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修行編
第34話 剣聖への道 〜萬寿香(マンジュコウ)〜 その1
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結局のところ、剣の理念だとか、一子相伝《いっしそうでん》だとか――いくら後付《あとづ》けの設定でこの『千年九剣』を飾り付けたとしても、この剣技は『剣なんか全く握った事のない』ズブの素人が適当に考えた全くのデタラメ剣技である事を、俺は改めて言っておく。
たとえ妹が、次々に俺の与えたミッションを達成して著しい成長を遂げたとしても、それだけは紛れもない事実なのだ。
その証拠に、今の俺はもうどう仕様もないくらい完全に行き詰まっている。
『第三層』の剣を用いた修行にしても、『絶対分析』とか言う格好良い名前でごまかして、そのまま剣の扱いかたを教えることなく、どうにか修行っぽい体裁は整えたつもりだけど――
「でも――そこから先はどうする? レイラのやつ本当にあんな大きな岩を粉々に砕いて第三層を修得しちゃったぞ」
俺は、つい先日まで妹がこの修行ごっこに飽きちゃってるって思ってたから、ここから先の修行方法なんか全く考えて無かったのだ。
当然の事ながら剣を一度も握ったことの無い俺が妹に教えられることと言ったら、薬草採取で山道を歩く時に使うナタや鎌《かま》の振り方ぐらいしか無い。
あゝ、もういっそのこと『第四層』は妹にナタを持たせて『絶対ナタ式』にしてやろうか……それとも『絶対鎌式』か?
「いや、さすがにそれは格好悪すぎるだろ。」
くだらない思いつきに思わず俺は自分で自分に突っ込みを入れたが、そんな事を考えてしまうくらいに今の俺は追い込まれているのだろう。あてにしていた天からの閃き(前世で読んだ漫画のワンシーン)だって、いつまで経っても浮かば無いままだ。
そして、ひたすら悩みに悩んだ末に――
結局、俺の脳裏には『千年九剣第四層』としてふさわしい剣技なんて一つも思い浮かば無かった。
日に日に増して行く妹の熱い眼差し。下手に用事で妹を呼び付けようものなら、わざわざあのボロ臭い剣を握って嬉しそうに駆け寄って来るんだぞ。絶対、次の修行を期待して無いわけが無いだろこれ。
俺はもう……そんな妹の期待に満ちた眼差しを、もうこれ以上無視する事が出来ないんだ。
「ええい。こうなったらナタの使い方でも鎌の握り方でも何でも良いから教えてしまえ!」
まぁいわゆるヤケクソってやつだが、もはや俺に残された道はそれしか無かったのだ。
あまりの格好悪さに妹は失望するだろうか、それとも呆れ返るだろうか――しかし、いざやると決めたなら早い方がいい。
そしてその日の夕食後。俺は妹のレイラに意を決して次の修行『第四層』について切り出した。
「おいレイラ。明日は俺と一緒に3つ先の山まで行こう。薬草採取のついでに新しい『第四層』を教えてやる。」
もちろん、俺の言葉を聞いた妹の顔が一瞬にして華やいだのは言うまでもない。明日《あした》習うのは単なるナタの使い方だって言うのにさ――
妹の嬉しそうな姿を見てたらつい「いくら薬草採取だからって、その剣は忘れるなよ。」と、必要の無い一言も付け足してしまう俺。明日習うのは単なる鎌の握り方だって言うのにさ――
もう、さすがに後は野となれ山となれだ。
しかし――
この俺の投げやりな選択は、俺の予想を大きく覆し結果的に大成功を収める事となった。
『千年九剣 第四層 無形式』
この『千年九剣』の剣技の中でも飛び切り異彩を放つ独特な剣法は――言うなればこの時の俺の『無策』から誕生したと言っても過言では無い。
たとえ妹が、次々に俺の与えたミッションを達成して著しい成長を遂げたとしても、それだけは紛れもない事実なのだ。
その証拠に、今の俺はもうどう仕様もないくらい完全に行き詰まっている。
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「でも――そこから先はどうする? レイラのやつ本当にあんな大きな岩を粉々に砕いて第三層を修得しちゃったぞ」
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当然の事ながら剣を一度も握ったことの無い俺が妹に教えられることと言ったら、薬草採取で山道を歩く時に使うナタや鎌《かま》の振り方ぐらいしか無い。
あゝ、もういっそのこと『第四層』は妹にナタを持たせて『絶対ナタ式』にしてやろうか……それとも『絶対鎌式』か?
「いや、さすがにそれは格好悪すぎるだろ。」
くだらない思いつきに思わず俺は自分で自分に突っ込みを入れたが、そんな事を考えてしまうくらいに今の俺は追い込まれているのだろう。あてにしていた天からの閃き(前世で読んだ漫画のワンシーン)だって、いつまで経っても浮かば無いままだ。
そして、ひたすら悩みに悩んだ末に――
結局、俺の脳裏には『千年九剣第四層』としてふさわしい剣技なんて一つも思い浮かば無かった。
日に日に増して行く妹の熱い眼差し。下手に用事で妹を呼び付けようものなら、わざわざあのボロ臭い剣を握って嬉しそうに駆け寄って来るんだぞ。絶対、次の修行を期待して無いわけが無いだろこれ。
俺はもう……そんな妹の期待に満ちた眼差しを、もうこれ以上無視する事が出来ないんだ。
「ええい。こうなったらナタの使い方でも鎌の握り方でも何でも良いから教えてしまえ!」
まぁいわゆるヤケクソってやつだが、もはや俺に残された道はそれしか無かったのだ。
あまりの格好悪さに妹は失望するだろうか、それとも呆れ返るだろうか――しかし、いざやると決めたなら早い方がいい。
そしてその日の夕食後。俺は妹のレイラに意を決して次の修行『第四層』について切り出した。
「おいレイラ。明日は俺と一緒に3つ先の山まで行こう。薬草採取のついでに新しい『第四層』を教えてやる。」
もちろん、俺の言葉を聞いた妹の顔が一瞬にして華やいだのは言うまでもない。明日《あした》習うのは単なるナタの使い方だって言うのにさ――
妹の嬉しそうな姿を見てたらつい「いくら薬草採取だからって、その剣は忘れるなよ。」と、必要の無い一言も付け足してしまう俺。明日習うのは単なる鎌の握り方だって言うのにさ――
もう、さすがに後は野となれ山となれだ。
しかし――
この俺の投げやりな選択は、俺の予想を大きく覆し結果的に大成功を収める事となった。
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