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第二章
第十四話 あなたは神ですか?
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夜会は何事もなくその幕を閉じ、城からは貴族らがアシュベルを惜しむ様に馬車に乗りそれぞれの領土へ帰っていった。遠くから来ている貴族の中には城で泊まり、明日領土に帰る者もいる。
エレナはララ王女の様子を遠目ではあるが見ることが出来たし、アシュベルに至っては計画以上の収穫を得たと言ってもいい、後日アシュベルが王女の婚約者なのではないかとまことしやかに噂されるようになる。
「ヒメちゃん大丈夫だった?」
アシュベルが聞く、セーデルはダンスが終わっても彼女を離さなかった。
まさかこんなところでエレナに危害を加えるとは思わないが、彼の様子がおかしかったのもあり、アシュベルは気が気ではなかった。
「ええ、大丈夫よ、一つ確かめたいことがあるの、父上と母上の馴れ初め、」
エレナが両親の思い出を知りたいわけではなく、そこにセーデルの思惑があるのだとアシュベルは悟る。
「それならひとり当てがある、」
できれば会いたくない人物だが、やれることはなんでもやる、そう決めた。
それにしてもエレナの様子がおかしい。
冷静にも見えるが何か思いつめている、そうアシュベルには見えた。
追及しても彼女は本音を明かさないだろう、誰かに頼るという考えが彼女の中にはない。
時期を待つか、アシュベルは不本意ながら敢えて彼女の深層に触れないよう目をつむった。
第一近衛隊の配属が正式に決まり、今日エレナらの入隊式が行われる。
アシュベルやアロが見守る中、3人がそれぞれに挨拶をしていく。
「昨夜の夜会での警備ご苦労だった、これからも今までと違う任務体制を取っていく事になる。皆こころして配属された任務をこなしてほしい、これまで以上に気を引き締め周囲に異常があった場合は即刻俺か、アロに報告する事」
アシュベルが弁じて隊はそれぞれの任務にあたろうという時。
そこで事件は起きた。
「アシュベル隊長、意見があります」
そう発言したのは、以前エレナの部屋まで押しかけてきた、そばかすが印象的な女性だった。
「成人したばかりで第一近衛隊に入隊したばかりか、アシュベル隊長の側近として任務に就くのは異例中の異例。それほどこの新人たちが我々より強い、という事ですか」
挑発的な言葉に、まわりの隊員もなだめすかす。
「俺が人選ミスをしているとでも?」
アシュベルのその顔に笑みはない、隊の者が静まり返る。
アシュベルは今まで側近を置いてなかった、その代わりではあるがアロがその役割をはたしていたが、隊の者たちからすれば所謂えこひいき、ともとれるのだろう。
女性から見てもエレナは目がくらみそうなの美しさ、それも誰もが虜にされるような不思議な魅力はある。
なるほど、こうくるとは考えてなかったな、アシュベルが思案する。
こういう事は理屈で押さえても効かない、目で見て体感する方が納得がいくだろう。
「ベネット、前に出ろ」
ベネットと名前を呼ばれたそばかすの女性は、ビクッとしながらも前に進み出る。
「シャルル、木刀を2本もってこい、今からベネットとエレナは剣術だけで勝負してもらう。皆もよくみておけ」
シャルルが慌てて木刀を用意する。
これに勝てば、アシュベル様の側近になれる、腕に自信があるベネットは既に勝った気でいる。第一近衛隊に入れたのだって男性よりも自分の剣技が上だったからだ、こんな小娘に勝てない訳がない。
「
「ヒメちゃん、少しつきあって」
木刀を握るエレナにアシュベルはそっと耳打ちをする。
こんな茶番に彼女を引っ張り出すことは、彼の本意ではない。しかし今彼女の強さを見せつけておけば隊の者から不満の声はなくなるだろう。
「どっちからいく?あなたからかかってきてもいいいわよ」
ベネットは余裕の笑顔で見下すように先手を譲る。その行為にアシュベルは、見ていられないとでもいうように赤い瞳を横に逸らす。
ベネットは魔法をこそ使えないが女性であることを差し引いても剣術の手練れだと誰もが認めている。
「では、わたしからいきます」
そう言ってエレナはベネットに向かって真っすぐに走り出す。
正面からくるなんて恐れ知らずか相当のおバカさんね、とエレナの木刀を見定める。至近距離まで近づいた時、彼女はエレナを完全にとらえ木刀を打ち込む、がまるで手ごたえがない。そして彼女の視界からエレナの姿は消えていた。
「なっ!」
振りむこうとした時ベネットの腰に木刀が触れた、それはすぐに離れエレナが横に飛び距離をとる。
遊ばれてる!?
「このっ!!」
熱くなってベネットは木刀を突くように何度もエレナへ切っ先を向ける、それを紙一重のところでエレナは避けつつ後ずさる。
これではまるで自分が道化の様だ、そう思い一撃を全力で振りぬく。まただ、かすめる事すらできない。
一瞬の事だった、目の前に居るはずのエレナの姿をまた失う、そしてベネットの喉元にすっと木刀が滑り込む。
「そこまで」
アシュベルが言葉を発するまで、ベネットはあまりの展開に自失していた。
これが真剣勝負なら何度彼女に殺されているのだろう、そう思うほどエレナの木刀はベネットの体に度々あたっていた。おそらく隊の者にはわからんかっただろう、ほんのすこし刹那的に木刀は彼女に触れ、気付いた時にはそこにはなかった。
「アシュベル様、申し訳ありませんでした。あ、あのっエレナさん」
木刀をシャルルに渡していたエレナが振り返ると、ベネットが頭を下げている。
「わたしは自信過剰になっていたようです、目が覚めました、師匠と呼ばせてください!」
「あ、え・・・それはちょっと」
ベネットにはきついお仕置になってしまったが、エレナの剣技を見て、もう誰も文句をつける者はいない。ベネットは強い、170㎝という身長を生かし男性にも劣るとも勝らない剣技と、あの性格からも分かるように果敢に攻めるのが彼女のスタイルだ、長期戦になれば疲れ知らずの彼女ならではの力が発揮され相手の消耗を狙い打ちのめす、隊の中でも一目置かれている。
アシュベルは思う、エレナを相手させたのは少々やり過ぎたかもしれない。エレナはその小さな体と身軽さを逆手にとって相手に触れさせることすらしない、暗殺者タイプだと思う。
彼女はアシュベル自身でも不意をつかれれば、いや真っ向からでも勝てると言いきれない。
なんといってもあの英雄クアドラが手塩にかけた剣士だ。
「では、他に異論がなければ通常任務にもどってくれ、アロ後の事はまかせたぞ」
「はい、承知いたしました」
アシュベルが自由に動けるよう隊をまとめるのがわたしの役目、アロは肝に銘じその任を引き受ける。
「ベネットさん、」
隊と共に移動を始めたベネットは、エレナの声に即座に駆けつけてきた。
きらきらした目でエレナを見るベネットの姿は、呼ばれて飛んでくる犬を思わせる。
これが男だったらどうするかな、とアシュベルはふと思う。
「あなたの中の風が叫んでる・・・外に出たいって」
「??」
アシュベルも含めリュカ、カリーナ、ベネット、アロがエレナの言葉の意味を模索する。
エレナはベネットの眉間に人差し指でそっとふれる。
「解き放って、風のマナを」
ブワッ・・・・
二人を中心に大きく風が渦を巻き木の葉を散らしていく。
その風がやんだ時、ベネットがぎゅっとつむっていた目を開く、その瞳は茶色ではなく緑 ―――――。
「あ・・れ」
ベネットは自分の中で何かが変わったことは分かるが、どう受け止め確かめればいいか戸惑う。
「剣を抜いて風を纏わせてみて」
エレナの言葉に訳も分からず従う。剣を抜き、そうだ、私の中の風を込めればいい、彼女の本能が開花されてゆく。それは今までに経験したことの無い得も言われぬ体感、体の中心が熱い。
「風よわが命に従え!」
ベネットの持つ剣に瞬時に風が巻き付く様に現れる。
「やはりあなたはセンスがいい、」
エレナが呆然とする彼女に微笑む。
こんな事は初めてだ、アシュベルが沈黙のままその様子を見ていた。
「エレナさん・・いえ、エレナ様あなたは神・・ですか」
そう思うのも無理はない、10歳をこえればマナの可能性はないとされている、それを23歳であるベネットの眠れる風のマナに、エレナはやすやすとそれを引き出した。
光のマナをもつ彼女はどれだけの可能性を、その体の内に秘めているのか。
アシュベルは未知数である光の能力にどこまでの能力があるのか、それは彼女自身を押しつぶしてしまわないか、その大きすぎる力に不安を感じえなかった。
「ベネット、お前の剣技は一流だ、この俺が保証する」
アシュベルはベネットに声をかける。
「お前は風のマナを覚醒させた、ベネット、それはお前にとって大きな武器となる。よってララ王女殿下の側近として任務を命じる。詳細はアロに聞くと言い」
「え、でもわたしはエレナ様のお近くに・・・」
すっかりエレナに懐いた、いや信者と化したベネットはエレナと離れたくないと、そう言いかけた。
「ベネットさん、ララ王女殿下をどうかお守りしてください、お願いします」
エレナが彼女に言うと、ベネットは背筋を伸ばし一礼する。
「お任せください、エレナ様、そのご命令必ずわたしは遂行して見せます」
このベネットの表情、信者というより崇拝者だな、どちらも似た意味だが彼女はエレナを神聖見しているようだ、だがそのほうが好都合ではある、王女の側近になればセーデルにも近くなる、ベネットならばセーデルの口車にのせられることもないだろう。
思わぬタイミングでいい人材を発掘できた、アシュベルが目を細めて思う。
エレナはララ王女の様子を遠目ではあるが見ることが出来たし、アシュベルに至っては計画以上の収穫を得たと言ってもいい、後日アシュベルが王女の婚約者なのではないかとまことしやかに噂されるようになる。
「ヒメちゃん大丈夫だった?」
アシュベルが聞く、セーデルはダンスが終わっても彼女を離さなかった。
まさかこんなところでエレナに危害を加えるとは思わないが、彼の様子がおかしかったのもあり、アシュベルは気が気ではなかった。
「ええ、大丈夫よ、一つ確かめたいことがあるの、父上と母上の馴れ初め、」
エレナが両親の思い出を知りたいわけではなく、そこにセーデルの思惑があるのだとアシュベルは悟る。
「それならひとり当てがある、」
できれば会いたくない人物だが、やれることはなんでもやる、そう決めた。
それにしてもエレナの様子がおかしい。
冷静にも見えるが何か思いつめている、そうアシュベルには見えた。
追及しても彼女は本音を明かさないだろう、誰かに頼るという考えが彼女の中にはない。
時期を待つか、アシュベルは不本意ながら敢えて彼女の深層に触れないよう目をつむった。
第一近衛隊の配属が正式に決まり、今日エレナらの入隊式が行われる。
アシュベルやアロが見守る中、3人がそれぞれに挨拶をしていく。
「昨夜の夜会での警備ご苦労だった、これからも今までと違う任務体制を取っていく事になる。皆こころして配属された任務をこなしてほしい、これまで以上に気を引き締め周囲に異常があった場合は即刻俺か、アロに報告する事」
アシュベルが弁じて隊はそれぞれの任務にあたろうという時。
そこで事件は起きた。
「アシュベル隊長、意見があります」
そう発言したのは、以前エレナの部屋まで押しかけてきた、そばかすが印象的な女性だった。
「成人したばかりで第一近衛隊に入隊したばかりか、アシュベル隊長の側近として任務に就くのは異例中の異例。それほどこの新人たちが我々より強い、という事ですか」
挑発的な言葉に、まわりの隊員もなだめすかす。
「俺が人選ミスをしているとでも?」
アシュベルのその顔に笑みはない、隊の者が静まり返る。
アシュベルは今まで側近を置いてなかった、その代わりではあるがアロがその役割をはたしていたが、隊の者たちからすれば所謂えこひいき、ともとれるのだろう。
女性から見てもエレナは目がくらみそうなの美しさ、それも誰もが虜にされるような不思議な魅力はある。
なるほど、こうくるとは考えてなかったな、アシュベルが思案する。
こういう事は理屈で押さえても効かない、目で見て体感する方が納得がいくだろう。
「ベネット、前に出ろ」
ベネットと名前を呼ばれたそばかすの女性は、ビクッとしながらも前に進み出る。
「シャルル、木刀を2本もってこい、今からベネットとエレナは剣術だけで勝負してもらう。皆もよくみておけ」
シャルルが慌てて木刀を用意する。
これに勝てば、アシュベル様の側近になれる、腕に自信があるベネットは既に勝った気でいる。第一近衛隊に入れたのだって男性よりも自分の剣技が上だったからだ、こんな小娘に勝てない訳がない。
「
「ヒメちゃん、少しつきあって」
木刀を握るエレナにアシュベルはそっと耳打ちをする。
こんな茶番に彼女を引っ張り出すことは、彼の本意ではない。しかし今彼女の強さを見せつけておけば隊の者から不満の声はなくなるだろう。
「どっちからいく?あなたからかかってきてもいいいわよ」
ベネットは余裕の笑顔で見下すように先手を譲る。その行為にアシュベルは、見ていられないとでもいうように赤い瞳を横に逸らす。
ベネットは魔法をこそ使えないが女性であることを差し引いても剣術の手練れだと誰もが認めている。
「では、わたしからいきます」
そう言ってエレナはベネットに向かって真っすぐに走り出す。
正面からくるなんて恐れ知らずか相当のおバカさんね、とエレナの木刀を見定める。至近距離まで近づいた時、彼女はエレナを完全にとらえ木刀を打ち込む、がまるで手ごたえがない。そして彼女の視界からエレナの姿は消えていた。
「なっ!」
振りむこうとした時ベネットの腰に木刀が触れた、それはすぐに離れエレナが横に飛び距離をとる。
遊ばれてる!?
「このっ!!」
熱くなってベネットは木刀を突くように何度もエレナへ切っ先を向ける、それを紙一重のところでエレナは避けつつ後ずさる。
これではまるで自分が道化の様だ、そう思い一撃を全力で振りぬく。まただ、かすめる事すらできない。
一瞬の事だった、目の前に居るはずのエレナの姿をまた失う、そしてベネットの喉元にすっと木刀が滑り込む。
「そこまで」
アシュベルが言葉を発するまで、ベネットはあまりの展開に自失していた。
これが真剣勝負なら何度彼女に殺されているのだろう、そう思うほどエレナの木刀はベネットの体に度々あたっていた。おそらく隊の者にはわからんかっただろう、ほんのすこし刹那的に木刀は彼女に触れ、気付いた時にはそこにはなかった。
「アシュベル様、申し訳ありませんでした。あ、あのっエレナさん」
木刀をシャルルに渡していたエレナが振り返ると、ベネットが頭を下げている。
「わたしは自信過剰になっていたようです、目が覚めました、師匠と呼ばせてください!」
「あ、え・・・それはちょっと」
ベネットにはきついお仕置になってしまったが、エレナの剣技を見て、もう誰も文句をつける者はいない。ベネットは強い、170㎝という身長を生かし男性にも劣るとも勝らない剣技と、あの性格からも分かるように果敢に攻めるのが彼女のスタイルだ、長期戦になれば疲れ知らずの彼女ならではの力が発揮され相手の消耗を狙い打ちのめす、隊の中でも一目置かれている。
アシュベルは思う、エレナを相手させたのは少々やり過ぎたかもしれない。エレナはその小さな体と身軽さを逆手にとって相手に触れさせることすらしない、暗殺者タイプだと思う。
彼女はアシュベル自身でも不意をつかれれば、いや真っ向からでも勝てると言いきれない。
なんといってもあの英雄クアドラが手塩にかけた剣士だ。
「では、他に異論がなければ通常任務にもどってくれ、アロ後の事はまかせたぞ」
「はい、承知いたしました」
アシュベルが自由に動けるよう隊をまとめるのがわたしの役目、アロは肝に銘じその任を引き受ける。
「ベネットさん、」
隊と共に移動を始めたベネットは、エレナの声に即座に駆けつけてきた。
きらきらした目でエレナを見るベネットの姿は、呼ばれて飛んでくる犬を思わせる。
これが男だったらどうするかな、とアシュベルはふと思う。
「あなたの中の風が叫んでる・・・外に出たいって」
「??」
アシュベルも含めリュカ、カリーナ、ベネット、アロがエレナの言葉の意味を模索する。
エレナはベネットの眉間に人差し指でそっとふれる。
「解き放って、風のマナを」
ブワッ・・・・
二人を中心に大きく風が渦を巻き木の葉を散らしていく。
その風がやんだ時、ベネットがぎゅっとつむっていた目を開く、その瞳は茶色ではなく緑 ―――――。
「あ・・れ」
ベネットは自分の中で何かが変わったことは分かるが、どう受け止め確かめればいいか戸惑う。
「剣を抜いて風を纏わせてみて」
エレナの言葉に訳も分からず従う。剣を抜き、そうだ、私の中の風を込めればいい、彼女の本能が開花されてゆく。それは今までに経験したことの無い得も言われぬ体感、体の中心が熱い。
「風よわが命に従え!」
ベネットの持つ剣に瞬時に風が巻き付く様に現れる。
「やはりあなたはセンスがいい、」
エレナが呆然とする彼女に微笑む。
こんな事は初めてだ、アシュベルが沈黙のままその様子を見ていた。
「エレナさん・・いえ、エレナ様あなたは神・・ですか」
そう思うのも無理はない、10歳をこえればマナの可能性はないとされている、それを23歳であるベネットの眠れる風のマナに、エレナはやすやすとそれを引き出した。
光のマナをもつ彼女はどれだけの可能性を、その体の内に秘めているのか。
アシュベルは未知数である光の能力にどこまでの能力があるのか、それは彼女自身を押しつぶしてしまわないか、その大きすぎる力に不安を感じえなかった。
「ベネット、お前の剣技は一流だ、この俺が保証する」
アシュベルはベネットに声をかける。
「お前は風のマナを覚醒させた、ベネット、それはお前にとって大きな武器となる。よってララ王女殿下の側近として任務を命じる。詳細はアロに聞くと言い」
「え、でもわたしはエレナ様のお近くに・・・」
すっかりエレナに懐いた、いや信者と化したベネットはエレナと離れたくないと、そう言いかけた。
「ベネットさん、ララ王女殿下をどうかお守りしてください、お願いします」
エレナが彼女に言うと、ベネットは背筋を伸ばし一礼する。
「お任せください、エレナ様、そのご命令必ずわたしは遂行して見せます」
このベネットの表情、信者というより崇拝者だな、どちらも似た意味だが彼女はエレナを神聖見しているようだ、だがそのほうが好都合ではある、王女の側近になればセーデルにも近くなる、ベネットならばセーデルの口車にのせられることもないだろう。
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