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二章 聖女、旅商人と出会う
5.聖女、拳をふるう
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即席でルークんが作った縄ばしごをのぼり、密室から脱出する。
見張りの目をかいくぐって敷地を出ようと歩く。
門の前で、誰かが騒いでいる気配がした。
「……おいおいおい、アデルくんさぁ」
「あなたの護衛の方ですね」
悪そうな男たちを相手取って、正面から揉めているのはアデルくんだ。
どうしようかと気配をひそめつつ近づいているうちに、アデルくんは腰の剣に手をかけた。
「おっとぉ!」
慌てて横からその柄を握る。
振り返ったアデル少年の目が見開かれた。
「――リュー! お前……」
「いきなり抜くなって。こっから全部ぶった切っていくつもりなら、ちっと気合が入りすぎだぞ」
「お前、それどころじゃないだろ! なぜ一人で抜け出したりした!? あれほど危ないと言っているのに、ほいほい一人で外に出るとは――」
「いいから落ち着け」
ぽん、と裏拳で叩こうとしたら大仰に飛び退られた。
「お前、僕にそれを向けるのはよせ」
「はいはい。とにかく、俺は無事だったんで落ち着けって」
もちろんアデルくんは更になにかを言おうと口を開いたが、それを対峙していた男たちの声が邪魔した。
「てめぇ、どうやって抜け出した!」
とっさに掴みかかろうとした手は、アデルくんが素早く払った。
「リュイに手を出すな。来るなら僕が相手してやる」
「なんだと!?」
ちらっとこっちを見たアデル少年の表情は、割と本気で心配していた。
俺じゃない。荒くれものたちの方を。
「いいか、こいつの拳に少しでも当たってみろ。最悪、精神のすべてが変質して死ぬぞ。それがいやならこっちにかかって来い!」
「んなこと言って、あんただって、さっき抜きかけてたじゃん……」
「あれは、お前がまだ中にいると思ったからだ!」
おっ、前言撤回。
どうやら、俺の――いやいや、リュイリュイちゃんさまの身体のことも心配はしているらしい。
男たちはしばらく俺とアデル少年を交互に見ていたが、まだしもか弱く見えたらしい。結局、俺の方へと向かってきた。
まあ、もとから俺がターゲットなんだから、当然と言えば当然だ。
「くそっ!」
鞘ごと抜いた剣を、アデルくんが俺を守るように突き出す。
男たちは一瞬動きを止めたが、すぐにフェイントをかけてその鞘を突破した。
――が、そんな一瞬の隙は命取りだ。
「はい、右ストレートぉ!」
すこーん、と顎先にまっすぐパンチ。
次に来たやつは一度バックステップをかませてからの脇腹へフック。
二丁あがりだ。
その間に横から来たやつはアデル少年が、後ろを取ろうと回り込んでた男はルークんがその攻撃を払っている。
ついでに腹に強烈な一撃を食らっているが、まあ俺の暗黒魔術を食らうのとどっちがマシかという話だろう。
がくりと膝を突いた男たちが震えながら頭を下げる。
俺はその姿に向け、顎先をくいっと上げた。
「ふん、たいしたことないな」
「調子に乗るな。かわいい顔して見せても、お前の力はえぐすぎるんだよ」
「……かわいい顔?」
そういう調子に乗り方はしてないのだが。
すこん、とアデル少年に拳骨を食らったけれど、どうにも納得のいかない叱られ方だった。
見張りの目をかいくぐって敷地を出ようと歩く。
門の前で、誰かが騒いでいる気配がした。
「……おいおいおい、アデルくんさぁ」
「あなたの護衛の方ですね」
悪そうな男たちを相手取って、正面から揉めているのはアデルくんだ。
どうしようかと気配をひそめつつ近づいているうちに、アデルくんは腰の剣に手をかけた。
「おっとぉ!」
慌てて横からその柄を握る。
振り返ったアデル少年の目が見開かれた。
「――リュー! お前……」
「いきなり抜くなって。こっから全部ぶった切っていくつもりなら、ちっと気合が入りすぎだぞ」
「お前、それどころじゃないだろ! なぜ一人で抜け出したりした!? あれほど危ないと言っているのに、ほいほい一人で外に出るとは――」
「いいから落ち着け」
ぽん、と裏拳で叩こうとしたら大仰に飛び退られた。
「お前、僕にそれを向けるのはよせ」
「はいはい。とにかく、俺は無事だったんで落ち着けって」
もちろんアデルくんは更になにかを言おうと口を開いたが、それを対峙していた男たちの声が邪魔した。
「てめぇ、どうやって抜け出した!」
とっさに掴みかかろうとした手は、アデルくんが素早く払った。
「リュイに手を出すな。来るなら僕が相手してやる」
「なんだと!?」
ちらっとこっちを見たアデル少年の表情は、割と本気で心配していた。
俺じゃない。荒くれものたちの方を。
「いいか、こいつの拳に少しでも当たってみろ。最悪、精神のすべてが変質して死ぬぞ。それがいやならこっちにかかって来い!」
「んなこと言って、あんただって、さっき抜きかけてたじゃん……」
「あれは、お前がまだ中にいると思ったからだ!」
おっ、前言撤回。
どうやら、俺の――いやいや、リュイリュイちゃんさまの身体のことも心配はしているらしい。
男たちはしばらく俺とアデル少年を交互に見ていたが、まだしもか弱く見えたらしい。結局、俺の方へと向かってきた。
まあ、もとから俺がターゲットなんだから、当然と言えば当然だ。
「くそっ!」
鞘ごと抜いた剣を、アデルくんが俺を守るように突き出す。
男たちは一瞬動きを止めたが、すぐにフェイントをかけてその鞘を突破した。
――が、そんな一瞬の隙は命取りだ。
「はい、右ストレートぉ!」
すこーん、と顎先にまっすぐパンチ。
次に来たやつは一度バックステップをかませてからの脇腹へフック。
二丁あがりだ。
その間に横から来たやつはアデル少年が、後ろを取ろうと回り込んでた男はルークんがその攻撃を払っている。
ついでに腹に強烈な一撃を食らっているが、まあ俺の暗黒魔術を食らうのとどっちがマシかという話だろう。
がくりと膝を突いた男たちが震えながら頭を下げる。
俺はその姿に向け、顎先をくいっと上げた。
「ふん、たいしたことないな」
「調子に乗るな。かわいい顔して見せても、お前の力はえぐすぎるんだよ」
「……かわいい顔?」
そういう調子に乗り方はしてないのだが。
すこん、とアデル少年に拳骨を食らったけれど、どうにも納得のいかない叱られ方だった。
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