38 / 92
第二章
第四話 兄弟の結婚に祝福を~護るためならば何をも利用する~
しおりを挟む
※※※※※※※ ※※※※※※※※ ※※※※※※
家臣らしき男から手紙を受け取ったアシュベルは、かなり上機嫌だった。
それはいつもの彼らしくもあったが不思議と違和感を感じエレナが駆け寄ってくる。
「どうしたの、アシュベル、なにかあった?」
直球で問うエレナにアロは羨ましさを覚える。
必要な事由があれば執拗なまでに口を出すアロだが、何気ない会話には
「ああ、あったとも!兄が結婚をするんだ♪」
アシュベルの返答にアロはぎょっとなる。
近衛隊に配属されてからアシュベルに関する情報は把握しているつもりだった。彼は
兄弟たちとの交流を完全に絶っていたはず、それなのに何故その兄の一人から手紙が
送られてくるというのか、しかも私的な内容の。
「お兄様が?それは素敵な知らせね、おめでとうございます!」
「ありがとう、俺もとても嬉しいよ、兄は今年34歳にもなるんだが独り身を貫いて
いてね、少々心配していたんだ、」
―――――独り身を貫く?
アシュベルの兄たちはもう結婚をしていてもおかしくない歳をしているが、それは本人たちが願っているわけではない。オーギュスト公爵の嫡男として父から指名され、その財産の一切はアシュベルのものとする、そう言われ、財産の見込めない兄達には世間の待遇は冷たくなっていた。
商才でもあればオーギュストの名のもと、多少の資産はあったかもしれないが、彼らにはその資質はなく今も親のすねをかじるだけの細々とした生活を強いられていた。
「本当に感慨深いよ、兄たちが結婚を承諾してくれて」
アシュベルの言葉にますますアロの顔が歪んでいく、はたから見ると彼の顔は誰もが
見たことのない間の抜けた顔になっていた。
兄たち、とアシュベルは言った、そして承諾、とも。
これはただの結婚の報告ではない、そうアロは判断する。
この件に関してアシュベルが一枚かんでいる、と。
「まぁ、お祝い事は重なるものね!」
嬉しそうな笑顔を向けるエレナの頭にアシュベルの手が伸びる。
その手は白銀色の髪に触れ、緩やかに落ちてゆく。
少し気恥しそうにエレナはアシュベルを黒く輝く瞳で見返した。
――――セーデル、今頃少しはその涼しい顔を曇らせているか。
これはほんのお返しに過ぎない、アシュベルは表情を変えずに思いめぐらす、彼への怒りとともに。
岩塩鉱山を持つ領主らを買収したベルナールド商店はアシュベルの持つ商店のひとつ、それを知る者はほとんどいない。
彼が人を信用したことがなかったおかげか、複数の商店を才覚だけで自由に動かすことが出来た。家柄と関係なく動かせるそれは、彼にとってはただの暇つぶし程度のゲームにしか過ぎなかったが、その才覚ゆえ思いのほか成果を上げる結果となり、今やグラディス王国のなかでも大手の商会になっていた。
商店や商会のリストにアシュベルの名はない。
今までは名を伏せ偽名を使っていたが、それが功を奏してセーデルからは目を付けられずにいた。
アシュベルもこれまでセーデルに興味はなかったが、エレナを狙う者として彼の調査
を行った、その結果セーデルの財源の源が岩塩であることが判明。どういう経緯で3
領主から契約を取り付けたか、さらに深く調査を入れるよう家臣に命じていた。
家臣から深夜に文書を秘密裏に受け取り、それが判明した時アシュベルは笑いをこら
えるのに苦労した。
「アッハハハ、この国は腐りきっているのだな」
彼はそう言ってピンッその文書を人差し指ではじく。
なんとまぁ、あまりに稚拙な手法、としか言いようがない。
その文書には、領主たちへの契約金はわずかばかり、王女の後見人としてのセーデル
の名を振りかざし恐怖で彼らを煽り取り付けた、とある。なるほど今のセーデル・ク
リフトフに逆らうものは今はこの国でいないと言うわけだ。
セーデル公爵の敵とみなされれば消されるという彼の黒い噂も、契約する際大いに後
押ししたことだろう。
事実クリフトフ公爵の爵位を継ぐには縁遠いと思われていた彼の立場は、親族の病気
や事故死などが重なり訪れた、それこそ彼にとっての幸運が重なった結果、のように
見える。
セーデルが宰相の地位に着き、彼に異を唱える者は何故か不遇の死を迎えている。
それを敢えて追及する者はいなかった、自身の命を賭してまで彼に歯向かうのはあま
りに不利益が大きすぎたから。
それ故セーデルが宰相の座に着き、内乱が起ころうと隣国との衝突が起ころうと、彼
の地位は揺らがなかった、今までは。
ならば、俺がその最初の反逆者となり俺のゲームに引きずり込んでやる、アシュベル
は文書を蝋燭で燃やしながら考える。一番初めは華々しいものがいい、俺を蔑んでき
た兄の結婚を祝福してあげよう、一番岩塩鉱山を所有しているルーベンス卿には年頃
の娘がいたはず、いい縁談が用意できる。
秘密裏に長男であるミシェールに文書を送る。
父上の死後アシュベル・オーギュストがその爵位を継いだ後、すぐにでもそれを貴殿
に全て譲る用意がある、と。それと同時にその遺産は他の兄にも分配されること、父
上をはじめすべての者にこの契約を明かさないこと、それが条件だと兄たちに突きつ
けた。
オーギュスト家には古くから受け継がれている骨董品の数々が屋敷の奥深くに眠って
いる、それは彼らが喉から出る程欲しい代物だ。アシュベルの祖父はかなりの目利き
で、骨董商で莫大な財産を得るまでに成りあがったという話を聞いたことがる。
その経緯をメイドや使用人から聞いた噂話ではあったが、と父上よりは祖父の血ほう
がアシュベルには濃く受け継がれているといえるだろう。
さて、ルーベンス卿の他にゼイン、シャマリフト領主にも娘はいた。
オーギュスト公爵の血縁である兄達にはそれらの女性と結婚をするという提案を財産
の分け前を理由に承諾させた。
その結婚という強い絆により小さな領土を持つ領主たちは確実に目に見える好条件の
契約に心動かされないなずはなった。
さらにアシュベルはセーデルのあくどい契約内容を検討し、改善点をまとめ領主たち
に当然彼らが得るべき報酬を提示する。もしセーデルが領主たちを暗殺をもくろんで
も、オーギュスト家との強い繋がりができた今、迂闊に手は出せない。万が一それが
表ざたになれば、国内最高峰の財力をと権威を誇るオーギュスト家を敵にまわしてし
まうからだ。そのことを踏まえるとセーデルが再びその土地を受け継いだものと契約
を果たすのは困難だといえるだろう。
だが、これはほんの始まりに過ぎない。
セーデル、お前如きがエレナを狙うなど、わが身の不幸を思い知ればいい。
彼女はお前のような汚れ切った手で触れていい方ではない。
その華奢な体に二つのマナを宿し、三千年の記憶とともに命を賭し世界を護ろうとし
ている少女。
その宿命に抗うことなく進み続けるあの強さ、神々しさ。
その行く手を邪魔する者は誰であろうと容赦はしない。
まずは挨拶がてらセーデルにサプライズを届ける、それはうまくいったようだ。
家臣らしき男から手紙を受け取ったアシュベルは、かなり上機嫌だった。
それはいつもの彼らしくもあったが不思議と違和感を感じエレナが駆け寄ってくる。
「どうしたの、アシュベル、なにかあった?」
直球で問うエレナにアロは羨ましさを覚える。
必要な事由があれば執拗なまでに口を出すアロだが、何気ない会話には
「ああ、あったとも!兄が結婚をするんだ♪」
アシュベルの返答にアロはぎょっとなる。
近衛隊に配属されてからアシュベルに関する情報は把握しているつもりだった。彼は
兄弟たちとの交流を完全に絶っていたはず、それなのに何故その兄の一人から手紙が
送られてくるというのか、しかも私的な内容の。
「お兄様が?それは素敵な知らせね、おめでとうございます!」
「ありがとう、俺もとても嬉しいよ、兄は今年34歳にもなるんだが独り身を貫いて
いてね、少々心配していたんだ、」
―――――独り身を貫く?
アシュベルの兄たちはもう結婚をしていてもおかしくない歳をしているが、それは本人たちが願っているわけではない。オーギュスト公爵の嫡男として父から指名され、その財産の一切はアシュベルのものとする、そう言われ、財産の見込めない兄達には世間の待遇は冷たくなっていた。
商才でもあればオーギュストの名のもと、多少の資産はあったかもしれないが、彼らにはその資質はなく今も親のすねをかじるだけの細々とした生活を強いられていた。
「本当に感慨深いよ、兄たちが結婚を承諾してくれて」
アシュベルの言葉にますますアロの顔が歪んでいく、はたから見ると彼の顔は誰もが
見たことのない間の抜けた顔になっていた。
兄たち、とアシュベルは言った、そして承諾、とも。
これはただの結婚の報告ではない、そうアロは判断する。
この件に関してアシュベルが一枚かんでいる、と。
「まぁ、お祝い事は重なるものね!」
嬉しそうな笑顔を向けるエレナの頭にアシュベルの手が伸びる。
その手は白銀色の髪に触れ、緩やかに落ちてゆく。
少し気恥しそうにエレナはアシュベルを黒く輝く瞳で見返した。
――――セーデル、今頃少しはその涼しい顔を曇らせているか。
これはほんのお返しに過ぎない、アシュベルは表情を変えずに思いめぐらす、彼への怒りとともに。
岩塩鉱山を持つ領主らを買収したベルナールド商店はアシュベルの持つ商店のひとつ、それを知る者はほとんどいない。
彼が人を信用したことがなかったおかげか、複数の商店を才覚だけで自由に動かすことが出来た。家柄と関係なく動かせるそれは、彼にとってはただの暇つぶし程度のゲームにしか過ぎなかったが、その才覚ゆえ思いのほか成果を上げる結果となり、今やグラディス王国のなかでも大手の商会になっていた。
商店や商会のリストにアシュベルの名はない。
今までは名を伏せ偽名を使っていたが、それが功を奏してセーデルからは目を付けられずにいた。
アシュベルもこれまでセーデルに興味はなかったが、エレナを狙う者として彼の調査
を行った、その結果セーデルの財源の源が岩塩であることが判明。どういう経緯で3
領主から契約を取り付けたか、さらに深く調査を入れるよう家臣に命じていた。
家臣から深夜に文書を秘密裏に受け取り、それが判明した時アシュベルは笑いをこら
えるのに苦労した。
「アッハハハ、この国は腐りきっているのだな」
彼はそう言ってピンッその文書を人差し指ではじく。
なんとまぁ、あまりに稚拙な手法、としか言いようがない。
その文書には、領主たちへの契約金はわずかばかり、王女の後見人としてのセーデル
の名を振りかざし恐怖で彼らを煽り取り付けた、とある。なるほど今のセーデル・ク
リフトフに逆らうものは今はこの国でいないと言うわけだ。
セーデル公爵の敵とみなされれば消されるという彼の黒い噂も、契約する際大いに後
押ししたことだろう。
事実クリフトフ公爵の爵位を継ぐには縁遠いと思われていた彼の立場は、親族の病気
や事故死などが重なり訪れた、それこそ彼にとっての幸運が重なった結果、のように
見える。
セーデルが宰相の地位に着き、彼に異を唱える者は何故か不遇の死を迎えている。
それを敢えて追及する者はいなかった、自身の命を賭してまで彼に歯向かうのはあま
りに不利益が大きすぎたから。
それ故セーデルが宰相の座に着き、内乱が起ころうと隣国との衝突が起ころうと、彼
の地位は揺らがなかった、今までは。
ならば、俺がその最初の反逆者となり俺のゲームに引きずり込んでやる、アシュベル
は文書を蝋燭で燃やしながら考える。一番初めは華々しいものがいい、俺を蔑んでき
た兄の結婚を祝福してあげよう、一番岩塩鉱山を所有しているルーベンス卿には年頃
の娘がいたはず、いい縁談が用意できる。
秘密裏に長男であるミシェールに文書を送る。
父上の死後アシュベル・オーギュストがその爵位を継いだ後、すぐにでもそれを貴殿
に全て譲る用意がある、と。それと同時にその遺産は他の兄にも分配されること、父
上をはじめすべての者にこの契約を明かさないこと、それが条件だと兄たちに突きつ
けた。
オーギュスト家には古くから受け継がれている骨董品の数々が屋敷の奥深くに眠って
いる、それは彼らが喉から出る程欲しい代物だ。アシュベルの祖父はかなりの目利き
で、骨董商で莫大な財産を得るまでに成りあがったという話を聞いたことがる。
その経緯をメイドや使用人から聞いた噂話ではあったが、と父上よりは祖父の血ほう
がアシュベルには濃く受け継がれているといえるだろう。
さて、ルーベンス卿の他にゼイン、シャマリフト領主にも娘はいた。
オーギュスト公爵の血縁である兄達にはそれらの女性と結婚をするという提案を財産
の分け前を理由に承諾させた。
その結婚という強い絆により小さな領土を持つ領主たちは確実に目に見える好条件の
契約に心動かされないなずはなった。
さらにアシュベルはセーデルのあくどい契約内容を検討し、改善点をまとめ領主たち
に当然彼らが得るべき報酬を提示する。もしセーデルが領主たちを暗殺をもくろんで
も、オーギュスト家との強い繋がりができた今、迂闊に手は出せない。万が一それが
表ざたになれば、国内最高峰の財力をと権威を誇るオーギュスト家を敵にまわしてし
まうからだ。そのことを踏まえるとセーデルが再びその土地を受け継いだものと契約
を果たすのは困難だといえるだろう。
だが、これはほんの始まりに過ぎない。
セーデル、お前如きがエレナを狙うなど、わが身の不幸を思い知ればいい。
彼女はお前のような汚れ切った手で触れていい方ではない。
その華奢な体に二つのマナを宿し、三千年の記憶とともに命を賭し世界を護ろうとし
ている少女。
その宿命に抗うことなく進み続けるあの強さ、神々しさ。
その行く手を邪魔する者は誰であろうと容赦はしない。
まずは挨拶がてらセーデルにサプライズを届ける、それはうまくいったようだ。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
私の人生に、おかえりなさい。――都合のいい「お姉ちゃん」は、もうどこにもいません
しょくぱん
恋愛
「お姉ちゃんなんだから」
――それは私を縛る呪いの言葉だった。
家族の醜い穢れを一身に吸い込み、妹の美しさの「身代わり」として生きてきた私。
痛みで感覚を失った手も、鏡に映らない存在も、全ては家族のためだと信じていた。
でも、、そんな私、私じゃない!!
―― 私は、もう逃げない。 失われた人生を取り戻した今、私は、私に告げるだろう。
「私の人生に、おかえりなさい。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる