【大師匠は大嘘つき】〜俺はデタラメの剣術を教えたはずなのに、今や妹は剣聖と呼ばれています〜

鳥羽フシミ

文字の大きさ
34 / 96
修行編

第34話 剣聖への道 〜萬寿香(マンジュコウ)〜  その1

しおりを挟む
結局のところ、剣の理念だとか、一子相伝《いっしそうでん》だとか――いくら後付《あとづ》けの設定でこの『千年九剣』を飾り付けたとしても、この剣技は『剣なんか全く握った事のない』ズブの素人が適当に考えた全くのデタラメ剣技である事を、俺は改めて言っておく。

たとえ妹が、次々に俺の与えたミッションを達成して著しい成長を遂げたとしても、それだけは紛れもない事実なのだ。

その証拠に、今の俺はもうどう仕様もないくらい完全に行き詰まっている。

『第三層』の剣を用いた修行にしても、『絶対分析』とか言う格好良い名前でごまかして、そのまま剣の扱いかたを教えることなく、どうにか修行っぽい体裁は整えたつもりだけど――

「でも――そこから先はどうする? レイラのやつ本当にあんな大きな岩を粉々に砕いて第三層を修得しちゃったぞ」

俺は、つい先日まで妹がこの修行ごっこに飽きちゃってるって思ってたから、ここから先の修行方法なんか全く考えて無かったのだ。

当然の事ながら剣を一度も握ったことの無い俺が妹に教えられることと言ったら、薬草採取で山道を歩く時に使うナタや鎌《かま》の振り方ぐらいしか無い。

あゝ、もういっそのこと『第四層』は妹にナタを持たせて『絶対ナタ式』にしてやろうか……それとも『絶対鎌式』か?

「いや、さすがにそれは格好悪すぎるだろ。」

くだらない思いつきに思わず俺は自分で自分に突っ込みを入れたが、そんな事を考えてしまうくらいに今の俺は追い込まれているのだろう。あてにしていた天からの閃き(前世で読んだ漫画のワンシーン)だって、いつまで経っても浮かば無いままだ。

そして、ひたすら悩みに悩んだ末に――

結局、俺の脳裏には『千年九剣第四層』としてふさわしい剣技なんて一つも思い浮かば無かった。

日に日に増して行く妹の熱い眼差し。下手に用事で妹を呼び付けようものなら、わざわざあのボロ臭い剣を握って嬉しそうに駆け寄って来るんだぞ。絶対、次の修行を期待して無いわけが無いだろこれ。

俺はもう……そんな妹の期待に満ちた眼差しを、もうこれ以上無視する事が出来ないんだ。

「ええい。こうなったらナタの使い方でも鎌の握り方でも何でも良いから教えてしまえ!」

まぁいわゆるヤケクソってやつだが、もはや俺に残された道はそれしか無かったのだ。

あまりの格好悪さに妹は失望するだろうか、それとも呆れ返るだろうか――しかし、いざやると決めたなら早い方がいい。

そしてその日の夕食後。俺は妹のレイラに意を決して次の修行『第四層』について切り出した。

「おいレイラ。明日は俺と一緒に3つ先の山まで行こう。薬草採取のついでに新しい『第四層』を教えてやる。」

もちろん、俺の言葉を聞いた妹の顔が一瞬にして華やいだのは言うまでもない。明日《あした》習うのは単なるナタの使い方だって言うのにさ――

妹の嬉しそうな姿を見てたらつい「いくら薬草採取だからって、その剣は忘れるなよ。」と、必要の無い一言も付け足してしまう俺。明日習うのは単なる鎌の握り方だって言うのにさ――

もう、さすがに後は野となれ山となれだ。

しかし――

この俺の投げやりな選択は、俺の予想を大きく覆し結果的に大成功を収める事となった。

『千年九剣 第四層 無形式』

この『千年九剣』の剣技の中でも飛び切り異彩を放つ独特な剣法は――言うなればこの時の俺の『無策』から誕生したと言っても過言では無い。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...