9 / 96
修行編
第9話 剣聖への道 その1
しおりを挟む
「うっ、う~ん」(大きなあくび)
「うぐぐぐぐぐ~」(伸びと同時に変な声出た)
「はぁ~」(深呼吸)
秋の朝は夏と違ってちょっとひんやりしていて、そしてどこまでも空気が澄んでいる。
俺と妹は村の外れにある泉の前で、ようやく山の合間から顔を出したお日様の光を浴びて、仲良く一緒に精一杯の伸びと深呼吸をした。
「さて、始めるか」
とうとうこの時がやって来た。これから始まる修行。伝説の剣聖に近付く第一歩は、まず目を鍛える事に始まる。
良くバトル漫画とかにあるでしょ。
「お、お前。今の攻撃見えたか?」
「いや、俺には全然見えなかった……」
なんていうあれですよ、あれ。
あれって大抵、アニメや漫画では圧倒的に素早いやつとか強いやつにしか見えないんです。でもさぁ~、おかしくないです?
あの世界観って、見えるイコール避けられる、反応出来るの世界だから、キャラクターの強さの尺度を図るにはとっても分かりやすいんだけど……。あれって、間違いなく動体視力でしょ。
動体視力って、強く無くても鍛える事出来るよね。
ってことで、俺はまず妹に見える達人になって貰おうって言うわけ。動体視力を鍛えるだけなら、怪我とか絶対にしないじゃん。
そして、あわよくばこの第一段階で挫折して俺のドラゴン退治なんかも、どうでも良くなってくれれば……なんてね。
それで、俺が選んだ修行場所は、この泉ってわけ。
ん?なんで泉かって?そりゃあれですよ。秋の水辺とくりゃ………。ほら、下ばかり見てないで顔を上げて。
たくさんいるでしょ。むちゃくちゃ素早いやつらが。そう、赤トンボだ。つまり、今から妹には、この赤トンボの数を全部数えて貰おうってわけさ。
まぁ~出来るわけない。本当。どう考えても無理でしょ。だってみんなトンボだし、ひっきりなしに動いてるし、五十匹?百匹?俺には見当すらつきません。
だから、俺が妹にトンボの数を数えろって言ったらキョトンとしてたよ。でもやっぱりそこは八歳の女の子。俺が出来ると言ったら信じちゃうんだよなぁ……。
「いち、にぃ、さん……よん……。あぁ~そっちに行っちゃ駄目だって」
慌ててもう一度数え直して
「いち、にぃ、さん……」
まずは指差し確認で一匹ずつ数えようと試みる妹。当然そんな数え方じゃあ無理なんだけど根気だけはあるから、何回でも試すわけ。なんとか十までは行けるみたいだけど、それ以上はやっぱり無理でやり直し。俺もさすがに健気過ぎて可哀想になってくる。
しまいには、数字を数える声が涙ぐんできた。
「あゝもう……ストップ。ストップ~!」
俺のほうが耐えられないわ。
「だって……トンボが動くから……」
目にいっぱいの涙をためた妹が、それでも、もう一度最初っから数えようと涙を拭う。
あぁ~。俺が本当に剣の達人だったら、こんなふうに妹を泣かせずにすんだと言うのに。(俺がついた嘘のことはもう忘れてくだだい……)
でもまぁ、八歳児なんてこんなものですよ。こうなることは最初っから分かってました。だって兄妹なんですもの。
だから。もちろん次の手も用意してますよ。このトンボは『かまし』ってやつです。修行の大変さを伝える為に私が妹に一発かましたったわけです。
さて、そこで、取り出しましたるたくさんのカラフルな石。妹が寝ている間に私が頑張って色を塗りました。五色に色分けして百個ほど袋に入ってます。
それを袋の中で混ぜ混ぜして、片手で握れるだけ握ったら……。地面にポイッと放り投げます。
「さて。全部で何個ある?」
トンボを数えるのを中断して、俺がなにかを始めようとしていたのを横で見ていた妹。突然振られてちょっと驚いたみたいだったけど、すぐにこれは修行なんだと理解したようだ。
「いち、に、さん、し、ご……」
あくまでも指差しだけど、数えるのがさっきよりも早い。まぁ当たり前っちゃぁ当たり前。だって石は動かないしね。
でもさぁ、そんなことが修行になるなんて思ってる奴いねぇよなぁ~。
俺は、妹がまだ数え終わらないうちに、その石を拾い始める。そして少し厳しめの口調でこう言った。
「おい。それでは駄目だ。これは修行だぞ。普通に数えてどうするんだ?」
さてさて、ここからが修行の本番ってわけ。妹はどう言うこと?って顔をしてるけど、この目を鍛える修行は、まずはこのカラフルな石の数を一瞬で数える練習から始まる。それこそが(わたしの考えた)剣聖への第一歩なのだ。
「うぐぐぐぐぐ~」(伸びと同時に変な声出た)
「はぁ~」(深呼吸)
秋の朝は夏と違ってちょっとひんやりしていて、そしてどこまでも空気が澄んでいる。
俺と妹は村の外れにある泉の前で、ようやく山の合間から顔を出したお日様の光を浴びて、仲良く一緒に精一杯の伸びと深呼吸をした。
「さて、始めるか」
とうとうこの時がやって来た。これから始まる修行。伝説の剣聖に近付く第一歩は、まず目を鍛える事に始まる。
良くバトル漫画とかにあるでしょ。
「お、お前。今の攻撃見えたか?」
「いや、俺には全然見えなかった……」
なんていうあれですよ、あれ。
あれって大抵、アニメや漫画では圧倒的に素早いやつとか強いやつにしか見えないんです。でもさぁ~、おかしくないです?
あの世界観って、見えるイコール避けられる、反応出来るの世界だから、キャラクターの強さの尺度を図るにはとっても分かりやすいんだけど……。あれって、間違いなく動体視力でしょ。
動体視力って、強く無くても鍛える事出来るよね。
ってことで、俺はまず妹に見える達人になって貰おうって言うわけ。動体視力を鍛えるだけなら、怪我とか絶対にしないじゃん。
そして、あわよくばこの第一段階で挫折して俺のドラゴン退治なんかも、どうでも良くなってくれれば……なんてね。
それで、俺が選んだ修行場所は、この泉ってわけ。
ん?なんで泉かって?そりゃあれですよ。秋の水辺とくりゃ………。ほら、下ばかり見てないで顔を上げて。
たくさんいるでしょ。むちゃくちゃ素早いやつらが。そう、赤トンボだ。つまり、今から妹には、この赤トンボの数を全部数えて貰おうってわけさ。
まぁ~出来るわけない。本当。どう考えても無理でしょ。だってみんなトンボだし、ひっきりなしに動いてるし、五十匹?百匹?俺には見当すらつきません。
だから、俺が妹にトンボの数を数えろって言ったらキョトンとしてたよ。でもやっぱりそこは八歳の女の子。俺が出来ると言ったら信じちゃうんだよなぁ……。
「いち、にぃ、さん……よん……。あぁ~そっちに行っちゃ駄目だって」
慌ててもう一度数え直して
「いち、にぃ、さん……」
まずは指差し確認で一匹ずつ数えようと試みる妹。当然そんな数え方じゃあ無理なんだけど根気だけはあるから、何回でも試すわけ。なんとか十までは行けるみたいだけど、それ以上はやっぱり無理でやり直し。俺もさすがに健気過ぎて可哀想になってくる。
しまいには、数字を数える声が涙ぐんできた。
「あゝもう……ストップ。ストップ~!」
俺のほうが耐えられないわ。
「だって……トンボが動くから……」
目にいっぱいの涙をためた妹が、それでも、もう一度最初っから数えようと涙を拭う。
あぁ~。俺が本当に剣の達人だったら、こんなふうに妹を泣かせずにすんだと言うのに。(俺がついた嘘のことはもう忘れてくだだい……)
でもまぁ、八歳児なんてこんなものですよ。こうなることは最初っから分かってました。だって兄妹なんですもの。
だから。もちろん次の手も用意してますよ。このトンボは『かまし』ってやつです。修行の大変さを伝える為に私が妹に一発かましたったわけです。
さて、そこで、取り出しましたるたくさんのカラフルな石。妹が寝ている間に私が頑張って色を塗りました。五色に色分けして百個ほど袋に入ってます。
それを袋の中で混ぜ混ぜして、片手で握れるだけ握ったら……。地面にポイッと放り投げます。
「さて。全部で何個ある?」
トンボを数えるのを中断して、俺がなにかを始めようとしていたのを横で見ていた妹。突然振られてちょっと驚いたみたいだったけど、すぐにこれは修行なんだと理解したようだ。
「いち、に、さん、し、ご……」
あくまでも指差しだけど、数えるのがさっきよりも早い。まぁ当たり前っちゃぁ当たり前。だって石は動かないしね。
でもさぁ、そんなことが修行になるなんて思ってる奴いねぇよなぁ~。
俺は、妹がまだ数え終わらないうちに、その石を拾い始める。そして少し厳しめの口調でこう言った。
「おい。それでは駄目だ。これは修行だぞ。普通に数えてどうするんだ?」
さてさて、ここからが修行の本番ってわけ。妹はどう言うこと?って顔をしてるけど、この目を鍛える修行は、まずはこのカラフルな石の数を一瞬で数える練習から始まる。それこそが(わたしの考えた)剣聖への第一歩なのだ。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる