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武術大会編
第84話 ドーマ対エデン その9
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そしてVIP席。
ドーマの優勢に酔いしれていたエイドリアンの隣で、先に異変に気がついたのは、ダメダメメイドの主人――ショーン=ロゼットお坊ちゃんだった。
「ちょっとエイリン。あの、エルドラのお姉さん……様子、おかしくない?」
「大丈夫ですよ。だって、勝ってますし――」
「でも、なんか……身体から黒いもやみたいな……」
「問題ないです。封印を解いた影響でしょう。魔力が可視化されると、素質によって色がつくんです。ドーマは神竜ククルカンの加護を受けていますから、白のはずです」
「えっ、あれが白……?」
「ええ、白いはず……あれ?……黒、ですね……って――」
はたと気づいた瞬間、エイドリアンの背筋を冷たいものが走り抜けた。
「まさか……!」
舞台に目を戻すと、そこにいたのは、もはや人間の姿を留めていない、魔神と化したドーマだった。
すでに舞台上で魔人と対峙していたエデンとカイル。だが、二人がかりでも圧倒される展開に、ついにカイルが叫ぶ。
「おい、メイド!お前、ドーマに何をした!こいつ、もう正気じゃねえぞ!」
しかし、エイドリアンの頭は別の問題でいっぱいだった。
「ああ~!もう黙っててください!」
彼女は両手でこめかみを押さえ、必死に記憶を掘り返す。
伝説では……エルドラが滅んだのは千年前。そのときククルカンは封印された。でも……神話には、ククルカンが邪神を封じていたとある。
……待って。それなら、なぜククルカン自身が封印されなきゃならなかったの?
歴代の王族が身体に封じていたのって……ククルカンそのものじゃなくて、むしろ、ククルカンの力を使って邪神を……?
だとしたら……ドーマの中に封じられていたのは、ククルカンじゃなくて……邪神のほう!?
うそ……最悪……。
「やば……これマジで終わったわ……」
唇をかみながら、エイドリアンはショーンに向き直る。
「坊ちゃま……とんでもないことになりました。私……ドーマの体内に封じられていた邪神、テトカポリカを解放してしまったみたいです……」
「それって……どうなるの?」
「多分……王都が火の海に……なります。だから、逃げましょう!今すぐに!」
慌てて立ち上がり、ショーンの腕を引っ張るエイドリアン。だが――
ショーンはその手を振りほどき、迷いなく舞台へと駆け出した。
「いけません!坊ちゃま!」
後戻りできない選択。その背に、エイドリアンは縋るように叫ぶ。
しかし、彼は振り返り、毅然とした声で答えるのだった。
「ダメだ、エイリン。エデンだって、あの師匠のお兄さんだって、逃げずに戦ってる。君はドーマの師匠なんだろ? だったら――エイリンも一緒に、あのお姉さんを助けて上げなきゃ!」
ドーマの優勢に酔いしれていたエイドリアンの隣で、先に異変に気がついたのは、ダメダメメイドの主人――ショーン=ロゼットお坊ちゃんだった。
「ちょっとエイリン。あの、エルドラのお姉さん……様子、おかしくない?」
「大丈夫ですよ。だって、勝ってますし――」
「でも、なんか……身体から黒いもやみたいな……」
「問題ないです。封印を解いた影響でしょう。魔力が可視化されると、素質によって色がつくんです。ドーマは神竜ククルカンの加護を受けていますから、白のはずです」
「えっ、あれが白……?」
「ええ、白いはず……あれ?……黒、ですね……って――」
はたと気づいた瞬間、エイドリアンの背筋を冷たいものが走り抜けた。
「まさか……!」
舞台に目を戻すと、そこにいたのは、もはや人間の姿を留めていない、魔神と化したドーマだった。
すでに舞台上で魔人と対峙していたエデンとカイル。だが、二人がかりでも圧倒される展開に、ついにカイルが叫ぶ。
「おい、メイド!お前、ドーマに何をした!こいつ、もう正気じゃねえぞ!」
しかし、エイドリアンの頭は別の問題でいっぱいだった。
「ああ~!もう黙っててください!」
彼女は両手でこめかみを押さえ、必死に記憶を掘り返す。
伝説では……エルドラが滅んだのは千年前。そのときククルカンは封印された。でも……神話には、ククルカンが邪神を封じていたとある。
……待って。それなら、なぜククルカン自身が封印されなきゃならなかったの?
歴代の王族が身体に封じていたのって……ククルカンそのものじゃなくて、むしろ、ククルカンの力を使って邪神を……?
だとしたら……ドーマの中に封じられていたのは、ククルカンじゃなくて……邪神のほう!?
うそ……最悪……。
「やば……これマジで終わったわ……」
唇をかみながら、エイドリアンはショーンに向き直る。
「坊ちゃま……とんでもないことになりました。私……ドーマの体内に封じられていた邪神、テトカポリカを解放してしまったみたいです……」
「それって……どうなるの?」
「多分……王都が火の海に……なります。だから、逃げましょう!今すぐに!」
慌てて立ち上がり、ショーンの腕を引っ張るエイドリアン。だが――
ショーンはその手を振りほどき、迷いなく舞台へと駆け出した。
「いけません!坊ちゃま!」
後戻りできない選択。その背に、エイドリアンは縋るように叫ぶ。
しかし、彼は振り返り、毅然とした声で答えるのだった。
「ダメだ、エイリン。エデンだって、あの師匠のお兄さんだって、逃げずに戦ってる。君はドーマの師匠なんだろ? だったら――エイリンも一緒に、あのお姉さんを助けて上げなきゃ!」
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