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第三章
第一話 闇の混沌、その地へ赴く
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カミュ殿下がトワイス行きの一行に加わることになった、彼はその鋭すぎる程の洞察力と概念をものともしない発想で、エレナの本質を見抜いていた。
これは称賛に値するだろう。
そして他国へ渡り第一王子という立場で、アシュベルらとともに旅に出る事を自ら提案してくる行動力。
極めつけは、彼の瞳を見れば分かるように、風のマナが相当強い、戦力的にも彼は役に立つ。
ただひとつ。
「カミュ殿下、あなたが第一王位継承者という立場にあるということは存じています、しかし、もしあなたとエレナ、どちらかの命を選ぶとすれば、わたしは迷わずエレナを選ぶ、おそらくトワイス国に同行する者はわたしと同じ考えでしょう」
他国の高貴な身分にある方に対して、これはあまりににも無礼な発言だ、だが、それを承諾していただけなければカミュ殿下をお連れすることが出来ない。
我々は目標を失ってはならないのだから。
「アシュベル殿、承知している、わたしもその提案には賛成であり、彼女の命をなによりも優先すると誓おう、それがどれほど非道であっても」
殿下の瞳はヒスイの如く清廉でその本質を見失う、この方はエレナの為ならなんでもするだろう、そのなんでも、の意味が恐ろしいところにある、同行するとはいえ彼はエレナへの敬意と崇拝によるものが大きい。
しかし、まだ話していない部分もある、それを伝えたらカミュ殿下は卒倒しかねないのでは、と一抹の不安を感じつつ、皆が集まる頃、殿下が同行することとエレナの秘められた部分を話すことにした。
※※※※※※※ ※※※※※※※ ※※※※※※
少し遅れはしたが予定時刻少し過ぎ、トワイス行きの同行者一向がアシュベルの部屋に集まる。
これは少々目立つ行動だ、恐らくセーデルもこちらの動きを把握しているだろう。
「では、新しく加わったカミュから、挨拶してくだ・・くれるか」
「すまない、急な申し出にアシュベルが同行をゆるしてくれた、これからよろしくお願いする」
皆が集まった時、カミュは目的を果たすための仲間として、自分の事を同等に扱ってくれと申し出た。
しかしながら、第一王位継承者であるカミュ殿下に丁寧語をつかわないというのはなかなかに難しい。
これは・・エレナの時にもそういうことがあったか、アシュベルはひとり苦笑する。
さて、ここからが、見ものだ、我々も散々驚いたのだから、カミュにもそれ相応に驚いてもらわないと。
「なっ!!!!!」
カミュの驚きぶりは予想以上でこちらの方がその絶叫に驚いた。
「カミュ、そこまで驚かなくとも、境遇はにているんだから」
アシュベルが助け舟を出すが、カミュは頭を抱え部屋の隅でぶつぶつ何かを呟いている、恐らく今話したことを反芻でもしているのだろう。
しかし、さすが王子、すっくと立ちがるとエレナの手を取りその翡翠に似た色合いを宿した瞳で真っすぐに見つめる。
「同じ第一王位継承者、それだけでもわたしはこれまで色々と悩んできた、だが、あなたのそれはわたしの悩みなど凌駕している、だからこそ、あなたの側であなたのちからになりたい!!」
カミュが掴んだエレナの手を、スパーンッ!とアシュベルとリュカが切り離す。
二人の顔にはにこやかであるが僅かに殺気が潜んでいる。
風のマナを持つ者、一概には言えないがそれを持って生まれて来た者は奔放な性格をしていると伝えられている。危ない、カミュを見張っておかないとエレナにすぐにでも求婚するかもしれない、なんといっても第一王子が国をでてこうして戦乱の中、旅立ちを決めたのだから。これが水のマナを持った王子ならば、自身の立場を考え旅に出たくてもその選択肢は消去法で消えてしまうだろう。
火のマナは情熱を水のマナは冷徹さを土のマナは安定を、闇のマナは・・・これは謎である。
闇の魔法剣士は光の魔法士ほどではないが、その数はとても少ない、そして彼らは剣士にも魔法士にもなることなく一般人として生きて行くのが通例である。
様々な憶測はあるが闇のマナを持つ者は多くを語らない、国としても一定のデータを取りたいがそれに強制力はなく闇のマナの持ち主は沈黙を貫き、普通の生活を送っている。
だが、アシュベルはエレナと行動を共にすることで、違和感を感じる事があった、そしてそれが一体なんなのか分かり始めていた。口に出すには・・・あまりにも残酷な闇の魔法。
これを皆に言うべきかアシュベルは迷っている。
言ってしまえばエレナ自身も動きづらくなるばかりでなく、周囲も彼女を今まで通り接することが出来るかわからない、今団結してトワイスに向かおうというこの時、それをばらばらに壊しかねない。
しかし、もしアシュベル自身が、全てが終わった後にそれを聞いたとしたら、その方が絶望におちいりそうなきがする、やはり話しておくべきか。
「出発の前に、知らせておきたいことがある」
アシュベルの言葉に皆が注目する。
「ヒメちゃん、君の闇魔法についてここにいる仲間には伝えておくべきかと、俺は思う」
―――――――ドキン
「わかった、アシュ、言わない方がいいと思ったけど皆には知る権利があるよね、でも、お願いだから、これまでと同じように接してほしい・・・」
何事かとそこに居る全員が不安になる、そしてエレナの次の言葉に驚愕する。
「――――――――闇魔法は命を削る魔法なの」
これは称賛に値するだろう。
そして他国へ渡り第一王子という立場で、アシュベルらとともに旅に出る事を自ら提案してくる行動力。
極めつけは、彼の瞳を見れば分かるように、風のマナが相当強い、戦力的にも彼は役に立つ。
ただひとつ。
「カミュ殿下、あなたが第一王位継承者という立場にあるということは存じています、しかし、もしあなたとエレナ、どちらかの命を選ぶとすれば、わたしは迷わずエレナを選ぶ、おそらくトワイス国に同行する者はわたしと同じ考えでしょう」
他国の高貴な身分にある方に対して、これはあまりににも無礼な発言だ、だが、それを承諾していただけなければカミュ殿下をお連れすることが出来ない。
我々は目標を失ってはならないのだから。
「アシュベル殿、承知している、わたしもその提案には賛成であり、彼女の命をなによりも優先すると誓おう、それがどれほど非道であっても」
殿下の瞳はヒスイの如く清廉でその本質を見失う、この方はエレナの為ならなんでもするだろう、そのなんでも、の意味が恐ろしいところにある、同行するとはいえ彼はエレナへの敬意と崇拝によるものが大きい。
しかし、まだ話していない部分もある、それを伝えたらカミュ殿下は卒倒しかねないのでは、と一抹の不安を感じつつ、皆が集まる頃、殿下が同行することとエレナの秘められた部分を話すことにした。
※※※※※※※ ※※※※※※※ ※※※※※※
少し遅れはしたが予定時刻少し過ぎ、トワイス行きの同行者一向がアシュベルの部屋に集まる。
これは少々目立つ行動だ、恐らくセーデルもこちらの動きを把握しているだろう。
「では、新しく加わったカミュから、挨拶してくだ・・くれるか」
「すまない、急な申し出にアシュベルが同行をゆるしてくれた、これからよろしくお願いする」
皆が集まった時、カミュは目的を果たすための仲間として、自分の事を同等に扱ってくれと申し出た。
しかしながら、第一王位継承者であるカミュ殿下に丁寧語をつかわないというのはなかなかに難しい。
これは・・エレナの時にもそういうことがあったか、アシュベルはひとり苦笑する。
さて、ここからが、見ものだ、我々も散々驚いたのだから、カミュにもそれ相応に驚いてもらわないと。
「なっ!!!!!」
カミュの驚きぶりは予想以上でこちらの方がその絶叫に驚いた。
「カミュ、そこまで驚かなくとも、境遇はにているんだから」
アシュベルが助け舟を出すが、カミュは頭を抱え部屋の隅でぶつぶつ何かを呟いている、恐らく今話したことを反芻でもしているのだろう。
しかし、さすが王子、すっくと立ちがるとエレナの手を取りその翡翠に似た色合いを宿した瞳で真っすぐに見つめる。
「同じ第一王位継承者、それだけでもわたしはこれまで色々と悩んできた、だが、あなたのそれはわたしの悩みなど凌駕している、だからこそ、あなたの側であなたのちからになりたい!!」
カミュが掴んだエレナの手を、スパーンッ!とアシュベルとリュカが切り離す。
二人の顔にはにこやかであるが僅かに殺気が潜んでいる。
風のマナを持つ者、一概には言えないがそれを持って生まれて来た者は奔放な性格をしていると伝えられている。危ない、カミュを見張っておかないとエレナにすぐにでも求婚するかもしれない、なんといっても第一王子が国をでてこうして戦乱の中、旅立ちを決めたのだから。これが水のマナを持った王子ならば、自身の立場を考え旅に出たくてもその選択肢は消去法で消えてしまうだろう。
火のマナは情熱を水のマナは冷徹さを土のマナは安定を、闇のマナは・・・これは謎である。
闇の魔法剣士は光の魔法士ほどではないが、その数はとても少ない、そして彼らは剣士にも魔法士にもなることなく一般人として生きて行くのが通例である。
様々な憶測はあるが闇のマナを持つ者は多くを語らない、国としても一定のデータを取りたいがそれに強制力はなく闇のマナの持ち主は沈黙を貫き、普通の生活を送っている。
だが、アシュベルはエレナと行動を共にすることで、違和感を感じる事があった、そしてそれが一体なんなのか分かり始めていた。口に出すには・・・あまりにも残酷な闇の魔法。
これを皆に言うべきかアシュベルは迷っている。
言ってしまえばエレナ自身も動きづらくなるばかりでなく、周囲も彼女を今まで通り接することが出来るかわからない、今団結してトワイスに向かおうというこの時、それをばらばらに壊しかねない。
しかし、もしアシュベル自身が、全てが終わった後にそれを聞いたとしたら、その方が絶望におちいりそうなきがする、やはり話しておくべきか。
「出発の前に、知らせておきたいことがある」
アシュベルの言葉に皆が注目する。
「ヒメちゃん、君の闇魔法についてここにいる仲間には伝えておくべきかと、俺は思う」
―――――――ドキン
「わかった、アシュ、言わない方がいいと思ったけど皆には知る権利があるよね、でも、お願いだから、これまでと同じように接してほしい・・・」
何事かとそこに居る全員が不安になる、そしてエレナの次の言葉に驚愕する。
「――――――――闇魔法は命を削る魔法なの」
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