事態についてあれこれ想像して言葉を返せずにいるとシアが青い顔で言葉を続ける。

「ジーク様…ごめんなさい……その…。」

シアが泣きそうな顔で僕に謝って来た。不安で俯きつつ目だけでこちらをチラチラ見ているので本人そのつもりはないだろうが上目遣いになっている。
すっごく、可愛い。………ってそうじゃなかった。けど…まぁ、僕に謝ってるって事は本当の大事ではなさそうかな。

僕はほっと一安心しつつ心の内の動揺を悟られないように注意して聞き返す。

「なに?」

するとアリシアナは1度深呼吸をしてから不安と罪悪感がないまぜになった表情で言った。

「ここってどうやったら出られるんでしょう?」


「…………………。」

…………そっか……そう、だよね。
シアはこのスキルについてよく知らないみたいだから、そもそもなんでここにいるのかわからないよね。なんでここにいるのかわからないという事は発動条件や発動理由が分からないという事。それが分からなければ解除方法ももちろんわからない。当然の事だ。
僕の時は神様から事前に少し話を聞いてたから心構え出来たし祖母上もいたから教えてくれる人が居たけど…さあどうしよう。本当にどうしようかこの状況…。

あー…不謹慎だけど少しわくわくしてしまっている。

僕の【原始創造スキル】が発現してから約3ヶ月。
全ての出来事が予想と想定から外れることがなくて退屈で仕方なかったけどシアと会ってから予想外の事が多くて楽しい。祖母上をあんな状態にしてしまったこのスキルなんか要らないとずっと思ってたけどこのスキルのおかげでシアを少しでも助けられるなら僕は―――。

ジークフリートはそこまで考えたところでアリシアナが見てる事に気づいて慌てて表情を引き締める。

思わず表情が崩れた僕のその様子を見てさっきまで泣きそうだったシアが僕が巻き込まれて怒ったと勘違いしたようで目に溜まっていた涙がボロボロとこぼれだす。
あぁ、可愛いけどどうしよう…。

「あぁ、泣かないで怒ってなんていないから。ちょっと思い出したことがあってね?シアが嫌な気分になることじゃないから安心して…ね?」

僕は自分の時に祖母上が僕にしてくれたようにそっと抱きしめてみた。
自分の時はそれでひとりじゃないと気づいて冷静になれたから。
両手循環を(だましうちみたいだったとはいえ)本気で拒絶されたりはしなかったから。経緯はどうあれ、それが大丈夫なら抱きしめるくらい問題ないだろうとも思ったから。

でも、シアはさらに混乱した様で恐怖からパニくって暴れ出した。

「いやっ、いやだっ、離してっ死にたくない、いやだ殺さないでっ!」

泣き叫び僕から逃げようとするシアがわからなくて内心泣きそうになりつつ必死に説得する。

「大丈夫っ、大丈夫だからっ、これ以上何もしないから落ち着いて…。」

だが、落ち着いて貰おうと優しく話しても逆効果のようでますます暴れて離れようとするアリシアナ。

「いやだ死にたくないっ離してぇぇっ!」

両手循環はいいのに抱きしめるのはダメなの!?優先順位、普通逆じゃないの!?って離してと言いつつ僕の服握りしめてるんだけど……と言うかね、なんで僕に殺されると思うの!?…好きな子殺すわけないのに!!

(あーーもう!!)

「落ち着いて!!!!」

パニクったアリシアナに思わず大きな声を出すジークフリート。

「ひっ。」

アリシアナはその声にびくっとしてすっかり動きを止めた。

やってしまった…。怖がらせてどうする…本気で泣きそう。

「……恐がらせてごめんね…大丈夫、何もしないから。」

そう言って頭をそっと撫でる。
しばらくそうしていると落ち着きを取り戻したアリシアナがそっとこちらを見て不安そうに言った。

「………何もしない?…本当に?」

いや、だから、そもそもがなんで僕に殺されると考えた……。

「ジーク様、ありがとうございます。おかげで少し落ち着きました。ちょっと出る方法を考えてみます。」

まあ、とりあえず落ち着いたみたいだしこの事は今はいいか。
微笑んだシアはやっぱり可愛いし。今はそれどころじゃないし。
理由はここから出たあとに聞いてみよう。

僕はほっと一息ついた。
これで外の人達に説明できそう。
さっきから約2名すっごくうるさい声が聞こえるし一旦戻らないと。

「じゃあ、僕も考えてみるね。少しの間反応遅れるかもしてないけど許してね。」

アリシアナは考えに必死になっていて聞いているか不安になったが、もし外にいても中で名前を呼ばれれば気づけそうだと思い、1度外に出た。




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